2012.5.18 キャッシュ・リッチの企業を狙え!
投げ売りである。外国人の売り仕掛けに加え、信用買い残に追い証⇒処分売りというパターンになっている。株式市場には総悲観ムードが漂っている。まあ、底値ゾーンではいつものこと。こうした状況下、専門家と称する人たちのコメントは極端に弱気になる。2~3月はあれほど超強気だったのに、これはどうしたことだろうか。
相場の強弱、株価表示ボードの色(高い⇒赤札、安い⇒青札)に合わせて顔色(相場観)をコロコロ変える人々を筆者は『カメレオン』(評論家、投資家)と呼んでいる。要するに、信念のない人達である。
もちろん、相場予測、投資には“緩急”をつけることが重要なのは理解している。事実、筆者は3月下旬以降、『4~5月相場は波乱含み』と警告してきた。しかし、高値圏ではメチャクチャ強気になり、安値圏では一転し、ボロボロの弱気になっていては勝者にはなれない。これは“天地”がさかさまではないか。
故是川銀蔵氏(“最後の相場師”と称される人物)は『株はねぇ、価値があるから株なんだよ。だって、有価証券というだろう』が口ぐせだった。株価急落時にはこの言葉にどれほど励まされ、勇気づけられたものか。とりわけ、ボックスゾーンの動きでは逆張りの姿勢が不可欠である。
もちろん、下げの途中で買うな!落ちる短剣はつかむな!(トレンドを重視せよ)は基本中の基本であり、やられナンピン、スカンピン!順張りパターンの銘柄に徹底してマトを絞れ!などの教えは十分に承知している。
ただ、この相場はボックスゾーン(往来)の動きである。“利”を得るには強い銘柄を攻めるアルファ戦略を採用するか、安いところを勇気をふるって買うしかない。いわゆる、売られ過ぎの銘柄を買い下がる(ベータ戦略)である。
売られ過ぎの銘柄とは?双日(2768)の時価総額は1,500億円前後だが、実は現・預金、有価証券を4,200億円強保有している。いわゆる、キャッシュ・リッチ企業である。株価は昨年11月21日の安値114円に迫っている。しかし、業績は急浮上に転じている。
まさに、“有価”ではないか。兼松(8020)、JVCケンウッド(6632)、日本精機(7287)、綜合警備保障(2331)などもキャッシュ・リッチ企業である。ディープバリュー投資家、および『1%の勝者』(株式市場では1%の勝者に、99%の敗者という)の人達にとって、これらの銘柄は絶好の投資対象になろう。
2012.5.18 “2匹目のドジョウ”を狙って双日、みずほを拾う!
いや~、厳しい相場である。株式市場はついに、“暴風雨圏”に突入、最もきつい局面を迎えつつある。信用取引には追い証が発生、投げ売り的な商状となっている。日経平均株価は8,600円台を割り込んでしまった。下げのスピードが速かったために、売りそこなった人もいるだろう。
もとより、筆者は5~6月は波乱含みであり、かつ基本的に、ボックスゾーンの動き(通い相場)に入る、と指摘してきた。すなわち、日経平均株価は8,360~9,260円の値幅(狭いレンジ)での“往来”である。
すでに、日経平均株価は昨秋11月25日~今春3月27日の上げ幅(2,120円)の半値押しの水準を大きく下回っている。この場合、①ボックスゾーンの展開となる、②調整完了までに時間を要する…のがセオリーである。底打ち⇒反騰態勢に転じるのは7月以降となろう。
もちろん、ここからの下値は限定される。しかし、戻りは鈍いと思う。なにしろ、外部環境が不透明である。欧州情勢を始め、為替動向(円高圧力)、アメリカ景気回復の“息切れ”、中国景気の失速懸念など気掛かり材料が山積みしている。
欧州危機(ソブリン・リスク、ユーロ不安)の本質は政治リスク、民主主義のコストと主張している。この解決にはユーロそのものが欠陥商品だけに、“時間”が必要である。ただ、選挙の季節(フランスの国民議会選挙、オランダの総選挙、ギリシャの再選挙)は6月中に一巡する。
それに、フランスのオランド大統領が唱えるバラマキには賛同しないが、財政再建には『緊縮一辺倒ではなく、成長戦略が不可欠である』との“公約”はそれなりに評価できる。
一方、ドイツのメルケル首相はかなりの“石頭”だが、フランス、ギリシャ、スペインなどの国民の反発、およびドイツの地方議会での与党の惨敗を見ると、フランスに多少なりと歩み寄る可能性があろう。
需給面でのポイントは外国人の動向である。これについては外部環境の不透明さだけではなく、JPモルガンの巨額損失、フェイスブックの上場(購入資金ねん出のための換金売り)、ヘッジファンドの仮決算(5月)などの特殊要因があったと思われる。
しかし、この特殊要因はほぼヤマ場を越えた。7月にはFRBがQE3(金融緩和第3弾)に踏み切るだろう。最短では6月19~20日のFOMCにおいて意向を表明か。
中国では政治抗争が終結、政策課題が経済に移っている。預金準備率の引き下げ(昨年来、3回目)が好例だろう。6月には利下げもある。さらに、今後5年間にインフラ整備、成長分野(7プロジェクト)の育成に22兆元(約280兆円)を投じる方針を明らかにしている。
残るのは円高是正である。これは年末にかけて外部環境の落ち着きとともに、円安に振れるだろう。物色面ではやはり、強い銘柄を攻めるアルファ戦略が有効であり、シップヘルスケアHD(3360)、ベネッセHD(9783)、東京センチュリーリース(8439)などがターゲットになろう。
逆に、売られ過ぎの銘柄を拾うベータ戦略では昨年秋と同様に、“2匹目のドジョウ”を狙って双日(2768)、みずほフィナンシャルグループ(8411)の買い下がり戦略を推奨している。その後、双日は114円(11月21日の安値)が今年2月27日には156円、みずほフィナンシャルグループは98円(同じく11月21日の安値)が今年3月21日には146円まで急騰した。一気に、4割、5割の暴騰劇である。
2012.5.17 とりあえず、あやすしかない“ダダっ子”ギリシャ!
欧州危機(南欧諸国のソブリン・リスク、ユーロ不安)が起こって3年が経過、セーフティネット(安全網)の構築は着々と進んでいる。しかし、支援国側、被支援国側の双方に“疲れ”が見える。筆者は欧州危機の本質は“政治リスク”と主張している。いわゆる、民主主義のコストである。
ギリシャ、フランスなどではポピュリスト(大衆迎合型の政治家)が登場、混迷に拍車をかけている。ギリシャの急伸左翼連合のアレクレス・ツイプラス党首が好例だろう。そもそも、ユーロは欠陥商品だが…。
もはや、これらの国々(特にギリシャ)はどうにもならないと思う。『支援は欲しいが、ドイツなどが求める緊縮財政はイヤ。ユーロには残留したい』。これでは…。まあ、南部欧州は衰退の一途をたどるのだろう。もう、ギリシャなどにかかわりあうのはやめようではないか。そう考えたくなる。
4年前、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)の株式市場の時価総額は約3兆ドルあった。これに対し、ASEAN5(東南アジア諸国連合を代表するインドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム)のそれは約8,000億ドルに過ぎなかった。さすがである。PIIGSは腐っても鯛?か。
なにしろ、PIIGSの時価総額はASEAN5の3.8倍あった。それが何と、今年に入って逆転したのである。まさに、『エッ?』ではないか。株式市場のスケールはその国、地域の経済力を反映している。
まさしく、これは“事件”だが、“落日”のPIIGS(マイナス成長)、“昇竜”のASEAN5(2012年が5.4%、2013年が6.2%成長⇒インドネシア、タイは9~10%成長)を考えると、当然の結果といえるのではないだろうか。新興国には“勢い”がある。
すでに、タイのGDPはギリシャ、ポルトガル、アイルランドよりも大きい。2016年にはインドネシアのGDPがスペインを上回る、といわれている。企業経営者、投資家はPIIGSを捨て、もっとアジアに目を向けるべきだろう。
もちろん、マーケットではギリシャの無秩序なユーロ離脱、無秩序なデフォルト(最悪シナリオ)を想定、株価が形成されつつある。しかし、2010年5月、2011年10~11月と同様、最悪シナリオは回避されるだろう。ギリシャは確かに、手のつけられない“ダダっ子”だが、現状では追放、離脱に追い込むことの代償が大きすぎる。
ジェイ・トラスト(8508)は押し目限界である。相場はまだ終わっていない。波乱相場ではこんな銘柄が理外の理的な値動きをみせる。
2012.5.17 中国の2週間のGDPはギリシャの1年分と同じ!
5~6月の欧州はフランス、ギリシャ、オランダなど選挙の季節である。そして、支援国側(資金の出し手)、被支援国側(厳しい緊縮財政の遂行を求められている)ともに、与党(現職)が苦戦している。いや、惨敗である。
ドイツ最大の人口を持つノルトライン・ウエストファーレン州議会選挙ではメルケル首相率いるキリスト教民主同盟が過去最悪の大敗を喫した。教育・子育て支援の充実を訴えた社会民主党が躍進、支持を集めた。どこの国もバラマキ政策は強い。国民に受ける。フランスもそうだったではないか。
欧州危機の本質は政治リスク、民主主義のコストと主張しているが、この問題の根(ユーロはもともと欠陥商品)は深い。全面解決には10年単位の歳月を要するだろう。
しかし、ユーロ崩壊⇒恐慌突入は困る。ギリシャだって、緊縮財政には『ノー』だが、国民の80%が『ユーロ残留を望む』と答えている。
それならば、支援国側が求める緊縮財政策をきちんと遂行し、約束を守るべきだろう。しかし、そうはいかない。国民は勝手気まま。だからこそ、解決には時間がかかるし、欧州危機は政治リスク、民主主義のコストなのである。
ただ、“落日”の欧州の混乱をよそに、新興国の経済は着実に拡大している。現在、世界の名目GDPは約70兆ドルである。このうち、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、チャイナ)にインドネシア、メキシコ、韓国、トルコを加えた8ヵ国の名目GDPは17.2兆ドルであり、24.6%のシェアを占めている。
これが10年後には『EUを圧倒、40%以上のシェアを占めるだろう』といわれている。まさに、“昇竜”である。急成長を続けているベース・オブ・ピラミッド(BOP)と呼ばれる国々の人口は40億人に達する。
2001年を100とすると、ASEAN5のGDPは2016年に700となる。一方、PIIGSは200ちょっとにとどまる見通しである。増えるだけましか。ともあれ、株式市場の時価総額の逆転現象はこの“勢い”の差を反映している。
ちなみに、BRICsの名目GDPは2010年が11兆ドル、2011年が13.3兆ドルと、年間2.2兆ドル増えた。この増加分はスペインの名目GDP(1.5兆ドル)を上回り、イタリアの名目GDP(2.2兆ドル)に匹敵するもの。要するに、PIIGSの落ち込みは新興国の伸びによって、十分にカバーできる。
いや、極端な話、スペインがなくなってもかまわない(失礼!)。中国の名目GDPは2010年が5.9兆ドル、2011年が7.3兆ドルだった。年間1.4兆ドル増えている。
なお、ギリシャの名目GDPは3,000億ドルちょっと。中国の増加分の23.6%に過ぎない。あくまでも単純計算だが、中国の名目GDPは月間6,100億ドルである。2週間あればギリシャの名目GDP(1年分)を上回ることになる。恐ろしい話ではないか。
IHI(7013)、みずほフィナンシャルグループ(8411)、双日(2768)、蝶理(8014)は突っ込み買いのチャンスだろう。株式は有価証券である。“有価”とは価値を有すること。いずれの銘柄も実態を無視して売り込まれている。
2012.5.16 杉村富生のカセット・マガジン5月号好評発売中!
タイトル
波乱相場を乗り切るアルファ戦略
“5月の雨”(Sell in May)に負けるな!
目次
①“5月の雨”が草木に花を咲かせ、秋に実りをもたらす!
②5~6月相場は基本的にボックスゾーンの動き⇒投げ売り商状は最終局面
③セオリー的に当面は往来相場、調整完了には時間を要する!
④外部環境があまりにも不透明
⑤日経平均株価は8,360~1万0,250円のゾーンでのもみ合いか
⑥落日の欧州&昇竜のアジア⇒新興国は急成長
⑦ギリシャに振り回される“愚”
⑧アルファ戦略のターゲット(本命3銘柄)は?
⑨穴株コーナー
トピックス
⑩キャッシュ・リッチ企業を狙え!
⑪復興関連セクターは現実買いの段階に!
総論
外部環境(欧州情勢、NY市場、為替動向、中国経済)を分析する!
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2012.5.16 後継者不足が顕在化する『2012年問題』
日経平均株価は当面、8,360~1万0,250円ゾーンでのもみ合い(往来相場)と考えている。半値押し水準を下回っただけに、本格反騰局面に入るには時間を要する。これがセオリーである。往来相場ではアルファ戦略が有効だが、М&Aはそのテーマに沿う。
もちろん、М&Aは大企業の“専売特許”ではない。むしろ、数字(件数)的には中堅企業の方が活発である。この背景には『2012年問題』(オフィスの大量供給を危惧するあのテーマではない)があろう。
団塊世代が引退時期の65歳を迎え始める年、それが2012年である。今後、中堅企業では後継者不足が顕在化すると予想されている。これが事業承継の『2012年問題』である。後継者不足(不在の場合もある)による事業承継問題の深刻化は2012年だけで終わるわけではない。いや、これからが“本番”を迎える。
なにしろ、帝国データバンクの『後継者不在企業の実態調査』によると、国内(中堅)企業の65.9%に何と、『後継者がいない』といわれている。日本経済の将来を考えた場合、これは大変なことではないだろうか。
実際、ちょっと古いデータだが、『中小企業白書』によると、後継者がいないために、廃業する会社が年間7万社、これにより年間約30万人の雇用が失われている、といわれている。
関東圏では14万8,822社のうち、10万1,086社(67.9%)に後継者がいない、との調査結果がある。後継者がいなければどうするか。廃業、もしくは雇用(従業員)と顧客(ユーザー)を守るには“身売り”しかあるまい。最近は子供が“家業”を継承しないケースが増えている。
要するに、М&Aである。現実に、日本М&Aセンター(2127)が開催しているМ&Aセミナーは超満員といわれている。逆に、後継者難は事業拡大をもくろむ企業にとってはチャンスである。
たとえば、秋田県内で印刷会社を経営している会社が飛躍を期して、東京進出を図ったとする。支店を配置し、土地の購入、新規に設備の導入、ユーザーの開拓などを手掛けてはリスクが大きすぎる。М&Aを使って“同業”を買収した方が手っ取り早いのではないか。
2012.5.16 М&Aの活発化が株価を刺激する!
5~6月相場は基本的にボックスゾーンの動きだろう。欧州の“選挙の季節”が終わる6月末までは気迷い感の強い展開が継続する。こうした状況下において最近、M&Aに関するニュースが相次いでいる。生き残りを賭けた企業の構造改革(選択と集中)第2弾が始まったのだろうか。
コーヒー大手のUCCホールディングス(非上場)はニッセンホールディングス(8248)の第3者割当増資(金庫株を充当しためた、実質の新株発行は6万株強⇒価格360円)を引き受け、筆頭株主になった。同時に、ニッセンホールディングスはUCCホールディングスの100%子会社のシャディ(年商940億円、グループ企業を含め経営利益30億円)を買収、業容の急拡大を図っている。
ヤフーはアスクルの発行株式数の42.6%を取得(330億円を投資)、筆頭株主になった。ヤフーのインターネットサービスとアスクルの配送網を“統合”、EC(電子商取引)市場において、先行する楽天、アマゾンジャパンを追撃する考えである。
アサヒグループホールディン+グスは飲料大手のカルピスを買収する。買収金額は約1,000億円である。カルピスの親会社は味の素だが、利益率の低い事業を見直し、アミノ酸に経営資源を集中的に投入する方針、といわれている。
一方、アサヒグループホールディングスはこのところハウス食品の『六甲のおいしい水』、カゴメの『六条麦茶』事業を買収するなど、М&A戦略を強力に推進している。カルピスの買収はその一環だろう。
さらに、ダノンがヤクルト本社の株式を『買い増す』という報道もあった。『TOBも視野に』と報じられている。しかし、両社の良好な関係を考慮すると、敵対的なTOBはあり得ない、と思う。
このほか、GMがいすゞ自動車(7202)に再出資を検討か(“復縁”を迫る?)、という報道も話題になっている。恐らく、いすゞ自動車のディーゼルエンジン技術に注目しているのだろう。もちろん、いすゞ自動車の販売力は魅力である。
なにしろ、今や、ヨーロッパでの燃費改善の主流はエンジン改良(特に、ディーゼルエンジン)である。中国もその流れになっている。いずれにせよ、М&Aの活発化は株価を刺激し、株価の下支え要因となろう。
2012.5.11 この局面は逆行高の強い銘柄を攻めるのがセオリー!
株式市場が大波乱に陥っている。『2日新甫は荒れる!』の4月相場に続いて、『Sell in May』(5月に売り払え!)の格言通り、5月相場も“初夏の嵐”に襲われている。まさに、“爆弾低気圧”並みの衝撃である。なにしろ、外部環境(欧州情勢、為替動向、NY市場、中国景気の行方など)が不透明すぎる。
日経平均株価はテクニカル、かつ心理的に9,000~8,900円ゾーンに強力なサポートライン(岩盤⇒下値支持線)がある。しかし、ここを突破されると、下値メドは一気に8,600~8,800円の水準まで切り下がる。ここが正念場である。ともあれ、今後の株価の動きを占うカギは欧州情勢と為替動向にあろう。
特に、日本の株式市場は円高(株安)、円安(株高)の影響を受けやすい。1ドル=80円前後では上値の重い展開が続くだろう。本格反騰態勢に転じるには1ドル=84~85円の円安が不可欠である。
再三指摘しているように、欧州危機は政治リスクであり、民主主義の割高なコストといえる。フランスの大統領選挙では現職が敗れ、ギリシャの総選挙では連立与党が大きく議席を減らした。国民は“痛み”を嫌う。常に、改革は先送りしようとする。
これはどこの国も同じである。トコトン悪くならないと、国民は決断しない。政治家も悪い。『我慢をするな』と、バラマキ政策を唱える政治家(ギリシャの急進左派連合のアレクシス・ツィプラス党首が好例)が現れる。日本の民主党だってそうじゃないか。
フランスはオランド大統領(16日に就任予定)の“大統領”としてのコメント、政策がポイントになろう。万一、選挙期間中の“公約”を繰り返すようだと、欧州危機は深刻さを増すだろう。
ギリシャは連立の枠組み次第によっては財政再建路線が大きく軌道修正される公算が大きい。フランスもそうだが、3月2日のEU(欧州連合)の新財政協定(12月末が批准の期限)は反故にされる可能性がある。
当然、財政再建は困難となる。債務リストラ(実質ディフォルト)を断行し、支援を受けながら“約束”は破る。首相の最有力候補のツィプラス党首は『公的債務の金利は払わない』などと発言している。
これでは支援国サイドはたまらない。ギリシャは無秩序のディフォルトに追い込まれるだろう。オランダ、ドイツだって、政治は大揺れ(オランダは6月に総選挙、ドイツは現在、州議会選挙⇒メルケル首相の与党が苦戦)である。
結局、こうしたモヤモヤとした状況が欧州の政治の季節(フランスは6月に国民議会選挙)が終わる6月一杯は続くのではないか。ただ、企業業績が好調なだけに、昨秋のような暴落局面は考えにくい。いわゆる、ボックスゾーン(往来相場)の動きとなろう。
この局面では逆行高の強い銘柄を攻めるのが有効な作戦だろう。いわゆる、アルファ戦略である。すなわち、エムスリー(2413)、日本調剤(3341)、シップヘルスケアHD(3360)フォスター電機(6794)、CTC(4739)、エイチ・アイ・エス(9603)、ALSOK(2331)、コメリ(8218)などがターゲットになる。
2012.5.11 あえて、売られすぎ銘柄を拾う戦術!
ひどい相場である。為替は1ドル=79円台、1ユーロ=102円台に突入、日経平均株価は9,000円の大台を割り込んでしまった。1990年のバブル崩壊以降、日本の株式市場は20年以上にわたって、基本的に壮大な下降トレンドを描き、ときにボックスゾーンの動き(往来相場)となり、3~4年に一度、急反騰劇を演じる、というパターンを繰り返してきた。現状はどうか。
昨秋~今春の反騰後の日柄・値幅の調整局面だろう。いわゆる、当面はボックスゾーンの動きである。この局面では再三指摘しているように、売られすぎの銘柄の突っ込み買い作戦(ベータ戦略)よりも逆行高銘柄を徹底して攻める作戦(アルファ戦略)が有効だろう。
いわば、短期・順張り方針である。ただ、筆者は個人的に、ベータ戦略を好む。この世界に入って40数年、その姿勢を貫いてきた。いまさらこの考えを変えるつもりはない。すなわち愚直に安いときに、安い銘柄を買う戦術である。
具体的には東洋建設(1890)の66~68円、OKK(6205)の108~109円、神戸製鋼所(5406)の100~101円、双日(2768)の123~124円、IHI(7013)の163~168円、兼松(8020)の88~91円をコツコツと拾おうじゃないか、と主張している。
これらの銘柄に対する大手証券の見方は厳しい。兼松は大和証券がレーティングを引き上げ(3⇒2に)、『110円目標』としているが、ほかの銘柄はほとんど『売り』とか、『投資のタイミングではない』となっている。しかし、これらの景気循環型(シクリカル)の銘柄は業績が万全でないときに仕込むのがポイントである。
この際、レーティングなど気にする必要はない、と思う。安いときに、高評価のレーティングはつかないもの。実際、筆者は昨年11月27日に、双日のドン安値の114円を強力に推奨した。みずほフィナンシャルグループ(8411)は昨秋に、101円(安値は11月21日の98円)まで買いを勧めた。この局面ではこの2銘柄の大手証券の評価はどうだったか。
結局、双日は今年2月27日に156円、みずほフィナンシャルグループは3月21日に146円の高値をつけている。安値~高値の双日の上昇率は36.8%、みずほフィナンシャルグループの上昇率は49.0%に達する。
これが相場ではないか。理屈ではないだろう。筆者が一般的な相場理論に逆行し、前述のボロボロに売り込まれている銘柄の買い推奨を行っている意味が理解してもらえるだろうか。
筆者は昨年の9~11月に、外国人が投げ捨てていった“川底の金貨”を拾おう、普通預金を引き出しメガバンクの株式を買おう…という2大キャンペーンを行った。そろそろ、もう一度このキャンペーンを断行しようか、と考えている。もちろん、少しづつていねいに買い下がる作戦が求められるが…。
2012.5.10 “5月の雨”(Sell in May)に負けるな!
株式市場を“初夏の嵐”が襲っている。ただ、VIX指数はそれほど上昇していない。当面(5~6月)の相場は基本的に、ボックスゾーンの動き(往来)だろう。そう、波乱の季節、Sell in Mayだが、昨秋のような大崩れはない、と考えている。
足元は、外部環境(欧州情勢、為替動向、NY市場など)が不透明すぎる。注目のフランス大統領選挙(6日の決選投票)では下馬評通りフランソワ・オランド氏がニコラ・サルコジ氏を破り、大統領に選出された。社会党の大統領は1995年に退任したミッテラン氏以来、17年ぶりのこと。
現職大統領の敗北は1981年のジスカールデンスタン氏以来、31年ぶりになる。やはり、現職にとって、欧州危機(ソブリン・リスク、ユーロ不安)、財政再建政策の推進が猛烈な“逆風”となったのだろう。
国民は“痛み”を嫌う。選挙結果を受け、財政再建政策は修正を余儀なくされるだろう。さらに、『メルコジ』(ドイツ・メルケル首相とサルコジ大統領による独仏協調路線)体制は崩壊するだろう。すなわち、ユーロ不安の再燃である。実際、ユーロはすでに、1ユーロ=102円台に売り込まれている。
状況はギリシャも同じである。6日の総選挙(1院制・300議席)は連立与党の全ギリシャ社会主義運動党、新民主主義党が惨敗、緊縮財政反対を掲げる急進左派連合が躍進した。このほか、ユーロ圏からの離脱、移民排斥を唱えるネオナチの『極右政党』が支持を集めた。これは危険な兆候である。
筆者はかねて、『欧州危機』の本質は政治リスク(民主主義のコスト)と、主張してきたが、現状はまさしく指摘通りの展開(ソブリン・リスク、ユーロ不安を助長する政治勢力の台頭)になっているではないか。
政治の混迷はスペイン、オランダでも始まっている。特に、スペインは失業率が24.4%(若者の失業率は5割を突破)に達しており、もはやどうにもならない状態である。
そもそも、ユーロは欠陥商品である。“ユーロの父”と呼ばれるロバート・マンデル博士は『最適通貨圏の理論』において、『国情の違う国が単一通貨を採用した場合、それを成功させるには3つの絶対必要条件がある』と述べている。
すなわち、金融政策、財政政策を一元化すること、人の移動を完全に自由化すること(失業率の平準化)である。しかし、金融政策こそ、ECB(欧州中央銀行)が一手に担っているものの、ほかの2つは実現していない。いや、実現の可能性は限りなくゼロではないか。
“ユーロ合衆国”を目指すためには何が必要なのか。欧州共通債券の発行はその第1歩だが、短期的にはまず無理だろう。失業率の平準化(南欧諸国の失業者を北欧諸国が吸収する)はもってのほかであろう。
受け入れ側(北部欧州⇒支援国)の国民が納得しない。残された景気浮揚(国際競争力の回復)の切り札は通貨安である。しかし、単独(ギリシャの旧通貨はドラクマ、スペインの旧通貨はペソタ)ではできない。なにしろ、単一通貨のユーロなのである。ここに欧州危機の深刻さがある。
ただ、VIX指数は落ち着いており(20ポイント前後)、マーケットの動揺は限定的である。従って、ここは“5月の雨”に負けるな!と主張したい。目先は低位株の出番はないが、兼松(8020)、東洋建設(1890)、OKK(6205)、双日(2768)、マルハニチロホールディングス(1334)、日本カーボン(5302)などは夏相場に備え、時価近辺をじっくり拾っておきたいと思う。
2012.5.9 “節電の夏”今年は大阪が主戦場?
電力危機は今夏が本番となろう。2011年夏、大阪の友人に『東京は暗いねえ。新幹線の品川駅を過ぎると真っ暗だよ。駅のエスカレーターだって、止まっているし…』といわれたもの。バカにされた?まさしくそうだろう。
計画停電もあった。完全に、政策ミスである。しかし、今夏は大阪が厳しい節電を余儀なくされるだろう。なにしろ、関西電力はこれまで電力供給の5割強を原発に依存していた。大飯原発3、4号機の再稼働は当面、困難となっている。
この結果、今夏の関西電力の供給は2,525万キロワットにとどまる反面、最大需要は3,095万キロワットに達する見通しである。域内企業は自家発電設備のフル稼働、操業体制の見直しなどによって、今夏を乗り切る構えだが、それには限界があろう。供給不足は570万キロワット、18.4%もの供給不足となる(関西電力は16.3%の不足と主張)。これは節電要請、企業努力だけでは乗り切れないではないか。
仮に、猛暑が続いた場合、ドタバタの電力使用制限令、計画停電などの発動が必要になるだろう。電力は社会インフラの最重要項目の一つである。停電では水道、風呂用のガス(コントロールスイッチが使えない)、水洗トイレも使用不可である。
市民生活は脅かされる。事態は極めて深刻である。原発ゼロ(昨夏は16基が稼働)なのに、鉱工業生産は東日本大震災、タイの洪水などの克服があって、前年比5.8%増える。
電力供給能力は5~10%の増加が必要といわれている。しかし、関西、北海道、九州など9電力合計では9.2%の供給不足と試算(経済産業省)されている。猛暑の場合、悲惨な状況となろう。
日本企業にとって、電力不足による生産量低迷、および販売機会の喪失に加え。自家発電導入、深夜操業、原油の使用量増に伴うコスト増など、電力危機は一つもいいことがない。しかし、政府には危機意識が乏しい。“他人ごと”の対応に終始している。
こんな騒動が数年、続くのだろう。結局、企業は海外脱出を加速させることになる。これは国内の雇用と購買力を奪う。マーケットではクールビズ商戦などに着目、百貨店、紳士服チェーン、家電量販店などを物色する動きがみられる。しかし、こんなノンキなことでいいのだろうか。
一方、目先の相場では指摘のように、逆行高の銘柄を一本釣り的に攻めるアルファ戦略が有効である。島精機(6222)、フォスター電機(6794)、日本デジタル研究所(6935)などがその組み入れ対象銘柄となる。
2012.5.9 波乱相場を乗り切るためのアルファ戦略!
3月下旬以降、4~6月相場には下ブレのリスクが存在する、と強く主張してきたが、残念なことに予想は的中しつつある。従って、当面の投資戦術としては企業固有の要因によって、ポジティブ・サプライズが期待される銘柄(ボックスゾーンを突き抜けていく逆行高の銘柄⇒レーティング重視、高ROE、ハイ・グロース)を狙う作戦(アルファ戦略)が有効だろう。
具体的には工具通販の専門サイト『MonotaRO.com』を運営するMonotaRO(3064)、日産グループのプレス部品メーカーのユニプレス(5949)、調剤薬局大手の日本調剤(3341)、医家向け情報サイト『MR君』を運営するエムスリー(2413)、東北での臨時警備が追い風となっている綜合警備保障(2331)などに注目できる。
一方、反騰局面において威力を発揮する売られすぎの低PBR、出遅れ株などを買うベータ戦略のポートフォリオは組み入れシェアを引き下げるべきである。5~6月相場ではベータ戦略のパフォーマンスが悪くなろう。
日経平均株価には9,000~9,100円ゾーンに強力なサポートライン(岩盤)がある。しかし、ここを突破されるようだと、次の下値のメドは一気に8,600~8,800円水準まで切り下がる。
そこまで急落するか、否かのカギはひとえに為替にかかっている。1ドル=78円14銭が日銀短観での大企業の想定為替レートである。企業業績は現在、微妙な状況にある。もちろん、この水準を突破された場合、当局による為替(円売り)介入があろう。
ともあれ、円安⇒株高のパターンが出現するためには欧州危機(ソブリン・リスク、ユーロ不安)の鎮静化が不可欠だろう。特に、オランド次期フランス大統領のコメントがポイントになる。マニフェスト(大統領選挙時の公約)に固執するようでは欧州危機は一段と深刻化する。
いずれにせよ、波乱相場を乗り切るにはアルファ戦略の徹底しかない。すなわち、逆行高銘柄の一本釣り作戦である。ボックスゾーンの動き(従来相場)では強い銘柄にマトを絞ること、これが一段と重要になる。
2012.4.27 教科書的な金融政策の限界!
これは“学者先生”が政策を遂行している日銀の限界ではないか。教科書的な金融政策ではデフレ脱却、円高阻止は不可能である。日銀には期待すればするほどその結果に、失望感がつのり、裏切られた時の衝撃(ダメージ)が大きくなる。
日銀は4月27日、金融政策決定会合を開催、①資産買い入れ枠を5兆円増の70兆円とする、②国債の買い入れ対象を残存1年以上~3年以下(従来は1年以上~2年以下)とする、③買い入れ期間を2013年6月末(同2012年末)に延長する…などの追加の金融緩和策を決めた。しかし、これはほぼ予想の範囲内である。
そう、2月14日のようなポジティブ・サプライズにはなり得ない。これは失望売りを招くだろう。ただ、マーケットの反応はちょっと違う。『逆に、“悪材料”出尽くし、と受け止めるべきではないか』(市場筋)。う~ん?こんな見方ができるのか。
まあ、これはおかしい、と思う。いずれにせよ、5月6日にはギリシャの総選挙、フランス大統領選挙(決選投票)が控えている。テクニカル的に、5月7~10日が『変化日』となる。従って、GW(ゴールデン・ウィーク)明け後の相場には最大限の注意を要する。
民主党の内部抗争など政治の混迷も気になる。唯一、NY市場の堅調さが救いだが、5月にはSell in May(5月に売り払えッ!)の“格言”が示しているように、『荒れる習性』がある。2010年、2011年がまさにそうだったが…。
さて、波乱の5月相場での注目テーマは何か。筆者は『BOPを狙え!』と主張している。現在、世界人口は70億円超だが、このうち40億人(約6割)を『ベース・オブ・ピラミッド』(BOP⇒ピラミッドの底辺層を形成)と呼ばれる年収3,000ドル以下の人達が占めている。
しかし、この人たちが住む国・地域は目下、猛烈な経済成長を遂げ、所得の増加とともに、生活レベルは急向上、購買力が急速に高まっている。このニーズをうまく取り込み、圧倒的な国際競争力を誇っているのがホンダ(7267)、川崎重工業(7012)などの二輪車(オートバイ)業界である。残念だが、民生用エレクトロニクス業界はこの“波”に乗れていない。シャープ、ソニー、パナソニックが苦境に陥っているのは当然の結果だろう。なにしろ、主力ユーザーは年収3,000ドル以下の人達である。BOPの国々では、レクサス、プリウスはあまり売れないのではないか。
インドのバジャジ・オート(同国の三輪車市場では4割のシェアを有しトップ、二輪車市場ではシェア2割を有する)は年内に、超小型自動車『RE60』(四輪車)を発売する。その価格は何と、19万~32万円である。
タタ自動車の『ナノ』(価格25万円)は大失敗(発売直後に発火・発煙事故、スターターの不具合など品質問題に直撃された)だったが、『RE60』はどうなるのだろうか。
なお、日産自動車(7201)は“再登板”の『ダットサン』(価格34万円)をインド市場に投入する。ホンダはタンザニア、ナイジェリア生産の二輪車(価格5万円以下)をBOP向けの戦略商品にする方針と伝えられている。新電元工業(6844)、ニッセンホールディングス(8248)は“5月の雨”のときこそ、仕込みのチャンスだろう。
2012.4.27 小沢元代表の『無罪』のマーケットの影響は?
小沢一郎元民主党代表の陸山会事件に関する『無罪』判決は株式市場にとって、短期的に悪材料になる、と考えている。消費税引き上げ(2014年4月に5%⇒8%、2015年10月に8%⇒10%)に反対している小沢グループの活動が激化するだろうし、TPP(環太平洋経済パートナーシップ協定)の参加は『ご破産』となる可能性がある。
結果として財政再建、構造改革は3~5年遅れるだろう。ヨーロッパの迷走を笑ってはいられない。日本(企業は違う⇒国を捨ててでも生き残りを図る)は間違いなく衰退の道を歩んでいる。いや、過去20年がそうだが…。
一方、別な見方もある。小沢元代表の党員資格停止処分の解除は5月8日に行われるようだが、『“判決確定”のあと』と主張する民主党幹部がいる(これは民主党の方針)。検事役弁護士の控訴があれば“判決確定”にはかなりの年月を要するだろう。
消費税の引き上げについては野田佳彦首相、自民党の谷垣禎一総裁コンビ(“増税双生児”と呼ばれている)が6月21日の今国会の会期末までに成立させる、という『出来レース』が存在する、とまことしやかに語られている。
もちろん、小沢グループは『出来レース』をぶち壊そうとするだろう。彼は壊すのは得意である。『出来レース』が成就する確率は50%程度だろう。随分高いじゃないか?いや、これは『無罪』前の数値である。現在は2~3割に落ちている、と思う。
日銀についてはその態度(政策対応)がいま一つはっきりしない。本当にデフレ脱却、円高阻止に取り組む意欲があるのだろうか。消費者物価上昇率(CPI)の『ゴール』を1%(実際は2013年度まで0.1~0.5%以下にとどまる見通し)と定めた以上、そのプロセス、手段をもっと明確にすべきではないか。
それに、再三指摘しているように、サブプライムローン・ショック時の2007年を100とすると、日銀の総資産は127に増やしたにすぎない。これがFRBは329、ECBは254である。要するに、FRB、ECBは総資産を急膨張させ、金融危機に対処している、ということ。
さらに、CPIの上昇率1%目標ではFRBの2%目標に負ける。1%の差がある。購買力平価だけで判断すると、日銀は円高(年率1%)を容認しているのではないか。そういわれてもやむを得ない。これでいいのだろうか。
2012.4.26 ユーロ不安の本質は政治リスク!
ユーロはもともと欠陥商品である。それに、政治の迷走が混乱に拍車をかけている。欧州ソブリン・リスク、ユーロ不安の本質は政治リスクとの見方ができる。要するに、民主主義のコストである。日本のGW(ゴールデン・ウィーク)後半にはスペイン、フランス、ギリシャなどにおいて緊縮財政に反発する動き(抗議デモ)が活発になるだろう。
これはユーロ危機の再燃につながる。いまや、ギリシャに代わって、欧州危機の現在の“地雷原”はスペインである。ギリシャは『公務員天国』だが、スペインの労働組合の既得権益はすごい。その分、若者は仕事がなく若年層の失業率は何と、5割(全体は23.6%)に達している。
もちろん、ギリシャもメチャクチャである。市民生活は困窮、失業者は街にあふれている。アテネでは2011年に800件のデモがあった、という。店舗は暴徒を恐れ、シャッターを閉めている。治安は悪化の一途である。これでは“唯一の産業”観光が成り立たないだろう。
5月6日には総選挙がある。パパデモス政権は惨敗するだろう。フランスも状況は同じである。5月6日の大統領選挙(サルコジ大統領とオランド候補による決選投票)ではオランド候補の優勢が伝えられている。
オランド候補は富裕層、大企業に増税、教員採用(6万人増)、子供手当の25%増額、原発依存度の引き下げ(75%⇒50%に)などを訴えるとともに、3月2日に署名した新財政協定(イギリス、チェコを除く25ヵ国が参加)の再交渉を求めている。財政規律、再建路線は『どこに?』といった状況である。
実は、スペインも危機の発端はこの新財政協定にある。ラホイ首相は3月初め、2012年の財政赤字目標(GDP比4.4%)を反故にし、『5.8%に緩和する』と表明した。これを受け、スペインの株価は暴落、国債の利回りが急上昇、不安が一気に広がった。ラホイ首相は支持率を急低下させている。
結局、財政赤字目標は5.4%に落ち着いたが、信頼は失われたまま。ラホイ首相は労働市場改革を進めている。既得権にメスを入れよう、ということ。加えて、財政再建策の断行である。一方、労働組合はゼネストを強行、抵抗している。日本は小沢元代表が財政再建に反対している。『無罪』は売り要因になる。
こんなことでは国・企業の活力が回復、雇用が増えるはずがない。むしろ、衰退の一途だろう。国際競争力を奪回するには通貨の切り下げしかないが、単一通貨(ユーロ)では無理である。金融政策はECBに一元化されている。まさに、南欧諸国は八方ふさがりではないか。
いや、南欧諸国だけではない。4月23日、支援国サイド(北欧の優等生)のオランダ(国債の格付けはドイツとともに、トリプルA)のルッテ内閣が150億ユーロ(約1兆6,000億円)の歳出削減策のとりまとめに失敗、総辞職を余儀なくされた。6月に総選挙が実施される。
どこの国も歳出削減、増税などの財政再建策は不評である。ドイツのメルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)は地方選挙において、退潮が著しい。加えて、フランスにオランド政権が誕生すると、『メルコジ』(サルコジ大統領とメルケル首相によるユーロ協調路線)体制は完全に崩れる。まあ、大統領になればオランド候補も多少は方針を買えると思うが…。いずれにせよ、GW明け後の最大のリスクは欧州危機(政治リスク)になろう。
登場人物
・スペインのマリア・ラホイ首相(国民党)
・ギリシャのルーカス・パパデモス首相(元ギリシャ中央銀行総裁)
ギリシャの与党⇒全ギリシャ社会主義運動党、新民主主義党
・フランスのフランソワ・オランド氏(フランス社会党)
・イタリアのマリオ・モンティ首相(学者)
・ドイツのアンゲラ・メルケル首相(キリスト教民主同盟)
2012.4.25 日銀政策決定会合&Ⅰ~Ⅲのケース
仕手系の材料株が元気である。新日本理化(4406)、明和産業(8103)、イトーキ(7972)、第一実業(8059)、ニチモウ(8091)などが商いを伴って連日のフィーバーを演じている。これらの銘柄には有力仕手グループ(K)の介入がささやかれている。
この局面は割り切って、仕手系の材料株を攻める作戦が有効だろう。もちろん、この種の銘柄にはリスクがある。それだけに、投資金額を膨らませない、深入りは避ける、機敏な対応を心掛ける、早めにロス・カットを行う…などのルールを守って欲しい、と思う。
一方、全般は気迷いムードの強い相場展開が続いている。方向感が定まらない。しかし、GW期間中に、大きく売り込まれることはないだろう。意外に底固い動きになる、とみている。4月27日の日銀政策決定会合に期待しているためである。
とはいえ、この局面でのイベント・リスクは避けるべきではないだろうか。すなわち、4月25~27日の買いは“手控え”を、と主張している。仮に、日銀の決断が2月14日のようなポジティブ・サプライズの内容になれば、猛烈な円安・株高だろう。それを確認し、出動しても十分に間に合う。
ちなみに、日銀の政策、および株価に対する反応には以下のケースが考えられる。すなわち、
Ⅰ 日銀の決断が4月9~10日と同様になかった場合⇒猛烈な円高・株安に⇒円は1ドル=79円台に突入、日経平均株価は9,000円の大台割れ
Ⅱ 5兆円程度の資産買い取り枠の拡大にとどめ、プラス・アルファを見送った場合⇒失望売り、ないしは材料出尽くしとなる⇒円高が進行、株価は急落する
Ⅲ 資産買い取り枠を10兆円強増額、枠拡大の買い入れ対象にETF(上場投信)、リート(上場不動産投信)を加え、国債の長期化(現在の残存1年以上~2年以下を4年国債に)があった場合⇒まさに、ポジティブ・サプライズ
…の3ケースである。
ついでに、CPI(消費者物価指数)の1%目標(ゴール)を達成するために、政策決定会合後の記者会見において、『2ヵ月に1度、資産買い取り枠を増額する』と、白川総裁がコメントすればベスト、1ドル=85円前後の円安、日経平均株価が1万円大台奪回を目指し、猛反騰を開始するだろう。
ただし、Ⅲはかなり希望的な観測である。しかし、絶対ない、とはいえない。恐らく、売り方は“最悪の事態”を想定、27日までに買い戻しを急ぐだろう。逆に、買い方はここ数日、“最良の事態”を思い描き行動している。
ともに、シナリオはⅢだが、パターンとしては最悪と最良になる。従って、Ⅱのケースでは間違いなく失望売りを招くだろう。Ⅰは論外である。なお、4月24~25日のFOMC(公開市場委員会)でのQE3(金融緩和第3弾)はない、と予想している。
外部環境では5月6日のフランス大統領選挙(第1回目の投票は4月22日)の上位2人(ニコラ・サルコジ氏とフランソワ・オランド氏)による決選投票、ギリシャの総選挙がポイントになる。政治の混迷はユーロ不安の“火種”になり得る。もっとも、政治の劣悪さでは日本も負けてはいないが…。
2012.4.25 Sell in Mayでは遅すぎる?
NY市場(ウォール街)にはSell in May(持ち株は5月に売り払え!)という教えがある。いや、最近は5月では間に合わない。そう、4月に売るべきではないのか。
なにしろ、2010年(NYダウは4月26日の1万1,205ドルを高値に、7月2日には9,686ドルまで急落)、2011年(同様に、4月29日の1万2,810ドルを高値に、10月3日には1万0,655ドルの安値)ともに、4月が高値になっている。
さて、2012年は?とりあえず、4月2日の1万3,264ドルが高値だが、今年はどうなるのだろうか。もちろん、5月の雨が草木に花を咲かせ、秋に実りをもたらす!ということわざがある。
中・長期的にみれば、この調整(5月の雨)は仕込みのチャンスになるだろう。狙い目はMoody’sによる欧米銀行の相次ぐ『格下げ』によって、相対的に世界トップ格付けとなる三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)などにあろう。こんな現象は1990年以来のこと。
まあ、ここ数年は3~4月に売って、5~6月に買う戦術が有効である。日本の株式市場の場合、2011年は買い場が10~11月までズレ込んでしまったが…。2012年はそうはならない、と考えている。
幕あい継ぎに、仕手系の材料株を?『そんなものは絶対イヤ』という向きには3月期決算の発表スケジュールをにらみつつ、2013年3月期が大幅増益となる企業(銘柄)を5~6月の安いときに、ていねいに拾う作戦はどうだろうか。基本的に、4月25~27日の買いは“手控え”を!と主張しているが…。
具体的には4月24日に発表済みの日本電産(6594)、25日発表のファナック(6954)、26日に発表予定のエムスリー(2413)、コマツ(6301)、ネットワンシステムズ(7518)、同様に27日の日本М&Aセンター(2127)、TDK(6762)、村田製作所(6981)、5月2日のフォスター電機(6794)などが狙い目となる。
いずれも2013年3月期は大幅増益が予想されている。ちなみに、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、2012年度の経営増益率は大型株が29.7%なのに対し、中・小型株は19.3%にとどまる、という。
特に、製造業では大型株が+51.3%、中・小型株+26.5%と大きな差がみられる。業績別では大型電気機器が+237.0%、大型輸送機器が+70.6%、大型鉄鋼が+80.9%と、大企業ほど突出した増益率になる。
もちろん、決算発表時点に、会社側がこれほどの強気の予想を“公表”するとは思えない。会社側は常に、保守的である。しかし、大型製造業が東日本大震災、タイの洪水、超円高など、歴史に残るアクシデントを乗り越え、それを克服しつつあるのは確かだろう。
2012.4.20 中国は5~6月に一段の金融緩和に踏み切る!
気迷い感の強い相場展開となっている。テクニカル的には値幅、日柄調整途上にある。本格的な底入れ⇒反発のタイミングは早くて4月下旬~5月初旬以降になろう。
スケジュール的には4月22日のフランス大統領選挙(第1回投票)、4月27日の日銀政策決定会合、5月6日のギリシャ総選挙、フランス大統領選挙(上位2人による決選投票⇒現職のサルコジ氏と社会党のオランド氏の闘い⇒仏独協調路線を批難するオランド氏の優勢が伝えられている)が焦点である。
選挙結果次第によってはこれまでの財政再建路線が修正され、ユーロ不安が再燃する場面があろう。誰だって、痛みを嫌う。選挙は守る側(現職、与党)が不利である。攻める側は何でもいえる。
スペイン、イタリアの混乱も同じ構図(特に、スペインの株価は暴落)である。政治リスクが存在する。ただ、3年目に入った欧州ソブリン・リスクは2番煎じ、3番煎じである。株価に与える影響は徐々に薄れている。
そう、いたずらな悲観は禁物ではないか。すでに、マーケットはサブプライムローン・ショック、リーマン・ショックを乗り越えてきた。古来、パニックは政策の母!という。現状は、そうなりつつある。
欧州ソブリン・リスクは最終的に克服されるだろう。それに、2009年にギリシャ危機が発生した頃とは各国、ECB(『LTRO』を断行、1兆ユーロの長期資金を供給)、IMF、欧州委員会の対応が違う。すなわち、セーフティネットの構築が進んでいる。
中国景気の減速懸念、円高圧力、NY市場の波乱、イラン情勢などについても心配していない。確かに、中国の1~3月期のGDP成長率は8.1%と、昨年10~12月期の8.9%(2011年は9.2%、2010年は10.3%成長)に比べ“強いブレーキ”がかかった状態である。
しかし、PMI(購買者調査)、鉱工業生産指数、小売り売上高、景気先行指数などの現在、未来を示すデータは好調を持続している。これは4~6月期のGDP成長率の加速を意味する。恐らく、8.5~9.0%成長を実現できるだろう。
ブラジル、インド、中国など人口大国は金融緩和に軸足を移している。すでに、ブラジル、インドは利下げに踏み切っているが、中国は昨年12月、今年2月の預金準備率の引き下げ(各0.5ポイント)に続いて、年内にあと2回(計1.0ポイント)の預金準備率の引き下げを実施する見通しである。
5~6月には待望の利下げ(0.25ポイント)に踏み切るだろう。従って、ここでのコマツ(6301)、三菱商事(8058)、ナブテスコ(6268)などの押し目は絶好の仕込みチャンスと判断する。
2012.4.20 イスラエルがイランの核施設を攻撃できない理由?
一方、イスラエルによるイランの核施設(点在する地下8ヵ所のウラン235濃縮設備⇒すでに、濃縮度は20%を超え、原爆開発が着々と進む)攻撃は軍事能力(イスラエルが保有するF‐15、F‐16の航続距離は1,500km)を考えると、かなり、難しいと思う。
ちなみに、攻撃ルートは①ヨルダン(ここにはイランと近いテロ集団、地対空ミサイルを保有している『ヒズボラ』がいる)、イラク(3分の1は親イランのシーア派居住区)経由(往復距離3,500km)、②トルコ経由(同4,200km)、③サウジアラビア経由(同4,840km)…だが、どの攻撃ルートを選択しても他国の領空を通過し、多数の空中給油機(米空軍)が必要になる。
イスラエルが保有する攻撃機は125機、バンカー・バスター(GBU‐28⇒地下貫徹型爆弾)は1機に1個しか搭載できない。もちろん、全機出動は不可欠である。これで8ヵ所の核施設を一気に壊滅できるのだろうか。
領空を通過(事前に了解を得る?)する際、情報はイランに筒抜けである。当然、イランは迎撃するだろう。それに、アメリカ(オバマ大統領)が11月の大統領選挙を控えた時期に、中東騒乱の火種を提供するはずがない。そもそも、イランの核施設攻撃はアメリカの支援なくしては不可能である。1981年6月のイラクの核施設、2007年9月のシリアの核施設攻撃とは条件が違いすぎる。
一方、4月27日の日銀政策決定会合では資産買い入れ枠の拡大(65兆円⇒70兆~75兆円に)が打ち出されるだろう。これによって、円安になれば2月14日の再現になる。しかし、今回は事前に日銀の“決断”が予想されており、ポジティブ・サプライズになりづらい。逆に、枠拡大の金額が5兆円にとどまり、プラス・アルファがなかった場合、材料出尽くし、ないしは失望売りとなるケースを考えておく必要があろう。
さて、足元は割り切って明和産業(8103)、新日本理化(4406)など材料株で幕あいを継ぐ作戦が有効と判断する。もちろん、仕手株で儲けた人はその5倍損をする!といわれているが…。ニッセンホールディングス(8248)、新電元工業(6844)、日本М&Aセンター(2127)は個別に狙える。特に、日本М&Aセンターは抜群に強い。ここは買い乗せ有利、と判断する。
中・低位株では神戸製鋼所(5406)、沖電気(6703)、IHI(7013)に注目している。3銘柄とも業績は急浮上の見通しにあり、テーマ性を内包している。もちろん、株価は安値ゾーンにある。
放射性物質セシウムの除去システムを開発済みの東洋建設(1890)の80円前後は拾っておいていいのではないか。業績は超低空飛行だが、今後は復興関連の需要増が見込める。配当はちゃんと(1円だが…)やっている。
2012.4.19 欧州ソブリン・リスクが再燃?
スペインのラホイ首相の一方的な財政目標緩和(GDP比4.4%の財政赤字を5.8%に⇒結局5.3%に)はスペイン国債の入札不調、金利上昇を招いている。イタリアもギクシャクしている。しかし、昨夏~秋のような欧州ソブリン・リスク(ユーロ崩壊⇒恐慌突入)の再燃はないだろう。
確かに、4~5月のギリシャの総選挙(5月6日)、フランスの大統領選挙(4月22日に第1回投票、5月6日に上位2人による決戦投票⇒独仏協調を唱えるサルコジ大統領が苦戦、オランド候補が優勢)は気掛かり材料である。
しかし、“危機”が慎重なドイツ・メルケル首相の背中を押し、セーフティネットの構築は着実に進展している。誰もユーロ崩壊⇒恐慌突入といった破滅的状況を望んではいない。そのために、政策対応が見込める。まさに、パニックは政策の母!状態ではないか。
加えて、ECBによる金利1.0%、期間3年の長期資金供給プロジェクトのLTRO( long term refinancig operation)の効果は予想以上だった。時間稼ぎとはいえ、ユーロ不安を封じ込めた、と思う。
すなわち、昨年12月21日の4,892億ユーロ、今年2月29日の5,295億ユーロ、合計1兆ユーロ(当時の為替レートでは約110兆円)の銀行向けの資金供給は自国の国債購入に使われた、といわれている。
イタリアの銀行はイタリアの国債を、スペインの銀行はスペインの国債を買った。もっとも、ここにきてイタリア・モンティ政権の支持率が低下し、スペインはラホイ首相の不手際があって、国債購入意欲が薄れている。
なお、日本の銀行が保有する国債の総資産に占める比率は1998年に7.7%だったが、2011年には28.6%まで上昇している。まあ、お金を貸さず、国債にシフトする姿勢(日本のメガバンクは100兆円の国債を保有)は問題だが…。
一方、イタリア、スペインの銀行が保有する国債の総資産に占める比率は6~7%に過ぎない。要するに、イタリア、スペインの銀行はまだまだ買い余力を残している、といえるのではないだろうか。
もちろん、ギリシャの“将来”については予断を許さない。総選挙の結果次第では財政再建の約束がホゴにされる可能性がある。これはフランス(オランド候補はEU協調路線を批判⇒独・メルケル・サルコジ連合は崩れる?)も同じである。
いずれにせよ、スペインのGDPは1.1兆ユーロ、イタリアのGDPは1.6兆ユーロあり、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド3ヵ国合計のGDP0.6兆ユーロよりも大きい。いつものことだが、スペイン、イタリアの財政リスクを制御するのは大きなエネルギーを要する。
日本М&Aセンター(2127)は中堅企業のМ&A仲介を主業務とする。2012年3月期は史上最高の決算になったもよう。大幅増配に進む。2013年3月期は続伸の見通しにある。株価は一段高となろう。
神戸製鋼所(5406)の世界初の半密閉スクリュータービン方式の高効率・小型バイナリー発電システム『Micro binary』は80度程度の温泉でも発電が可能であり、かつ、低価格とあって、温泉ホテル・宿を中心に引き合いが殺到している。
2012.4.18 材料株はすこぶる元気だぞッ?
株式市場は4月以降、突然の“春の嵐”に見舞われている。古来、嵐のときは動くな!という。しかし、材料株は元気である。明和産業(8103)、ニチモウ(8091)、MUTOHホールディングス(7999)、新日本理化(4406)などが人気を集めている。いずれも有力仕手の介入説がある。
投資家はこの局面ではどう対応すべきなのだろうか。ここは材料株での幕あいをつなぐ戦術が有効だろう。
マーケットはスペイン国債の入札不調(ユーロ不安の再燃?)、オーストラリアの貿易収支の悪化(中国向け鉄鋼石、石炭輸出の減少⇒中国景気の減速懸念⇒実際、1~3月期のGDP成長率には急ブレーキ)、アメリカの一段の金融緩和期待の後退(3月のFOMC議事録)などを嫌気している。
そこに、外国人の売り仕掛けである。なにしろ、日本の株式市場は委託売買金シェアの6~7割を外国人が占めている。このため、海外情勢に振り回されるのはやむを得ない。改めて述べるまでもなく、日本の株式市場は外部要因に弱いマーケットである。
しかし、NYダウはすでに、リーマン・ショック(2008年9月)前の水準を上回っているが、日経平均株価はリーマン・ショック前の高値(2008年6月6日の1万4,489円)どころか、昨年2月21日の高値(1万0,857円)すら上回っていない。要するに、出遅れている。もちろん、これらの悪材料はすべて2番せんじ、3番せんじである。
それなのに、NYダウの値動きにつきあうことはないじゃないか。そう、主軸株については突っ込み買いのチャンスだろう。それに、中国リスクについては太子党と共産主義青年団との権力闘争が太子党の習近平(シージンピン)氏の国家主席、共産主義青年団出身の李克強(リークァチャン)氏の首相という形でほぼ決着した。今後は政治の力点が“景気”に移行するだろう。
ちなみに、李氏は胡錦涛(フージンタオ)国家主席と同郷であり、胡主席と温家宝(ウェンジャーパオ)首相は共産主義青年団出身である。ここ数ヵ月、太子党と共産主義青年団はすさまじい権力闘争を展開してきた。これは終わったと判断する。
もちろん、中国のGDP成長率は2011年が9.2%、昨年10~12月期が8.9%、今年1~3月が8.1%と急減速を示している。しかし、PMI(購買者)指数、鉱工業生産指数、小売り売上高、景気先行指数などを見ると、急改善を示している。4~6月期の伸び率は加速するのではないか。
なお、有力仕手グループ(K氏)は最近、会合を開き、『次は明和産業!』と。新日本理化の再注力方針も示した、という。ニチモウを手掛けている筋は彼らと裏でつながっている。MUTOHホールディングスはK氏と極めて近い人物が買っている。
2012.4.18 6~7月にFRBはQE3を断行する?
マーケットは早すぎる“出口戦略”を危惧している。しかし、アメリカの金融引き締め、利上げがすぐに断行されるわけではない。確かに、3月のFOMC(公開市場委員会)議事録を見ると、QE3(金融緩和第3弾)はないだろう、2014年末までとされてきた異例の超低金利の継続が前倒し(6ヵ月程度⇒2014年前半)で解除されるのではないか…という読みが可能である。
しかし、筆者は大方のエコノミストの見解とは異なり、6~7月にQE3(今回は住宅ローン担保証券の買い増し)が断行されるのでは…と考えている。すなわち、住宅業界のテコ入れである。これは失業率の改善につながる。
11月の大統領選挙に向け、オバマ大統領は再選を確実なものにしたいところだろう。なにしろ、就任時の失業率7.8%が現在、8.2%と全く改善されていない。アメリカの大統領選挙では失業率7.5%以上の場合、『現職が不利』といわれている。
前回の大統領選挙ではオバマ大統領は不祥事続きのマケイン候補(共和党)と接戦になった。恐らく、現状ではロムニー氏が共和党の“代表”になる。ロムニー候補ではもっと僅差の闘いになるだろう。
それと、すぐにはないだろうが、再三指摘しているように、アメリカの景気浮上⇒利上げは悪材料ではない。すなわち、日本の株式市場にはアメリカの利上げ⇒円安⇒株高、アメリカの利下げ⇒円高⇒株安というパターンがみられる。
実際、2006年以降、日本株は世界株をアンダーパフォームしているが、この局面はFRBがサブプライムローン・ショック、リーマン・ショックに対応、猛烈な金融緩和、超低金利政策を推進した局面である。
そう、アメリカの利上げは好材料なのである。2003年4月~2006年4月がそうではないか。当面、そんな状況が到来するとは考えられないが、利上げに脅える必要はない。むしろ、アメリカの利上げ局面は日本株のフィーバー、特にケース・シラー指数の上昇があればメガバンクの大相場につながるだろう。
三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)は押し目買いの好機である。
ちなみに、ケース・シラー指数とメガバンクの関係は『順相関』(ともに、2006年4月が高値)となっている。
ニッセンホールディングス(8248)、新電元工業(6844)は狙える。ともに、業績は急浮上に転じる。全般の地合いが悪い時こそ、仕込みのチャンスであろう。いま、求められているのはリスクを取る勇気と先を読む能力である。
2012.4.13 “春の嵐”は春到来の確かな証し!
この季節の天気は荒れる。花冷え、花に嵐!などという。しかし、季節は間違いなく春だろう。株式市場には“春の嵐”が吹き荒れていたが、ここ数日は冷静さを取り戻している。日経平均株価は3月27日の1万0,255円を高値に、一気に800円強、8%強の調整を行った。『弱すぎる』との声がある。
ちなみに、NYダウは3月15日の1万3,252ドルを高値に、4%の調整にとどまっている。NYダウが上昇するときには追随せず、下げる時には一緒、いやそれ以上である。全くもって、理不尽ではないか。
マーケットの混乱はNYダウの波乱に加え、アメリカの雇用環境の悪化、中国景気の減速懸念、ユーロ不安の再燃、日銀の無為無策(デフレ、円高の放置)、地政学上のリスク(北朝鮮、イラン情勢)などを嫌気したもの。こうなると、にわかに弱気論が台頭する。しかし、これは違う。
日本の株式市場は外国人主導のマーケットである。どうしても彼らの投資行動に影響を受けてしまう。当面は日柄整理、かつ下値模索の展開(日経平均株価の下値メドはテクニカル的に9,200~9,400円がらみの水準に設定できる)だろう。
日柄的には4~5月のギリシャ総選挙、フランスの大統領選挙、4月27日の日銀政策決定会合がポイントになる。ギリシャの総選挙は5月6日、フランスの大統領選挙は4月22日に第1回目の投票、5月6日に上位2人による決選投票のスケジュールとなっている。すなわち、4月下旬までは本格的には動きづらい。この間、モヤモヤとした状況が続くだろう。
もちろん、為替次第の面はある。しかし、ここにきてLIBOR-OISのスプレッド縮少が止まっており、円高圧力が強まっている。あとは、日銀の決断だけが頼りだったのだが、3月9~10日の政策決定会合では動かなかった。これが失望売りの主要因である。
恐らく、マーケットはFRB、日銀に対し、政策対応を催促している、と思う。FRBはQE3(金融緩和第3弾⇒住宅ローン担保証券の買い増し)の断行である。日銀には資産買い取り基金(現在の規模は65兆円)の増額を求めている。
短期的には世界の株式市場がそろって自律調整局面に入っている。日本の株式市場はこの動きに引きずられるだろう。なにしろ、日本株は外国要因に弱い。しかし、ファンダメンタルズの改善は著しい。深押しは考えにくい。日本企業のEPS成長率は2012年度が55.8%、2013年度が32.1%と予想されている。
すなわち、投資価値の向上は顕著である。全銘柄(単純平均)ベースのEPSは2011年度が11.1円、2012年度が17.5円、2013年度が23.1円と激増する見通しにある。従って、中・長期的には何ら不安なし、と判断する。
ここは突っ込み買いのタイミングを探る場面と考えている。すなわち、安いところを買えない人に明日はない。具体的には業容一変の夢が膨らむニッセンホールディングス(8248)、ホンダ向けの二輪車用電装品が好調な新電元工業(6844)などに注目できる。
このほか、低位株ではテーマ性内包のIHI(7013)、沖電気工業(6703)、東京ドーム(9681)、河合楽器製作所(7952)、ニチモウ(8091)などに妙味があろう。
2012.4.12 二輪車業界はなぜ、“世界最強”なのか?
既報のように、日本の民生用エレクトロニクス業界は韓国、台湾、中国勢に圧倒されている。カーナビシステムのアルパイン(6816)などは健闘しているが…。ともあれ、シャープの“身売り”は産業界に大きな衝撃を与えている。恐らく、このままでは同様のケースが続出するだろう。
なにしろ、日本企業は低迷する国内景気(過去18年間、GDPの伸び率はゼロ)、デフレの進行、当局の円高放置、電力不足(料金は韓国の2.5倍)、世界一高い法人実効税率、自由貿易協定(FTA)の遅れ、政治の迷走…など多くのハンディを負っている。
これは認めざるを得ないし、企業にはたまらないと思う。もちろん、民生用エレクトロニクス業界の場合は企業数の多さ(過当競争)、経営ミスもあろう。特に、新興国需要を取り込めていないのは問題である。
そうした状況下、圧倒的な国際協力を有している業界が存在する。すなわち、ホンダ、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業(日系4社と称する)の二輪車事業である。日系4社の世界シェアは46%に達している。国内需要が年間わずか40万台ちょっとなのに、世界市場(年間需要6,000万台)を制圧しているのは驚異的ではないか。
たとえば、ホンダ(7267)のシェアはタイが64.0%、インドネシアが52.6%、ベトナムが64.1%、ブラジルが78.8%である。もうこうなると、オートバイといえば『ホンダ』ではないか。これらの国々では日系4社のシェアが90%を超えている。
二輪車業界の“世界最強”を支えているのは徹底した現地化(ホンダはアフリカにおいて5万円のオートバイを生産、近隣の新興国に輸出)である。“地産地消”というか、消費地のニーズをくみ取り、現地で開発、生産している。テレビに代表される日本の民生用エレクトロニクス業界に足りなかったのはこの戦略だろう。
新電元工業(6844)はホンダ系の二輪車用電装品がメーンのパワーエレクトロニクスの総合メーカーである。電機セクターだが、売上高の4割強が自動車業界向け。ホンダが筆頭株主であり、発行株式数の12.9%を保有している。
業績は2013年3月期以降、急浮上に転じる見通しである。連結1株利益は2012年3月期こそ12円程度にとどまるが、2013年3月期はタイの洪水被害の克服、円高是正があって、39円前後になりそうである。
株価はPER8~9倍がらみの水準(340~350円)でもみ合っている。中期的にはPER15倍の600円がらみの水準が目標値になろう。計器類の日本精機(7287)、シートのティーエステック(7313)もホンダ系の部品メーカーである。やはり、業績は急浮上に転じる。
まあ、日産自動車(7201)がインドに投入する戦略車『ダットサン』は価格が何と、34万円である。その国の所得に見合った価格の製品を投入する、これが基本だろう。従来の先進国モデル通用しない。シャープの“身売り”はこのことを教えている。
2012.4.12 イタリア・モンティ政権の成果と民主主義?
古来、政治は経済を越える!といわれている。そう、最近の金融マーケットの混乱はすべて政治に起因する。『民主主義は最低の政治形態である』。故チャーチル氏(対独戦を勝利に導いた第2次世界大戦~戦後のイギリスの首相)が語っている。ただし、『共産主義を除く』という“ことわり”が付いているが…。
まあ、民主主義はややこしい。そのコストは余りにも高すぎる。欧州通貨不安(ソブリン・リスク)をキッカケに、イタリアでは首相以下、閣僚全員が非代議士(選挙で選ばれていない)のモンティ政権が発足、その3ヵ月間の成果はただ一言『目ざましい』に尽きる。職業政治家が過去20~30年、全くできなかったことを次々に実現している。
なぜか?答えは簡単である。内閣のすべての人達が次の選挙に出るつもりはない。すなわち、マスコミ、有権者の反応など気にする必要がない。イタリアの『未来』のために、どうするべきか、何をしなければいけないのか、堂々と正論を掲げ、それを次々に実践している。単純である。
調整、根回しはしない。与野党(いや、国会議員の全部が野党だが…)はもともと、党利党略に加え、選挙を意識するあまりの与党内“野党”(民主党内の小沢グループ?)などの存在があって、政策の遂行が困難になっていた。しかし、非民主的なモンティ政権は違う。
政治的な野心は皆無である。恐らく、現時点ではこの国を、国民を、暮らしを守りたい!それだけの思いだろう。もちろん、国民の支持もある。国民は既成政党に失望している。『ダメだッ』と。
この大きな潮流の変化に脅えたのは職業政治家だろう。有権者は『何も決められなかったあんな連中はいらない』と考え始めている。このままでは次の選挙は全滅の可能性だってあり得る。
そこで、非民主的な首相に“民主的”な議員の先生方が協力を、となったのだろうか。エッ?これって、やっぱり選挙を意識している?まあ、そうなる。日本だって、橋下氏の異常人気など似たような状況になりつつある。
いずれにせよ、民主主義は最良のシステムだが、ややこしいのが難点である。足元の為替市場では1ドル=80円台、1ユーロ=106円台に突入するなど、再び円高圧力が強まっている。ユーロ不安の背景には4~5月のギリシャの総選挙、フランスの大統領選挙の存在がある。
すなわち、マーケットはユーロ不安の再燃を危惧している。ギリシャは野党が躍進し、財政再建の“約束”はホゴにされる可能性がある。フランスでは国民受けを狙ったバラマキ政策が復活している。
特に、現職のサルコジ氏のライバル、オランド氏(社会党)は子供手当の25%増額、教職員の6万人増、年金支給年齢の“引き下げ”などの公約を主張、財政再建の“約束”はどうなったのか、といった状況である。
まあ、どこの国(国民)も痛みを嫌う。政治家は有権者の反応(顔色)をうかがうもの。結局、何も決められず、ギリシャのように、実質破たんに追い込まれるか、戦前のドイツ、日本のように、全体主義者の台頭を許すしかないのだろうか。
いずれにせよ、ユーロ不安についての“火種”は残っているが、ECBのLTROによる資金供給(1兆ユーロ)に加え、セーフティネットが構築されつつある。2010~2011年のようなユーロ崩壊⇒恐慌突入!といったような状況にはならない、と判断する。
日柄的には、4月22日のフランス大統領選挙の第1回投票、5月6日の上位2名による決選投票、4月27日の日銀政策決定会合、5月6日のギリシャの総選挙(300議席⇒1院制)あたりが底打ちのタイミングとなろう。
したがって、資金、および精神面での余裕のある投資家には押し目買いをお勧めしている。買い下がりが有効だろう。狙い目は引き続いて日本М&Aセンター(2127)、沖電気工業(6703)、IHI(7013)、河合楽器製作所(7952)、東京ドーム(9681)などにある。
2012.4.11 シャープは日産自動車になれるのか?
日本の民生用エレクトロニクス業界は生き残れるのだろうか。いや~ビックリである。まあ、もう古い話だが、このニュースは筆者も予想外だった。シャープ(6753)がEMS(電子機器の受託製造サービス)の世界最大手の台湾・ホンハイ精密工業(HH)の出資を受け入れる、と発表した。とりあえず、10%の株式を取得(G10の生産ラインを持つシャープ・ディスプレイにはHHのTerry GUO会長が46.5%出資する)、筆頭株主になる予定である。
再建に向けて1,300億円を調達する計画だが、“身売り”といえなくもない。しかし、再建は困難と思う。つい数年前、シャープの液晶事業は『世界最強』といわれたものだが、あっという間の凋落である。なぜ、こんな悲惨な状況になってしまったのだろうか。
日本の民生用エレクトロニクス業界は全滅に近い。昨年来、NECは中国・レノボとパソコン事業を統合、パナソニックが中国・ハイアールに傘下の三洋電機の白物家電事業を売却など、アジア勢の台頭のニュースが相次いでいる。
さらに、エルピーダメモリ(半導体大手)の経営破たんもあった。ソニーは韓国・サムスン電子との液晶パネル合弁事業を解消した。要するに、利用価値がなくなって捨てられたのだろう。
シャープだけではない。日本の民生用エレクトロニクス業界はみんな窮地に陥っている。欧米勢と貿易摩擦を引き起こした圧倒的な国際競争力はいまや、“遠い昔の物語”である。まあ、生き残りを賭けアジア勢と組むのはやむを得ない。リストラも断行する。ソニーは1万人、パナソニックは4万人、NECは5,000人の人員削減を行う。
なにしろ、パナソニック、シャープ、ソニーの2012年3月期の最終損失は3社合計では1兆8,000億円を超える見通しである。この際、経営手法をドラスチックに変える必要があるのではないか。
ちなみに、日産自動車は1998年10月2日に、290円の安値まで売り込まれ、『もう、これは危ない』といわれた。しかし、そこに登場したのが、仏・ルノーであり、カルロス・ゴーン社長である。
当時の日産自動車経営陣の“決断”は大成功だった。シャープの“決断”もぜひ、そうなって欲しいが…。しかし、専門家によると、『出資比率が中途半端であり、これでは技術だけを盗まれる結果となる』とし、『再建は難しい』と見ている。
実際、シャープは2012年3月期に1,700億円の繰り延べ税金資産の取り崩しを行う予定だが、通常の法人実効税率の引き下げに伴う分は200億円に過ぎない。残りは2013年3月期以降の赤字を想定したもの。
すなわち、2012年3月期の3,800億円の最終損失に続き、2013年3月期が900億円、2014年3月期が200億円の赤字が残る見通しである。HHはシャープ堺工場のパネル生産量の50%を買う(10月以降)。巨大な顧客の出現はポジティブだが、経営の裁量度は大きく低下する。
2012.4.11 ソニー再建の厳しさ&課題!
ソニー(6758)の2012年3月期の最終損失は5,200億円を超える。現状は極めて厳しい。そんな状況下、新社長(10代目)の平井一夫氏に期待する声が高まっている。彼は51歳という若さに加え、家族はアメリカに住んでいる。それがどうした?といわれても困るが…。まあ、根っからの“国際人”である。その英語力はネイティブ以上といわれている。
しかし、彼を選んだのは会長兼CEO(最高経営責任者)のハワード・ストリンガー氏である。会長の強力な“後押し”があった、という。それに、トップ交代は遅すぎた。ストリンガー会長は2~3年前に辞めるべきだった、と思う。
なにしろ、ソニーはこの4年間、ずっと赤字である。その金額(最終損失)は2009年3月期が989億円、2010年3月期が408億円、2011年3月期が2,560億円、2012年3月期が5,200億円と、ハンパではない。完全に経営ミスの“結果”ではないか。
何と、合計9,157億円である。実に、1兆円近い会社資産が失われた。もちろん、この最終的な責任は会長兼CEOに起因する。筆者はかねて、ストリンガー氏はカルロス・ゴーン氏とは力量が違う、と主張してきたが、こんな人物に、人を見る目があるのだろうか。
もちろん、筆者はソニー、パナソニック(6752)、シャープ(6753)の復活を願っている。株主の皆さんの多くがそうだろう。決して足を引っ張っているわけではない。ただ、復活に向けての課題が多すぎる。まず、1946年の会社設立以来、技術系の社長が3人しかいない、という事実を指摘しておきたい。一人は創業メンバーの井深大氏である。
“技術のソニー”といわれているのに、これは少なすぎないか。この事実はソニーの企業体質が極めて官僚的なことを示している。技術系社長は基本的に社内の根回しが不得手であり、調整に失敗する。
次に、取締役メンバー15人のうち、13人が社外取締役なのは問題ではないか。社外取締役は業務に精通していない。結果として会長、社長の独走を許してしまう。赤字だったにもかかわらず、会長兼CEOが“続投”できたのが何よりの証拠ではないか。誰も彼の首に鈴をつけることができなかった。社員の立場では“最終的”な出世が執行役員ではモチベーションが上がらないだろう。なお、2013年3月期は1,800億円の黒字を見込んでいるが…。
一方、全般相場は調整色を一段と強めている。その要因はNY市場の波乱、日銀の無為無策(円高を放置)、地政学上のリスク(北朝鮮、イラン情勢)、中国景気の減速懸念など、主に外部にある。しかし、それに加えて、前述の“悪役3人衆”の巨額赤字が嫌気されているのは確かであろう。
2012.4.6 当局は円高阻止、デフレ脱却に向け全力を!
株式市場は突然の“春の嵐”に見舞われている。ここ数週間、物色面では気迷い感があったし、盛り上がりに欠ける相場付きだった。すなわち、『一段高に進むには材料不足だし、積極的に買う銘柄がない』(営業マン)と。これはマーケットが“休養”を欲しがっていた証拠だろう。
とはいえ、ここから大きく崩れる相場ではない。ズルズルと下げることはないと思う。NYダウはすでに、4年3ヵ月ぶりの高値水準にあり、株価的にはサブプライムローン・ショック(2007年夏)、リーマン・ショック(2008年9月)を克服している。
だが、日経平均株価はリーマン・ショック前の高値(2008年6月6日の1万4,489円)どころか、2010年4月5日の高値1万1,339円、昨年2月21日の高値1万0,857円すら抜いていない。要するに、出遅れているということ。
この修正があろう。ただ、それ(反騰相場)を確実なものにするには日銀の支援が不可欠である。すなわち、ここ数年(2006年以降)、日本市場が世界市場に対し、アンダーパフォームになっていた最大の要因(円高進行、デフレ継続)を取り除くこと、これが絶対必要条件だろう。
日本では経済学者を中心に、デフレを容認してきた部分がある。しかし、デフレは価格下落⇒企業収益の圧迫⇒賃金・雇用の調整⇒家計所得の減少⇒さらなる価格の下落…という悪循環を招いてしまう。もちろん、物価の下落は通貨を強くする。
円高である。ここにきて、1ドル=82円台、1ユーロ=107円台と、再び円高圧力が強まっている。円高は物価を下落させる。企業は活動を縮小し、投資の減退とともに、リストラを断行、海外脱出を図る。つれて、国民は雇用機会を失う。景気は低迷し、社会は荒れる。ここ数年、そんな構図が続いているではないか。
古来、政治は経済を超える!という。改めて述べるまでもなく、資本主義体制では企業活動が国の経済活動の根幹を成している。企業に利益を与え、国内での投資拡大、雇用増加、株高という好循環こそが国民を幸せにする。この単純なことが政府、日銀には分かっていない。逆に、円高、デフレを放置し、国内製造業を海外に追いやっている。
特に、日銀の罪は大きい。なにしろ、サブプライムローン・ショックの2007年を100とすると、FRBが329、ECBが243と、資産残高を膨張させたのに対し、日銀は127にとどめている。中央銀行の健全性の高さは通貨高につながる。
デフレ脱却のためには100兆円の資金が必要だといわれるが、ここは思い切ってやるべきではないか。ECBはLTRO(Long term refinancing operation)によって、1兆ユーロ(約109兆円)の資金を供給、ソブリン・リスクを封圧した。日銀のインテリ連中はFRB、ECBの姿勢を少しは見習ったらどうか。
ともあれ、当面は材料株が主役だろう。引き続いてニッセンHD(8248)、新電元工業(6844)を始め、マツダ(7261)、河合楽器製作所(7952)、東京ドーム(9681)、沖電気工業(6703)、IHI(7013)などに注目している。
沖電気工業は、中国のATM市場シェアを日立オムロンターミナルソリューションと2分している。現在、中国ではATMの導入ラッシュである。日本のATM稼働台数は16万台だが、中国には潜在要素が160万台ある、といわれている。
つれて、業績は急浮上に転じる見通しである。連結1株利益は2013年3月期が14円、2014年3月期が16円の予想となっている。株価は水準を大きく切り上げているものの、まだ120円前後にあり、上ブレの余地が大きいと判断する。
2012.4.5 “春の嵐”をどうしのぐべきか?
4月(春)相場は波乱の幕開けとなっている。3月29日付、3月30日付の当コラムが『目先の相場の強さに惑わされるな!』『“2日新甫”は荒れるというジンクスがある!』と報じた通りの展開ではないか。
しかし、このままズルズルと崩れる相場ではない。再三指摘しているように、日本経済は東日本大震災、タイの洪水、超円高などのアクシデントを克服、企業活動は設備投資、雇用の増加など活発化している。
2013年3月期は25~30%の経常増益が見込まれている。さらに、EPS(1株利益)は法人実効税率の引き下げに伴う繰り延べ税金資産の取り崩し(2012年3月期に3兆円)、シャープ、パナソニック、ソニーの巨額損失(1兆4,000億円強)が消えるため、もっと増えるだろう。
もちろん、足元の株式市場はスペイン国債の入札不調、中国景気の減速リスク、アメリカのさらなる金融緩和期待の後退などを嫌気している。そこに、外国人の売り仕掛けがあって、下ブレ圧力が一段と強まっている。
だが、繰り返しになるが、リーマン・ショック前の水準を上回っているNYダウに、いまだにリーマン・ショック前の高値(2008年6月6日の1万4,489円)どころか、昨年高値(2月21日の1万0,857円)すら抜いていない日経平均株価が付き合う必要はない、と思う。
NYダウが上昇するときには追随せず、下落するときは一緒ではあまりにも理不尽ではないか。もちろん、日本の株式市場は委託売買代金シェアの6~7割を外国人が占めており、海外情勢に振り回されるのはやむを得ないが…。
ただ、アメリカ金利の上昇に脅えることはない。日本の株式市場は2006年以降、世界の株式市場に対し、アンダーパフォームの状態になっている。すなわち、サブプライムローン・ショック、リーマン・ショックに対応したFRBの猛烈な金融緩和、利下げ局面である。
反面、2003年4月28日(日経平均株価は7,607円の安値)~2006年4月7日(同1万7,563円の高値)の急騰劇(2.3倍)はFRBの金融引き締め、利上げ局面において示現している。
要するに、日本の株式市場にはアメリカ金利の上昇⇒円安⇒株高、アメリカ金利の低下⇒円高⇒株安という明確なパターンがある。すなわち、“春の嵐”を恐れるな!ということ。この押し目は月並みな表現だが、絶好の買い場となろう。
具体的には業容一変の夢が膨らむニッセンホールディングス(8248)、ホンダ向けの二輪車用電装品が伸びている新電元工業(6844)、中国でのATM設置ブームのメリットを享受している沖電気工業(6703)などに注目できる。
2012.4.5 中国は習主席、李首相体制に?
この反騰相場の“死角”(短期的な悪材料)は中東情勢(原油価格の高騰)、円高再燃(サイクル的な要因に加え、日銀の迷走⇒実質的な金融引き締め)、中国景気の減速、および権力闘争、4~5月のギリシャの総選挙、フランスの大統領選挙(4月22日に1回目の投票、5月6日に上位2人による決選投票)などにあろう。
3月23日付の当コラムが既報のように、中国リスクは共産党内部での権力闘争(太子堂と中国共産主義青年団との争い)にある。確かに、第11期全国人民代表大会では実質GDP成長率の目標値をこれまでの8.0%⇒7.5%に引き下げた。マーケットはこれを嫌気している。さらに、オーストラリアの貿易収支の悪化(中国向け資源輸出の減少)が悪材料にされている。
ここ数年、2008年が9.6%、2009年が9.2%、2010年10.3%、2011年が9.2%と、高成長が続いていただけに、7.5%成長は『急減速』と受け止められた。ただ、一気に7%台の成長率に落ちるとの見方は少ない。8~9%の成長は十分に維持できるだろう。
実際、新興6ヵ国(ブラジル、インド、中国、ロシア、インドネシア、南アフリカ)の景気先行指数は底入れ⇒浮上の動きを鮮明にしている。欧州情勢も落ち着いてきた。今後、世界経済の回復をリードするのは中国を始め、インドネシアなどの新興国である。従って、新興国向け売上高比率の高い企業は引き続いて要注目であり、押し目買い作戦が有効と判断する。
さて、中国では9月に5年に1度の中国共産党大会(第18回中国共産党全国代表大会)が開催される。10年ぶりに政権交代が予定されているが、こちらは習近平(シージンピン)氏が胡錦涛(フージンタオ)国家主席のあとを継ぐとみるのが“常識”である。
2013年3月の全国人民代表大会において、国家主席に就任する予定となっている。温家宝(ウェンジャーパオ)首相も勇退する。問題は首相人事にあろう。温首相の後継者は誰なのか、こちらはまだ決まっていない。それどころか、太子党の薄熙来・重慶市党委員会書記の失脚など、抗争劇が一段と激化している。
首相人事次第では中国の経済政策が大きく変動する可能性があり、注目が怠れない。実は、習氏は上海閥である。江沢民(ジャンスーミン)前国家主席の“直弟子”といわれている。もちろん、太子党(習氏の父は副首相だった習仲勲氏)であり、同グループの支援を受けている。
習氏はすでに、副主席である。ナンバー2の地位をしっかり固めている。これは序列的に、次期首席『確定』といえる。しかし、現職2氏が推していたのは胡主席の同郷であり、同じ中国共産主義青年団出身の李克強(リークァチャン)第1副首相だった、といわれている。しかし、上海閥の習氏に敗れた。恐らく、すさまじい権力闘争があったのだろう。そこで、『首相に』となったようだが、ここにライバルとして登場したのが王岐山(ワンチーシャン)副首相である。
彼は江氏のほか、失鎔基(ジェーロンジー)前首相の流れを受けている。根っからの成長論者といわれている。ただ、王首相誕生となると、現職2氏の立場はない。一方、李氏は格差是正を訴え、住宅バブルの封じ込めを狙うなど、両氏の考えには大きな違いがある。それに、ここにきて李氏が急浮上、『首相確定』との声が高まっている。
ともあれ、首相人事次第では中国情勢が激変する、と主張している。今回、太子党は薄氏を守ろうとしなかった。さらに、香港の行政長官には梁振英氏が選ばれた。太子党系の唐英年氏は敗れたが、これには温首相の意向(政治工作?)があったといわれている。“青年団”グループの猛烈な巻き返しである。新しいGDP成長率の目標7.5%の背景も含め、中国の政権交代には細心の注意が必要ではないか。
2012.4.4 杉村富生のカセット・マガジン4月号
いつまでもあると思うな親と円高&デフレ!すなわち、インフレ、超円安、大増税時代の投資戦術!を徹底分析する。
筆者は昨年秋以降、①外国人が投げ捨てていった“川底の金貨”を拾おうではないか、②普通預金を引き出し、メガバンク株に投資を…という2大キャンペーンを独自に展開してきた。これは結果的に大成功を収めつつある。
次は『株式の時代』をテーマに、いつまでもあると思うな親と円高&デフレ!インフレ、超円安、大増税時代の投資戦術!と題するキャンペーンを、講演会などを軸に行いたいと考えている。その第1弾がカセット・マガジン4月号(4月18日発売)となる。
●目次
①&tab;なぜ、インフレ時代の到来と予測するのか?
②&tab;円高の長期トレンドは完全に終えん!
③&tab;国家は時に、国民の生命と財産を収奪する!
④&tab;肝要なのは自分の資産は自分で守る、との強い決意!
⑤&tab;終戦直後の財産税微収、新円切り換え、預金封鎖、ハイパーインフレを思い返せ!
⑥&tab;債券よさようなら、株式よこんにちは!
⑦&tab;4~5月相場の主役は中・低位株!
⑧&tab;日経平均株価は6~7月に1万1,700円を指向!
⑨&tab;反騰相場にリスクはないのか?
⑩&tab;ネクソン、Jトラストに続く出世株を探せ!
●問い合せ先
日経ラジオ事業局 03-3583-8151
定価 7,000円(定期購読の場合、6ヵ月3万6,000円)
2012.4.4 恐れる必要はないぞ、米国金利の上昇!
アメリカのFOMC(公開市場委員会)の議事録が公表されたが、QE3(金融緩和第3弾)はとりあえず、なさそうだし、2014年末までの異例の低金利継続については、あいまいな姿勢に変化するなど、超金融緩和方針が微妙に変わりつつある状況が読み取れる。
ただ、QE3は住宅ローン担保証券の買い取りを6~7月ごろに行う可能性が残っている、と筆者は考えている。確かに、経済指標は明るいデータが揃っている。しかし、オバマ大統領の再選態勢は万全ではない。前回、不祥事続出のマケイン候補(共和党)だって、接戦だった。ロムニー候補だと、もっと僅差の闘いになるだろう。
一方、金利の上昇については全く懸念の必要はない。そもそも、再三指摘しているように、日本の株式市場はアメリカ金利と“逆相関”の関係を指摘できる。すなわち、アメリカの金利上昇⇒円安⇒日本の株高、アメリカの金利低下⇒円高⇒日本の株安のパターンである。
2003年4月~現在までの株価の動きを①2003~2005年、②2006~2008年、③2009年以降…に分けて考えてみると、理解しやすい。ポイントは①の局面であろう。
ここでは日経平均株価が4月28日の7,607円を安値に、2005年末には2倍強の水準まで暴騰した。もちろん、日本の金融危機克服(りそなHDに対する公的資金の注入)が大きな支援材料だったが、それに加えて世界景気の回復、アメリカの利上げ、円安があった。そう、①はアメリカの利上げ(金融引き締め)期間である。
②、③については説明の必要がなかろう。②は利上げ休止期間であり、日経平均株価は2007年7月9日の1万8,261円を高値に、波乱商状に陥る。そして、③は猛烈な利下げ局面である。日経平均株価は暴落する。
もちろん、外部環境も急激に悪化した。サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック、欧州財政リスク、ユーロ不安に加え、日本固有の悪材料では東日本大震災、福島原発事故、タイの洪水、電力危機、超円高などもあった。しかし、金利の下げ止まり⇒上昇は外部要因の好転を意味している。すなわち、アメリカの金利上昇は好材料となる。
一方、足元の株式市場は気迷い感を強めている。やはり、円安一服商状が最大の懸念材料だろう。それと、中国の権力闘争、フランス、ギリシャの選挙が気になる。このため、当面はこれらの気掛かり材料の払しょく待ちの展開となろう。
Jトラスト(8508)がどうにも止まらない。4日には一時、1,998円の高値があった。うまく安値を拾えた人は、『ま~あ、春から縁起がいいわい』。とはいえ、ここは急騰しているだけに、手持ちの玉の半分は売っておくべきではないか。
2012.3.30 “2日新甫”は荒れるというジンクス!
春本番である。桜満開となるのであろうか。4月(新営業年度入り)相場は“2日新甫”のスタートとなる。“2日新甫”は荒れる!とのジンクスを信じるわけではないが、3割近い急騰劇を演じたあとだけに、『出足は慎重に』(とりあえず、利食い優先)の姿勢が必要ではないか。
もちろん、目先は調整(値固め)が欲しい局面である。しかし、中・長期的には何らの不安もない。日経平均株価は6~7月に1万1,700円、年末には1万3,070円がらみの高値を示現する、と主張している。
ただ、リスクは存在する。具体的には円高の揺り戻し、中国の景気減速、そして政治の迷走である。とはいえ、為替については2014年までの円安トレンドが生きている。ここでの円高(1ドル=80円前後)は小さな“アヤ”だろう。
中国に関してはこれまでの8.0%成長目標を7.5%に引き下げたために、急減速と受け止められた。しかし、これは違う。引き続いて8~9%の成長は可能だし、そうしなければ国の安定はない。すなわち、社会不安が高まる。むしろ、太子党と中国共産主義青年団との政治抗争が懸念される。
日本の政治はもともとネガティブである。誰も政治には期待していない。デタラメぶりはいまに始まったことではない。恐らく、6~7月(6月21日が通常国会の会期末⇒1ヵ月程度の会期延長あり)には野田政権が行き詰るだろう。つれて、夏場には突発的な解散⇒総選挙があろう。
民主党の議席は激減する(291議席⇒120議席程度に)。常識的に、半分以下になるだろう。とはいえ、自民党も伸びない。小沢新党はせいぜい20議席にとどまるだろう。躍進するのは維新の会、みんなの党などの第3勢力か。
いずれにせよ、連立を組まざるを得ない。ただ、民主党時代よりも良くなるのは確かだろう。民主党は分裂する。ともあれ、次期連立政権は自民党を中心に、少数政党の寄り合い所帯となろう。
消費税の引き上げ、TPP(環太平洋経済的パートナーシップ協定)参加などの重要案件はすべて先送りとなる。当然だが、財政再建は遅れ、ヘッジファンドの『日本売り』(結果的に、超円安?)が起きる可能性がある。
しかし、外資(外国人の日本国債保有比率は8.5%)の日本国債売り仕掛けに対しては、日銀が買い向かうだろう。日銀は年間41兆円(資産買い入れ基金19兆円、日銀券ルールの買い入れ枠22兆円)の買い余力を有する。
一方、4月相場の主役は材料株!と主張している。全般は高値波乱だろう。具体的には新電元工業(6844)、ニッセンHD(8248)、Jトラスト(8508)、ネクソン(3659)など『買いづらい銘柄』に注目できる。
Jトラストは超ハイ・リスクである。ニプロ(商工ローンの日栄)、武富士(消費者金融)、楽天のカード事業、ネクストジャパンHD(複合レジャー施設運営)など次々に買収、業容を急拡大させている。怖い銘柄だが、変身の“夢”はある。
同様に、ニッセンHDはコーヒー大手のUCCと資本・業務提携、UCCの子会社のシャディ(ギフト販売⇒年商940億円)を買収する。やはり、業容一変の“夢”を秘めている。
このほか、IHI(7013)はターボチャージャーの大増産(いまや、燃費の改善の主流はエンジン改良)、野村総合研究所(4307)はサイバー攻撃対策システムの子会社(NRIセキュアテクノロジー)が脚光を浴びている。ともに、ロングランに狙える。
2012.3.29 目先の相場の“強さ”に惑わされるな!
表面的には、意外にしぶとい相場である。3月期決算企業の配当落ち日の3月28日の日経平均株価は72円安の1万0,182円だった。配当落ち分(約88円)を即日、埋めたことになる(実質16円高)。このため、マーケットでは『相場は強いッ』と、先高期待が一段と高まっている。
しかし、高配当銘柄はそれなりに、しっかり下がっている。たとえば、みずほフィナンシャルグループ(8411)は5円安の140円、NTTドコモ(9437)は3,900円安の13万8,100円、三井物産(8031)は30円安の1,400円、三菱商事(8058)は28円安の1,987円、武田薬品工業(4502)は130円安の3,635円といった具合である。
個別銘柄と日経平均株価の値動きには違和感がある。小物では、国際計測器(7722)など、配当分以上にキチンと値下がりしている(27円安の721円)。なぜ、こんな“不思議な”現象が出現するのだろうか。
その答えは先物主導の相場展開にある、と思う。数年前まではほとんど話題にならなかったが、機関投資家が売買するパッシブ運用ファンド『配当込み型TOPIX』の存在がマーケットのかく乱要因になっている。
これは配当落ちがないだけに、指数との連続性を保つためにはその分(先物)を月内に買い付ける必要がある。その金額が今回は2,000億円に達する、という。
この結果、3月30日の株価は期末のドレッシングに加え、実需(先物)の買いがあって、カサ上げされることになる。しかし、4月2日の新営業年度入りには逆に、下ブレ圧力がかかることになろう。
だからこそ、4月相場のスタートはスローに!と警告している。一気に駆け出してはすっ転んでしまう。あわてることはない。反騰相場は始まったばかりである。そう、相場は明日もある!ここは冷静な対応が求められる。
4月相場は材料株が主役だろう。もちろん、為替次第の面はある。仮に、1ドル=85~86円に突入するようだと、状況は一変する。しかし、現状ではそれは考えにくい。少なくとも4月は83~84円がらみの水準が円安の限界と考えている。
とすれば、王道銘柄を攻めるのは無理である。やはり、材料株で幕あいを継ぐ作戦が有効だろう。具体的には引き続いてネクソン(3659)、Jトラスト(8508)、ライフネット生命保険(7157)、ニッセンホールディングス(8248)などに注目できる。
まあ、これらの銘柄は業容一変の“変身企業”であり、為替、外国人、先物の影響を受けづらいのが魅力だろう。それに、個人投資家が好む銘柄群である。筆者はその“うさん臭さ”を評価している。
2012.3.28 リスクをいとわぬ人にJトラスト、ニッセンHD!
4月相場の主役は材料株!と主張している。株式投資には『夢とロマン』が必要である。ガチガチに固い、まともな銘柄よりもうさん臭い銘柄のほうが面白い。もちろん、これはあくまでも足元での幕あい継ぎ(この局面に限定)であり、それなりにリスクを伴う。
しかし、釣りをするのに、きれいな水で底が見えている川より、濁った川が楽しめる。なにしろ、濁っていれば何がいるか、全く分からない。ウナギかナマズか、はたまた鯉か。そこには『夢とロマン』がある。
だが、当局の考えは違う。きれいな水を求める。それと、国民性なのだろうか。日本人は極端にリスクを嫌う(趣味は預・貯金?)くせに、運用とか、お金の管理に関しては無知すぎる。
AIJ投資顧問による『年金消失事件』は論外だが、相変わらずIPO詐欺、オレオレ詐欺、社債詐欺などのニュースが絶えない。最近はハワイの別荘地トラブルが問題になっている。『300坪、900万円』は安い、と多くの人が購入した、という。しかし、現地の地価(この別荘地周辺)は坪単価5,000円程度、といわれている。
いやはや、法外な高値で買わされたことになる。加えて、販売した不動産会社が倒産、実際は土地の売買がなかった(購入代金は社長が持ち逃げ?)らしい。まあ、OX詐欺は引っ掛かった人には気の毒だが、本人にも1~2割の責任がある、と思う。そもそも、この種のトラブルは常識的におかしな話なのである。
やはり、何事も『信用が第一』ではないか。特に、証券投資、不動産売買など大きなお金が絡む案件においては“相手”を選ぶこと。自衛手段はそれしかないだろう。
再三指摘しているように、投資の3性(パートⅠ~Ⅲ)は信頼性、透明性、換金性が大切だと教えている。さらに、資金の性格、商品の性格、自分の性格によって、投資対象が変化する。
もちろん、知性、理性、感性は必要である。これを総合し、投資の3性と称している。いわゆる、筆者の唱える最低限の投資哲学・ノウハウの基本編である。
いずれにせよ、若いうちはいくらでもリスクを取れる。多少の損は取り戻すことが可能である。ネクソン(3659)、Jトラスト(8508)、ライフネット生命保険(7157)などはそうした人に最適だろう。要するに、ハイ・リスク、ハイ・リターンの銘柄である。長期、短期のいずれのスタンスでも狙える。
ちなみに、Jトラストはドラスチックに変貌中である。ロプロ(旧日栄)、武富士など商工ローン、消費者金融事業を買収、ネクストジャパンを完全子会社とする。楽天のカード会社も買収した。猛スピードのМ&A戦略である。
なにしろ、2009年3月期の売上高は、わずか49億円だったが、2013年3月期には300億円を超えるだろう。事情通によると、連結1株利益は400~500円になる、といわれている。
もちろん、業容の拡大には資金手当てを始め、幹部社員の育成(管理体制の強化)などが急務であり、大きなリスクが存在する。だからこそ、ハイ・リスクなのである。まあ、目先の株価の乱高下に一喜一憂するような人には絶対にお勧めできないが…。
ニッセンホールディングス(8248)はカタログ通販の大手である。経営改革が功を奏し、業績が急浮上に転じている。さらに、UCCと資本・業務提携、年商940億円のシャディを完全子会社とする。2013年3月期にはこれがフルに上乗せされる。
2012.3.23 中国の次期首相が最大の焦点に!
国際情勢では4~5月のフランスの大統領選挙とともに、中国がポイントだろう。9月には5年に1度の中国共産党大会(第18回中国共産党全国代表大会)が開催される。10年ぶりに政権交代が予定されているが、こちらは習近平(シージンピン)氏が胡錦涛(フージンタオ)国家主席のあとを継ぐとみるのが“常識”である。
2013年3月の全国人民代表大会において国家主席に就任する予定となっている。温家宝(ウェンジャーパオ)首相も勇退する。問題は首相人事である。温首相の後継者は誰なのだろうか。こちらはまだ決まっていない。それどころか、太子党の薄熙来・重慶市党委員会書記の失脚など、抗争劇が一段と激化している。
首相人事次第では中国の経済政策が大きく変動する可能性があり、注目が怠れない。実は、習氏は上海閥である。江沢民(ジャンスーミン)前国家主席の“直弟子”といわれている。もちろん、太子党(習氏の父は副首相だった習仲勲氏)である。
次期政権の組閣には表舞台からは消えて久しいものの、江氏の影響力が色濃く漂っている、といわれている。いわゆる、長老である。では、現職の胡主席、温首相の意向はどうなっているのだろうか。
習氏はすでに、副主席である。ナンバー2の地位をしっかり固めている。これは序列的に、次期首席『確定』といえる。しかし、現職2氏が推していたのは胡主席の同郷であり、同じ中国共産主義青年団出身の李克強(リークァチャン)第1副首相だった、といわれている。
しかし、上海閥の習氏に敗れた。恐らく、すさまじい権力闘争があったのだろう。そこで、『首相に』となったようだが、ここにライバルとして登場したのが王岐山(ワンチャーシャン)副首相である。
彼は江氏のほか、失鎔基(ジェーロンジー)前首相の流れを受けている。根っからの成長論者である。ただ、王首相誕生となると、現職2氏の立場はない。一方、李氏は格差是正を訴え、住宅バブルの封じ込めを狙うなど、両氏の考えには大きな違いがある。
だからこそ、首相人事次第では中国情勢が激変する、と主張している。今回、太子党は薄氏を守ろうとしなかった。新しいGDP成長率の目標7.5%の背景も含め、中国の政権交代には細心の注意が必要となろう。
鉄建(1815)は3月8日に144円の高値をつけたあと、調整している。しかし、ここは押し目買いのチャンスだろう。筆頭株主はJR東日本である。JR東日本は2009年度以降、5年間に総額7,500億円を投じる『安全投資』(中心は耐震補強と復旧工事)を行うビッグプロジェクトを推進している。同社はこのメリットを享受できる。
阪神淡路大震災関連の『安全投資』(2008年度に完了)が1,600億円だったことを考えると、この金額は極めて巨額である。さらに、JR東日本は首都直下型の地震(震度7を想定)に備え、962億円の追加投資を実施する。
2012.3.23 短期的には円高、中国リスクが存在する?
この反騰相場に“死角”(短期的な悪材料)があるとすれば、それは円高(目先、サイクル的に、3月下旬~4月初旬には一時的な円高に振れる可能性が濃厚)、そして、中国リスクだろう。
為替については現在、1ドル=82円台、1ユーロ=108~109円がらみの水準にある。しかし、かつてのような超円高はあり得ない。それに、トレンド(中・長期)的には2014年までの円安シナリオが生きている。
3月のEU、中国の製造業指数が悪かったのは欧州通貨・財政危機の“後遺症”だろう。なにしろ、中国の最大の貿易相手国・地域はEUである。それがつい数ヵ月前までユーロ崩壊⇒恐慌突入か、といわれていた。影響がない方がおかしい。だが、これは徐々に回復に向かう、と思う。
本当の中国リスクは共産党内部での権力闘争(太子党と中国共産主義青年団との争い)にある。確かに、第11期全国人民代表大会では実質GDP成長率の目標値を8.0%⇒7.5%に引き下げた。マーケットはこれを嫌気している。
ここ数年、2008年が9.6%、2009年が9.2%、2010年が10.3%、2011年が9.2%と、高成長が続いていただけに、『急減速』と受け止められた。ただ、一気に7%台の成長率に落ちるとの見方は少ない。8~9%の成長は十分に維持できるだろう。
実際、新興6ヵ国(ブラジル、インド、中国、ロシア、インドネシア、南アフリカ)の景気先行指数は底入れ⇒浮上の動きを鮮明にしている。今後、世界経済の回復をリードするのは中国をはじめ、インドネシアなどの新興国だろう。したがって、新興国向け売上高比率の高い企業は引き続いて要注目であり、押し目買い作戦が有効と判断する。
具体的にはコマツ(6301)、ファナック(6954)、ダイキン工業(6367)、いすゞ自動車(7202)、日本精工(6471)、古河電気工業(5801)、三菱マテリアル(5711)、双日(2768)、ホンダ(7267)など。
新電元工業(6844)はじっくり狙える。売上高の43%が自動車向け(主力ユーザーはホンダ)である。もちろん、筆頭株主はホンダとなっている。この事実は意外に知られていない。業績は2013年3月期以降、急浮上に転じる。
2012.3.22 短期的な視点と長期的な視点を分けよ!
相場分析には短期的な視点と長期的な視点が必要である。足元の相場は日経平均株価が1万円をはさんだもみ合い、調整(値固め)だろう。しかし、中・長期的には何ら不安はない。ファンダメンタルズ、需給・市場センチメントは急改善を示している。従って、この一服場面は絶好の押し目買いチャンスとなろう。
さて、日経平均株価の2003年4月以降の動きを振り返ってみよう。これは中・長期的な視点である。ときには遠くを見よ!との教えがあるじゃないか。スタート時の安値は2003年4月28日の7,607円である。高値は2007年7月9日の1万8,261円となっている。その後、2009年3月10日に7,054円の安値、2010年4月5日には1万1,339円の高値、そして、2011年11月25日に8,135円の安値をつけている。
2009年3月10日~2010年4月5日の上昇率は60.7%を記録している。テクニカルアナリストの間では今回、その再現を期待する向きがある。8,135円比の60.7%の上昇率だと、1万3,073円になる。
ただ、今年前半の高値は1万1,700円前後にとどまりそうである(筆者の予想)。1万3,073円の高値があるとすれば年後半だろう。しかし、そうなると、専門家の人達の9割が予想する『2012年相場は前半高の後半安』の前提が崩れてしまう。これは1割の確率の相場シナリオが出現するということだろうか。
実は、筆者はこの相場シナリオが2~3割の確率である、と考えている。もちろん、そのためにはいくつかの条件(欧州情勢⇒ユーロ不安の鎮静化、世界景気の拡大、原油価格の落ち着き、新興国経済の浮上など)が必要である。
絶対的なものは前述の要件のほか、アメリカ金利の上昇だろう。金利の上昇?これは最大の悪材料ではないのか、といわれそうである。常識的にはそうだろう。しかし、これは違う。
ちなみに、2003年4月~現在までの相場は①2003~2005年②2006~2008年③2009年以降…に区分できる。①は、猛反騰相場が展開された局面である。日経平均株価は一気に2倍強になっている。ここはアメリカの利上げを行った金融引き締め期間である。
次に、②は利上げ打ち止め、金融引き締め休止期間である。日経平均株価は2006年4月7日に1万7,563円の高値を付けたあと、高値波乱に陥っている。前述したように、2007年7月9日には1万8,261円の高値を示現したが、この高値~高値比の上昇率はわずか3.9%に過ぎない。ちなみに、メガバンクの株価は2006年4月を高値(三菱UFJFGの高値は1,995円、みずほフィナンシャルグループの高値は1,030円)に急落している。
③は改めて述べるまでもなかろう。サブプライムローン・ショック、リーマン・ショックに対応した利下げ、超金融緩和(FRBがQE1、QE2を断行)期間である。日本の株式市場はどうなったのか。確認するまでもないだろう。
仮に、①のシナリオが再現された場合、メガバンクの株価はとんでもないことになるだろう。ちなみに、みずほフィナンシャルグループ(8411)は2003年4月~2006年4月に、何と株価18倍の暴騰劇を演じている。
もちろん、状況的には円安であり、アメリカ景気の拡大が見込める。つれて、ハイテク系の国際優良株が大フィーバーとなろう。フォスター電機(6794)は情報機器(スマートフォンなど)、自動車向けの音響機器を生産する専業メーカーである。2012年3月期は大幅減益(連結1株利益43円)を余儀なくされるが、2013年3月期は急浮上(同150円)に転じる見通しである。
日本カーボン(5302)、ニチモウ(8091)はじっくり狙える。中・長期的には2012年3月期に巨額の赤字を計上するが、パナソニック(6752)、ソニー(6758)の出直りが期待できる。
2012.3.21 ユーロ高・円安メリット企業に妙味あり!
とにかく、相場は天の邪鬼である。休みが欲しい時に休むことはない。これでは困るのだが…。しかし、思い通りにはならない。現状は完全に、押し目待ちに押し目なし!の展開となっている。日経平均株価はついに、大きなフシ目の1万円の大台を突破した。昨年11月25日のザラバ安値(8,135円)比の上昇率は25.0%となり、NYダウの上昇率(24.3%)を上回っている。
いまや、東京市場は“負け組”を返上、『世界最強のマーケット』である。2006年以降、ずっと世界市場をアンダーパフォーム(パフォーマンスが悪いこと)してきたのに。その出遅れ修正が始まったのだろう。
そう、日本の株式市場の逆襲といえる。ここ数年、日本の株式市場が不振だったのは超円高の進行、東日本大震災、福島原発事故、電力危機、タイの洪水、景気低迷、企業業績の下ブレなど日本固有の悪材料があった。需給悪も指摘できる。しかし、現在はその多くが克服、ないしは是正されつつある。
特に、円高⇒円安(1ドル=84円台に突入)、外国人の買い越し転換(需給面の最大のポイント)、市場センチメントの改善が大きい。長期トレンド的には外部環境が酷似している2003年4月~2007年7月(日経平均株価は2.4倍の急騰劇を演じる)のような壮大な反騰相場が展開されるのだろうか。
日経平均株価の上値メドについては短期的に、東日本大震災直前の高値(2011年2月21日)1万0,857円、中・長期的には2010年4月5日の高値1万1,339円、リーマン・ショック直前の高値(2008年6月6日の高値1万4,489円)などが目安になろう。
このほか、上値には為替とTOPIXの10倍プラス・マイナス10%理論(1万0,810円)、2008年以降の平均PBR1.20倍(1万0,860円)、NS倍率と為替をベースとする回帰分析(1万1,150円)などのフシ目(理論値)がある。
ちなみに、30年移動平均線は1万6,211円の水準にあり、中期的にはこの水準が目標値になろう。もちろん、足元の相場は上昇ピッチが速すぎる。そう、ややスピード違反気味となっている。従って、目先は調整(値固め)が必要ではないか。
しかし、深押しは考えにくい。再三指摘しているように、反騰相場は始まったばかりである。とりあえず、悪材料が見当たらない。とはいえ、円・ドル相場(4月には日柄的に円高に振れる可能性が濃厚)の行方には注意を要する。
一方、物色面では日本カーボン(5302)、愛知製鋼(5482)、マルハニチロホールディングス(1334)、ニチモウ(8091)など、出遅れ銘柄にマトを絞る作戦が有効と思う。
更に、丸紅(8002)、伊藤忠商事(8001)はじっくり狙っていきたい銘柄である。チャート的には利食いを入れたくなる局面だが、ここは我慢するのが肝心だろう。上値はまだまだ大きい。いまだに多くの主軸銘柄に、買いシグナルが点灯中である。
ユーロは一段高である。1ユーロ=110円台に乗せてきた。これはEU経済の底割れ回避を示している。このメリットを受けるのはダイキン工業(6367)、NTN(6372)、ジェイテクト(6473)、パナソニック(6752)、ソニー(6758)、ホンダ(7267)など。
NY市場ではアップルの復配が話題になっている。日本でも3月期決算期を控え、高配当銘柄が注目されるだろう。国際計測器(7722)は2012年3月期に年40~45円の配当を実施する。
2012.3.16 為替(円相場)次第の株式市場!
相場?『それは為替に聞いてくれ』。そんな状況である。完全に、為替(円・ドル・ユーロ)次第の相場展開となっている。3月15日、日経平均株価は1万0,158円の瞬間(ザラバ)高値を付けた。昨年11月25日の安値(8,135円)比の上昇率は24.9%となる。円が1ドル=84円台の円安水準に突入したことが大きい。最近は円安⇒株高、円高⇒株安のパターンが一段と鮮明になっている。
為替が最大のポイントである。ただ、『為替はアナリストの墓場』といわれている。予測が難しい。しかし、避けるわけにはいかない。すでに、ドルは90週移動平均線のレベル(1ドル=80円97銭)を突破してきた。次のチャート上のフシ目は2009年11月27日の1ドル=84円82銭、2010年12月16日の84円38銭、2011年4月6日の85円53銭などになる。要するに、84~85円のゾーンである。
アメリカ景気は経済指標の好転が示しているように、着実に回復している。QE3(金融緩和第3弾)、新型QEの実施は見送られた。このため、これ以上の金利低下がなくなった。日米金利差は拡大し、足元のドルは強含みの動きとなろう。3~4月に85円台の円安局面が十分にあり得る。
仮に、そうなった場合、日経平均株価は一段高となる。ちなみに、相関係数が1.00のTOPIX=為替(円・ドル)×10倍⇒プラス・マイナス10%理論によると、TOPIXの短期的な上値のメドは850ポイントを中心値とし、上限が953ポイント、下限が765ポイントと計算できる。
これを日経平均株価に直すにはNT倍率(11.7倍)を使う。すなわち、850ポイント×11.7=9,945円を中心値とし、上値が1万0,940円、下値が8,950円のゾーンである。この局面では下値のメドについて、あまり考える必要はない。上値のメドを重視するべきだろう。
もちろん、円高に振れた場合、上値の水準はぐっと切り下がる。逆に、円高⇒株安の展開になろう。それに、最近の外国人は超高速のハイフリクエンシートレーディングを多用しているが、瞬間値の為替と連動させている(自動応答システム)、といわれている。
したがって、円高のケースでは自動的に売りが執行される。つれて、株価急落⇒裁定解消売りを誘うことになる。これには細心の注意が求められる。いずれにせよ、日本の株式市場は為替次第の相場展開である。
その為替の見通しだが、トレンド的には円安(2014年までの円安サイクルに入る)である。短期的に、85円前後があろう。ただ、テクニカル(短期サイクル)的には4月に振り戻し(円高)があろう。前述したように、この局面では高値波乱に陥る可能性がある。
したがって、4月2日(今年は波乱の2日新甫)の新営業年度入りに際しては証券会社の営業員の『相場は強いぞ』の檄(セールストーク)に惑わされることなく、慎重な対応(踏み出し)が肝要だろう。
川崎工業(7012)、日本車輛製造(7102)は出遅れている。このセクターは人気の圏外に置かれているが、社会資本(特に、鉄道網の構築)の充実は新興国を中心に世界的な課題である。両社はこの流れに沿う。
2012.3.15 投資家の皆さんの立場に立って…
相場の世界では地合い(ムード)は一瞬に変わる。まあ、いずれにせよ、抜群に強い値動きである。とはいえ、目先は値固めが必要ではないか、と考えている。しかし、安値をなかなか買わしてくれない。完全に押し目待ちに押し目なし!の展開になっている。
とりあえず、外部環境には悪材料がない。ここは行くところまで行くしかないのだろうか。日経平均株価はついに、1万円の大台を奪回した。3月14日のザラバ高値は1万0,115円である。この結果、昨年11月25日の安値(8,135円)比の上昇率は24.3%となる。いまや、日本の株式市場は『世界の最強マーケット』である。こうなると、にわかに強気の人が増える。これはマスコミも同じだが、数週間前まではメチャクチャな弱気だったのに。
もちろん、相場にこだわりは禁物!であり、相場観に関する主旨変えは許される。それに、多くの銘柄に買いシグナルが点灯中である。そう、売りではない。押し目買いパターンになっている。
ただ、『これだッ』という銘柄がない。まさか、140円(安値は昨年11月21日の98円)のみずほフィナンシャルグループ(8411)とか、610円の丸紅(8002)、150円台(同11月21日の114円)の双日(2768)をここで新規に買えとは主張しづらい。逆に、安値で買った玉は『半分売っておいたらどうか』とアドバイスしている。“安値覚え”といわれそうだが…。
鉄建(1815)もそう。昨秋は80~90円(同9月26日の77円、11月22日の78円)をいくらかでも買えた。もちろん、相場はまだ終わっていない。中期的には180~190円がある、と思う。筆頭株主のJR東日本は2009年度以降、5年間に総額7,500億円の『安全投資』プロジェクトを推進している。
さらに、首都直下型の地震に対応、約1,000億円を追加した。これには橋脚の耐震補強、東京駅ホームの天井落下防止工事のほか、東日本大震災によって不通になっている区間(常磐線、仙石線)の復旧工事が含まれている。鉄建はこのメリットを享受できる。
しかし、株価はそれを評価し、買われて急伸した。今後、どうなるのか。その見極めが難しい。株式投資ではリスクを取る勇気と先を読む能力が肝要だが、トレンドを確認し、一歩遅れて出動する投資手法もある。この戦術であれば、みずほフィナンシャルグループ、丸紅、鉄建だって、最後が一番大きいというし、『断固、買い』だろう。
もっとも、筆者は基本的に憶病だし、ヘソ曲がりである。安いところは極端に慎重になってしまう。絶対に、超強気の“相場師”(名人)にはなれない、ということか。
だが、性分、性格は変えようがない。それに、この世界に入って40年、スタンスを変えずに生きてきた。株式講演会をやるようになったのは26歳のとき、多少は賢くなったと思っている。もちろん、投資家の皆さんの立場に立ち、投資家の皆さんとともに…の信条は不変である。やはり、ここは利食いを優先するべきだろう。
2012.3.14 『どうでもいいカネ』を持っている人に…?
エッ?という驚きの銘柄がある。たびたび出くわすわけではない。こんな仕事をしているものの、めぐり合うのは1年、ないしは数年に1回の確率である。そんな銘柄?いや、たいしたものではない。王道銘柄とはいいかねる。しかし、なぜか気になる。
その銘柄は大証2部上場のJトラスト(8508)である。チャートは棒上げの形になっている。どう考えてもセオリー的には『買い見送り』だろう。だが、何かありそうな、ちょっと、『う~ん』とうなってしまう。“クセ者”にとっては魅力あふれる、そんな銘柄である。
恐らく、株価はここから2~3倍になるだろう。しかし、2分の1、3分の1にもなり得る。いや、10分の1だってあろう。だからこそ、面白い(2008年には何と27円の安値がある)。まあ、まじめな投資家には絶対、この感覚を理解してもらえないだろう。
Jトラストは金融業である。しかし、単なる“金貸し”ではない。資産買い取り・回収、保証事業をメーンビジネスとし、不動産、クレジットカード事業などを幅広く手掛けている。
なにしろ、傘下には商工ローンのロプロ(旧日栄)、武富士の消費者金融事業、KC
カードなどがあり、ネクストジャパンHD(2409)を4月に買収(完全子会社化)する。『みんな問題企業ばかりじゃないか』。確かに、昔はそうだった。しかし、現在はJトラスト、ネクストジャパンHDの筆頭株主の藤澤信義氏のリーダーシップ、支援のもと、着々と再建が進んでいる。
実際、業績は急浮上を見せている。2012年3月期の連結1株利益(1,087円)はイレギュラー(負ののれん代の一括償却に伴う特別利益がある)だが、2013年3月期は通常決算で130円前後(事情通は400~500円と予想)を計上できるだろう。
大株主は西京銀行、整理回収機構、SBI証券、日本ロビーインダストリアル、関東信販など。本社は東京都港区虎ノ門、上場は大証2部という“かわりダネ”。まあ、思惑のタネは尽きない。“遊びの対象”としては最高ではないか。
もちろん、こんな銘柄に正面切っては向かえない。ハスに構えて対応すべきである。これは仕手株(超ハイリスクの)投資法と似ている。すなわち、投資金額は『どうでもいいカネ』の範囲にとどめておくこと。『どうでもいいカネなんかない』という人は絶対に参戦しないこと。
ちなみに、この世界では『どうでもいいカネ』とは、男性の立場ではケンカ別れをした奥さん(愛人も可)に『くれてやるカネのこと』といわれている。筆者の見解ではない。兜町ではそういわれている。
別な視点では今年の1~3月に利食った(儲けの)カネで買う…。13万円の利益では100株、130万円の利益では1,000株買える。これなら投資金額がゼロになっても泣かなくて済む。いや、やはり、ゼロになっては悲しいか。
2012.3. 14 いまや、『世界最強のマーケット』
抜群に強い相場である。日経平均株価はついに、1万円の大台を奪回した。昨年11月25日の安値(8,135円)~直近ザラバ高値までの上昇率は24%を超え、NYダウの上昇率(23.7%)を上回った。いまや、日本の株式市場は『世界最強のマーケット』である。
今、潮流の大きな変化が起こっている。お金の流れが激変しつつある。この“予兆”が株式市場に数多く散見される。なぜ、株高なのか、この機会に背景をもう一度、見極めておく必要があろう。
すなわち、長期的な視点の確認である。さて、“土地神話”はもうずいぶん昔に崩壊したはずだが、いまだに個人の資産の70.1%は不動産になっている。要するに、一般的な家庭の資産は『今、住んでいる家』なのである。
一方、個人金融資産では株式・投信の比率は8.7%に過ぎず、現・預金のウエイトが56.0%と異常に高くなっている。アメリカは株式・出資金の比率が30.9%、投資の比率が11.7%あり、現・預金のウエイトはわずか14.5%に過ぎない。極端な話、投資的な視点では日本のお金は遊んでいる、アメリカのお金は働いている、といえるのではないだろうか。
日本人は安全志向、極端にリスクを嫌う…。もちろん、これは事実だろう。しかし、これだけではない、と考えている。その要因は流動性に欠ける不動産偏重の資産構成にある。
万一、大きなお金が必要になったとき、銀行によほどの信用があって、不動産を担保に即、お金を貸してくれる、という人は別(それだって審査には時間がかかる)だが、住んでいる家(それも住宅ローンが終わっておらず、金融機関の抵当権付き)が資産の中核では…。そう、どうにもならないと思う。
そのため、流動性を重視し、どうしても現・預金のウエイトが高まってしまう。しかし、今後10~20年は違ってくるだろう。デフレが終えんし、超円安、大増税時代が訪れる。家計にとって最大のリスクはキャッシュ(現金)である。1990年以降はデフレが続いていたために、『何もしないこと』が最良の投資戦術だったが、これからは『何もしないこと』が大きなリスクになる。
さらに、日本の場合、長生きのリスクが浮上している。現在、65歳の人の平均余命は男性が19年、女性が24年である。いや~老後は長い。もちろん、90~100歳まで生きる人が増えている。しかし、年金はあてにならず、どうやって豊かな老後を迎えればいいのか。
やはり、老後の資金作りのための資産運用には株式投資しかない。だからこそ、勝ち組の仲間に入るために、最低限の投資哲学・ノウハウを身につける必要がある。相場の天底の判断については次回に紹介する。
ここはとりあえず、出遅れている日本カーボン(5302)、愛知製鋼(5482)などを仕込んでおこうか。ともに業績は2012年3月期を底に急浮上に転じる見通しにある。
2012.3.9 地方銘柄が抜群に強いぞッ!
NY市場など海外マーケットと違って、日本の株式市場は状況が大きく異なる。日経平均株価はリーマン・ショック直前の高値(2008年6月6日の1万4,489円)には遠く及ばず、2010年4月5日の高値1万1,339円、昨年2月21日の東日本大震災前の高値1万0,857円すら抜いていない。要するに、大幅に出遅れているということ。
この背景にはここ数年、超円高の進行、東日本大震災、福島原発事故、タイの洪水、電力危機、景気低迷、企業業績の下ブレなど日本固有の悪材料があった。しかし、現在ではその多くが克服、ないしは修正されつつある。
特に、円高⇒円安の転換、委託売買代金シェアの6~7割を占める外国人の買い越し基調、市場センチメントの改善が大きい。トレンド的には2003年4月~2006年7月のような壮大な反騰相場が展開されようとしている。
市場関係者(いわゆる専門家)の間では、『日経平均株価の予想PERが22~23倍と割高になっている』とか、『PBRが1.08倍と1倍台を回復した』などと、足元の株価指標を気にする向きがある。
しかし、これはおかしいではないか。そもそも、景気・企業業績の回復場面ではPERは割高になるもの。それに、ソニー、パナソニック、シャープ、東京電力、関西電力、中部電力の“悪役6社”の最終損失は2兆3,480億円に達する。
“悪役6社”を除外すると、予想PERは15~16倍に低下し、割高感がほぼ払しょくされる。もちろん、家電3社の2013年3月期は大幅黒字転換が予想されている。PBRについては2008年以降の平均値は1.20倍となっている。
さらに、カラ売りが高水準である。信用残をみると、コマツなど主軸株には大量のカラ売りが積み上がっている。経験則的に、天井形成の局面では買い残が増えるもの。しかし、現状は違う。全く逆ではないか。
繰り返しになるが、反騰相場は始まったばかりである。こんなところで弱気に転じては悔いを残すことになろう。さて、オーソドックスな押し目買いのターゲットは食糧関連の丸紅(8002)、ニチモウ(8091)など。世界人口の激増、70億人のうち、63%が住む新興国の経済成長、所得の増加⇒生活の洋風化は資源・エネルギー、食糧需要を膨らませ、これらの価格高騰、争奪戦を招くだろう。
このほか、物色面ではこのところ地方銘柄が元気である。その理由は定かではないが、愛媛のピーエスシー(3649)をはじめ、同じ愛媛のヨンキュウ(9955)、ベルグアース(1383)、宮城のカメイ(8037)、東洋刃物(5964)などが大きく値を飛ばしている。
さらに、新潟のコメリ(8218)、茨城のケーズホールディングス(8282)は復興特需を享受できる。コメリには東北地方に195店舗(ホームセンター)がある。ケーズホールディングスは店舗の2割が被災4県にある。
まあ、今や、全国を制覇し、世界に打って出ようとしているファーストリテイリング(9983⇒山口)、ヤマダ電機(9831⇒群馬)、ニトリホールディングス(9843⇒北海道)、しまむら(8227⇒埼玉)などだって、もとは地方銘柄である。
それと、これらの銘柄には成熟産業の中の成長企業という共通項を指摘できる。成長企業の発掘法には伸びる分野、セクターを探す受動的視点と経営者の力量、ビジネスモデルに着目する能動的視点がある。後者は景気変動などに抜群の抵抗力を有する。
2012.3.9 Jトラスト、ピーエスシー暴騰劇の背景は?
株式市場では何か、大変なことが起こっている、そんな気がする。債券よ、さようなら!ということか。まあ、猛反騰局面ではいつも仕手株が先導役を務めるのだが、今回が違う。小物(中・小型株)が暴騰劇を演じている。それもハンパな上昇率ではない。直近の安値比では10倍以上というケースが続出している。
すなわち、大証2部のJトラスト(8508)、ジャスダックのピーエスシー(3649)、同じくジャスダックのきちり(3082)などが代表例である。きちりの株価は現在、調整中だが、Jトラスト、ピーエスシーはいまだに“進行形”となっている。チャートをみると、まさしく異常な状況である。
いやはや、高所恐怖症の人には精神的に悪い。足がガタガタと震え、胸が締め付けられる。いずれも『事情通』とか、『政治資金』の買いなどといわれている。そう、確かな情報と信念がなければこんなところを買えないと思う。
一方、全般の株式市場は、やや波乱含みの展開になっている。目先は調整(値固め)が必要だろう。ただ、押し目買い方針を変えることはない。ちょっと、地合いが悪くなると、とたんに腰が引け、弱気に転換する人がいる。基本的に信念のない人である。
しかし、深押しは考えにくい。日経平均株価の下値メドは9,300~9,400円がらみの水準だろう。確かに、日経平均株価は昨年11月25日の8,135円を安値に、今年の2月29日には9,866円(ザラバベース)の高値まで一気に戻した。上昇率は21.3%となる。
それに、昨年3月の月中平均が9,852円、期末値が9,755円であり、この水準前後では“値洗い”を終えている法人の売りが出やすい。実際、大幅赤字のパナソニックは欠損の穴埋めのためにダイキン工業、小糸製作所などの保有株を売っている。
NYダウは2月28日に、1万3,005ドルの高値を付け、リーマン・ショック(2008年9月)前の水準を奪回した。これはアメリカ経済がリーマン・ショックを克服したことを意味する。ただ、NYダウの1万3,000ドル台乗せには短期的な目標達成感がある。
後は3月13日のFOMC(公開市場委員会)の結果次第だろう。QE3(金融緩和第3弾)に踏み切るか、否か、これによって状況は変わる。筆者は住宅ローン担保証券の買い増しを断行する、と予想している(確率は50%)のだが…。
2012.3.8 講演会のムードが語る着実な春の訪れ!
株式講演会は多くの“データ”をもたらしてくれる。すなわち、来場者数、質問の内容によって、市場センチメントを分析できる。来場者数は会場の規模によって異なるが、天井圏とか、大底圏では極端に増加する。
まあ、出来高の状況とよく似ている。一方、底練りの状態が続くと、来場者数は減る。筆者の場合、天候はあまり関係ない。ただし、安値ゾーンでの来場者数の増加は強力な底入れのシグナルとなる。
最近では昨年12月初旬~中旬がそうだった。11月25日に、日経平均株価が8,135円の安値を付けた直後だが、講演会はどの会場も超満員となった。世の中は暗いムード一色だったが…。個人投資家の皆さんはそれなりに、『ここは買いじゃないか』と思われたのだろう。
すなわち、直感である。その感性は正しい。某都市では何と、1,200人の来場者数を記録した。バブルの時代は1,000人、1,500人の来場者数は当たり前、東京の日比谷公会堂(定員2,000人)が一杯になったこともある。自慢するわけではないが…。しかし、ここ10数年は200~300人、多くて500人である。マーケットの不振、講師の力量のほか、個人投資家の絶対数が減少している面もあろう。
ただ、ここにきて来場者数は確実に増えている。株式市場の再生(復活)が始まっている、ということか。もちろん、時々、突風(春一番?)は吹くし、“寒の戻り”はあるものの、春の足音は確実に近付いている。
ともあれ、いつも投資家の皆さんにはいっているのだが、『相場は難しいもの。ここは底だッ!とは判断できない』と。ただ、なんとなく春の気配が感じられるように、底値に接近したことだけは分かる。
だからこそ、打診買いをコツコツと買い下がりを、と勧めている。だって、そうじゃないか。『4月1日に今日から春、6月1日に本日より夏、などとはいわない』。暦と実感は違う。相場もそうではないか。
一方、筆者の講演会において、来場者数が最も少なかったのは3人、次が10人である。いや~、いずれも相場の底値圏だった。しかし、あまりにもひどい。ひどすぎる。翌日、主催者に文句をいった。『もう少し、“営業努力”をしたらどうだッ』と。
しかし、いい加減な主催者は批難など全く苦にしない。『先生、3人も来たらいいではないか。日本橋会場は1人だった』と。この言い訳もひどいが、相場のあと猛反騰劇を演じたこと、そして、その主催者(企業)が1年後に廃業したこと(営業員に全くやる気がなかった)、これは事実である。
現状はどうか。質問ではカラ売り(売り残の評価損率はマイナス10.6%と買い方に比べ劣勢)に関するものが多い。一方、買い方の市場センチメントは急速に改善している。それに、反騰相場は始まったばかりである。日経平均株価の戻り高値(2月29日の9,866円)で終わり?そんなことは絶対にない。したがって、ここでの調整(休養)は押し目買いのチャンス!と主張している。
物色面では引き続いて“復興”がメーンテーマであり、これに首都直下型地震(文部科学省の研究チームは東京湾北部の地震規模を最大値の震度7に)に対する耐震補強、防災関連需要が加わる。
具体的には仙台のコングロマットと呼ばれるカメイ(8037)をはじめ、日本橋梁(5912)、鉄建(1815)、大成建設(1801)、ピーエス三菱(1871)などに妙味があろう。
首都高速道路の改修工事では酒井重工業(6358)、駒井ハルテック(5915)、横河ブリッヂHD(5911)、東亜道路(1882)、日本コンクリート(5269)などに注目できる。
2012.3.7 目先は調整だが、中・長期的には不安なし!
目先的に、相場は調整(休養)をほしがっていた、と思う。ギリシャ財政リスクの再燃、NYダウの急落はきっかけにすぎない。NYダウは2月28日に、1万3,005ドルと、リーマン・ショック(2008年9月)前の水準を奪回した。こちらにはとりあえず、目標達成感がある。
しかし、日本の株式市場は出遅れが著しい。日経平均株価はリーマン・ショック直前の高値(2008年6月6日の1万4,489円)どころか、東日本大震災前の高値(2011年2月21日の1万0,857円)すら抜いていない。ちなみに、鉱工業生産指数は3月末に、東日本大震災前の水準を上回る。
当然、株価は中期的に、この水準(1万0,857円)を目指すのだろう。ただ、日米の短期金利差をベースに考えると、円・ドル相場は1ドル=81円前後が円安の限界であり、これには注意を要する。
ちなみに、TOPIX(東証株価指数)の中期的な予測値は円・ドル相場の10倍、プラス、マイナス10%(近年のTOPIXはほぼこのゾーンで推移している⇒相関係数は限りなく1に近い)の計算式によって算出できる。
すなわち、1ドル=81円とすると、中心値はその10倍の810ポイント、上値のメドは891ポイント、下値のメドは729ポイントとなる。現状はこのゾーン内での値動きとなっている。
これを日経平均株価に直すには、NT倍率(11.7倍)を使えばよい。具体的には東証株価指数×11.7の計算式になる。ちなみに、中心値は9,477円、上値のメドは1万0,425円、下値のメドは8,529円である。
もちろん、これまでの記述はあくまでも短期的な視点である。中・長期的な見方は違う。筆者は肝要なのはリスクを取る勇気と先を読む能力、と主張している。しかし、当たり前だが、無闇に勝負してはいけない。無鉄砲では困る。
将来を的確に予想することが大切である。もちろん、未来は完璧には予知できない。当たり、はずれがあるからこそ、予測なのである。ただ、予測の確率(精度)を高める努力は必要ではないだろうか。
改めて指摘するまでもなく、相場の世界ではこの“作業”が極めて重要である。『いや~、そんなもの、私は勘に頼っている』と豪語する人がいる。もちろん、これは立派な投資術である。否定はしない。いわゆる、感性である。ちなみに、投資の3性は知性、理性、感性のこと。
とはいえ、悲しいかな、投資の世界では『1%の勝者に、99%の敗者』という言葉が示しているように、感性に優れている人(投資家)は全体のわずか数パーセントにすぎない。ヤマ勘に頼るだけでは限界があろう。
やはり、天底を判断するにはテクニカル指標をチェックするとか、データを分析するなどの、地道な努力が欠かせない。たとえば、外国人の投資行動はLIBOR(ロンドンのドル建て銀行間の取引金利)とOIS(対ドルスワップ金利)のスプレッド(金利差)、OECD+新興6ヵ国の景気先行指数によって予想できる。
すなわち、スプレッドが拡大(金融機関のドル調達難を意味する⇒金融不安)⇒売り、縮小⇒買い、景気先行指数が上昇(世界景気の回復、拡大、浮揚を示唆)⇒買い、下降⇒売りのパターン(習性)である。
現状は?スプレッドが顕著に縮小、景気先行指数は底入れを確認、上昇している。実際、外国人は昨年12月第4週以降、9週連続で買い越しを続けているではないか。
自慢するわけではないが、筆者は昨年11月末(25日に日経平均株価は8,135円の安値を示現した局面)、『外国人は12月初~中旬には買い転換する』と指摘した。これは前述のデータ解析に基づいた予測である。
結果的に、買い転換の時期は若干(数週間)ずれたが、予測のトレンド(方向性)は間違っていなかった。そうでなければ、ユーロ崩壊⇒恐慌突入!と多くの人々が叫んでいるときに“川底の金貨”を拾おうじゃないか、普通預金を引き出し、メガバンクの株式を買おう、などといえないじゃないか。
世界人口の激増は食糧価格の高騰、争奪戦、そして食糧危機を誘発する。漁網・漁具のニチモウ(8091)、水産事業、水産加工品最大手のマルハニチロホールディングス(1334)はロングランに狙える。丸紅(8002)は穀物トレーディング(国内のトップ企業)に注力している。
2012.3.2 ユーロ高・円安メリット関連に妙味あり!
思い通りにいかないもの、それが相場である。足元では力強い上昇相場が展開されている。短期的には値固め(調整)が必要な局面なのだが…。まさに、押し目待ちに押し目なし!といった状況である。この反騰相場に出遅れた人は焦りまくっていることだろう。
特に、NY市場は抜群に強い。NYダウは2月28日、1万3,005ドルと、1万3,000ドルの大台を奪回した。2008年5月19日以来、3年9カ月ぶりの高値水準である。
これはアメリカの株式市場、およびアメリカ経済がリーマン・ショック(2008年9月)を克服したことを意味する。実際、消費者景気信頼感指数が予想を上回って上昇、雇用が改善し、住宅価格は底入れの兆しを鮮明にしている。
最近のバーナンキFRB議長のコメントでは実行の可能性が5分5分に落ちているが、3月初旬のQE3(金融緩和第3弾)が住宅ローン担保証券の買い増しになると、住宅価格は明確に反騰態勢に入るだろう。これは建設業界にメリットを与え、失業率の低下につながると思う。
再選を目指すオバマ大統領にとって、これは願ったりかなったりの話であろう。なにしろ、就任時の失業率は7.8%だったが、現在は8.3%と、それよりも悪化している。
アメリカの大統領選では『失業率が7.5%以上だと、現職が負ける』との強力なジンクスがある。これは何とかしなければならないし、緊急の課題であろう。やはり、手っ取り早いのは住宅業界の回復である。それと、即効性を有する株高作戦だろう。
一方、日本の株式市場は出遅れが著しい。NY市場と違って、リーマン・ショック直前の高値(2008年6月6日の1万4,489円)には遠く及ばず、2010年4月5日の高値(1万1,339円)、2011年2月21日の高値(1万0,857円)すら抜いていない。情けない話である。とりあえず、1万円大台乗せが最低目標になろう。
その後は若干の調整を経て、6~7月には1万1,700円前後の水準を目指す、と考えている。もちろん、2011年3月の月中平均(9,852円)は目先の心理的なカベ(同時に、これより上値では値洗いを行っている国内勢の売りが出る)になっている。
もとより、出遅れだけが株高の要因ではない。ファンダメンタルズ(景気、企業業績)の好転は著しいし、円安転換、需給の改善(外国人が買い越しに転換、個人の投資意欲が回復)がある。
ただ、短期的には超弱気筋までが強気に主旨替え、マスコミの報道姿勢がポジティブに変化するなど、“危険”な兆候(テクニカル指標の過熱に加え、裁定買い残の積み上がり)がみられる。しかし、深押しはないと思う。押し目があれば絶好の仕込みのチャンスとなる。
狙い目は引き続いて、愛知製鋼(5482)、大同特殊鋼(5471)、ダイハツ工業(7262)、丸紅(8002)、伊藤忠商事(8001)、三菱UFJFG(8306)などにある。
小物では3月末の配当取りを兼ねて国際計測器(7722)を拾っておきたい。時価のPERは8.7倍前後、配当利回りは5.6%である。日本M&Aセンター(2127)にも注目できる。
ユーロ高・円安の視点ではユーロに対する為替感応度が大きく、EU向け売上高比率の高いダイキン工業(6367)、NTN(6472)、パナソニック(6752)、ジェイテクト(6573)、日本精工(6471)などに妙味があろう。
2012.3.1 インフレ、超円安、大増税時代が到来する!
市場センチメント(投資家心理)は大幅に改善している。『ここはガンガンの強気で攻めるべきではないのか』との声を耳にする。昨秋は『もう、株式投資を辞める』と嘆いたのに。まあ、これが相場である。ムードは一瞬に変わる。
何と、東証2部指数は30連騰(史上最高⇒2月27日まで)を記録した。日本精機(7287)、日本プラスト(7291)、富士通フロンテック(6945)、ユニパルス(6842)、ソディック(6143)、アーレスティ(5852)、アルインコ(5933)、アイメタルテクノロジー(5605)などは2部市場の“優等生”である。まだまだ上値の余地を残していると思う。
アルインコは大商2部(2013年1月には東証と統合)だが、他は東証2部時価総額ランキングの上位銘柄である。業績は急浮上が見込まれている。財務内容は良好だし、内外の機関投資家の投資対象になり得るだろう。もちろん、堅実な個人投資家も買える。
一方、長期的な視点ではインフレ、超円安、増税がキーワードだろう。最近の講演会では『いつまでもあると思うな、親と円高&デフレ!』と訴えている。この20年間、日本はずっとデフレ、そして円高だった。デフレは通貨を強くする。しかし、今後の20年はそうではないだろう。
逆である。中国では人件費が急騰、ようやく『要素価格完全均等化の法則』が発揮できるようになってきた。さらに、日本の財政状態は最悪である。2016年にはそれがピークを迎える。大増税が待っている。猛烈な円安となろう。消費税は5%⇒10%では済みそうにない。加えて、世界的な流動性の供給(超金融緩和)が資源・エネルギー、穀物価格を上昇させる。
インフレである。それと、新興国の人口激増、生活レベルの向上(食生活の洋風化)が食料危機を招くだろう。食料ビジネスに強い丸紅(8002)、漁網、漁具、水産物商社のニチモウの株価は210円がらみ。株価が下がったこと、および安いのも立派な“好材料”といえる。伊藤忠商事(8001)も狙える。
このほか、当面の投資戦術では出遅れセクターと“小物”にマトを絞るのが有効だろう。日本カーボン(5302)は大手証券の投資判断の引き下げが相次いでいるが、そこをあえて狙ってみたい。2月27日にGE、仏・サフラン社と合弁事業(NGSアドバンストファイバーを設立⇒日本カーボンが50%を出資)を立ち上げた。炭化ケイ素繊維『ニカロン』の製造・販売を行う。
この製品は次世代航空機エンジンの主要部材として期待が高まっている。GE、サフランはボーイング737、エアバス320のエンジン(CFM56)を生産、次世代エンジン(LEAP)を開発中である。これに使用するのではないか、といわれている。
一方、仕手グループ(N氏、K氏などに加えY氏、I氏なども参戦)が元気である。共立印刷(7999)、新日本理化(4406)などの成功(値上がり)が彼らを勢いづかせているのだろう。
最近の会合では、インプレスホールディングス(9479)、ダイジェット工業(6138)、ジオスター(5282)などが話題になったという。もっとも、ファンダメンタルズでは『?』の銘柄ばかりである。まあ、“夢とロマン”があればいいのだが…。
なお、ECBは2月29日、予定通り、1.0%で、期間3年の資金を供給する公開市場操作(LTRO⇒ロトロと読み、長期リファイナンシング・オプレーションのこと。ただ、現地ではロード・オブ・ザ・リング・オペレーションと呼ばれている)を実施した。800行に対し、応札金額の5,295億ユーロ(約57兆円)を供給した。昨年12月21日の第1弾(523行に対し、4,890億ユーロの資金を供給)に続くもの。2回合計では総額1兆ユーロ超となる。
一方、FRBのバーナンキ議長は『QE3見送り』を示唆する発言を行っている。しかし、アメリカの生産、雇用の回復は遅れており、住宅ローン担保証券の買い増しはあるのではないか。
2012.2.29 カセット・マガジン3月号
カセット・マガジン3月号
4月以降の相場展望と投資戦略&有望銘柄!
日経平均株価の上値メド、高値の時期を探る!
株式市場は順調な戻り相場を展開している。日経平均株価の安値は昨年11月25日の8,135円である。もちろん、円安一服に加え、エルピーダメモリー(株主数9万4,000人強)の経営破たん、テクニカル面での過熱感の台頭などがあって、目先は調整が必要だろう。
しかし、深押しは考えにくい。ファンダメンタルズ、需給は急好転を示している。それに、反騰相場は始まったばかりである。そこで、新年度(4月)以降の相場展望&投資戦略を探るとともに、有望銘柄を発掘する。
合わせて、4~6月相場でのTOPIX、日経平均株価の上値、およびその時期を紹介、売りのタイミングについて語ろうと思う。改めて述べるまでもなく、仕掛けのタイミング以上に、重要なのは売りのタイミングである。
●カセット・マガジン3月号
カセット90分・価格(税込み)は7,000円
問い合せ先は、ラジオNIKKEI事業部(03-3583-8300)
●カセット・マガジン3月号/目次
①既号のアフターケア
②4月相場の展望&投資戦略
③日経平均株価の上値メドは?
④最大のポイントは円相場の動向
⑤ユーロ高・円安メリット企業を探る!
⑥話題(地球規模の人口膨張と食料危機、財政赤字とインフレの関係など)
⑦今号の特選銘柄
2012.2.29 『捨て子天井』が出現するようでは…
兜町には押し目待ちに押し目なし!という相場格言がある。強い地合いのときに使う。しかし、ここにきて円高是正(円安)の動きが一服し、株価指数の多くが“過熱”を示唆している。
特に、2月27日には主軸株中心にアイランド・リバーサル(株価が窓を開けて急騰し、窓をかけて開けて急落、高値が“島”のように取り残される現象)が続出した。別名、『捨て子天井』という。
何があろうと、子供を捨ててはいけない。さらに、エルピーダメモリーの経営破たんは投資家心理を冷やすだろう。この銘柄は個人投資家に人気があった。それだけに、痛手は大きい。それに、AIJの不祥事の影響(マーケットに対する不信感)があろう。
いずれにせよ、短期的には調整(値固め)が必要と考えている。なかなか、押し目を買わしてくれないが…。とはいえ、この局面は焦るところではないだろう。特に、出遅れた人は押し目を待つべきと思う。しかし、昨年10~11月のドン安値を買った人は別である。
ここは利食いを我慢し、トコトコ引っ張っていい局面だろう。リスクを取った人が報われるのは当然である。参考までに、主な一貫注力銘柄の中期的な上値のメドを列記しておこう。
すなわち、双日(2768)は160円、三菱商事(8058)は2,300円、三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)は600円、みずほフィナンシャルグループ(8411)は170円など。
ただし、メガバンクについてはとりあえず、この水準で半分、売ったらどうか、と主張している。4月にはギリシャの総選挙、フランスの大統領選挙(5月に上位2候補による決選投票)が予定されている。
ギリシャでは財政再建策に反対する少数の左派勢力が台頭、政権を奪取するのではないか、といわれている。フランスでは現職のサルコジ大統領が苦戦、反ドイツ、反財政再建を唱えるオランド候補(社会党)が優勢である。恐らく、ギリシャはグシャグシャになり、独仏の協調路線は崩れるだろう。
一方、株式市場を取り巻く環境は世界景気の浮上、円安転換など急好転を示している。円は1ドル=81円台、ユーロ=109円台に突入した。しかし、一本調子の円安はあり得ない。もちろん、ファンダメンタルズはむろんのこと、市場センチメント、需給の改善は著しい。外国人は昨年12月第4週以降、8週連続で買い越しており、その累計買い越し額は9,120億円に達している。
もっとも、だからこそ、日経平均株価は一気に2割もの急騰劇を演じたのだが…。なにしろ、日本の株式市場は委託売買代金シェアの6~7割を外国人が占めている。そこが買い出動すれば株高になって当然だろう。もちろん、データ(外国人の投資行動パターンを予測できるLIBOR-OISのスプレッドが縮小、OECD+新興6ヵ国の景気先行指数が上昇)をみると、外国人の買いは継続しそうである。
個人投資家(現物)は表面的には売り越しだが、委託売買代金シェアの6~7割を占めている東証マザーズ、ジャスダック、東証2部(東証2部指数は2月27日までに、何と30連騰を記録)の活況は何かを暗示しているのではないか。
日本カーボン(5302)は炭化ケイ素繊維『ニカロン』に注目できる。次世代航空機用エンジンの主要部材としての期待が高まっている。
2012.2.24 反騰相場はいまだ4~5合目?
短期的には目先、騰勢一服(値固め)の展開になろう。しかし、反騰相場は始まったばかりである。それに、円安が株高を支援する。弱気に転じる必要はないと思う。
ギリシャに対する第2次支援(1,300億ユーロ⇒約13兆8,000億円)が決まったものの、株式市場の値動きはいま一つである。
逆に、欧州市場はこのニュースを受け急落した。これはなぜだろうか。その理由は簡単である。すでに、株価が“合意”を織り込んでいたこと(株価の先見性)にあろう。
いわゆる、株価的には材料出尽くし!である。なにしろ、昨秋~今春では独・DAX指数は39.9%の急騰劇を演じ、NASDAQ総合株価指数は28.8%、S&P500種指数は26.7%、NYダウは21.9%、日経平均株価は16.6%の上昇率を記録している。
ギリシャ問題が決着してからゆっくり買い出動しよう、と考えていた向きは結果的に、完全に出遅れたことになる。まあ、株式投資において肝要なのは再三指摘しているように、リスクを取る勇気、および先を読む能力ということか。
もちろん、ギリシャの財政再建の厳しさがマーケットに反映されるのはこれからだろう。ただ、反騰相場がこれで終わった、とは全く考えていない。中期的には為替市場での1ドル=80円突破、1ユーロ=106円台突入の円安傾向が株高を支援するだろう。
実際“売りのプロ”によると、『2月以降、先物の売りは13連敗だったが、ここにきてやっと稼げるようになった。しかし、現物の売りは全くダメ。こんな時はもう一段高がある』と。実践派の声には説得力がある。
一方、シカゴIMMのデータによると、ユーロに対する投機筋の弱気ポジションはほとんど解消されておらず、依然として史上最高水準に積み上がったままである。
これは世界の金融マーケットが引き続いて『最悪シナリオ』に備えていることを示している。もちろん、だからといって『最悪シナリオ』が起こり得る、という意味ではない。逆に、マーケットが悪材料に対し、抵抗力を有している、と見るべきだろう。
日本の場合、株価がピークアウトする局面では例外なく信用買い残が膨張、個人投資家が高値をつかむ傾向がある。しかし、現状はそうなっていない。それに、日本株の出遅れは顕著である。再三指摘しているように、2012年日本企業のEPS成長率は18.0%と、グローバル平均(7.1%)を大幅に上回る見通しにある。
さらに、ファンダメンタルズ、需給、市場センチメントなどの改善は著しい。東日本大震災、タイの洪水、世界景気の後退リスクなどを克服してきた日本企業の実力を評価しよう、との動きが高まっている。
しかし、株価は前述したような2012年の景気、企業業績の回復シナリオを織り込んでいない。加えて、顕著な円安傾向である。今後、円安⇒円高の動きが一段と鮮明になろう。
もちろん、足元は値固め(テクニカル的な調整)が必要である。そう、短期的には株価指標に過熱感が見られる。ただし、トレンド的には反騰相場は4~5合目に差し掛かった場面に過ぎない。弱気は禁物である。
物色面では利益急浮上が見込める機械、電機・精密、自動車セクターの中からパナソニック(6752)、ダイハツ工業(7262)の押し目を拾う作戦、ないしは出遅れ株、および新興市場、すこぶる元気な東証2部市場を狙う作戦が有効だろう。
出遅れ株では古河電気工業(5801)、大同特殊鋼(5471)、愛知製鋼(5482)に注目できる。伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、三菱商事(8058)はチャート上のフシ目に差し掛かっているが、ここを抜けると、上値は大きいと思う。トーエル(3361)、きちり(3082)には思惑妙味が存在する。
2012.2.24 東証2部指数は怒涛の28連勝中!
東証2部市場が連日の活況(現在、怒涛の28連勝中⇒史上最高)である。とはいえ、2月23日の東証2部指数は2,361.21ポイントであり、昨年11月22日の安値2,011.66ポイント比の上昇率は17.4%にすぎない。まだ、上値が残っているのではないか。
市場関係者は外国人、国内の機関投資家も参戦している、という。しかし、商いの中心は個人投資家だろう。東証マザーズ、ジャスダックと同様、東証2部市場は個人投資家が委託売買代金シェアの7~8割を占めている。
実際、物色されているのは個人投資家好みの中・低位株である。日本鋳造(5609)、丸紅建材リース(9763)、日本タングステン(6998)などには“大物”の仕手介入説がささやかれている。
ちなみに、過去、キナ臭い動きがあった銘柄はラピーヌ(8143)、日本ピグメント(4119)、パーカーコーポレーション(9845)、滝上工業(5918)、アイメタルテクノロジー(5605)、岡本工作機械(6125)、日本アビオニクス(6946)、エルナー(6972)など。
これらの銘柄の上値には“因縁玉”が残っているに違いない。彼ら(仕手グループ)は潮目(相場の流れ)を読むのがうまい。市場センチメントが急好転を示し、物色のホコ先がマイナー市場に向かっている現状をとらえ、再び仕掛けてくる可能性は十分にあろう。
一方、内外の機関投資家が本格的に出動してきた場合はアーレスティ(5852)、ソデック(6143)、野田スクリーン(6790)、富士通フロンテック(6945)、日本精機(7287)、日本プラスト(7291)などが買われるだろう。
もちろん、長岡の“名門企業“日本精機などにはすでに、その動きがみられる。前述の銘柄は時価総額ランキングの上位(流動性を有する)である。さらに、好業績、好財務内容、そして、事業素質が優れている。内外の機関投資家だけではなく、『ボロ株投資は…?』という堅実な個人投資家の投資対象になり得る。
なお、石川島建材工業(5276)は現在、親会社のIHIがTOB(価格175円)をかけている。完全子会社にするのだが、日本アビオニクス(NECが発行株式数の50.0%を保有)、富士通フロンテック(富士通が同53.1%を保有)にも同じような思惑がある。
親子上場はコンプライアンス(企業統治)に問題があるうえ、経営の機動性が損なわれるケースが散見される。政府の方針では長期的に『親子上場禁止の方向』という。
2012.2.23 肝要なのは感性とトレンドを読む能力!
短期的には値固め(テクニカル的な調整)が必要ではないか。確かに、ファンダメンタルズ、為替(円は1ドル=80円台に突入)など外部環境は急好転を示している。市場センチメントは改善が著しい。それは否定しない。ギリシャ問題はとりあえず決着した。では、なぜ、多くの投資家が昨秋のあのドン安値を買えなかったのだろうか。
外部環境が悪すぎた?いや、そんなことはない。筆者は危機は必ず回避されると主張してきた。外部環境うんぬんは買えなかった言い訳に過ぎない。“川底の金貨”は増水しているからこそ、買いなのである。水がなければ“河原の金貨”の奪い合いになろう。一瞬にして金貨はなくなる。
株式投資において、大切なのはリスクを取る勇気と先を予測する能力である。個別銘柄においてもそうではないか。別に、偉そうなことを講釈するつもりはないが…。すなわち、株価は業績が絶好調のときに天井を形成し、業績が絶不調のときに大底を形成するもの。株式投資ではこの感性とトレンド(流れ)が重要である。
愛知製鋼(5482)、大同特殊鋼(5471)、山陽特殊鋼(5481)などの特殊鋼メーカーの足元の業績はさえない。売上高の5~6割が自動車産業向けであり、東日本大震災、タイの洪水に伴うサプライチェーンの断絶、電力危機などの影響を受けている。
しかし、2012年度の日系メーカーの自動車生産台数は一気に史上最高になる見通しである。特殊鋼メーカーは、このメリットをフルに享受できる。それに、磁石、電子材料に加え、航空機用エンジンシャフト用鋼材、ガスタービンのディスク用鋼材など産業機械を手掛けており、これらの分野が企業成長を支えるだろう。
もちろん、習性的には自動車セクターが人気化したあとには必ず特殊鋼メーカーに物色のホコ先が向かう、という経験則を忘れてはならない。これが感性である。これは最低限の投資哲学・ノウハウを身につけよ!に属する。今回の反騰相場に出遅れた人は出遅れついでに、出遅れ株を狙う作戦はいかがだろうか。
一方、目先は材料株で幕あいを継ぐという手もある。仕手介入説の内田洋行(8057)、タカキュー(8166)は動兆しきりである。もとより、割り切っての投資が求められるが…。
このほか、じっくり仕込んでおきたい中・小型成長株では、豆蔵OSホールディングス(3756)、スカパーJSATホールディングス(9412)、ダブルスコープ(6619)、コムティア(3844)、日本M&Aセンター(2127)、ネクソン(3659)、第一精工(6640)に引き続いて注目している。これらはユニークなビジネスモデルと経営力を武器に、数年間にわたって急成長が期待できる。
2012.2.22 講演会のお知らせ『天底をどう判断するのか』
2012年の新春相場は単行本『株リベンジの条件』で指摘したように、ファンダメンタルズ、需給の改善に加え、世界的な流動性の供給(FRB、ECB、BOE、日銀によるQE)に支援され、反騰態勢を鮮明にしている。
昨年9月以降、筆者は、①“川底の金貨”を拾おうじゃないか、②普通預金を引き出し、メガバンクの株式を買おう…という2大キャンペーンを展開してきた。昨年の11~12月には株式は買ってもらえず、失笑を買ったものだが、その努力はここにきて大きな実を結びつつある。
株式投資において、肝要なのはリスクを取る勇気、および先を読む能力である。それに、売買(仕掛けの)タイミングを的確につかむことが重要になる。そのためにはトレンドの確認、天底の判断が必要不可欠だろう。
筆者はⒶ東証1部の時価総額÷名目GDP、ⒷヒストリカルPBR理論、Ⓒ為替(円・ドル)とTOPIXの10倍プラス、マイナス10%の関係…などとともに、増田足の『6色分布』『益田レシオ』を使って、全体相場をチェックしている。
しかし、多くの投資家の皆さんが『どこが天井だか、底だか分からない』と嘆いておられるらしい。いや、株式講演会での質問にはこの類(たぐい)のものが多い。株式投資は安いところを買って、高いところを売る、ないしは高いところを売って、安いところを買えばいいのだ、とはいうものの、それができないからこそ、1%の勝者に99%の敗者!などという教訓が生まれる。
まあ、そこで、というほどの恐れ多いことではないが、『あなたも勝ち組になろうじゃないか』というコンセプトのもと、注目銘柄の発掘、チャートソフトの活用(仕掛けのタイミングの計り方)を組み合わせた勉強会(参加費は無料)を開催する。
●日時 3月10日(土) 13:00~15:30
●会場 東京八重洲TKPビジネスセンター
●定員 90名(参加者多数の場合は抽選)
●問い合せ先 URL http://www.masudaasi.co.jp
2012.2.22 外国人の投資行動を予測する?
日本の株式市場は『極端な』と形容されるほどの外国人主導のマーケットである。なにしろ、委託売買代金シェアの7割を占めている。その外国人は昨年12月第4週以降、7週連続で買い越しを続けている。これが株価反騰の大きな要因だろう。ちなみに、外国人の投資行動はLIBOR(ロンドンの銀行間取引金利⇒ドルベース)-OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ⇒ドルのスワップ金利)のスプレッド拡大⇒売り、縮小⇒買いのパターン分析によって予測できる
現在、このスプレッドは縮小傾向を鮮明にしている。やはり、欧州ソブリン・リスクに対応したECB(欧州中央銀行)のドラスチックな資金供給の効果だろう。
すなわち、ECBは昨年12月21日に、域内金融機関約530行に対し、利率1.0%、期間3年による無制限の資金供給(4,890億ユーロ)を行った。いわゆる、欧州版QE1(金融緩和第1弾)と呼ばれている。
さらに、2月29日には5,000億ユーロ規模のQE2に踏み切る可能性が濃厚といわれている。3月にはFRBがQE3(今回は住宅ローン担保証券の買い増し)に踏み切るもようである。
さらに、外国人の投資行動はOECD+新興6ヵ国(ブラジル、ロシア、中国、インド、南アフリカ、インドネシア)の景気先行指数とパラレルとの修正も指摘できる。
もちろん、上昇⇒買い、下降⇒売りの構図となっている。要するに、世界景気の拡大⇒買い、世界景気の低迷⇒売りということだろう。現状は?世界景気は底割れ回避、再浮上のスタンスが鮮明となっているではないか。
一方、為替(円)についてはなぜか、OECD+新興6ヵ国の景気先行指数が上昇⇒円安、下降⇒円高の形になっている。最近、ドルは1ドル=80円台に突入、ユーロは1ユーロ=106円台に入っているが、まさしくセオリー通りの動きだろう。
2006年以降、日本株は世界株に対し、アンダーパフォームの状態が続いている。この要因には数々のアクシデント(東日本大震災、福島原発事故、電力危機、タイ洪水など)のほか、政治の迷走、デフレの継続などがあったが、超円高のダメージが大きかったと思う。
これが修正される。さらに、日銀の“決断”(資産買い取り枠を55兆円⇒65兆円に拡大)が円安を加速させるだろう。いや、すでに、そうなりつつある。
もちろん、日本株は出遅れが著しい。昨秋~今春の上昇率をみると、独・DAX指数は39.9%、NASDAQ総合株価指数は28.8%、S&P500種指数は26.7%、NYダウは21.5%の急騰劇を演じている。なんと、あのギリシャの株式市場だって、3割も上昇しているではないか。
しかし、日経平均株価はわずか16.6%の上昇率にとどまっている。底値ゾーンからの反発なのに、これはおかしい。今後、この出遅れ修正が行われるだろう。
三菱商事(8058)、伊藤忠商事(8001)など商社セクターはドラスチックな海外投資を断行している。この点だけではなく、足元の業績は絶好調であり、じっくり狙える。双日(2768)は中期的な目標値(160円)に近付きつつある。
2012.2.17 自動車セクターが買われたあとは…?
日銀の季節はずれの“お年玉”との声がある。為替市場では円安傾向が鮮明になっている。これは、日銀の流動性供給(資産買い入れ枠を55兆円⇒65兆円に増額)を反映したもの。ドルは1ドル=80円を指向し、ユーロは1ユーロ=104円台に接近しつつある。
円は世界景気の後退局面⇒円高、回復局面⇒円安の習性が見られる。もちろん、習性的に円安⇒株高、円高⇒株安である。ちなみに、OECD+新興6ヵ国(BRICsにインドネシア、南アフリカを加えたもの)の景気先行指数はきれいな底入れ、上昇パターンを描いている。
日本の株式市場は2006年以降、世界の株式市場に対し、アンダーパフォームの状態が続いている。そう、トップクラスの冴えないマーケットだった。昨秋~今春の戻りも鈍い。この背景には円高があったと思う。
それが是正される。これは大きい。円安転換が株高を支援するだろう。もちろん、東日本大震災、福島原発事故、電力危機、タイ洪水など多くのアクシデントを克服してきた日本企業の強さを評価しよう、との動きもある。
OECD+新興6ヵ国の景気先行指数と高い連動性を有する外国人は昨年12月第4週以降、7週連続で買い越しを続けている。しかし、外国人の多くがいまだに日本株をアンダーウエイトにしており、彼らの買いはしばらく継続するだろう。さらに、LIBOR-OISのスプレッドは『縮小⇒買い』のパターン(逆に、拡大の場合は売り)となっている。
なお、昨秋~今春の主要株式市場の上昇率を見ると、独・DAX指数が37.7%、NASDAQ総合株価指数が28.8%、S&P500種指数が26.4%、NYダウが21.1%などとなっている。
一方、日経平均株価の上昇率は10.5%と、出遅れが著しい。なにしろ、昨年安値~今年高値ではあのギリシャだって、3割も値上がりしている。破たん寸前なのに。さらに、インドネシアは6割、フィリピンは5割の急騰劇を演じている。これが“国の勢い”の差なのだろうか。
もちろん、日本の場合、政治の迷走に加え、前述したような数々の悪材料の出現、需給の悪化、超円高の進行などがあった。株価の低迷はある意味、当然だった、との見方ができる。
しかし、流れは大きく変わった。相場の世界では変化の“予兆”を見逃すな!という。いま、まさに、そのタイミングではないか。東日本大震災の復興が本格化し、第1次~4次の補正予算(総額21兆円⇒うち、復興関連は12.4兆円)が被災地に集中的に投じられる。2012年のGDP成長率は先進国のトップクラスだし、何よりも2011年比『良くなる』のは日本だけである。これを評価する動きが起きるだろう。
さらに、EPS成長率は18.0%と、グローバル平均(7.1%)を大幅に上回る見通しにある。だが、内外の投資家の大半が日本株を持っていない。もちろん、これはやむを得ない。なにしろ、久しく『投資する価値がない』といわれていたほど。しかし、現状は違う。外国人は持たざるリスクに脅え始めている。
この局面では引き続いて、三菱UFJFG(8306)、ダイハツ工業(7262)、日本M&Aセンター(2127)、愛知製鋼(5482)などに妙味があろう。自動車セクターが買われたあと、特殊鋼が買われる、とのセオリーがある。このセオリーに従えば大同特殊鋼(5471)、山陽特殊鋼(5481)は要注目である。
2012.2.16 2大キャンペーンは大成功を収めつつある!
日本の株式市場が世界の株式市場と比較し、大きく出遅れているのは確かである。これは否定のしようがない。何しろ、あのギリシャの株式市場だって、昨年の安値比3割高の急騰劇を演じている。しかし、欧州情勢にあまり関係のなさそうな日経平均株価の上昇率は1割強にとどまっている。
これはどうしたことか。やはり、この背景には政治の迷走に加え、数々のアクシデント、積極的な買い手不在の状況(需給悪)があったと思う。超円高もダメージを与えた。しかし、円高は円安に転換しつつある。
ここにきて日銀は円高阻止、デフレ脱却に向けての施策をようやく本気になって打ち出し始めた。資産買い取り基金の増額(55兆円⇒65兆円)、インフレの目標の設定が好例だが、FRBはQE3、ECBはQE2を断行する構えをみせており、さらなる流動性の供給が不可欠だろう。
日銀は2007年以降のサブプライムローン・ショック、リーマン・ショック、欧州ソブリン・リスクにまったく対応せず、静観を決め込んできた。総資産残高は2007年を100とすると、BOEが414、FRBが321、ECBが205になっているのに対し、日銀は124に過ぎない。中央銀行の健全性の視点では、円高になって当然といえる。
しかし、いよいよ、その修正が始まった。日本の株式市場は近年、円高⇒株安、円安⇒株高のパターンになっている。今後、日本の株式市場は売方の買い戻しもあって、出直りの動きが鮮明となろう。
みずほFG(8411)の値動きが快調である。筆者は昨秋以来、多くの人々に失笑されながら銀行の普通預金(家計の普通預金残高は198兆円、他にタンス預金が83兆円)を引き出し、メガバンクの株式を買おう!という孤独なキャンペーンを続けてきた。そのコア銘柄のひとつがこれだったが、まずは『やれやれ』じゃないか。
さて、ここからは売り場が難しい。これについては『強気』の投資判断を付与している野村(目標株価170円)、大和(同130円)のレーティングを参考に、とりあえず『130円』で半分売ったらどうか、とアドバイスしている。残りはトコトン持つべきである。
三菱UFJFG(8306)は当初の予定通り、『600円』まで頑張りたいと思う。みずほFGもそうだが、リスクを取った分、大きく値幅を稼がないと、せっかくの努力が無駄になる。
もちろん、第1の外国人が投げ捨てていった“川底の金貨”(ドン安値の主軸株)を拾おうじゃないか!のキャンペーンも大成功を収めつつある。そう、リスクを取った人は報われる。日本郵船(9101)は152円(昨年11月25日の安値)まで買い下がりを主張した。『ここは売りだろう』といわれたが…。
一方、好業績、かつ好需給、チャート妙味の中・小型株ではサイバーエージェント(4751)、スタートトゥディ(3092)、日本M&Aセンター(2127)、コムチェア(3844)などの商いが膨らみ、面白そうである。
富士機工(7260)、国際計測器(7722)、ダブル・スコープ(6619)、豆蔵OSホールディングス(3756)、ネクソン(3659)、第一精工(6640)は目先の値動きに一喜一憂せず、ロングランに取り上げていこう、と考えている。
2012.2.15 円安は日本株の逆襲につながる!
1ドル=78円台に突入、1ユーロ=103円前後が定着するなど、円安の動きが鮮明になっている。この背景には世界景気の回復、日銀の施策(資産買い取り枠を55兆円⇒65兆円に拡大)がある。円安は株高(日本株の逆襲)を支援する。
もちろん、足元の株式市場はテクニカル的には正念場にさしかかっている。すなわち、日経平均株価の9,000~9,100円ゾーンには200日移動平均線(9,053円)、昨年10月28日の高値(9,050円)、上値抵抗線(9,050~9,060円)などのフシがある。
加えて、投資家はギリシャ、NY市場の動向(NYダウは一気にリーマン・ショック前の水準を奪回してきただけに、目先は調整を余儀なくされそう)など、海外情勢を見極めよう、との姿勢を強めている。
しかし、大崩れは考えにくい。堅調な相場展開が続くだろう。5年間にわたる下降トレンド(2006年以降、日本株は世界株をアンダーパフォーム)は終えんしつつある。今後、数年間に渡って円安⇒株高のパターンとなろう。
バーナンキFRB議長は先週末、『住宅市場の低迷が引き続き、アメリカの建設活動と雇用を抑制しており、住宅セクターの回復支援のための新たな施策が必要である』とコメントしている。
現地ではアメリカの雇用、生産など景気指標の好調さを受け、QE3(金融緩和第3弾)はない、とする向きが増えている、という。ただ、個人消費は盛り上がりに欠ける。それに、最近のバーナンキFRB議長のコメント、およびFOMC(公開市場委員会)の投票権メンバー(12人)のうち、追加金融緩和に強硬に反対してきたダラス連銀のフィッシャー総裁、フェラデルフィア連銀のプロッサー総裁、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁の3人(筋金入りのタカ派)が外れ、追加金融緩和を支援するハト派に代わったことを考慮すると、予定通り3日初旬にQE3に踏み切るのではないだろうか。
QE3は既報のように、QE1、QE2が国債購入がメーンだったのと違って、住宅ローン担保証券の買い増しになりそうである。これだと、前述のコメントの趣旨と一致する。コメントは“前触れ”みたいなものだろう。
ギリシャについては3月20日に、145億ユーロの国債償還を控え、EU(欧州連合)、IMF(国際通貨基金)の支援の有無が焦点となっている。ギリシャの連立3党は支援サイドが求めている財政緊縮策を受け入れる、と発表している。
だが、9日のユーロ圏17ヵ国の緊急財務相会合では支援の決定が行われなかった。しかし、ここにきて、話をすべてぶち壊すような愚は避けるだろう。最終的に、第2次支援(1,300億ユーロ)は実行されると思う。次回の財務相会合は2月20日に予定されている。
ダイハツ工業(7262)は『ミラ・イース』に代表される小型車戦略、インドネシア、マレーシアなど局地戦(両国ともトップシェアを有する)の効果があり、一気に高収益企業に変身中である。連結1株利益は2012年3月期が122円、2013年3月期が160円、2014年3月期が180円と予想されている。
なお、ECBは2月29日に5,000億ユーロ規模の資金供給(QE2)を断行する模様である。昨年12月21日の4,890億ユーロに続く第2弾であり、これによって資金供給の総額は約1兆ユーロとなる。
株式売出し中の日本M&Aセンター(2127)、コムチュア(3844)の押し目は買える。日本M&Aセンターは大和、コムチュアは野村が幹事である。
2012.2.10 短期的には調整に入るが、弱気は無用!
2月8日、第4次補正予算(2.5兆円)が成立、東日本大震災の復興が本格化する。第1次~4時の補正予算の総額は21兆円である。一方、株式市場では順調な戻り相場が展開されている。しかし、市場関係者の間には相変わらず、弱気の見方が存在する。
すなわち、『ギリシャなど欧州情勢が気掛かりだ』と。さらに、日本の現状の企業収益では『これ以上、上値は買えない』(専門家と称する人々がこんな弱気を唱えている)との声もある。
おかしな話ではないか。それならば昨秋~今春に独・DAX指数が4割、NASDAQ指数が3割、NYダウが2割強の急騰劇を演じている事実をどう説明する?ユーロは1ユーロ=103円台に入ってきた。古来、マーケットは賢いし、正直である!という。
株価は欧州情勢をそんなに気にしていない。もちろん、ギリシャ国民は財政再建に反対し、官民労組が24時間ストに突入するなど、大混乱に陥っているが…。ただし、ECBは2月29日にQE2(金融緩和第2弾)踏み切る。
投資家の不安心理を示すVIX(恐怖)指数は昨夏の48ポイントが直近では17ポイントと、急低下を見せている。それに、反騰初期局面では株価は割高(高PER)に買われるもの。これがマーケット(株式市場)の常識である。
もちろん、短期的には日柄、値幅(テクニカル)的に相場は正念場に差し掛かっている。日経平均株価は9,050円前後の手前で一服するだろう。しかし、これはセオリー通りの動きである。弱気は無用と判断する。
市場センチメント(投資家心理)は急好転を示している。悪材料の出現が売りではなく、『悪材料出尽くし』となって、逆に、買い物を集めているのが何よりの証明だろう。
さらに、需給の改善も著しい。最大の投資主体(委託売買代金シェアの7割を有する)の外国人が昨年12月の第4週以降、買い越しに転換してきた。2月第1週までの買い越し額は4,814億円に達する。
一方、国内勢も徐々に、『持たざるリスク』に脅え始めている。なにしろ、彼らは日本株をたたき売った。15年前と比較すると、銀行の株式保有額は48兆円⇒17兆円、生保は同34兆円⇒14兆円と激減している。もはや、逆立ちしても『鼻血も出ない状況』ではないか。
もとより、ファンダメンタルズは2011年には東日本大震災、福島原発事故、電力危機、超円高、タイ洪水などがあってひどかったとはいえ、好転が見込まれている。2012年の日本企業のEPS成長率は18.0%と、グローバル平均(7.1%)を大幅に上回る見通しである。
さて、この局面においてじっくり狙いたい銘柄は、好業績+テーマ性内包の、クミアイ化学工業(4996)、デンヨー(6517)、丸紅(8002)など。このほか、短期的には悪材料が出現した古河電気工業(5801)、曙ブレーキ工業(7238)の切り返しが期待できる。
なお、日本の鉱工業生産指数は、昨年12月が前月比+4.0%と急回復をみせたが、製造工業生産予測指数は1月が同+2.5%、2月が同+1.2%と順調な推移が見込まれている。
外国人の売買動向に影響するOECD+新興主要6ヵ国(ブラジル、インド、中国、ロシア、インドネシア、南アフリカ)の景気先行指数は昨年10月をボトムに回復基調を鮮明にしている。外国人の買いは継続するだろう。
加えて、ギリシャ政府は2月9日、EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)が次期金融支援の条件として求めていた緊縮策を受け入れることで連立与党3党と合意した、と発表した。これによって、無秩序なデフォルト(債務不履行)は回避される見通しである。
2012.2.9 『雨が降る天気じゃない』エッ、雨は降るの?
もう、随分と昔の話題になるが、『富士山大爆発』(それも、○○年○月○日と具体的な日付まであって、周辺の観光地は大騒動!)と題する本がベストセラーになったことがある。
著者のS先生とはかなり親しい友人であり、よく一緒に旅行などに行った。彼は“言葉遊び”の天才だった。たとえば、明日の天気は?と聞かれると、『雨が降る天気じゃない』と答える。
翌日、雨が降ると『雨が降る、天気じゃない』と言ったではないか、とういう。晴天だと、『雨が降る天気じゃない⇒晴れ』と言ったではないか、と反論する。
要するに、どうでもいいのである。多少、オッチョコチョイな面もあった。温泉宿で芸者さんに連れ出され、翌日に50万円の請求書が届いたこともあった。こんな調子で富士山が大爆発するなどと、決め付けられては迷惑千万だが、出版社は本が売れれば良かったのだろう。
結局、富士山は噴火しなかったのだが、『先生、この責任はどう取るのですか』との筆者の詰問に、先生は、『地震学では100~200年の違いは誤差のたぐい。問題にするほうがおかしい』と。う~ん、そんなものか。
最近の地震騒動もおかしい。マスコミ(週刊誌、夕刊紙など)が明日にでも『首都圏直下型地震』が起こる可能性がある!かのように騒いでいる。富士山も同時に爆発するらしい。まあ、富士山は過去に123回の爆発を起こしており、別に驚きはしないが…。
彼らは雑誌が売れるためには何でもする。道徳心のかけらもない。まあ、株式市場に関する報道では『恐慌突入』の記事が買い、『いまこそ、株式投資を』の特集記事が売りのパターンとなっている。要するに、マスコミ報道の逆をやればいいのである。
今回の地震騒動は1月23日に東大地震研究所が『首都圏でM7の地震が起こる確率が今後4年以内に70%』と発表したのがキッカケである。しかし、これは突然、飛び出してきた情報ではない。昨年9月に発表済みのもの。同研究所では『それ以降に新しい現象が起きたりしているわけではない』とコメントしている。
地震騒動には何か、意図的なものを感じる。もちろん、昨年3月11日以降、首都圏ではM3以上の地震が400回も発生している。小さな地震の増加は大きな地震の予兆(グーテンベルク・リヒターの法則)である。
ただ、東日本大震災の余震を加えるのはどうかと思う。まあ、注意は怠れないが…。ちなみに、M7の地震が首都圏を襲った場合、建物被害は53万戸、がれき6,700万トン(東日本大震災では2,350万トン)、経済的損失112兆円(同25兆円)、死者7万人と予想されている。
とはいえ、いたずらに騒ぎ立てるのはいかがなものか。もちろん、政府、企業、家庭が防災意識を高め、万一の備えを行っておくのは必要と考える。
デンヨー(6517)は屋外ディーゼル発電機の大手である。売上高の72%が同部門となっている。目下、発電機付きの溶接機が売れている、という。企業は今夏の電力危機に向けて対応強化を進めている。麦わら帽子は冬に買え!の精神である。
2012.2.8 ケース・シラー指数とメガバンクの株価の奇妙な関係?
官民労組が24時間ストに突入するなど、ギリシャの財政リスクは正念場を迎えている。このままでは3月20日の145億ユーロの国債償還は困難となろう。一方、ECBは昨年12月21日、4,890億ユーロ(利率1.0%、期間3年)の流動性供給を行ったが、2~3月にも同規模の無制限の流動性供給を断行する方針といわれている。
総額1兆ユーロ規模の流動性供給である。これはまさしく、ECBによるQE1(金融緩和第1弾)だろう。これまでほとんど動かなかったECBがいよいよ始動したのである。
これは、欧州の金融機関がリーマン・ショック時のような“突然死”を避けるための措置であり、高く評価できる。これによって、リーマン・ショック第2幕の開演リスクは大きく後退したのではないだろうか。
なにしろ、2011年12月には金融機関の要請に応じ、彼らが求めるだけの資金を無条件に供給した。実際、欧州情勢はその後、ドラスチックに改善、平時の状態に戻りつつある。投資家の不安心理を示すVIX指数は昨夏の48ポイントが直近では17ポイントと、急低下をみせている。
さらに、FRBは3月13日のFOMC(公開市場委員会)において、QE3に踏み切るといわれている。金融緩和第3弾は、住宅ローン担保証券の買い増しになりそうである。
アメリカの住宅市場は中古住宅在庫率が適正水準(6.0ヵ月)の近くまで低下(2011年12月は6.2ヵ月)したほか、ケース・シラー指数が底打ち⇒反発の兆しをみせるなど、著しい改善を示している。
そこに、QE3である。オバマ大統領の再選は今年10~11月に、就任時の失業率(7.8%)を下回っていなければない、といわれている。それだけに、オバマ政権は必死である。アメリカ景気は年央にかけて回復の動きを鮮明にするだろう。
実は、アメリカの住宅価格(2006年4月がピーク)と日本のメガバンクの株価は不思議なことに、奇妙にパラレルな値動きとなっている。三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)、みずほフィナンシャルグループ(8411)ともに、2006年4月が高値である。このアノマリーに従えば、メガバンクの株価の反発は本物といえる。
中国、ブラジル、インド、インドネシアなど新興国も金融緩和に政策の軸足を移してきた。これが株価の反発を支援する。
スカパーJSATホールディングス(9412)はテレビのデジタル化の恩恵を享受できる。今後10年間、イギリスのBskyB、アメリカのDirecTVのような高成長が見込める。つれて、株価は大きく見直されるだろう。
・三菱UFJフィナンシャルグループ
2006年4月7日の高値1,990円 直近安値318円 下落率84.0%
・みずほフィナンシャルグループ
2006年4月19日の高値1,030円 直近安値98円 下落率90.5%
2012.2.3 外国人は持たざるリスクに脅える?
相場は『弱気の壁をよじ登る』という。日本の株式市場は2006年以降、世界の株式市場に対し、アンダーパフォームの状態が続いている。そう、世界トップクラスのさえないマーケットである。昨秋来では10%のアンダーパフォームになっている。
内外の機関投資家のみならず、個人投資家にとっても極めて不人気な市場だろう。東日本大震災に加え、超円高、電力危機、タイの洪水もあった。不人気なのは当然である。しかし、それだけに、多くの投資家が日本株を持っていない、という見方ができる。
結果として、東証1部のPBR(株価純資産倍率)は0.96倍、2部は0.66倍と、解散価値以下の水準に放置されている。ちなみに、世界市場の平均PBRは1.65倍である。赤字決算ならともかく、大幅増益予想なのにここまで売り込む必要があるのだろうか。
ちなみに、2012年の日本企業のEPS(1株利益)成長率は18.0%と、グローバル平均の7.1%を大きく上回る見通しである。2012年のGDP成長率は先進国のトップグループにいる。さらに、2011年比良くなるのは日本だけ。
現在、日経平均株価のBPS(1株純資産)は9,097円になっている。仮に、世界平均並みのPBRに評価すると、日経平均株価は1万5,000円になるのだが…。
まあ、この予測は現状では恐れ多いし、考えにくい。しかし、日本企業、および日本経済が東日本大震災、超円高、タイの洪水、欧州金融危機、福島原発事故など多くのトラブルを克服しつつある状況下、せめて2011年3月10日の東日本大震災直前の水準(PBR1.29倍⇒日経平均株価は1万1,700円)はクリアしてもいいのではないか。
筆者のデッサンではとりあえず、日経平均株価はPBR1倍水準(9,100円前後)でもみ合ったあと、年央にかけて1万1,700円を目指す、と考えている。外国人は持たざるリスクに脅え始めている、という。
したがって、ここは徹底した押目買い作戦が有効だろう。もちろん、欧州情勢は引き続いて気掛かりである。しかし、昨秋~今春に独・DAX指数は36.3%、NYダウは20.7%、NASDAQ指数は26.4%の急騰劇を演じている。この強さはマスコミがヒステリックに報じるユーロ崩壊⇒恐慌突入はない、とのマーケットの声(株価は正しい!)だろう。
逆に、投資家の恐怖心を示すVIX指数は昨夏48ポイント⇒直近17ポイント割れ寸前と、急低下をみせている。欧州情勢を心配しているのは日本の投資家だけじゃないか。
市場センチメントの改善も著しい。仕手介入がささやかれている共立印刷(7838)、MUTOHホールディングス(7999)などの好人気がその証明だろう。ピーエスシー(3649)は昨年11月24日の安値737円が、2月3日は何と4,410円である。
さらに、ファンダメンタルズの好転、猛烈な流動性の供給が株高を支援する。このほか、ROE(自己資本率)の上昇、復興投資の本格化などが見込める。相場はジリ高をたどるだろう。
一方、ここでの狙い目は3月決算期末の配当取りを兼ねて三井物産(8031)、日産自動車(7201)、みずほFG(8411)、伊藤忠商事(8001)などにあろう。豆蔵OSホールディングス(3756)、スカパーJSATホールディングス(9412)はロングランに狙える。
2012.2.2 2012年央にかけて日本株が堅調と予想するこれだけの理由!!
日本の株式市場は今後、出遅れ修正(大幅反発)が期待できる。2012年央には日経平均株価が1万1,700円がらみの水準(PBR1.29倍)まで上昇する可能性がある。
7月以降については政治次第だと考えている。その前に、4月の小沢一郎氏に対する判決がポイントになる。無罪か有罪によって、状況は大きく変わる。
野田政権は夏場に行き詰るだろう。その場合、解散・総選挙に突入する。しかし、『何でも反対』の自民党の票は伸びない。結局、政治は混乱するだろう。
2012年相場は前半が勝負である。その後についてはその時に改めて検討し、投資作戦を立案したいと思う。以下、6月までの投資環境(株高の背景)をピックアップしてみた。ご参考に。
海外要因
●欧州情勢(南欧諸国の財政リスク、ユーロ不安)をどうみるか⇒株価には先見性(1年先を読み形成させる)がある!
●独・DAX指数、NYダウの強さ、VIX(恐怖)指数の急低下(48ポイント⇒18ポイント)が示唆しているのは?
●マーケットは賢いし、かつ正直である!
●ECBがQE1(1兆ユーロの流動性を供給)を断行、FRBはQE3(住宅ローン担保証券の買い増し)に踏み切る!
●中国・人民銀行は公開市場操作により資金を供給、新規融資の拡大を容認
●アメリカの中古住宅在庫率が適正水準(6ヵ月)に接近⇒2006年4月以来のレベル⇒2006年4月は住宅価格(ケース・シラー指数)のピーク
●日本のメガバンクの株価は2006年4月に大天井を形成⇒5年間下げ続ける?
●ケース・シラー指数とメガバンクの株価の奇妙な関係
●LIBOR-OISのスプレッドが縮小⇒外国人の投資行動は予測できる!
縮小⇒買い越し
拡大⇒売り越し
●中国の次期首席候補の習近平氏は上海閥(成長主義論者)
国内要因
●20兆円の復興費(第1次~第4次の予算)を投入
●超円高の後、超円安のパターンに!
●国債暴落の足音⇒ヘッジファンドが売り仕掛けを目論む!
●財政再建が急務に!
●ROE(自己資本利益率)が上昇⇒黒字決算なのにPBR1倍割れは異常
●PBRは東証1部が0.95倍、東証2部が0.66倍、世界平均は1.65倍
●2011年3月10日の水準は1.29倍⇒日経平均株価のBPSは9,097円
●営業利益率が上昇する理由
●M&Aの活発化⇒上場企業の時価総額に対するキャッシュ比率は29%(アメリカ企業は11%)
●労働分配率の低下⇒なぜ、アメリカの労働者はウォール街を占拠したのか?
●一方、日本の投資家は兜町を去る!
●ハーフインダール・ハーシュマン指数の上昇
●1979年夏のアメリカでの『株式の死』論争⇒PBRは戦後初の1倍割れ(0.98倍)水準に!
●国内の機関投資家は株式を売りまくる!
●15年前と比較すると、銀行の株式保有額は48兆円⇒17兆円、生保は34兆円⇒14兆円に!
●年金資産に占める日本株のウェイトは20%以下に!
●日本の株式市場は2006年以降、世界市場に対し、アンダーパフォーム
●ほとんどの投資家(外国人を含む)が日本株をアンダーウェイトに!
●“持たざるリスク”に脅える?
●2012年の日本企業のEPS成長率は18.0%⇒グローバル平均(7.1%)を大きく上回る!
●新春の欧州向け日本株売り込みのキャラバン隊(野村證券)が大歓迎を受ける!
2012.2.1 DAX指数、NYダウの強さが示すものは?
株式市場は正念場を迎えている。ただ、兜町では『迷った時は株価に聞け!』という。そう、株価は賢いし、正直である。
欧州危機(南欧諸国のソブリン・リスク、ユーロ不安)は深刻さを増している。特に、ギリシャの債務リストラ問題は今週がヤマ場だが、交渉決裂の可能性がささやかれている。
このため、ほとんどのマスコミ報道はネガティブである。さらに、ユーロ崩壊⇒恐慌突入などと叫ぶ人達がいる。本当に恐慌突入なのだろうか。
欧州危機に直撃されているはずの独・DAX指数は昨秋~今春に3割強の急騰劇を演じている。NYダウは2割の上昇率を記録している。抜群に強い。投資家の不安心理を示すVIX指数は昨夏に48ポイントだったが、現在は18~19ポイントの水準にある。
VIX指数は別名“恐怖”指数と呼ばれている。アメリカの投資家は欧州危機を『何とかなる』と思っているのだろう。すなわち、危機は克服される、と。
ドイツの強さは欧州では“一人勝ち”であり、理解できる。だが、ユーロの強さはどう説明するべきだろうか。そう、先週には1ユーロ=101円台を回復してきた。いかに、ショート・ポジションの“解消”が中心とはいえ、売方に買い戻しを急がせる理由があるのだろう。
日本市場ではオプションの建て玉残高に異変が起きている。すなわち、弱気マーケットにもかかわらず、コールの建て玉残高がプットのそれを上回っている。これは2009年5月以来のこと。
ちなみに、2009年5月は日経平均株価が3月10日に、7,054円のバブル崩壊後の安値をつけたあと、反騰態勢を鮮明にした局面である。テクニカル的には現状と酷似しているではないか。
フィリピンの株式市場は今年に入って、史上最高値を更新、マレーシア、インドネシア、タイの株式市場も活況である。こうした株価の動きを見る限り、欧州危機は回避されるのではないか。加えて、各国金融当局の猛烈な流動性の供給(金融緩和、利下げ)が株高を支援する。
もちろん、日本の株式市場を取り巻く環境は急好転を示しているし、出遅れが著しい。少なくとも、市場の平均のPBR1倍割れは異常ではないか。
一方、物色面では売られすぎ銘柄の逆襲があると思う。まず、メガバンクである。3月決算期の配当取りをかねて三菱UFJFG(8306)、三井住友FG(8316)、みずほFG(8411)の大幅な反発が期待できる。
さらに、猛烈な流動性の供給は資源・エネルギー価格の高騰につながるだろう。三菱商事(8053)、三井物産(8031)、双日(2768)、丸紅(8002)などはジリ高となろう。
もちろん、復興関連はメーンテーマであり、引き続いて狙える。復興関連の小物では、石川島建材(5276)、トーエル(3361)、国際計測器(7722)に妙味があろう。
帝人(3401)は二番底を形成、出直り態勢を鮮明にしている自動車向けの炭素繊維に注目できる。とりあえず、300円台乗せを目指している。
2012.2.1 豆蔵は社名はもちろんのこと、業態もユニーク!
一度失った信頼を取り戻すのは大変だが、人気もそうだろう。日本の株式市場は2006年以降、世界の株式市場に対し、アンダーパフォームの状態が続いている。昨秋来では10%のアンダーパフォームになっている。極めて不人気なマーケットである。結果的に、東証1部のPBRは0.95倍と、解散価値以下の水準に放置されている。
ちなみに、世界平均のPBRは1.65倍である。現在、日経平均株価のBPSは9,097円となっている。仮に、世界平均並みのPBRに評価すると、1万5,000円になるのだが…。
まあ、そんな恐れ多いことはこの局面では考えられない。無謀というものである。
しかし、2011年3月11日の東日本大震災直前の水準(3月10日のPBR1.29倍⇒1万1,700円がらみ)はクリアできるのではないだろうか。
とりあえず、筆者はPBR1倍水準(9,100円前後)でもみ合ったあと、年央にかけ1万1,700円を目指す、そんな相場デッサンを描いている。
外部環境では引き続いて欧州情勢が気掛かりだが、昨秋~今春に独・DAX指数は32.1%、NYダウは19.7%の急騰劇を演じている。株価は正直!という。
逆に、投資家の恐怖心を示すVIX指数は48ポイント⇒18~19ポイントと急低下を見せている。マーケットが発するシグナルは『危機は回避される』ということだろう。
需給面では外国人が昨年12月第4週以降、買い越しに転換(5,000億円強買い越し)している。
外国人の投資行動はLIBOR-OISのスプレッドが拡大⇒売り、縮小⇒買いのパターンによって予測できる。筆者は12月初旬には買い越しに転換する、と主張してきた。タイミングは若干ずれたが、基本的には想定通りの展開である。
個人の投資意欲(センチメント)も回復してきた。きちり(昨年8月9日の安値7万1,000円⇒1月27日の高値71万8,000円)、ピーエスシー(昨年11月24日の安値737円⇒1月31日の高値3,335円)などの暴騰が好例だろう。
仕手筋の復活も見られる。N氏、K氏、Y氏などのグループが活発に動いているようだが、彼らが仕掛けているとされる共立印刷(7838)、新日本理化(4406)、MUTOHホールディング(7999)、丸紅建材リース(9763)などの動向には目が離せないと思う。
いや、別にこれらの銘柄を推奨しているのではない。きちり、ピーエスシーには政治資金の参戦もささやかれている。ともあれ、株式市場に新規資金が流入してきているのは確かだろう。これが重要な事象なのである。
もちろん、不人気だったゆえに、ほとんどの投資家が日本株をアンダーウエイトにしている。恐らく、この“逆目”が出るだろう。
豆蔵OSホールディングス(3756)は、社名はもちろんのこと、業態がユニークである。荻原紀男社長も変わっている。名経営者である。ソフト開発コンサルティングを主業務とするが、独自のM&A戦を駆使、業容を拡大している。子会社のジークホールディングスはシンガポールなど海外市場への新規公開を計画しているし、ジェイエムテクノロジーのスタッフは東日本大震災により生産が停止し、各業界に多大のダメージを与えたルネサステクノロジー(マイコンのトップメーカー)の那珂工場の復旧に大活躍、『さすが!』といわれた。株価は10万~11万円だが、見直し必至と判断する。
2012.1.27 2012年は国際的に政治がポイントに!
2012年は国際的に選挙・政権交代の年である。すでに、台湾総統選は終わったが、このあとにロシア大統領選挙(3月4日)、フランス大統領選挙(4月22日に第1回投票、5月6日に上位2人による決選投票)が控えている。フランスでは現職のサルコジ大統領(社会党のオランド氏が優勢)が苦戦中である。
さらに、11月6日にはアメリカの大統領選挙、12月には韓国の大統領選挙がある。オバマ大統領の再選は『難しい』とされているが、共和党候補(ロムニー前マサチューセッツ州知事など)がつぶし合いを行なっており、それに助けられている。
一方、政治情勢では中国が大きなポイントになろう。9月には5年に1度の中国共産党大会(第18回中国共産党全国代表大会)が開催される。10年ぶりに政権交代が予定されているが、こちらは、習近平(シージンピン)氏が胡錦濤(フージンタオ)国家主席のあとを継ぐとみるのが常識である。
スケジュール的には、2013年3月の全国人民代表大会において国家主席に就任する予定となっている。温家宝(ウェンジャーパオ)首相も同時に勇退する。
問題は首相人事だろう。温首相の後継者は誰なのだろうか。こちらはまだ決まっていない。この首相人事次第では中国の経済政策が大きく変動する可能性があり、注目を怠れないと思う。
実は、習氏は上海閥である。江沢民(ジャンスーミン)前国家主席の流れを汲む、といわれている。もちろん、政府首脳を父に持つ太子党(習氏の父は副首相だった習仲勲氏)である。
次期政権の組閣には太子党、上海閥、および江氏の影響力が色濃く漂っている。では、現職の胡主席、温首相の意向はどうなっているのだろうか。
習氏はすでに、副主席である。ナンバー2の地位をしっかり固めている。これは次期首席確定と判断できる。さて、現職2氏が推していたのは胡主席の同郷であり、同じ中国共産主義青年団出身の李克強(リークァチャン)第1副首相だった、といわれている。李氏は格差是正を訴えている。
しかし、上海閥の習氏に敗れた。恐らく、すさまじい権力闘争があったのだろう。そこで、『首相に』となったようだが、ここに登場したのが王岐山(ワンチーシャン)副首相である。
彼は江氏のほか、朱鎔基(ジューロンジー)前首相の流れを受けている。もちろん、成長論者である。ただ、王首相誕生となると、現職2氏の立場はない。それに、李氏と王氏の間には、政策、考え方に大きな違いがある。だからこそ、首相人事次第では中国情勢が激変する、と主張している。まあ、首相は李氏となろう。
2012.1.26 世が世であれば日経平均株価は17万円?
株価は正しい!という。いや、ときには上下に暴力的な価格形成の商状をみせることがある。しかし、基本的には企業の将来価値を素直に反映している。そして、行き過ぎは必ず修正される。
ちなみに、1月25日の日経平均株価は8883円、NYダウは1万2758ドルだった。その差は1.44倍である。これはあくまでも単純な比較だが、NYダウが日経平均株価を44%上回っている、ということ。
既報のように、東京市場とNY市場の強弱の背景にはそれなりの背景がある。ただ、それにしても東京市場が世界の株式市場に対し、大きく出遅れているのは確かだろう。
これまた、当コラムが再三指摘していることだが、東京市場の戦後初の立ち合いが行われたのは1949年5月16日であり、この日の日経平均株価は176円だった。NYダウは? 奇しくもまったく同じ176ドルだった。円、ドルの違いを無視すると、ちょうど1対1のスタートである。
さて、その後の動きはどうなったのか。日本は『東洋の奇跡』と称される戦後の復興、高度成長をなし遂げ、世界第2位の経済大国に登りつめた。そのピークが1989年末である。日経平均株価は12月29日(土曜日)に3万8915円の史上最高値を示現している。
一方、アメリカの戦後の歴史(1980年代以降は違う)は『凋落』の一語に尽きる。第二次世界大戦での唯一の“勝ち組”は、ベトナム戦争などによって国力が衰退の一途をたどった。ちなみに、1989年12月28日のNYダウは2753ドルである。
その差は実に、1対14に開いた。14倍である。それが何と、日本のバブル崩壊、そして、失われた20年の低迷の間に、アメリカはレーガン大統領の『偉大なアメリカの再構築』戦略などが効を奏し、2003年4月1~2日には日経平均株価とNYダウが1対1となり、現在は4割強負けている。
まあ、ぐちに近いが、現時点において1対14の差があれば、日経平均株価は17万8600円になる。現状は? 9000円割れ。いかに、政治の無為無策に加え、パラダイム・ショック(枠組みの変化)があったとはいえ、情けない話じゃないか。
ミクシィ(2121)はゲームビジネスに出遅れ、株価が出遅れていたが、ここにきてディーエヌエーと提携するなど、巻き返し戦略を推進中である。株価は再評価が必要だろう。丸紅(8002)は1年5ヵ月ぶりの高値となった銅価格上昇のメリットを享受できる。
2012.1.25 マーケットには先見性がある!
株式市場(兜町)には、株価は株価に聞け!という相場格言がある。改めて述べるまでもないが、株価は1年先、債券は3年先、為替は5年先を読み、形成されている。すなわち、マーケットには先見性(先を読む能力)がある。
そう、マーケットは正直である。ドイツ・DAX指数はギリシャ問題が深刻化した昨年9月12日の4965ポイントを安値に、1月23日には6436ポイントまで上昇、抜群に強い動きをみせている。上昇率は29.6%となる。
本当に、ギリシャは無秩序なデフォルト(債務不履行)に追い込まれるのか。欧州危機(南欧のソブリン・リスク、ユーロ不安など)が進行しているのだろうか。
なにしろ、ユーロ崩壊⇒恐慌突入!などと、叫んでいる人達がいる。マスコミ報道はネガティブなものばかり。専門家と称する人ほど弱気である。そうなった場合、株式市場がダメージを受けないはずがないだろう。
しかし、実際は違う。DAX指数は3割もの急騰劇を演じている。欧州情勢に一喜一憂しているのはユーロ不安にあまり関係なさそうな日本の株式市場だけじゃないか。
フィリピンの株式市場は今年に入って、史上最高値を更新、マレーシア、インドネシア、タイの株式市場も活況を呈している。NYダウは昨年10月3日の1万0655ドルを安値に、猛反騰に転じ、1月20日には1万2720ドルと19.4%の上昇率を記録している。いまや、世界的な株高なのである。
投資家の恐怖心を表しているVIX指数は、昨年夏は48ポイントだったが、現在は18ポイント台である。株式市場の状況をみる限り、投資家の皆さんは恐慌突入!とは思っていない。マーケットはときに暴走するが、基本的には賢い、といわれている。
株価には先見性がある。株価はほぼ1年先を見据えて動いている。欧州危機はいずれ克服されるとともに、各国金融当局の猛烈な金融緩和→流動性の供給→利下げが株高を支えているのだろう。
筆者は昨年秋以来、2012年に未曾有(みぞう)の流動性相場が始まる!と主張してきた。“復興”とともに、これがメーンテーマになる、と。現状はまさに、予想通りの展開になっているではないか。
流動性相場の主役は売られ過ぎのコア銘柄(いわゆる“川底の金貨”)だろう。とりあえず、3月決算期末の配当取りを兼ねて、三菱UFJFG(8306)、三井住友FG(8316)、みずほFG(8411)などメガバンクの猛反騰相場が期待できる。
国際計測器(7722)はタイヤのばらつき(遠心力)を計るバランシングマシンの大手メーカである。このほか、地震計を手掛けている。2012年3月期は年40円配当を予定しており、時価の600~610円は配当利回りが6.6%になる。やはり、玉をコツコツと仕込んでいる(100株取引)形跡がみられる。
共立印刷(7838)は仕手のNグループが介入している。株価はジリジリと水準を切り上げている。近く、六本木でのNグループの会合が予定されているらしい。ここに別の大物仕手が仲間を引き連れて参陣する、という。
2012.1.25 夢をみるのと夢をかなえるのは違う!
知人の話である。アメリカ(ボストン)のハーバード大学構内(壁面)にはいろいろな落書き(教訓?)が記されている、らしい。残念だが、まだ筆者はハーバード大学を訪れたことがない。知人によると、以下の文言が気に入っており、苦境に陥っている証券会社の経営陣に、『もう、どうしたらいいのか分からない』と泣きつかれたとき、この1文を紹介している、という。
すなわち、『眠りたければ眠りなさい。きっと夢をみるでしょう。しかし、眠気を我慢して勉強すれば夢がかなうはずです。疲れたら歩くのをやめなさい。しかし、明日は走らねばなりません』と。そう、地道な精進努力の大切さを唱えている。
これは株式投資にもいえること。自慢するわけではないが、筆者の独自の2大キャンペーン(“川底の金貨”を拾おうじゃないか、普通預金を引き出しメガバンクの株を買おう!!)は大きな収益を生もうとしている。リスクを取った勇気、努力は必ず報われる。
改めて述べるまでもない。日本の株式市場は海外の株式市場に比べ大幅に出遅れている。何と、東証1部上場企業の7割がPBR1倍割れ水準にある。
もちろん、出遅れるにはそれなりの理由があろう。需給が悪かったし、アメリカの上場企業の収益は2007年のピーク水準を1割上回っている。しかし、日本の上場企業の収益はピーク水準の8割弱にとどまっている。ただ、これはやむを得ない、と思う。
なにしろ、2011年には東日本大震災、福島原発事故に加え、タイの洪水、超円高など日本固有の悪材料が続出した。中国の金融引き締め、世界景気の減速懸念もあった。日本はデフレが進行している。
いや~、企業は多くのハンディを課されたにもかかわらず、良く頑張った、といえるだろう。それに、今後は営業利益率の上昇につながる労働分配率の低下、株価と密接な関わりのあるROE(株主資本利益率)の改善が見込まれている。流れは変わりつつある。
時価総額に対する上場企業のキャッシュ比率は日本29%、アメリカ11%となっている。内部留保(分母)を厚くすると、結果的にROEは悪くなってしまう。もとより、分子の利益水準も落ちたのだが…。
しかし、ここにきて企業はM&Aの活発化、増配・自社株買いなど内部留保の活用を始めた。欧米企業が委縮しているのとは対照的である。さらに、2012年度は2割前後の増益が見込まれている。
需給面では外国人がショート・ポジションの巻き戻しとはいえ、買い越しに転換したほか、国内勢の売り圧力は薄れている。ちなみに、15年前と比較すると、全国銀行の株式保有額は48兆円⇒17兆円、生保は34兆円⇒14兆円と激減している。もう売り玉はあまりないのではないか。
さて、ここでの狙い目は完全に買い転換(チャート妙味)の双日(2768)、みずほFG(8411)、蝶理(8014)などにあろう。低位株だが、収益的には問題はない。もちろん、株価支援材料は豊富である。復興関連(放射能汚染物質の収納容器)の石川島建材(5276)、日本鋳造(5609)は妙味十分だろう。秘かに玉を集めている形跡がある。
2012.1.20 金がない、希望も夢もない!というものの…?
いまや、アメリカを代表する人物はレディー・ガガ?これは寂しい話である。この10年の間に、アメリカの著名なボブ・ホープ(コメディアン)、ジョニー・キャッシュ(歌手)、スティーブ・ジョブズ(アップルの創業者)の3氏が亡くなっている。
これを受け、アメリカでは希望(ホープ)がない、金(キャッシュ)がない、仕事(ジョブ)もない、という絶望的なジョークが流行っているらしい。まあ、ダジャレの類(たぐい)だが…。
2011年秋には労働者がウォール街を占拠、『格差是正』を訴えた。確かに、アメリカの格差拡大は深刻である。一方、日本では『株式の死』が話題となり、投資家が次々にマーケットを去っている。
このテーマ(なぜ、ウォール街では労働者の“座り込み”があり、日本では“株式離れ”が起こっているのか)については、いずれ詳述するつもりだが、基本的には『労働分配率』の問題だろう。
ともあれ、『ないないづくし』と伝えられているアメリカだが、景気は意外に堅調である。アメリカは特殊な国である。先進国だが、人口が増え続けており(移民が年間300万人)、新興国の特徴を兼ね備えている。そんなに心配することはない。実際、NYダウは力強い上昇波動を描いているではないか。
大恐慌時、“無能”フーバー大統領のあとを継いだルーズベルト大統領は1933年3月4日、就任演説を行なった。彼は、『恐れるべきものは恐怖心そのものである』と、平常心を保つように、国民に訴えた。歴史に残る名演説である。
今、世界中の投資家(マネー)が恐怖心に脅えている。このため、極端なリスク過敏症に陥っている。マスコミも悪い。恐慌突入と煽っている。筆者はあらかじめ予想されたことがショック安につながることはない、と主張しているのだが…。
日本では2008年末~2011年末に証券会社(日本証券業協会員)が322社→293社と、29社減った。多くが廃業である。経営陣が証券業界の先行きに見切りをつけたのだろう。まさに、背中がゾクゾクッとするような“恐怖”が廃業を決断させたのだと思う。
しかし、この“恐怖”こそが明確な底打ちのシグナルにほかならない。いつもそうじゃないか。1992年8月、1995年7月、1998年10月、2003年4月、2009年3月がそうであったように…。今回もここが絶好の買い場になろう。
物色面では引き続いて復興、社会インフラ更新サイクル関連が主役となろう。これ以外では、日新製鋼(5407)、カネカ(4118)が動兆しきりである。全般相場は完全に反騰態勢に入っている。
2012.1.20 2012年相場の注目セクター&テーマ ④社会インフラの更新サイクルが到来!
株式市場では復興関連、および社会インフラの更新サイクル到来に関係する銘柄が大フィーバーを演じている。日本橋梁(5912)は昨年12月22日に222円の安値をつけているが、1月20日には何と、1150円である。もちろん、短期的にはひと相場が終わっている。
まあ、プロと自称する人たちがメチャクチャな弱気を唱えている間に、マーケットの状況は一変したということか。冷静に考えてみると、欧州情勢(南欧諸国のソブリン・リスク、ユーロ不安)の厳しさが伝えられているにもかかわらず、ドイツ・DAX指数は昨年9月~今年1月に3割の急騰劇を演じている。
NYダウはアメリカ国債の格下げが底入れのきっかけとなり、昨年10月~今年1月に19%上昇している。上がっていないのは欧州情勢とあまり関係がなさそうな日本株だけではないか。
これはどうしたことだろう?アメリカの投資家の恐怖度を示すVIX指数は昨年8月の48ポイントをピークに、現在は20ポイント割れの水準まで低下している。フィリピンの株価指数は今年に入って、史上最高値を更新した。マレーシアの株価なども堅調である。
東京では現在、数々のビッグプロジェクトが進行中である。東京スカイツリーは5月に開業する。渋谷再開発は4月オープンである。さらに、山手線の品川駅~田町駅の間に新駅を建設(この地域を再開発中→山手線の新駅は1971年以来)する。
首都高速道路(総延長300km)の大改修方針も明らかになっている。最も古い区間は1962年(東京オリンピックの2年前)に完成したもの。多くが2車線であり、狭い。劣化が著しい。ガタガタである。
総延長300kmのうち、5割は建設後30年以上、3割は同40年以上が経過している。経験則的に、コンクリート製の社会インフラの寿命は50年程度といわれている。
加えて、想定以上の交通量、車輌の大型化がある。首藤高速道路の劣化は否めない。アメリカでは1936~1940年(ルーズベルト大統領によるニューディール政策)に大量に建設された高速道路、橋梁が1980年代後半に荒廃し、社会問題になったことがある。
ちなみに、レーガン大統領、ブッシュ(父)大統領時代は“小さな政府”がスローガンだったが、公共インフラ投資は増えている。現在のオバマ大統領は高速道路の補修、高速鉄道網の整備を意欲的に進めている。日本の現状は1980年代後半のアメリカとまったく同じではないか。
加えて、日本の場合、首都直下型地震の襲来が危惧されている(4年以内に確率70%との説もある)。首都高速道路が被災すると、物流は東西で真っ二つに寸断される。そのダメージは東日本大震災におけるサプライチェーン断絶の比ではないだろう。
なにしろ、『すべての道は東京に通じている』。だからこそ、今、凍結状態だった外環道、首都高速中央環状線、圏央道などの代替路線(う回路)の建設を急いでいるのであろう。
早急に、東名、中央、常磐、東北、関越などの物流の大動脈の自動車道が首都高速道路を経由せず、西、東に行けるようにしなければならない。もちろん、そうでなければ首都高速道路の大改修はできない。民主党はようやくそこに気がついたとみえる。
いずれにせよ、道路、橋梁、セメント、コンクリート2次製品、構造材セクターの株価フィーバーは社会インフラの更新サイクル到来という大きなテーマに沿ったものである。息の長い相場が期待できるのではないだろうか。
2012.1.19 ウォーレン・バフェット氏の銘柄発掘法!
ウォーレン・バフェット氏の師匠と呼ばれるベンジャミン・グレアムは恐慌的な状況下での銘柄発掘のポイント(7項目)を列記している。すなわち、①適切な規模(小型株は避ける→現在の日本市場では小型株が人気化する可能性が濃厚)であること(売上高など具体的な数値あり)、②健全な財務内容を有すること)流動比率、長期負債比率など)、③10年間、最終利益が赤字になっていないこと、④過去20年間、無配の年がないこと、⑤1株利益が成長していること(細かい数値があり)、⑥妥当なPER(PER15倍以下→これは日本の主力企業はほとんど該当する)、⑦妥当なPBR(PBR1.5倍以下→これも⑥と同様にほとんどの企業がクリアーする)――など。
日本を代表する主軸株は、③を除くと、例外なくこの条件を満たしている。仮に、グレアムが今の日本市場(特に、主軸株の惨状)を見たら、どういった行動をとるだろうか。恐らく、手当たり次第に買うのではないか。
一方、ウォーレン・バフェット氏の投資会社『バークシャー・ハザウェイ』のマニュアルレポートによると、同社の株式取得、および買収基準は以下の通りとなっている。
すなわち、①税引前利益が最低7500万ドル、②持続的な収益力、③ROE(株主資本利益率)が高く、負債が少ない、④立派な経営者がいる、⑤わかりやすい事業――など、となっている。
最近はIBM、インテルなどハイテク株にも積極的に投資している。かつては『IT、ネット関連などサルに理解できないような事業には投資しない』と語っていたのだが…。
なお、バンクオブアメリカ・メリルリンチは2011年11月25日にバフェット氏の投資対象になりそうな企業として、カカクコム、エービーシーマート、東洋水産、参天製薬、ヤフー、ドクターシーラボ、スギホールディングス、ヤマダ電機、ニトリホールディングス、ファーストリテイリングの10銘柄を取り上げている(ただし、このリストは同社の投資銘柄ではない)。このリストではスギホールディングス(7649)が面白いと思う。
一方、足元の株式市場では、メーンの“復興”に加え、世界人口の激増→食糧増産が大きなテーマとなっている。この分野では農薬メーカーの北興化学工業(4992)、コープケミカル(4003)、クミアイ化学工業(4996)、農薬原料の宇部興産(4208)、石原産業(4028)などに注目できる。
2012.1.19 2012年相場の注目セクター&テーマ ③CESにおける話題の新商品は?
年明け早々、アメリカのラスベガスにおいて、話題の消費者家電ショー(CES→1月10~13日)が開催された。中国、韓国勢の存在感が際立っていた、という。エレクトロニクス業界では日本企業の影が年々薄れている。
CESとは全米家電協会(CEA)が年1回開いている家電、情報、エレクトロニクスに関する総合展示会のこと。今年の『CES2012』は45回目となる。来場者は業界関係者に限定されているものの、今年は140ヵ国、15万人の参加があったという。
参加企業は2700社以上にのぼった。活況だったということ。CESが注目されるのは世界最大級の展示会というだけではない。過去にはビデオカセットレコーダー(1970年)、CDプレーヤー(1981年)、タブレットPC(2010年)など、その後に大ヒットしたハイテク製品が初披露されているため。
これでは株式市場(投資家)関係者にとっても目が離せない。当然だが、iPad→インテルのように、世界的なヒット商品の出現は株価急騰の起爆剤になる。なお、大和証券では事前に、今年のCESで注目されそうなハイテク製品として以下の4点を挙げている。
すなわち、マイクロソフトの次期OS(基本ソフト)『Windows8』 (日本企業関連は日本電産)、電子書籍端末のカラー電子ペーパー(同楽天、シャープ、セイコーエプソン、大日本印刷など)、インテルが提唱しているモバイル端末の新カテゴリーのウルトラブック(同東芝、イビデン、日東電工)、マイクロソフトの『Xbox360』の後継機『Loop』、および任天堂の次世代ゲーム機『Wii U』(同ミツミ電機、ホシデン、スクウェア・エニックス、カプコンなど)である。なお、ウルトラブックにはHDDではなくSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)が使われている。
さて、足元の相場環境下ではやはり、鹿島(1812)、東洋建設(1890)、不動テトラ(1813)など中・低位の内需関連株に妙味がある。このセクター以外ではチャート的に小田急電鉄(9007)、コスモ石油(5007)、タクマ(6013)などに買いシグナルが点灯している。
2012.1.18 キンドルバーガー&グレアムの教え!
新春である。2012年のスタートに際し、改めて先人の相場哲学を学んでおきたいと思う。チャールズ・キンドルバーガー(故人)は1930年代の大恐慌の研究家である。彼はパニック的な投げ売り相場が終わる条件として、以下の3点を挙げている。すなわち、①著名な投資家(相場巧者)が買い出動すること、②マーケット(市場)が閉鎖されること、③中央銀行があらゆるもの(金融商品)の買い手になること――である。
大恐慌時はボストンに隠棲していたジョセフ・ケネディのウォール街復帰、買い出動が話題になった。これを現在に置き換えてみると、①はウォーレン・バフェット氏だろう。そう、かつてのジョセフ・ケネディ、ジョン・テンプルトン、ピーター・リンチなどの“相場巧者”がそうだったが、彼らは基本的にバーゲン・ハンティング(恐慌的な投げ売り局面を勇気をふるって買う)を得意としている。
バフェット氏は昨年末に訪日(出資先のタンガロイのいわき工場を訪問するのが目的だったが…)、日本株を買い始めている、といわれている。もちろん、日本株の買い出動については公表はされていない。ただ、長期投資のバリューファンドは主軸株の安値ゾーンをしっかり拾っている。
③についてはすでに、BOE(イングランド銀行)、FRB、日銀が動いている。日銀はETF(上場株式投信)、REIT(不動産投信)まで買っている。次はECB(欧州中央銀行)の番だろう。昨年12月には無制限の資金供給(とりあえず、50兆円)に踏み切っている。
ベンジャミン・グレアム(故人)は近代証券分析の父として知られているが、最近はむしろ、あのウォーレン・バフェット氏の“師”(大学時代の先生)の方が有名である。
彼は1930年代の世界恐慌を踏まえ、『マーケットは常に賢く冷静であり、合理的に動くわけではない。時に、暴力的、かつ理不尽なバカげた株価を形成することがある』と語っている。
まさに、日本市場の現状がそうだろう。日本を代表する、というより世界トップクラスの優良(グローバル)企業のPBRが軒並み1倍割れ、解散価値以下の株価水準に売り叩かれている。海外メディアが『心を引き裂く大悲劇』と報じた東日本大震災直後の3月15日の安値(日経平均株価の終値ベースの安値は8605円)以下に売り込む必要があるのだろうか。
もちろん、これは欧州情勢(南欧諸国のソブリン・リスク&ユーロ不安)、世界景気の減速懸念、タイの洪水、超円高などに加え、ヘッジファンド、投信の解約増→換金売り、機関投資家の見切り売り、信用取引に追い証発生→投げ売りなど需給悪、人気離散を反映したものだろう。
しかし、ベンジャミン・グレアムは『そこが千載一遇の買いチャンスになる』と指摘している。その教えを忠実に実践し、巨万の“富”を築いてきたのがウォーレン・バフェット氏である。
ドウシシャ(7483)は円高メリットを享受できる業態であり、この局面では狙える。足元の業績は好調である。チャートは“上放れ”の動きを鮮明にしている。ここは攻めの一手だろう。京王電鉄(9008)がジリジリと水準を切り上げている。ここは狙える。
2012.1.18 2012年相場の注目セクター&テーマ ②メーンテーマは復興!
2012年のメーンテーマは復興だろう。東日本大震災の復興に向けての取り組みが本格化してきた。すでに、がれきの撤去、放射能の除染は始まっている。“雪解け”とともに、この動きが加速するだろう。
補正予算は第1次~3次合計18.1兆円である。特に、再生に不可欠のがれき処理は2013年までに完了、2016年には海岸・河川の復旧、地方道路、鉄道、港湾の復旧・整備を終える計画である。
当然、第4次補正予算(2兆~3兆円規模)の編成が必要となろう。除染については完了までに5年以上の歳月がかかる見通しである。この間、故郷を離れた人達にとってはつらい日々が続くことになる。再三指摘しているように、福島原発事故は人災である。
海岸・主要港湾は岩手、宮城、福島の3県のうち、海岸堤防300キロメートルの190キロメートルが全壊・半壊、重要港湾が11港の防波堤60キロメートルの26キロメートルが被災、373バースの120バースが利用不可、漁港の防波堤が55ヵ所の52ヵ所が被災――などとなっている。
これらの復興工事、がれき処理、除染のメリットを享受できるのは、鹿島(1812)、西松建設(1820)、五洋建設(1893)、不動テトラ(1813)、ライト工業(1926)など。ゼネコン、海洋土木、道路、橋梁メーカーは超繁忙となろう。
鉄道についてはJR東日本が被害を受けた320キロメートルのうち、2011年度に32キロメートルが再開、2012年度に31キロメートルの再開を見込んでいるが、まだ全体の20%に過ぎない。鉄建(1815)はJR東日本の子会社である。メリットを受ける。
復興には建設機械が不可欠だろう。セメント需要も見込める。防災対策という視点では道路、橋梁の補修・補強を得意とするショーボンドHD(1414)、応用地質(4356)、ライト工業、NIPPO(1881)がクローズアップされる。
東北地方の復興プロジェクトが軌道に乗った段階では、同地域に営業基盤を有するケーズHD(8282)、カメイ(8037)、コメリ(8218)などが人気化する(すでに、カメイは力強い上昇相場を展開中)だろう。
タケエイ(2151)は建設関連業界の産業廃棄物処理を行う有力業者である。震災復興に関しては岩手県大槌地区の災害廃棄物破砕・選別などの業務委託を受けている。もちろん、足元の業績は絶好調である。現在、株価は調整中だが、押し目は買える。
2012.1.13 2012年相場の注目セクター&テーマ ①話題の27項目を紹介する!
2012年相場の活躍セクター&テーマの点検を。トレンドを読むのは重要なこと。古来、続く流れに逆らうな、ついていくのが儲けの道!というではないか。なお、注目銘柄については注目セクター&テーマに沿って、順次、紹介する。
◎東日本大震災の復興が本格化、がれきの撤去、除染が始まる!
◎社会インフラ(道路、橋梁、上下水道など)の更新サイクルが到来!
◎旺盛なアジア需要を取り込める企業に妙味あり!
◎TPP(環太平洋経済的連携協定)の加盟は日本の開国、夜明けを意味する!
◎欧州情勢ではECBの関与、ユーロ共通債券の発行など“合衆国”構想が前進!
◎少子・高齢化社会をどう生き抜くか、これがポイント!
◎待ったなしの財政再建、大増税時代が訪れる!
◎企業の成長戦略、事業継承を絡めたM&Aの隆盛!
◎次世代電気自動車(プラグイン・ハイブリットカー)の発売ラッシュ!
◎全原発が春には停止→今夏に電力危機が本番を迎える!
◎超円高が進行、企業の海外進出が加速、本社を移転する大企業が出現!
◎ビッグプロジェクト(再開発→東京スカイツリーなど)が相次ぎ竣工!
◎スマートフォンが情報端末の主流に!
◎通信ネットワークが新時代の幕開け!
◎通信大手のインフラ投資が急増!
◎ソーシャルゲームはグローバル競争の時代に突入!
◎株式投資は利回りに始まり、利回りに終わる!
◎ダウの犬投資法の日本版(TOPIXコア30を使用)は過去10年、年率17.5%のパフォーマンス!
◎世界人口の激増、穀物市況の高騰を受け食糧危機が起こる!
◎新興国での社会資本(鉄道、原発など)の整備計画がクローズアップされる!
◎“水争い”が激化、この原因による国際紛争が多発する!
◎日米欧の金融当局が猛烈な流動性を供給、通貨安競争が勃発!
◎資源・エネルギー価格が暴騰、クリーンなLNGは争奪戦に!
◎新興国での設備投資の主力はFA(ファクトリー・オートメーション)に移行!
◎2012年の話題のハイテク系新ヒット商品を探る!
◎2012年は主要国では選挙・政権交代のスケジュール!
◎やはり、主役は外国人→彼らが狙う銘柄は?
道路大手のNIPPO(1881)には株価支援材料が相次いでいる。東日本大震災の復興特需に加え、首都高速道路の大改修工事が始まる見通し。さらに、首都圏では未着工区間の圏央道、外環道の建設計画が大きく前進しそうである。これは防災都市構想に基づくもの。
牛タンを日本に定着させたカメイ(8037)は仙台に本拠がある“ミニ総合商社”である。地元では『コングロマリット』と称されている。東日本大震災の復興特需を満喫できる業態である。2012年3月期の連結1株利益は113円と予想されている。1株純資産は1623円ある。
2012.1.12 1~3月相場の注目銘柄を探る!
2012年相場は大発会こそ堅調だったものの、そのあとは“腰砕け”の状態に陥っている。しかし、そんなに弱気になる必要はない。欧州情勢については1月20日の金融機関のアクション・プランの提出期限がひとつのヤマ場となろう。
ここでの銘柄はとりあえず、1~3月の“限定”だが、パラマウントベッドHD(7817)、ニチイ学館(9792)、ドウシシャ(7483)、クミアイ化学工業(4996)、NIPPO(1881)、大阪有機化学工業(4187)などをピックアップしている。三菱商事(8058)はロングランに狙える。
パラマウントベッドHD、ニチイ学館は高齢化社会が到来、介護ビジネスの活況を予想し、取り上げた。ドウシシャは円高メリットを受ける業態である。連結1株利益は2012年3月期が300円超、2013年3月期が320~330円がらみになるだろう。
チャートはもみ合いゾーンを上放れてきた。上値のメドは2800~2900円水準に設定できる。大手証券のレーティング引き上げも株高を支援する。
クミアイ化学工業は農薬の大手である。今後、大型商品が次々に上市される。穀物用の土壌処理除草剤『ピロキサスルホン』(ピーク時年商300億円を見込む)が代表例だが、いよいよ同社は飛躍期を迎えた、といえるのではないだろうか。
テーマ的には世界人口の激増(2010年秋に70億人突破)→食糧危機がささやかれており、食糧増産が求められている。嫌われものだが、農薬、肥料は食糧増産に不可欠である。
株価は昨年12月15日に300円の戻り高値をつけたあと、280円前後の水準でもみ合っている。しかし、今年は3年におよぶ200~300円ゾーンでも大もみ合いを上放れるだろう。
東日本大震災の復興は2012年相場のメーンテーマと考えている。この関連銘柄については次の機会に詳報する。NIPPOは復興特需に加え、首都高速道路の大改修プロジェクト、圏央道、外環道の建設計画の前進などのメリットを享受できる。
がれきの処理では放射能汚染物質の収納容器を手掛けている日本鋳造(5609)、石川島建材工業(5276)、焼却炉のタクマ(6013)なども恩恵を享受できそうである。
このほか、出来高が急増、チャート妙味を指摘できる油研工業(6393)、コロワイド(7616)、フランスベッドHD(7840)、WOWOW(4839)、日本証券金融(8511)、イオンファンタジー(4343)などに注目している。
2012.1.12 欧州情勢は2~4月にヤマ場を迎えるが…
一方、欧州情勢は2~4月に大きなヤマ場が到来する。国債の償還スケジュールを見ると、ギリシャは3月に145億ユーロ、イタリアは2~4月に1414億ユーロが控えている。現状では借り換え債の買い手はいない。いや、長期債については売り手ばかりである。金融機関は資産の圧縮を進めている。
ただ、問題なのは長期債の償還だろう。これは2月1日に10年債541億ユーロがあるが、ここを乗り切ると、3月1日は3年債442億ユーロ、4月15日は5年債441億ユーロであり、何とかなりそうだと思う。
短い年限の国債利回りは上昇していないし、買い手はいる。10年債の541億ユーロについては3年債に切り換える選択肢が残されている。
また、欧州銀行は6月末までに自己資本比率9%の維持を求められているが、その自己資本比率を引き上げるためのアクション・プランの提出期限は1月20日である。すでに、信用収縮を招くような資金回収、国債売却などは完了しているのではないか。
だって、そうだろう。アクション・プランの狙いは実体経済へのダメージを極力抑えるために行なっているもの。アクション・プランが当局に承認されない場合、公的資金の注入(国家管理)が待っている。
そこに、自己資本比率の引き上げのために、『ギリシャ、イタリアの国債をたたき売ります』とか、『貸し出しは抑制し、貸している資金は強力に回収します→貸しはがし』と記すはずがないではないか。
もちろん、ECB(欧州中央銀行)は猛烈な資金供給(無制限)を行なっている。この結果、日米の超金融緩和と相まって、過剰流動性が発生するだろう。つれて、資源・エネルギー価格が高騰、商社株が買われるシナリオを筆者は描いている。
ニチイ学館(9792)が抜群に強い値動きを見せている。高齢化社会の到来は同社の介護事業(業界トップ)の飛躍につながるだろう。最近、テレビコマーシャルも目につくようになった。チャートは完全に順張りパターンに転換している。中勢1200~1300円がらみの水準が上値のメドになろう。
ナカヨ通信機(6715)がもみ合いゾーンを上放れてきた。ここは要注目である。“ボロ株”のように思われているが、2013年3月期の連結1株利益は32~33円がらみと予想されている。BPSは619円ある。
2012.1.11 2012年“初夢” 驚愕のビッグニュース!(下)
◎食糧危機が深刻化→抗議デモが続出!
日米欧の金融当局が見増の流動性を供給した結果、資源・エネルギー・穀物市況が暴騰、世界人口の激増(2011年10月には70億人突破)もあって、食糧危機が起こる。エジプト、チュニジアなどの『アラブの春』騒動の続編である。
株式市場では農薬メーカーの北興化学工業(4992)、コープケミカル(4003)、クミアイ化学工業(4996)、農薬原料の宇部興産(4208)、石原産業(4028)、穀物に強い丸紅(8002)、水産資源の日本水産(1332)などがフィーバーを演じる。
一方、TPP(環太平洋経済的連携協定)の加盟に向けての動きが加速し、メリットを受ける食肉輸入(コスト低減につながる)の日本ハム(2282)、ゼンショー(7550)などが人気化する。
アメリカのトラック輸入関税は25%である。200万円のトラックは250万円で売らなければならない。これがなくなると、いすゞ自動車(7202)などは大幅な販売価格の引き下げを実現できる。
◎原油(WTI)価格が1バレル=150ドルに!
イランとイスラエルの核開発をめぐる対立が激化し、イスラエル空軍がイランの核施設を攻撃、これにイランは核ミサイルをイスラエルに発射する。戦闘は1週間程度で終わったが、中東情勢が緊迫化、地政学上のリスクが高まる。つれて、原油価格は高騰、国際石油開発帝石(1605)は大仕手戦を展開、100万円の大台に乗せる。
◎東電解体→原子力事業は国有化!
東京電力は国の管理下に入るが、原子力事業は分離し、ここは完全に国有化される。株主責任については出資分に応じて負担を求められる。要するに、株券は無価値となる。反面、原油、LNG価格の高騰があり、野田政権は『原発見直し政策』を見直す決断に迫られる。
◎産業の空洞化が加速→本社移転の企業が出現!
電力不足、過酷な法人税率、円高、数々の規制、労働力不足などを背景に、産業の空洞化が加速する。本社機能を海外に移す企業が現れる。2011年のIN・OUT(内→外)のM&Aは、金額ベースで5兆円にのぼったが、2012年は10兆円に迫るだろう。
海外事業では三菱商事(8058)、伊藤忠商事(8001)、三井物産(8031)など商社系セクターの存在感がクローズアップされる。もちろん、資源・エネルギー市況の高騰が追い風となる。
◎ネットビジネスが黄金期を迎える!
ネットビジネスは黄金期を迎えるだろう。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ネット通販、スマートフォンなど日本企業の強みが発揮されるだろう。この分野では、グリー(3632)、ウェルネット(2428)、ネクソン(3659)などに注目できる。
◎水不足が深刻化→水を巡って戦争が勃発!
地球は“水の星”(表面積の3分の2は海)といわれている。しかし、人類、動物、植物が使える真水はわずか3%に過ぎない。そのうち、飲料に適した水は全体の1%である。この争奪戦が始まる。
日本は水不足には縁が遠そうだが、バーチャル・ウォーター(食糧を生産するのに必要な水)の視点では、年間750億トンの水を輸入していることになる(食糧の60%を輸入に頼っている)。海外では上流の国にダムを作られ、水がこなくなった下流の国がそのダムを破壊し、これをきっかけに戦争に突入する、といった事態が起こり得る。
2012.1.11 2012年“初夢” 驚愕のビッグニュース!(上)
恒例の2012年の“初夢”ビッグニュースをお届けする。最初に断っておくが、これはあの有名なバイロン・ウィーン氏の『10サプライズ』ほどアカデミックではないし、これには筆者の願望がほぼ99%含まれている。それに、ほとんど当たったためしがない。しかし、トレンド的にはそんなに狂っていないだろう。その点は理解してもらえると思う。まあ、遅くなったが、新年のご挨拶代わりである。
◎超円高のあと、超円安に!
年前半は超円高が進行する。1ドル=60円がらみ、1ユーロ=80円前後の円高があろう。しかし、年後半には政治の迷走、ユーロ合衆国構想、日本の財政リスク、経常赤字、アメリカ景気の回復などを反映、1ドル=100~110円の円安に見舞われる。
円高を受け、外国人投資家は円高メリットを享受するドウシシャ(7483)などを物色するだろう。ちなみに、連結1株利益は2012年3月期が303円、2013年3月期が325円と予想されている。
◎ユーロ合衆国構想が前進!
3月末のギリシャのデフォルト(債務不履行)がきっかけになるが、ユーロ共通債券の発行、ECB(欧州中央銀行)の国債買い入れ拡大をドイツが認め、金融・財政政策の一元化が進み、ロバート・マンデル博士が唱える『最適通貨圏』の実践というべきユーロ合衆国構想が大きく前進する。
欧州情勢(南欧諸国のソブリン・リスク&ユーロ不安)の好転を受け、メガバンクの株価が7年ぶりに反転に転じる。みずほFG(8411)は何と、年末には300円の大台乗せ。
◎日経平均株価が1万2000円台奪回!
日経平均株価はギリシャ・ショックをイヤ気し、瞬間8000円割れとなるものの、その後は各国金融当局の政策対応、NY高、円安転換、外国人買い出動を好感し、大幅高となる。
現在、日経平均株価のBPS(1株純資産)は9097円である。東日本大震災前のPBR水準(1.29倍)まで回復したとすると、1万1735円となる。1万2000円はあながち“無理な注文”ではないだろう。
なお、2010年4月5日(日経平均株価は1万1339円の高値)時点のPBRは1.45倍だった。仮に、このPBR水準まで買い進むと、日経平均株価は1万3191円となる。いや~、これは大変なことである。
◎NYダウが1万4000ドル台乗せ!
FRBは欧州情勢をにらみ、1~3月についに、QE3(金融緩和第3弾)に踏み切る。これを受け、NYダウは2007年10月9日の史上最高値(1万4164ドル)にあと一歩と迫る。
物色面では大きく売り込まれていた輸出関連セクターが猛反発、パナソニック(6752)は1000円の大台を奪回し、スマートフォン関連の村田製作所(6981)は5000円台に乗せる。
2012.1.11 十干十二支の“縁起考”(下)
温故知新である。1964年(池田勇人首相、佐藤栄作首相)は証券不況に突入していった年である。日経平均株価は日本共同証券、日本証券保有組合などの買い支えもむなしく、1965年7月12日には1020円の安値まで下げている。しかし、この買い支えはそのあと、巨利を生むことになる。
株価は不振だったが、日本はIMF8条国に移行、OECDに加盟するなど、国際的には“認知”された年だった。さらに、東海道新幹線が開業、東京オリンピックが開催されている。海外旅行が自由化されたのもこの年である。
1976年(三木武夫首相、福田赳夫首相)はビクターが家庭用VHS(ビデオ)1号機を発売、株式市場では輸出関連、国際優良株が買われた。海外ではベトナム戦争が終結(南北ベトナムが統一)、中国の毛沢東主席が死去している。
ロッキード事件では田中角栄元首相が逮捕された。政局は『40日抗争』など不安定だった。しかし、株価は上昇している。2012年が同様の展開になって欲しいと切に願う。
バブル時代の1988年(竹下登首相)は前年秋のドル不安→ブラックマンデーを克服、活況相場が展開された。ウォーターフロント関連株が大フィーバー、円高だって『好材料』とされたほどである。
さらに、青函トンネルが開通、瀬戸大橋が完成している。日経平均株価は3万円の大台に乗せた。『戦後総決算相場』とか、『債券大国相場』と呼ばれた時代である。この年、東証・大証では株価指数先物取引が開始されている。これが1990年のバブル崩壊→株価暴落の引き金(外国人の売りたたき)になろうとは、この時点では誰も知るよしがなかった。まあ、国民すべてがバブルに酔っていたということ。
2000年(小渕恵三首相、森喜朗首相)は政策ミスが重なり、日経平均株価が4月12日の2万0833円を高値に急落した。日銀がゼロ金利政策を解除したのである。日銀は1994年6月にも大きなミスを犯している。
ITバブルの崩壊もあった。2月15日にソフトバンクは19万8000円、光通信は24万1000円の異常な高値を示現している。ニュースとしては、みずほFGの発足、三宅島の噴火、BSデジタル放送の開始などが記憶に残っている。
クミアイ化学工業(4996)は除草剤『プロキサスルホン』(ピーク時年商300億円を見込む)など新商品が次々に登場する。2011年10月期に続いて、2012年10月期も大幅増益となろう。
2012.1.11 十干十二支の“縁起考”(中)
兜町には多くの格言がある。十二支については、辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑う、亥は固まり、子繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねるーなどという。まあ、2011年のウサギは跳ねなかったが…。
そう、この種の教えはあまり当たらない。バブル時代の1988年(辰)、1989年(巳→1989年12月29日に、日経平均株価は3万8915円の史上最高値を示現)、1990年(午→平成バブル崩壊→株価は馬のシッポのようにたれ下がる)はズバリだったが、他は必ずしもそうではない。しょせんは“縁起考”にすぎないということだろうか。
しかし、温故知新というか、過去のケースを振り返り、新年相場に思いを馳せるのは悪いことではないだろう。ともあれ、“縁起考”の紹介は年末年始の恒例行事である。それに、智者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ!そしてグシャグシャになる、といわれている。
ちなみに、戦後の辰年は1952年、1964年、1976年、1988年、2000年である。1952年(吉田茂首相)は朝鮮戦争の最中であり、資源、金属、軍需株を中心に活況だった。イギリス軍がスエズ運河を封鎖、世情は騒然としていた。日本ではサンフランシスコ講和条約が発効、主権を回復している。待望の独立である。
さらに、日米安保条約が発効、日本は西側の一員としての道を歩き始めた。そして、東京国際空港(羽田)が開港、東京外為市場が開設されるなど、国際化が進展するとともに、『東洋の奇跡』と称される戦後の復興がスタートする。
もっと古い歴史をたどると、辰年には1868年の明治維新(開国)、1904年の日露戦争、1940年の日独伊軍事同盟など、日本の進路を決定づけた大きな出来事が起こっている。
2012年は生き残りと飛躍をかけた日本企業の海外進出が加速、TPP(環太平洋経済的連携協定)加盟交渉など大きなフシ目の年になるだろう。ここで政治が迷走するようだと、日本はいよいよ『失われた20年』の“延長戦”に突入することになろう。
壬(みずのえ→西暦の末尾が2の年)の経済白書(内閣府)の副題
1952年は『独立日本の経済力』
1962年は『景気循環の変ぼう』
1972年は『新しい福祉社会の建設』
1982年は『経済効率を活かす道』
1992年は『調整をこえて新たな展開をめざす日本経済』
2002年は『改革なくして成長なし』
2012年は『 ? 』
2011.12.22 十干十二支の“縁起考”(上)
まあ、2011年はひどい1年だったが、2012年はどんな相場展開になるのだろうか。十干十二支では2012年は壬(みずのえ)辰(たつ)となる。壬は西暦の末尾が2の年に当たる。戦後のケースでは相場の屈折点の前後の年になっており、株価の歴史的な底打ち、為替(円高)の円安反転につながるのだろうか。
ちなみに、十干別の日経平均株価の騰落率をみると、西暦の末尾が2の年は+28.1%、3の年(癸)は+4.0%、4の年(甲)は+3.3%、5の年(乙)は+17.5%、6の年(丙)は+15.5%、7の年(丁)は-7.5%、8の年(戊)は+14.3%、9の年(己)は+17.9%、0の年(庚)は-4.1%、1の年(辛)は+17.5%となっている。
十干別の騰落率は壬が堂々の1位である。ただ、詳細に分析すると、1952年が+118.4%、1962年がー0.8%、1972年が+91.9%、1982年が+4.4%、1992年がー26.4%、2002年がー18.6%と、かなりバラバラである。
これは辰年の騰落率にもいえることだが、プラス(一貫上昇)、マイナス(一貫下落)がハッキリしている。もちろん、2012年は“昇竜”、年間を通じてジリ高になると期待しているのだが…。
とはいえ、欧州情勢(南欧諸国のソブリン・リスク、ユーロ不安⇒ギリシャのデフォルト)、イラン・北朝鮮の動向、円高の進行には注意を怠れない。ミニショック安的な状況が出現する可能性がある。
さて、次に、十二支別の日経平均株価の騰落率(同じく戦後)をみておこう。すなわち、繰り返し(12月20日付既報)になるが、辰は+29.0%、巳は+4.7%、午は-7.5%、未は+7.7%、申は+10.4%、酉は+15.0%、戌は+9.8%、亥は+16.2%、子は+23.8%、丑は-6.3%、寅は+1.8%、卯は+16.2%となっている。こちらも上昇率は1位である。
ただ、1952年が+118.4%、1988年が+39.9%なのに対し、2000年は-27.2%となっている。壬の勝率は3勝3敗、辰の勝率は3勝2敗である。まあ、“昇竜”とはいえ、ジェットコースターのような乱高下がみられるということか。
お知らせ
なお、スタッフが年末年始の休暇に入るため(筆者は12月30日まで仕事)、ホームページの更新は今回が年内の最後となります。ご講読ありがとうございました。皆様、良いお年を!2012年もよろしくお願いします。
日経ラジオ刊の杉村富生のカセットマガジン12月号『“昇竜”の2012年相場を展望し、銘柄を発掘する!』が好評発売中です。年末年始にじっくりと相場の研究を。その“参考”に最適です。お問い合わせの電話番号は、03-3583-8300です。
1月7日には『“株”リベンジの条件』(実業之日本社・共著)が発売されます。株式市場の現状を分析するとともに、個人投資家が勝ち抜くためにはどうするべきか、この道の専門家5人がアドバイスを行っています。
2011.12.22 1円よりも2円が偉い?配当の話
雪の朝、二の字、二の字にゲタのあと!別に、煮ても焼いても食べれません!と主張しているわけではない。2円配当の銘柄だが、筆者はひそかに注目している。なぜって?といわれても困る。ただ、感性ということ。
配当は通常、3円、5円、7円、およびその整数倍で行われる。いわゆる、“753”である。縁起がいい、と思われているのだろう。子供だって、その年齢には祝う。
しかし、中には1円配当の会社がある。これは正直恥ずかしい。いかにも、『配当をやっています』と誇示しているようだが、所詮、1円である。もう、あとがないじゃないか。
その点、2円は会社側の努力を感じる。もとより、単なる筆者の感性に過ぎないが…。実は、2円配当の銘柄は意外に多い。仕手介入説に人気となっているホウスイ(1352)をはじめ、三井住建道路、松尾電機、図書印刷、石川島建材(5276)などをピックアップできる。
蝶理(8014)は株価が80~90円前後の水準に低迷しているが、東レが筆頭株主(発行株式数の51.2%を保有)であり、経営リスクは乏しいと判断する。
収益の柱は繊維、化学品、機械である。最近、業績は安定している。海外売上高比率が5割まで上昇、これが貢献している。財務面の改善も進んでいる。連結1株利益は15円強を確保できる態勢が整っている。PERは6倍前後に過ぎない。100~110円に評価されていいと思う。
もちろん、2円配当(ここが最大の注目ポイント!)を行っている。チャートは底入れ⇒反発の動きを示している。タクマ(6013)は2012年3月期に年2円の復配を予定している。2円というのがいい。環境・エネルギープラント分野のリーディングカンパニーである。東日本大震災のがれきの焼却処分が始まった。同社の焼却炉が大活躍である。
つれて、業績は急浮上に転じるだろう。2012年3月期の連結1株利益は32円(2011年3月期は22円)の予想である。2013年3月期は70円を超えると予想されている。配当については増配(5円)に進むだろう。残念?である。
岡本工作機械製作所(6125)は平面研削盤のほか、液晶・半導体製造装置などを手掛けている。今後、タイ洪水の復興特需が見込める。2013年3月期には年2~3円の復配が有力視されている。
2011.12.20 3月15日の安値以下の水準まで売り込む必要があるのか
このままでは日経平均株価は3月15日のザラバ安値(8,227円⇒終値ベースでは8,605円)を下回って大納会を迎えそうである。しかし、海外メディアが『心を引き裂く3大悲劇』と報じた東日本大震災直後の水準以下に売り込む必要があるのだろうか。
やはり、この背景には混迷を深める欧州情勢(南欧諸国のソブリン・リスク&ユーロ不安)、円高の進行、買い手不在(下値には年金、日銀のETF、自社株買いの買いが入るが…)があろう。
イラン、北朝鮮の動向にも注意を必要とする。いわゆる、地政学上のリスクである。ギリシャについては現状を見る限り、ディフォルト(債務不履行)が避けられない。なにしろ、2年もの国債利回りは年利150%を超えている。
これは“異常”のレベルでは計れない高金利である。仮に、100万円を投じたとすると、1年後には250万円、2年後には625万円になる。『そんなバカな?』。そう、バカバカしい話である。
さて、“災悪”の2011年が終わろうとしている。あと2週間である。いや~、今年は本当にいろいろなことがあった。しかも、それがほとんど悪材料ばかりである。経験則的には卯は跳ねる!だったが、実際は大はずれ。思い切ってコケてしまった。しかし、過ぎたことをくよくよと振り返ってもの仕方がないと思うが…。
2012年の十二支は辰である。古来、辰巳天井!といわれている。1988年、1989年が代表例である。相場格言では大底の翌日は天井ではない!と教えている。辰巳天井を形成するには2012年、2013年にかなり大幅に上昇しなければならない。もちろん、現状は間違いなく大底圏である。
ちなみに、戦後の十二支別の日経平均株価の騰落率を見ると、辰は29.0%の上昇率となっている。2位の子(+23.8%)、3位の亥(+16.2%)を圧倒、堂々の1位である。ただ、勝率では5回の辰年が3勝2敗と、6位(巳、未、子と同率)にとどまっている。
すなわち、辰は“昇竜”の反面、一方通行(一貫上昇か一貫下落)になりやすいということ。たとえば、1952年は+118.4%、1988年は+39.9%だが、2000年は-27.2%になっている。極端である。
なお、1952年は朝鮮戦争特需、1988年はバブルの時代、2000年はITバブル崩壊に加え、日銀のゼロ金利政策の解除など政策ミスがあった。それに、騰落率には外部環境のほか、前年の状況(1999年は+36.8%)が影響している。
一方、足元の相場は主役の外国人がクリスマス休暇に入っており、薄商いの中、模様眺め気分を強めている。基本的に市場参加者、材料不足の状態である。多くの投資家が『“金”をマクラに越年を!』と考えている。
気迷い感の強い相場環境下、加藤グループ、中江グループなど往年の仕手グループが活動を再開している。『あすなろの会』、および『時々の鐘の音』などがそう。しかし、かつてのような高揚感はない。みんなそれなりに年を取ったということだろうか。
テクマトリックス(3762)、岡本工作機械製作所(6125)、蝶理(8014)、共立印刷(7838)は材料株であり、ハイ・リスクだが、割り切っての投資であれば楽しめるだろう。
2011.12.19 キナ臭いぞッ、イラン情勢!
主役の外国人は多くがクリスマス休暇に入っている。さらに、株価刺激材料は乏しく、国内勢の市場参加者が極端に少ない。加えて、イラン情勢がキナ臭い動きとなっている。イラン過激派の暴発、ないしはイスラエルによるイラン核施設に対する軍事行動が近い、とささやかれている。アメリカの最近の動きは何か情報を握っているのではないか。
まして、年末である。とりあえず、現金を抱えて年を越そう、と考えるのは当然だろう。それに、投資家はリスク過敏症に陥っている。一方、損切りは早く!のセオリーに従って、売り物はしっかり出ている。買い手が年金、日銀(ETFの購入)だけでは現状のような超閑散商状となるのはやむを得ないだろう。
マーケットは相変わらず、欧州情勢(南欧のソブリン・リスク&ユーロ不安)に一喜一憂する展開が続いている。この問題は簡単にかたづきそうにない。事態は深刻である。
最悪の場合、ユーロ崩壊⇒恐慌突入の可能性があろう。しかし、誰もそんな破滅的な状況を望んでいない。最終的にはドイツが妥協し、ECB(欧州中央銀行)の関与を決断するだろう。
再三指摘しているように、ユーロはそもそも欠陥商品である。ユーロを安定させるにはロバート・マンデル博士(“ユーロの父”と呼ばれる)の『最適通貨圏の理論』を実践するしかない。いわゆる、ユーロ合衆国の建設である。最終的には単一通貨、単一国家にする。
すなわち、人の移動を完全に自由にし、失業率を平準化すること、金融・財政政策を一元化することが求められている。だが、この実現は難しい。ユーロ加盟国17ヵ国は憲法改正が必要になる。
このため、次善の策としてユーロ共通債券の発行、ECBの関与強化がクローズアップされている。しかし、これにはドイツ・メルケル首相が強硬に反対している。議会、国民も同様である。ドイツはEU、およびユーロのメリットを最大限享受している。それなのに、『あんな南欧のいいかげんな国々を何で救済する必要があるのか』と思っている。いまや、“諸悪の根源”はドイツにある。
南欧のソブリン・リスクを収束させるにはECBの関与強化しかない。2007年のサブプライムローン・ショック以降、BOE(イングランド銀行)が自国の国債をGDP比15%購入、FRB(米連邦制度準備理事会)が同12%購入したのに対し、ECBの買い入れは2%にとどまっている。
総資産については2007年を100とすると、ECBは195、BOEは362、FRBは322である。やはり、ECBは見劣りがする。
もちろん、ECBの主任務は『物価の安定』であり、景気・雇用に配慮しなければならないBOE、FRBとは違う。とはいえ、現状はそんな建前にこだわっている時ではない。恐らく、2012年には何らかの動きがあるだろう。それに、欧州情勢は少しずつだが、前には進んでいる。もとより、“牛歩”以下のスピードだが…。
ここは資源・エネルギー価格の高騰に備え、三井物産(8031)、三菱商事(8058)など商社セクターを仕込んでおくのも一策である。足元の業績、株価は資源・エネルギー価格の下落を織り込んでいる。この“逆目”が出る可能性があろう。
2011.12.15 株式投資に必要なのはとぎすまされた感性!
再三指摘しているように、相場は理屈ではない。必要なのは感性である。古来、賢き人に富める者はまれなり!という。考えすぎる人は理路整然と曲がる。野も山も皆一面に弱気ならアホーになりて、買いのタネをまけ!との教えがあるではないか。世の中にはアホーになれない人が多すぎる。
安値ゾーンの銘柄では三井金属(5706)に注目している。世界シェア95%のスマートフォン向け銅箔、同60%の二輪車用排ガス触媒など有望商品を持ち、業績は2013年3月期、2014年3月期と急浮上に向かう。昭和電工(4004)、蝶理(8014)も狙える。
講演会では『勇気をふるって、“川底の金貨”を拾おうじゃないか』と主張している。すると、出席者に『いつ頃から日本株は上昇に転じるのか。日経平均株価は8,100円台まで下がった。まだまだ下がりそうである。これでは買えない』と反論される。
多くの投資家(99%)が同じように考えていると思う。だから株価が低迷している。そして、1%の勝者に99%の敗者!という。しかし、個別の銘柄がみんな一斉に底を打ち、同時に上昇するわけではない。時間差がある。それに、天井売らず、底買わず!頭とシッポは猫にやれ!の格言が示しているように、大底を買うことは難しい。このため、相場巧者は買い下がりを勧めている。
なにしろ、繰り返しになるが、個別で見ると、主軸株は大きく下げている。野村HDの株主にとって、現在の株価水準は日経平均株価の1,440円レベルである。こんなところを売ることはないじゃないか。
欧州情勢は“牛歩”とはいえ、着実に前に進んでいる。まさに、パニックは政策の母!である。それと、ウォール街にはダウの犬という投資法がある。研究してみて欲しい。TOPIXコア30を使った日本版は2000年以降、年1回の売買で年平均17.5%のパフォーマンスを達成している。
世界一の“借金大国”日本
2016年の公的債務残高比率は270%に!
最後はどうなるのか?
投資環境は劇的に変わる!
日本の利払い費と公債残高
主要国の債務残高の対GDP比率
日本219%、ギリシャ159%、イタリア128%、
アメリカ107%、フランス100%、ドイツ88%
1944年の日本の公的債務残高は204%⇒これが1946年には56%に!
なぜか?この財政再建策が今後の参考に
いつまでもあると思うな、親とデフレ&円高
なぜ、弱い国の通貨が買われるのか
①中国要因(外貨準備のポートフォリオを組み換え)
②デフレの進行(デフレは通貨を強くする)
③日銀のバランスシートの健全性
④流動性(外為市場での売買シェア)の高さ
⑤信頼性(対外純資産が黒字)の高さ
⑥ドル・ユーロ不安
⑦新興国での円人気
⑧基軸通貨の宿命⇒ドルの大量供給&緩やかな価格下落
2012年には超円高のあと、劇的な円安が出現する!株価は1年先、為替は10年先を読む!
2011.12.15 いまや“諸悪の根源”はドイツ(メルケル首相)!
引き続いて、株式市場は欧州情勢に振り回される展開となっている。“諸悪の根源”はドイツである。しかし、マーケットでは『いつまでもヨーロッパのソブリン・リスクにかかわり合ってはいられない』とのムードが台頭している。確かに、その通りである。
ユーロ各国がいま、何をやるべきか、それは分かり切っている。それはEFSF(欧州金融安定基金)の機能拡充、ECB(欧州中央銀行)の関与、金融機関に対する公的資金の注入、IMF(国際通貨基金)の介入である。いまや、欧州(ユーロ)不安は南欧の財政危機⇒金融危機に移行している。
だからこそ、ラスト・リゾートのECBの関与が不可欠なのである。もちろん、ECBの主任務は日銀、FRBなどと違って、物価の安定だけであり、インフレを招くような国債購入の拡大、総資産の膨張など、『出来るわけがないじゃないか』との声は十分に承知している。しかし、現状はそんなノンキなことを言っている場合ではないだろう。
このままでは恐慌突入の可能性すら、ささやかれている。なにしろ、2007年のサブプライムローン・ショック以降、ECBはドイツの反対があって、国債の購入はGDPの2%(BOEは15%、FRBは12%)、総資産は2007年を100とした場合、195(BOEは362、FEBは322)の水準にとどまっている。結局、これでは金融危機に際し、『何もしなかった』(いや、やれなかったのだが…)といわれても仕方がないのではないか。
最終的にはロバート・マンデル博士の『最適通貨圏の理論』(人の移動を完全に自由にし、財政・金融政策を一元化する)の実践が必要であろう。いわゆる、ユーロ合衆国構想である。しかし、この実現は容易ではない。加盟国17ヵ国の憲法改正が不可欠である。まあ、それに足元の危機には間に合わないだろう。
その次善の策がユーロ共通債券の発行、ECBの関与なのだが、これには2代目“鉄の女”メルケル・ドイツ首相が強硬に反対している。しかし、どこかで妥協しなければならない。流動性の供給、利下げ(ECBは政策金利を1.00%と史上最低水準まで引き下げた)だけでは金融危機対応に限界がある。
ただ、再三指摘しているように、“牛歩”とはいえ、前には進んでいる。ドイツ国民はユーロの存在によって大きなメリットを享受している。ユーロ崩壊とECBの関与を天秤にかけた場合、どちらを選択するだろうか。答えは明白である。メルケル首相の強硬姿勢は国民に向けてのポーズとの見方もある。
いずれにせよ、世界の株式市場は徐々に欧州離れの動きを見せるだろう。もちろん、日本の株式市場は出遅れている。さらに、2012年には景気、企業業績ともに急浮上に転じる見通しである。やはり、この局面は“昇竜”相場に備え、買いのタネをまく局面と判断する。
たった一人の孤独なキャンペーン!
①“川底の金貨”を拾おうじゃないか!
―株価は歴史的な安値ゾーンー
先人は“川底の金貨”は拾うな!嵐のときは動くな!というが…
②銀行預金を引き出し、メガバンクの株を買おう!
―家計の普通預金残高は198兆円、他にタンス預金が53兆円―
普通預金金利は0.02%⇒2倍にするには3600年を要する!
2011.12.13 “1%の勝者”の仲間に入るには…?
改めて述べるまでもなく、株式投資の世界は『1%の勝者に、99%の敗者』と形容されるように過酷なもの。昔は長期に持てば何とかなった。しかし、現状は長く保有すればするほど損が膨らむ。なにしろ、12月2日現在の日経平均株価の30年移動平均線は1万6,205円である。
ちなみに、40年移動平均線は1万3,476円、50年移動平均線は1万1,107円の水準にある。こんな状況では“利”を得るのは容易ではない。トレンドを読み短期売買(早めのロス・カット)に徹する、これが成功の秘訣だろう。
それと、安いところ(ボックスゾーンの下限)を勇気を振るって買うこと。1990年のバブル崩壊以降、多くのベア・マーケット・ラリーがあった。その流れに乗れるか、否か、これが1%の勝者か、99%の敗者かを分ける。
現状は間違いなく歴史的な安値圏だろう。東証1部の時価総額は11月25日に246兆円、名目GDP比51%のレベルまで縮小した。時価総額はその国の経済力を反映している。日本の場合、GDPが増えないために、株価は長期下降トレンドを描いているが、基本的に往来相場との見方ができる。
ここ数年、東証1部の時価総額の名目GDP比は50~100%のゾーンで推移している。そう、今は仕込みのチャンスである。先人は底値圏では好材料を探せ、なかったら買え!と教えている。悪材料だらけの今こそ、勇気を振るって“川底の金貨”を拾う場面ではないか。
もとより、主軸株の多くは日経平均株価以上に下げている。外国人の売りたたきと目先筋が投げたためだが、野村HD(8604)の史上最高値比の下落率は96.3%、みずほFG(8411)は同90.5%に達している。この2銘柄の“体感株価”は日経平均株価が1,500円、3,000円になっている感覚である。こんなドン安値で弱気になってどうする?まあ、日本郵船(9101)もそうだが、買うのはともかく、この水準を投げ売るのはやめてほしいと思う。
バブル崩壊後の主なベア・マーケット・ラリー
安値 高値 上昇率
1万4309円 ⇒ 2万1552円 50.6%
(1992.8.18) (1994.6.13)
1万4485円 ⇒ 2万2666円 56.5%
(1995.7.3) (1996.6.26)
1万2879円 ⇒ 2万0833円 61.8%
(1998.10.9) (2000.4.12)
7607円 ⇒ 1万8261円 2.4倍
(2003.4.28) (2007.7.9)
7054円 ⇒ 1万1339円 60.8%
(2009.3.10) (2010.4.5)
2011.12.13 アメリカの『株式の死』時よりもひどい日本の現状!
これは再三指摘していることだが、1979年8月、アメリカ(ウォール街)では『株式の死』論争があった。ビジネス・ウィークが『株式は死んだ。この街が2度と再び活気を取り戻すことはないだろう』と、ネガティブ・キャンペーンを展開したのである。マスコミは常に、“株”が嫌いということか。
そのキャンペーンに猛然と反論したのが業界のトップのメリルリンチ証券だった。『株は死なない!いや、死なせてはいけない!』と。『株式市場は資本主義体制の根幹をなす社会インフラである』と訴えた。これは勇気ある行動と評価されている。そして、1981年に、レーガン大統領が登場、『偉大なアメリカの再構築』を目指したドラスチックな施策を推進する。
その柱のひとつが証券市場の活性化だった。そして、3つの改革を断行、“5つの潮流”を起こした。結果としてNYダウは776ドル(1982年7月12日)を安値に、2007年10月9日には1万4,164ドル(史上最高値)まで駆け上がった。実に、18倍の急騰劇である。
日本の証券業界にはメリルリンチのような大手証券、レーガン大統領のような政治家はいないのだろうか。まあ、いないと思う。ただ、日本企業の株価が歴史的な安値ゾーンに売り込まれているのは確かだろう。東証1部のPBRは0.90倍前後と、NY市場の『株式の死』論争時の水準(0.98倍)を大きく下回っている。
これは2003年4月28日(日経平均株価は7,607円の安値を示現)、2009年3月10日(同7,054円)のレベルである。3度目の正直ではないが、今回もまた、2012年にかけて猛反騰相場が展開されるのではないか。
一方、ポートフォリオ構築の手法に“安い株”を機械的に買うシンプル・イズ・ベストがある。これは筆者が考案したものだが、アメリカには似たような“ダウの犬”という投資法があるらしい。すなわち、ダウ30種採用銘柄のうち、配当利回りの高い10銘柄をピックアップ、年初に買って、年末に売るやり方である。極めて単純だが、高いリターンが得られるといわれている。
この手法を日本で応用するには、TOPIXコア30を使うのが有効だろう。ちなみに、TOPIXコア30のうち、配当利回りが高いのは、みずほファイナンシャルグループ(8411)、三井物産(8031)、NTTドコモ(9437)、日産自動車(7201)など。
レーガン大統領の『偉大なアメリカの再構築』戦略!!
年金・医療保険・税制改革⇒企業の負担を軽減
①ディレギュレーションの推進
②インフォメーション・テクノロジー革命の推進
③ディファクト・スタンダード獲得戦略
④ベンチャー・ダイナミズムの波の喚起
⑤グローバリゼーションの展開
“5つの潮流”⇒サプライサイズの改革
なお、最近、にわかに元気を取り戻してきた仕手グループが共立印刷(7838)、ホウスイ(1352)、丸紅建材リース(9763)などに介入しているという。新日本理化(4406)が大成功しただけに、ちょうちん筋が一斉に飛びついている。
2011.12.8 証券会社は営業の基本を忘れてしまったのでは…
兜町の話題の続きである。11万円のうち、大学の入学金、仕事のための服(高校時代の学生服しか持っていなかったので古着の背広を購入)などを買ったあと、1万~2万円が残った。これで株式投資をしよう、と思った。昭和43年4月のこと。さあ、ここからが人生設計が狂う。
もともと、筆者は弁護士になる予定(あくまでもつもり)だった。近所の集落の出身で田中さんという人がおり、東京弁護会の副会長をされていたとか。その田中さんがあるとき、1,000万円を町に寄付された。当時、そんな大金は見たこともない。みんなビックリである。
さて、株式投資だが、昼間、勤めていた会社の近くにT証券があった。大手生命保険会社の子会社だったが、当初は知らないし、関心もなかった。ただ、T証券の受付嬢がかわいく、入りやすかっただけ。ちなみに、この受付嬢はその後、筆者の友人(同じ夜学の仲間)と結婚する。
ともかく、証券会社の人たちは驚いたに違いない。突然、いかにも貧乏そうな(古着)坊主頭の少年が入ってきて、『株をください』と。普通だったら『帰れッ』と追っ払われるところだろう。
しかし、T証券の対応はていねいだった。営業部長の吉川さんがカウンター越しだったが、『で、何を買うのかね』。筆者は東証2部に上場していた富士観光を『8円で500株買いたいのです。お金はあります』と。当時の2部市場は売買単位が500株だった。なぜ、富士観光?理由は特にない。株価が安かった。それだけのこと。
すると、吉川さん、『株を買うにはねぇ口座を作らなければいけないんだよ。身元を証明するもの、印鑑が必要だよ。持ってる?』と。結局、買い付けまでに数日を要したが、無事に8円で500株取得、総投資金額4,000円なり。その後、なぜか株価は暴騰、2週間後に20円で売れた。吉川さんいわく、『あんた、相場が上手だねぇ』。弁護士の夢が消えたひと言(瞬間)である。
吉川さんの話には後日談がある。ずっとあと、知人の結婚式において、偶然に再会した。同じテーブルだった。『あれっ、どっかでお会いしましたか』。肩書きは大手生命保険会社の専務だった。『いや~、あのあと、本社に戻りましてねぇ』。子会社に出向していた人が本社に復帰、取締役⇒常務⇒専務と出世した人はほとんどいないという。
だが、吉川さんのケースはわかるような気がする。いま、証券会社に求められている営業の原点だろう。別に、偉そうにいうつもりはない。ただ、初対面、小口のお客さんを大切にする、この営業の基本を証券会社はどこかに忘れてきたのではないか。
安い株価の双日(2768)、日本郵船(9101)、三井金属(5706)、神戸製鋼所(5406)、みずほFG(8411)は目先の動きに一喜一憂せず、じっくり拾っておきたいと思う。時価近辺は明らかに売られすぎである。高い株価だが、狙えるのは日本電産(6594)、村田製作所(6981)だろう。
2011.12.7 野村HDの株主にとって、体感的な日経平均株価の水準は?
私事で恐縮だが、筆者が兜町に来たのは18歳のとき。昭和43年2月である。この時代、みんな貧乏だった。しかし、兜町は活気にあふれていた。熊本の田舎の高校を卒業し、夜学(明治大学)で学ぶために、親がかき集めてくれた11万円を握りしめて上京したのだが、何せ田舎のこと、指定席などというものを知らなかった。なにしろ、生まれ育った町には鉄道がない。『いや~、電車なんてものはガラガラだよ。必ず座れる』と隣のおじさんに言われ、急行『霧島』に乗った。しかし、これがまったくのデタラメ。全然違う。超満員じゃないか。
結局、神戸まで9時間立ちっぱなし。まあ、若いからこそ、できたこと。いまや、1時間だって、立って電車には乗れない。ともあれ、兜町に住みつき(4年間)、23年をこの町で過ごし、独立後は20数年、兜町のすぐ近くの人形町にいる。兜町のことは良く知っている。
その兜町がなぜ、こんな悲惨な状況になってしまったのだろうか。兜町はかつて、イギリス・ロンドンのシティ、アメリカ・ニューヨークのウォール街と並び称される証券業のメッカ(聖地)だった。しかし、いまや、その面影はまったくない。さびれる一方である。
昔は場立ち(市場部員)、実栄会の社員などがいて、活気にあふれていた。兜町に高級料亭があった。昼の“定食”が1万円のてんぷら屋さんがあったほど。今はワンコイン(500円)以下の弁当屋さん、立ち食いそば屋さんが主流になっている。いや、別に、『昔は良かった』などと懐かしがっているわけではない。これが時代の流れなのだろう。社会が変わったのである。
ハイ・フリクエンシー・トレーディング(高頻度取引)、ネット売買が主流になり、『預り証』なども消え、証券会社に出向く必要はなくなった。営業員と投資家との接触は随分少なくなっている。営業特金の資金の出し手と大手証券の法人担当、株式部員(トレーダー)は連日、昼の宴会だった。現在はそんな場所を必要としない。別にいらないが…。
まあ、こんな話はともかく、兜町がさびれてしまった最大の要因は株価の低迷だろう。証券会社を含め、誰も儲からなくなってしまった。産業が空洞化することによって、雇用と購買力を海外に、ロードサイド・リティーラーに顧客を奪われ、シャッター通りばかりになった地方都市と似ている。活況をみせているのは内外の機関投資家のシステム売買だけではないか。
11月25日に、東証1部の時価総額は246兆円まで縮小した。それが週末(12月2日)には259兆円と、13兆円増えた。野田政権はTPP(環太平洋経済的パートナーシップ協定)に加入することにより、『数年後には2.5兆円の経済効果が見込める』としている。しかし、即効性を有するのは株高作戦ではないか。これが日本を元気にする。株高⇒資産効果である。政治家はなぜ、そこに気がつかないのだろうか。
野村HD(8604)は11月24日に223円の安値をつけた。これは1976~1977年の株価水準である。ちなみに、史上最高値は1987年4月20日の5,990円(1対0.03の小幅の株式分割は考慮せず)であり、下落率は実に96.3%に達する。
仮に、日経平均株価が史上最高値(1989年12月29日の3万8,915円)に対し、96.3%下落したとすると、1,440円となる。要するに、野村HDの株主にとって、体感的な日経平均株価の水準は1,500円割れのレベルである。いずれにせよ、こんな安値を売ることはないではないか。
2011.12.6 直視すべきなのは“体感株価”ではないのか!
マーケットには相変わらず、弱気の声が満ちあふれている。専門家と称する人たちはいう、『外部環境、内部要因ともに、悪材料だらけじゃないか』と。確かに、その通りである。株を買う材料はない。しかし、だからこそ、買うチャンスではないのか。
古来、相場格言は底値ゾーンでは好材料を探せ、なかったら買え!と教えている。今がまさに、悪材料だらけ、好材料はなし、その局面(買いのチャンス)だろう。
もちろん、株価は歴史的な安値ゾーンにある。市場関係者、マスコミは『日経平均株価8,000円の攻防線』などと騒いでいる。何をバカな!と筆者は思う。だって、そうではないか。投資家の“体感株価”はそんな水準にない。もっと下のレベルである。
たとえば、みずほFG(8411)の史上最高値は1,030円(2006年4月19日)だが、直近の安値は98円、下落率は90.5%となる。これを日経平均株価に当てはめると、3,500円前後である。8,000円攻防?こんなものに何の意味もない。この見方を理解してもらえるだろうか。
ちなみに、2003年4月28日には58円の安値をつけている。正確には1対100の株式分割前であり、5万8,300円だが、あまり気にする必要はないだろう。この当時は巨額の不良債権を抱え、2003年3月期の最終損益は2兆3,771億円の赤字だった。竹中プランによる不良債権の加速償却が断行されていた時期である。『つぶされるのではないか』。金融危機の最中、これでは58円まで売り込まれたのは当然だろう。
しかし、現在は違う。日本の金融機関(メガバンク)は健全である。バブル崩壊以降、全体の不良債権処理額は98兆円にのぼった。メガバンクの自己資本比率は軒並み10%を超えている。みずほFGは2012年3月期に最終純益4,600億円、連結1株利益18円を確保できる。
配当は年6円を行っている。1株純資産は172円ある。それを98円まで売り込む必要があるのだろうか。ちなみに、この水準のPBRは0.57倍、PERは5.8倍、配当利回りは6.12%である。
筆者は目下、普通預金(家計の普通預金残高は198兆円⇒利息は0.02%、他にタンス預金が53兆円)を引き出し、銀行株を買おう…というキャンペーンを展開している。いまこそ、株式投資の好機であろう。
まず、ボロボロに売り込まれている主軸株を中・長期の視点でコツコツと拾うことをお勧めする。政治は迷走しているが、日本がなくなるわけではない。いや、実際は国敗れて企業あり!したたかに生き延びるだろう。将来、間違いなく増税、年金減額、そしてインフレ時代が到来する。
今後はこれまで以上に、自分の資産は自分で守る心構えが必要になる。クミアイ化学工業(4996)は人口激増⇒食糧不足⇒食糧増産の世界的なテーマ(流れ)に乗る。業績は好調である。
2011.12.1 常に、パニックは政策の母!となる
古来、材料はあとから貨物列車に乗ってやってくる!という。現状(2011年)がまさに、そういった状況ではないか。2011年はいろいろあった。いや、ありすぎる。
もちろん、悪材料だらけ。列記すればきりがないほど。すなわち、東日本大震災(大津波)、福島原発事故、夏場の電力危機、欧州通貨(ユーロ)不安、南欧諸国のソブリン・リスク、超円高、新興国の金融引き締め、タイの洪水、世界景気の減速懸念、需給の悪化(国内年金、外国人の売り)など。
しかし、2012年は前述の悪材料の多くが解消、ないしは鎮静化に向かう。結果として、日本復活・企業再生がキーワードとなろう。筆者は“災悪”の2011年が一転、“昇竜”の2012年になる、と主張している。
再三指摘しているように、パニックは政策の母!である。歴史の教訓によると、マーケットが動揺し、人々がパニックに陥るたびに、政策対応は強化される。そして、最後は政策総動員態勢となる。
すでに、そうなりつつある。日銀、FRB、ECB、BOE、スイス国民銀行、カナダ銀行の6中央銀行がドル資金の大量供給を始めた。これは、欧州金融危機(ドルの調達難)に対応したもの。ソブリン・リスクに関しては早晩、ECBが乗り出してくるだろう。
さらに、中国人民銀行は3年ぶりに商業銀行の預金準備率を引き下げた。金融緩和である。外部環境は好転が著しい。この12月は絶好の仕込みのチャンスになろう。東日本大震災の復興事業がいよいよ本格化する。第1次~第3次の補正予算(18兆円)が被災地に集中的に投じられる。
日本の2012年のGDP成長率は先進国の最大値となる。さらに、日本企業の最終利益成長率は19%と、グローバル平均の9%を大きく上回る見通しである。外国人はいずれ、この点を評価し、買い参戦するだろう。
東北が地盤のコメリ(8218)、カメイ(8037)、ケーズホールディングス(8282)には復興特需が期待できる。また、放射能汚染地域の除染(総事業費1.2兆円)、汚染物質(がれき)の処理が始まった。この分野では大成建設(1801)などのゼネコンに加え、放射性廃棄物収納容器を手掛けている日本鋳造(5605)、石川島建材(5276)などがメリットを享受できる。
石川島建材はコンクリート製の超大型(3,000立方メートルの汚染土の収納が可能)の製品を手掛けている。この事実はほとんど知られていない。それだけに、株価は調整一巡後、『理外の理』的な相場を演じる可能性がある。
欧州情勢に関してはもはや、IMF(国際通貨基金)の介入、ECBの関与が不可欠である。ECBの関与はドイツが反対しているが、自国債の入札に際し、“札割れ”が発生するなど火の粉が降りかかり始めており、早い段階に決断するだろう。となると、ユーロ不安はとりあえず、一時的に収束する。
三井金属(5706)は11月24日に、171円の安値まで売り込まれた。2012年3月期は減益を余儀なくされる。しかし、スマートフォン向け銅箔(世界シェア95%)、二輪車用触媒(同60%)など、世界トップシェア商品を数多く保有しており、この寄与があって2013年3月期、2014年3月期は急浮上に転じる。2014年3月期の連結1株利益は30円がらみとなろう。
2011.11.30 超円高⇒超円安のシナリオを撤回する!
2012年のキーワードはエトにあやかって“昇竜”(日本復活、日本企業再生の年)と主張している。悪材料が続出した“災悪”の2011年よりも良くなるのは確かだろう。
ただ、唯一の気掛かり材料は超円高の進展である。金融危機に際しては思い切った財政出動、ドラスチックな流動性の供給が有効だが、ヨーロッパ、アメリカともに、財政出動は困難(逆に、財政再建が求められている)である。
結局、このシワ寄せは中央銀行に集中する。流動性の供給は株式市場にとって、金融(流動性)相場につながり、基本的に好材料だが、通貨安を招くだろう。
筆者はこれまで1ドル=72円50銭では当局がドル買い・円売りの『無制限介入』を行う、としてきた。したがって、1ドル=70円突破はない、と指摘してきた。この考え(予測)は撤回する。
すなわち、超円高のあと、超円安に、というこれまでのシナリオを1~2年先に延ばすことにする。この背景には欧州ソブリン・リスク(危機)にいよいよECB(欧州中央銀行)が関与しそうなことに加え、FRBの金融緩和政策の長期化(インフレ目標の設定など新たな施策を準備)がある。
再三述べているように、ECBはドイツの反対があって、ユーロ不安、ソブリン・リスクに対し、一貫し消極的な姿勢に終始してきた。たとえば、2007年以降の国債買い入れ額のGDP比率はBOE(イングランド銀行)が15%、FRBが12%なのに、ECBは2%にとどまっている。
ちなみに、ユーロ加盟17ヵ国のGDPは8兆9,800億ユーロ(約942兆円)であり、仮に、FRB並みの比率に国債を購入すると、あと10ポイント、約94兆円の買い余力が生じる。PIIGS諸国の国債利回り上昇を阻止するにはECBの関与しかない、と思う。
さらに、2007年を100とすると、現在の主要中央銀行の資産残高はBOEが362、FRBが322、ECBが195、日銀が124となっている。ECBは今後、資産残高を猛烈に拡大させる。
当然、ユーロは売られる。ドル安も続くだろう。そして、その逃避資金は世界一の純債権国、かつ中央銀行のバランスシートが健全な円に向かう。円高である。このままでは1~2年以内に1ドル=60円、1ユーロ=70~80円があり得る。
これを阻止し、円安転換を図るには日銀も負けじと流動性の供給を行うこと。恐らく、そうなるだろう。結果的に、猛烈な流動性が発生し、最後はバブル、インフレにつながる。これが歴史の教訓である。財政危機を絡めた円安はその後に訪れるだろう。
2011.11.30 神様、観音様、そして仏様って何?
大崩れは回避されたものの、戻りは鈍く、相変わらずモヤモヤとした相場展開が続いている。そう、超閑散商状である。投資家の我慢はもはや、我慢の限界ではないか。外部環境ばかりではない。需給面など内部要因もイライラする材料だらけである。上値を買う積極的な投資家が不在だけに、商いが極端に細るのは当然だろう。
こんな状況下では『欧米の財政リスクに円高、タイの洪水など悪い話が続出しており、持ち株をすべてぶん投げ、楽になりたい』と言い出す人だって現れる。
しかし、ちょっと待って欲しい。腹立ち売りはあとで後悔する。相場(株式投資)は理屈では克服できない。古来、賢き人に富める者は稀なり!という。頭の良い人は理路整然と間違う。
確かに、現状は悪材料一色である。明るい話は何もない。だが、こんな時こそ、投資の三力(気力、資力、胆力)が必要だろう。そう、今求められているのは腕と度胸(ドン安値を買う勇気)である。
それに、先人は底値圏では好材料を探せ、なかったら買え!と教えている。今がまさに、そうじゃないか。おそらく、歴史上のバーゲン・ハンターはみんな『買いだッ』と叫ぶと思う。
まして、1990年のバブル崩壊以降の相場は基本的にボックスゾーンの動きである。いわゆる、往来相場であり、安いところ、安い時に買えた人だけが1%クラブ(株式投資は1%の勝者に、99%の敗者と呼ばれる過酷な世界⇒1%クラブとは1%の勝者のこと)の会員になれる。
株式投資は本来、単純なものである。それを多くの人達が理屈をこね回し、なぜか難しくしている。悪材料ばかり?そんなことを気にする必要はない。常に、パニックは政策の母!である。現状はそうなりつつあるではないか。
需給面では外国人の売りが一巡しそうな気配となっている。いつもこの季節は10月のミューチャルファンド、11月のヘッジファンド、12月のグローバルファンドの決算があって、株式市場は波乱となる。しかし、『45日ルール』(解約は45日前までに行うこと)に従えば、グローバルファンドの売りは峠を越えたのではないか。
いずれにせよ、ここは売りではなく買いと判断する。それに、LIBORとOISのスプレッドは外国人の投資行動を予測する唯一の指標だが、それが『買い』を示し始めている。
構造改革を断行中のパナソニック(6752)は11月24日に662円の安値まで売り込まれたが、ここは突っ込み買いのチャンスだろう。パナソニックの2012年3月期は4,200億円の最終損失となる。しかし、構造改革に伴う“出血”である。2013年3月期は急浮上に転じる。
連結1株利益は2013年3月期が90円、2014年3月期が120円と予想されている。電機セクターの中では業績のV字型回復が見込める数少ない銘柄のひとつである。
筆者はいすゞ自動車(7202)には神様、キャノン(7751)には観音様がついている、と主張しているが、石川島建材工業(5276)には『本能寺』(仏様)がバック?についている。なにしろ、第3位の大株主である。同社が手掛けている『放射性廃棄物収納容器』は画期的なもの。
2011.11.24 欧州財政リスク⇒いずれIMF、ECBが出動!
欧州情勢(南部欧州の財政リスク⇒ユーロ不安)には引き続いて不透明感が漂っている。しかし、先行きが真っ暗闇という状況ではない。セーフティネットの構築は進んでいる。いずれECB(欧州中央銀行)が動くだろう。IMF(国際通貨基金)はイタリア、スペインなどの支援の意向を表明している。恐らく、IMFはドラスチックに行動するだろう。
なにしろ、ECBはドイツの反対があって、2007年のサブプライムローン・ショック以降、慎重な金融政策に終始してきた。たとえば、2007年を100とすると、現在の総資産はBOE(イングランド銀行)が343、FRBが323なのに対し、ECBは187の水準にとどまっている。
さらに、GDP比の国債の買い入れ額の比率はBOEが15%、FRBが12%と、猛烈な国債購入を断行した。だが、ECBのこの比率はわずか2%に過ぎない。ECBにはまだ、打つべき手(余裕)が数多くある。
一方、企業収益については東日本大震災、福島原発事故のほか、超円高、欧州通貨不安、タイの洪水、新興国の金融引き締めなどと、悪材料が続出した2011年度と違って、2012年度はV字型の浮上に向かうだろう。
さらに、第3次補正予算(12.1兆円)の執行に伴う景気浮揚効果(復興特需)も見込める。2012年度のGDP成長率は先進国の最大値になる見通しである。
金融面では超低金利、超金融緩和策を継続中の日欧米に加え、ブラジル、中国、インドネシアなど人口大国が金融政策を引き締め⇒緩和に転換してきた。まさに、パニックは政策の母!状態ではないか。
FRBは現在のオペレーション・ツイスト(保有の短期国債を長期国債に切り替える措置)のほか、近く『コミュニケーション手段の強化』(公式のインフレ目標、具体的な失業率の水準を採用)を打ち出す方針という。これは政策の“終わり”が見えるQE3(金融緩和第3弾)よりもマーケットに与えるインパクトは大きい、と判断する。
外部環境(悪材料)は最悪期を脱しつつある。タイの洪水についてはすでに、雨期(10月末)が終わった。水は徐々に引くだろう。日本企業は470社が被災したが、水に浸かった工作機械は1万台にのぼる。今後、膨大な代替需要が期待できる。ツガミ(6101)はそれを見込み、フル生産態勢に入っている。マスコミは『大変だ~』と騒いでいるが、ダメージは東日本大震災の比ではない(軽微)と思う。
日本電産(6594)の場合、HDD用小型モーターを利益率の高いフィリピン工場の増産、被災工場は最新鋭機に切り換えることによって、『採算が一段と向上するのではないか』としている。さすが、永守重信社長である。転んでもタダでは起きない。タイ工場が被災したTHK(6481)などもそう。逆に、災いを成長のバネにしようとしている。
需給面ではこの季節、10月のミューチャルファンド、11月のヘッジファンド、12月のグローバルファンドの決算があり、外国人の売りが続いている。しかし、『45日ルール』に従えばほぼグローバルファンドの解約⇒換金売りは峠を越えたと考えられる。早晩、“新年度”を意識した動きが見られるだろう。
また、11月21日(月曜日)にはウォーレン・バフェット氏が来日した。彼が運営するバークシャー・ハザウェイはタンガロイに出資するなど、日本企業に興味を示している。基本的に、彼はバーゲンハンターである。ドン安値の日本株には強気のコメントを残している。
構造改革を断行中のパナソニック(6752)は買いだと思う。オリンパス(7733)、大王製紙(3880)は仕手化する可能性がある。TDK(6762)はアメリカのHDD大手のウェスタン・デジタルに時期ヘッドを供給する。
2011.11.24 2012年は“昇竜”相場に期待!
“災”(最)悪の年、2011年が終わろうとしている。残すところあと1ヵ月ちょっとである。2012年はどんな相場展開になるのだろうか。筆者は“昇竜”(基本的にジリ高)と予想している。もちろん、上値は限定される。ただ、2011年よりも良くなるのは確かであろう。
もちろん、『恐慌突入だッ』と叫び、極めて慎重な見方を唱える人達がいる。しかし、未来に希望を持てない連中とは友人になりたくない。悪い方、悪い方に考えるのはインテリを装う知識人(本物ではない)のクセである。
イタリア、スペイン、フランスなどの国債利回りが急上昇しているのは欧州の金融機関がこれらの国の国債を売りまくっているため。だが、有力金融機関の総資産に対する国債保有額の比率は1~2%まで低下している。
確かに、足元の相場は悪い。相変わらず、株式市場は欧州情勢に振り回されている。再三指摘しているように、ユーロはそもそも欠陥商品である。恐らく、この問題が完全に収束するには最低2~3年の歳月が必要だろう。それまでは周期的に、ユーロ不安が顕在化すると思う。
欧州では今年に入ってPIIGSと称されるアイルランド、ポルトガル、ギリシャ、イタリアの政権が崩壊、スペインも先週末の総選挙において、与党が惨敗、政権が交代した。景気低迷に加え、失業者が高止まりしている状況下、歳出カット、増税を柱とする財政再建策の強行は国民の反発を招くばかりである。
もちろん、財政再建は不可欠だろう。それを否定しない。ただ、成長戦略の視点がないと、財政再建が難しいのは確かである。それに、国民は負担増を嫌う。増税は選挙での敗北を意味する。この結果、政治が不安定になるのは避けられない。PIIGSが好例だろう。
一方、日本企業の株価は歴史的な安値ゾーンに位置している。11月21日の日経平均株価は8,348円、時価総額は250兆円、予想PER(全銘柄ベース)は14.26倍、予想配当利回りは2.29%、PBRは0.90だった。PBRの水準は1982年夏に、アメリカで『株式の死』論争が起こったときのNY市場のPBR(0.98倍)を大きく下回っている。
こんな局面で弱気になるのは最悪の投資行動パターンである。もちろん、外部環境は徐々に好転の兆しをみせている。需給面では外国人の売りが一巡、年金資金・国内金融機関の処分売りは峠を越えた。それに、4~9月のエクイティ・ファイナンスが2,923億円だったのに対し、自社株買いは6,480億円と、大幅に上回っている。多くの投資家がこの状況の変化に気がついていないのではないか。
物色面では協和エクシオ(1951)にチャート上の買いシグナルが点灯、伊藤忠商事(8001)は業績の上ブレが期待できる。太平電業(1968)は11月14日に577円の高値をつけたあと、一服しているが、ここは買える。2012年3月期の連結1株利益は54円と予想されている。さらに、100万株の自社株買いを発表済み。ツガミ(6101)はタイの洪水被害の復興需要(1万台の工作機械が被災)が見込める。
2011.11.17 悪い話ばかりではないぞッ!
外部環境は引き続いて不透明である。マーケットのセンチメントは冷え切っている。欧州情勢はいまひとつハッキリしない。再三指摘しているように、ユーロはもともと欠陥商品だし、歳出カット、増税によって財政再建を成し遂げた国はない。まあ、ギリシャ、イタリアは大変である。国会(政治)は荒れるだろう。
しかし、悪い話ばかりではない。日米欧は猛烈な流動性の供給を行っている。人口大国のブラジル、中国、インドネシアは金融引き締め政策を転換、緩和に方向を変えてきた。まさに、パニックは政策の母!状態ではないか。
日本は日銀が資産買い取り枠を50兆円⇒55兆円に拡大、為替介入資金(約8兆円)を市中に放置する『非不胎化政策』を行っている。第3次補正予算案(12.1兆円)は衆院を通過、成立目前である。これによって、東日本大震災の被災地の復興に弾みがつくだろう。
いや、それだけではない。実は、第3次補正予算案には為替介入原資調達のための外国為替資金証券(為券)の発行枠の拡大(150兆円⇒165兆円)が含まれている。もちろん、このすべてが使えるわけではないが、40兆円近い介入余力が発生する。
これだけで十分に、円買いを仕掛ける投機筋にはブラフ(脅し)をかけられるだろう。実際、当局は1ドル⇒72円50銭をメドに『無制限介入』の準備を進めている。要するに、70円突破はないということ。
米欧はこれを黙認するだろう。EU(欧州連合)はEFSF(欧州金融安定基金)債を日本に買ってもらっている。日本が最大の買い手である。アメリカに対してはTPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定)交渉参加表明がポイント(密約説?)と思う。これ以上はいえないが…。
いずれにせよ、2012年には壮大な流動性相場が出現する。この場合、(8001)、三井物産(8031)、三菱商事(8058)などが主役となろう。
株価は底値ゾーンにへばりついている。こんなところを勇気をふるって、コツコツと拾える人が相場巧者である。春には“大輪の花”が咲くだろう。原油(WTI)先物はじり高になっている。これは在庫の減少を反映した動きと解説されているが、世界景気の回復(需要増)を先取りした動きとの見方もできる。
日東紡(3110)、新日本理化(4406)、明星工業(1976)など仕手材料株が好人気である。年末年始相場ではこれらの銘柄も物色されるだろう。
2011.11.17 良質な“川底の金貨”を拾うチャンス!
超閑散である。日経平均株価は3月15日のザラバ安値8,227円に接近する場面があろう。日本の株式市場は相変わらず、欧州情勢(ユーロ不安)に一喜一憂する展開となっている。ギリシャ、イタリアともに政権交代が実現したものの、財政再建の実効性には『?』がつけられている。
一方、NY市場は独自の道を歩んでいる。時に、イタリアの動向を気にして乱高下はするが、基本的に上昇トレンドが継続中である。さすが!というほかはない。さらに、NYMEXの原油(WTI)先物は1バレル=100ドル台に乗せてきた。こちらも“脱欧州”の動きである。
ちなみに、11月16日(水曜日)のNYダウは190ドル安の1万1,905ドル、日経平均株価は78円安の8,463円だった。NN倍率は拡大の一途である。その差は1.41倍に開いている。
1.41倍は最近の最大値に近い(先週末は1.43倍)。NYダウが日経平均株価を41%上回っている、ということだが、1989年末にはこれが何と、NYダウの2,753ドルに対し、日経平均株価は3万8,915円(史上最高値)、その差は実に14倍だった。まあ、日本はバブルのピークだが…。
通常、こんな逆転劇は経済学的には起こり得ない。恐ろしい話である。これが『失われた20年』の“通信簿”だろう。悲しすぎる。これでは…。そう、投資家はたまらない。なにしろ、30年移動平均線は1万6,200円の水準にある。
この20年間にNYダウは最大5.1倍になり、日経平均株価はいまだに史上最高値比21.7%の水準にとどまっている。5倍と5分の1、実質25倍の差が生じたことになる。単純な計算だが…。まあ、こんな状況では14倍の差だって、逆転するだろう。
なぜ、こんな悲惨なことになってしまったのだろうか。筆者は複合的な要因(9項目)があったと考えているが、これはこの20年間にわたって、企業が負ってきたハンディ(“砂袋”)と基本的に一致する。
しかし、企業は強い。国を頼らず、構造改革を断行、外に出て闘う海外戦略を推進、体質は著しく強化されている。損益分岐点は大幅に下がっている。2012年3月期は減益が避けられないが、2013年3月期は大幅増益となろう。
さらに、ハンディは少しずつとはいえ、緩和されてきた。それと、トピー工業(7231)の世界シェア5割を有する履板・履帯(油圧ショベル、ブルドーザーの足回り部品⇒ベルト)のように、圧倒的な国際競争力を持つ製品がある。
これはナブテスコ(6268)のロボット用精密部品、車輌用ブレーキ、ドア開閉装置、航空機のフライトコントロールシステムなどもそう。川崎重工業(7012)のボーイングB-777、B-787向け部品、建機用油圧機器などもこのグループに属する。
もちろん、3社とも業績は好調である。2012年3月期は2ケタ増益を見込み、増配を予定している。確かに、足元の相場は厳しいが、こんな時こそ、良質の“川底の金貨”を拾うチャンスではないか。
2011.11.15 オリンパスなど“悪役”が好人気!
週明けの株式市場では大王製紙(3880)、オリンパス(7733)、野村HD(8604)などこれまで“悪役”を演じてきた銘柄が人気を集めている。オリンパスは一転し、『上場維持』の方針(決定ではない)が明らかとなり、売り方の買い戻しとともに、目先筋の介入がみられる。ひところの東京電力(9501)と同様に、マネーゲーム化する可能性がある。
さらに、短期資金は新日本理化(4406)、レオパレス(8848)、ルック(8029)などに向かっている。往年の仕手グループが参戦などとささやかれているが、それだけ市場センチメントが改善してきたのは確かだろう。
もちろん、ギリシャ、イタリアの財政リスクは完全に収束したわけではない。ギリシャはパパデモス首相、イタリアはモンティ首相が就任、財政再建(景気は冷え込む)に取り組み始めた。しかし、どこの国でも痛みを伴う政策は不評である。両国とも今後、国民の反発が強まることが予想される。
ただ、見逃してはならないのは欧州情勢が『良い方向には進んでいる』という確かな事実である。誰だって、ギリギリのところでは最悪シナリオ(恐慌突入)を回避しようとする。
足元ではイタリア国債の利回りが上昇するなど不安定だが、これは欧州の金融機関(コメルツ、パリバ、ロイヤルバンクなど)がリスク資産の圧縮(国債売却)を強引に断行していることによる。彼らは自己資本比率(9%超)の維持を求められている。
それができなければ公的資金の注入⇒政府(当局)の管理下に入ってしまう。これを避けるにはとりあえず、総資産を圧縮するしかない。当然、貸し渋りも起こる。まあ、金融システムの安定と財政再建の両立は難しい。あとはセーフティネットの構築が必要だろう。
物色対象は現在の厳しい外部環境(ユーロ不安、超円高、タイの洪水、世界景気の減速など)下において、2012年3月期に2ケタ増益を見込み、増配の意向を表明している企業に注目できる。
たとえば、大和ハウス工業(1925)、旭ダイヤモンド工業(6140)、ナブテスコ(6268)、コマツ(6301)、THK(6481)、丸紅(8002)、アンリツ(6754)、サンリオ(8136)、ネットワンシステム(7518)、ユナイテッドアローズ(7606)など。じっくり押し目を狙うには最適の銘柄群と判断する。
2011.11.11 買えて嬉しい花いちもんめ?
厳しい相場である。筆者は8月以降、①外国人が投げ捨てていった“川底の金貨”を拾おうじゃないか、②普通預金を引き出し、銀行株を買おう…と主張(独自の2大キャンペーンを展開)しているが、状況は過酷の一語であり、ひたすら忍耐を強いられている。
11月9日のNYダウはギリシャの財政リスクがイタリアに飛び火したことを嫌気(イタリアの資金不足額は6,000億ユーロ⇒EFSFの融資可能資金4,400億ユーロでは不足)、389ドル安と急落、翌10日の日本市場は全面安となった。オリンパス騒動の影響もある。
オリンパスはついに、管理ポスト入り。上場廃止の可能性が濃厚となっている。ただ、会社そのものは内視鏡、カメラなど高シェア商品を有し、きわめて優良である。時価総額が1,000億円を割り込むようだと、富士フィルムホールディングス、テルモ、日立、東芝などライバル企業が食指を動かすのではないか。
ともあれ、マーケットは気迷い感を一段と強めている。いや、投資家はもちろんのこと、証券業界全体が疑心暗鬼に陥っており、『逃げ出したい』と嘆く経営者がいる。いやはや、ひどい惨状である。
しかし、1990年のバブル崩壊以来、日経平均株価、TOPIXは基本的にボックスゾーンの動きを続けている。そして、その往来相場の下限ではなぜか、悪材料が続出し、弱気一色となる。さらに、マスコミが『恐慌突入だッ』と叫ぶ。
いつものパターンである。1992年8月、1995年7月、1998年10月、2003年4月、2009年3月がそうだったではないか。数ヵ月後に、振り返ってみると、『あんな安いところがあったのか』となる。今回も同じだと思う。
歴史上のバーゲンハンター(ジョセフ・ケネディ、ピーター・リンチ、ジョン・テンプルトン、ウォーレン・バフェットなど)は例外なく背中がゾクゾクッとするような場面で勇気をふるって買い出動、巨利を得た。凡人の筆者にはそんな気概もないし、カネ(資金)もないが、11月が絶好の買い場という点については理解できる。
もちろん、現役の相場巧者といわれる人達に10日昼に電話したところ、複数の人が『10銘柄ほど下値に買い指し値を入れた。面白いように、買える』と喜んでいた。この人達は3月14~15日も買いまくっていた。もとより、リスク・マネージメントを徹底していないと、肝心な時に資金がなく、鯨3文といわれても銭がなければ買えぬ!仕儀となってしまうが…。
いずれにせよ、筆者は“有言実行”を信条とする。なけなしのカネをはたいて買ってみた。とりあえず、10日には双日(2768)の128円を1万株、みずほFG(8411)の101円を1万株買った。みずほFGの100円の指し値(1万株)は約定できず。11日にはこれは“遊び”だが、新日本理化(4406)の427円を2,000株買った。久々に加藤暠さんの名前(彼のHP『時々の鐘の音』が6年4ヵ月ぶりに更新される)が登場、病気療養中と聞いていたが…。波乱相場に“喝”を入れるのは仕手株である。
2011.11.10 2012年には壮大な流動性相場が出現する!
欧州情勢は財政リスクがイタリアに波及、大混乱に陥っている。」ユーロはそもそも“欠陥商品”である、と主張している。未完成の試作品に近い。再三指摘しているように、財政・金融政策を一元化せず、人の移動が完全に自由化(域内では自由に働ける⇒結果的に、失業率は平準化する)されていない状況下での共通通貨(ユーロ)の導入には無理がある。
これは“ユーロの父”と呼ばれるロバート・マンデル博士の『最適通貨圏の理論』を持ち出すまでもないこと。アジア通貨危機(1997~1998年)、アルゼンチンのデフォルト(2001年)はドルとのペッグ制が引き起こしたもの。これらは共通通貨ではないが、タイ・バーツ、アルゼンチン・ペソはドルと連動、実質的に同じゾーンでの値動きになっていた。そこを投機筋に突かれた。ギリシャの財政リスク⇒ユーロ不安の本質はここにあろう。
そう、ユーロ不安の“根”は深い。PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)は財政再建が必要なのだが、この政策は景気を悪化させる。ギリシャのGDPは2011年に12%落ち込み、2012年はピーク比20%マイナスになる、と予測されている。
分母のGDPが縮小するために、公的債務残高比率は上昇の一途をたどってしまう。これは財政再建をちゃんとやっていないのではないか、との批判につながる。ギリシャのこの比率は2011年が160%強、2012年は180%に迫るだろう。
従って、このままでは加盟国(特に南欧)の財政リスク⇒ユーロ不安は数ヵ月、数年ごとに再燃する可能性がある。これを避けるにはベストシナリオ(最適通貨圏の理論の実践⇒合衆国構想、ギリシャの追放)を遂行するしかない、と思う。しかし、これは現時点では無理である。
となれば、次善の策はミドルシナリオであろう。すなわち、ギリシャのデフォルト(債務の5割カット)を前提に、財政リスクの“ドミノ倒し”を阻止するためのセーフティネット(EFSF⇒欧州金融安定基金の拡充、金融機関に対する公的資金の注入、一段の金融緩和⇒流動性の供給など)の構築を急ぐ必要がある。
現在、この方針に沿った施策が進められている。ECB(欧州中央銀行)は3日、2009年5月以来、2年半ぶりに政策金利を0.25%引き下げ、1.25%とした。サプライズの利下げはドラギECB総裁の“初仕事”である。この素早い行動は評価できる。
ブラジルの利下げに続き、中国は金融引き締め政策を転換(中小企業向けの金融支援、優遇税制の実施)、アメリカは状況次第によって、QE3(金融緩和第3弾)の断行をほのめかしている。日本では12.1兆円(GDP比2.3%)の第3次補正予算が控えている。
さらに、日銀は10兆円の円売り・ドル買いの介入資金を市中に放置する非不胎化政策を行っている。まさに、パニックは政策の母!ではないか。各国(日本を除き)とも財政出動は困難だろう。しかし、金融政策は発動の余地を残している。2012年には壮大な金融相場が再現されるのではないだろうか。
ちなみに、FRBのQE1~QE2の実施の期間中(1は2009年3月18日~2010年3月31日、2は2010年11月3日~2011年6月30日)のセクター別のパフォーマンスは商社、機械、科学、自動車、電機・精密、鉄鋼、非鉄、住宅・不動産の順になっている。従って、伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、コマツ(6301)、ダイハツ工業(7262)、日本電産(6594)、双日(2768)、ナブテスコ(6268)などは要注目と判断する。
2011.11.8 10~11月は『“富”に恵まれる月』
相変わらず、厳しい相場展開が続いている。ひどい!無気力・閑散商状である。日経平均株価は10月5日に8,343円の安値(ザラバベース)をつけたあと、10月31日には9,152円の高値まで上昇した。しかし、その後は腰砕けの状況となっている。
今年の10月は『“富”に恵まれる月』といわれていた。そう、823年ぶりの特異月である。それなのに、この程度の“富”(株価上昇)で終わるはずがないと思うが…。
すなわち、今年の10月は土曜、日曜、月曜日が各5回あったが、これは823年ぶりのこと。もともと、10~11月はミューチャルファンド、ヘッジファンドの決算とあって、内外のマーケットは例年、荒れる。株価はさえない。しかし、ここはいつも絶好の買い場となる。今年もそうではないか。
日経平均株価は基本的に、8,300~9,200円のボックスゾーンの動きである。しかし、テクニカル的に11月中~下旬には転機が訪れるだろう。この局面ではそんなに、弱気になる必要はなかろう。
そもそも、現状は2番底形成特有の動きである。底100日!と形容されるように、2番底は女性的、L字型、薄商いとなる。ちなみに、1番底は男性的、V字型、大商いのパターンである。
3月14~15日(日経平均株価は15日に8,227円のザラバ安値を示現、出来高は2日間で100億株超)が好例だろう。1番底は分かりやすいのが特徴である。しかし、2番底はどこが底だか、見当がつかない。なよなよとしている。
ただ、外部環境は徐々に好転を示している。日柄調整は最終局面だろう。ギリシャの財政リスクについては、パパンドレウ首相と新民主主義政党のサマラス党首との間で連立政権合意が成立、財政再建に向けての包括案の受け入れが決まった。とりあえず、一歩前進である。
次はイタリア(IMFの監視下に)だが、これはやむを得ない。再三指摘しているように、ユーロはもともと欠陥商品である。“ユーロの父”と呼ばれるロバート・マンデル博士が最適通貨圏の理論において、『国情の違う国が共通通貨を導入した場合、成功するには人の移動を完全に自由にするとともに、金融・財政政策を一元化する必要がある』と述べているではないか。
日本セラミック(6929)は小型センサー(超音波センサー、赤外線センサー)に特化、安定成長が見込める企業である。連結1株利益は2010年12月期の65円が2011年12月期には94円、2012年12月期には123円予想と増加する。
配当は2009年12月期の年15円をボトムに、2010年12月期は年20円、2011年12月期は25円、2012年12月期は年35円とする方針である。この意欲的な経営戦略(株主優遇姿勢)は評価できる。
株価は全般の地合の悪化に引きずられ、11月2日には1,333円の安値まで売り込まれた。この水準のPBRは0.92倍、PERは10倍強(来期ベース)に過ぎない。好業績、増配意向を考えると、著しい割安感がある。
2011.11.4 2012年は『選挙の年』政策対応に期待!
世界の金融市場がギリシャに振り回されている。いかに、最終的には『カネを借りたほうが強い』とはいえ、メチャクチャではないか。ギリシャのパパンドレウ首相は先日、『支援の是非、財政再建に関し、国民投票を実施する』と発表した。しかし、国民投票を行った場合、財政再建に『反対』が多数を占めることは分かりきっている。
誰だって、財政再建⇒歳出カットの“負担”は嫌がる。ただ、それでは支援国との“約束”は完全に崩れる。このため、ドイツ・メルケル首相、フランス・サルコジ大統領が『第6次支援融資80億ユーロの凍結、ユーロ追放』の強硬手段をほのめかしたのは当然だろう。
結局、追い詰められたパパンドレウ首相は国民投票の方針撤回を示唆、辞任する意向を明らかにしている。しかし、この問題の解決までの道のりが遠く、かつ険しいのは確かであろう。
一方、ECB(欧州中央銀行)は3日、2009年5月以来、2年半ぶりに政策金利を0.25%引き下げ、1.25%とした。ドラギ総裁の“初仕事”である。予想外の利下げは状況の深刻さを物語っている。
再三指摘しているように、ギリシャの財政リスク⇒ユーロ不安の対処法“処方箋”では“約束”を守らないギリシャの追放、ロバート・マンデル博士(ユーロの父)の『最適通貨圏の理論』(域内の人口の移動を完全に自由にする、金融・財政政策を一元化する)の実践がベストシナリオである。
しかし、これは現実には難しい。そもそも、ユーロには離脱規定がない。ギリシャ国民も知識層を中心に、旧ドラクマ(通貨)に戻ることによる状況の厳しさ(通貨暴落、国家破たん、ハイパーインフレ、景気の失速が確実に起きる)は十分に理解していると思う。
さらに、ユーロ加盟国(17ヵ国)の財政政策の一元化は”権利”放棄を意味する。これは国家主権のひとつを失う重大な決断であり、憲法改正が必要になる。実現は難しいだろう。
となれば、次の選択はミドルシナリオの推進である。すなわち、ギリシャのデフォルト(債務不履行⇒対外債務の5割カット)を前提に、財政リスクの“ドミノ倒し”を回避するために、セーフティネットを構築すること。これはすでに、動き始めている。
いずれにせよ、引き続いて欧州情勢に一喜一憂する展開が続くだろう。ただ、2012年は『選挙の年』(アメリカ、ロシア、フランス、韓国など)であり、かなりドラスチックな政策対応が見込めるのは事実である。中国では10年ぶりの政権交代が予定されている。金融政策については緩和の姿勢が一段と強まるだろう。状況次第ではQE3(金融緩和第3弾)の可能性もある。
原油(WTI)価格は1バレル=94ドルに乗せてきたが、アメリカのQE2時に大きく値上がりしたのは商社、機械セクターである。したがって、三菱商事(8058)、コマツ(6301)などは要注目と判断する。
2011.11.2 欧州金融危機克服の政治的なハードルの高さ!
既報のように、10月末のEU首脳会議では、金融機関の流動性(タームファンディング)確保策の導入、自己資本強化などで合意、マーケットは当初、これを好感し欧米株式市場を中心に大幅高となった。しかし、その後の情報を精査すると、多くの課題が先送りになっていることが分かる。
まず、ギリシャ債務のヘアカット(削減)率の引き上げ(21%⇒50%)は合意に至らず、官民での継続協議扱いとなっている。さらに、EFSF(欧州金融安定基金)の拡充をめぐっては、ドイツの連邦議会(下院)がECB(欧州中央銀行)の関与に反対する決議を採択、この問題の解決までの道のりの遠さ(政治的なハードルの高さ)を知らしめる結果となった。まあ、前途は多難である。
ECBの関与がなければ欧州金融危機克服は困難だろう。結局、株式市場はモヤモヤとした展開が続くものと思われる。そこに、パパンドレウ政権(ギリシャ)の財政再建をめぐる『国民投票』構想である。これではすべてぶち壊しではないか。日経平均株価は引き続いて、8,343円(10月5日の安値)~9,150円(8月16日の高値)の間での“往来”(ボックスゾーン)の動きとなろう。
一方、相場の方向性を占う意味では売買代金がポイントになる。3月15日(ザラバ安値8,227円)以降、9,000円以上の東証1部の累積売買代金は約135兆円となっている。1日平均1.3~1.4兆円である。この重厚な戻り売りを吸収するのは大変であり、1日の売買代金が連日、1.5兆円を超えなければもみ合い放れ(ボックスゾーンの離脱)はできないだろう。
もちろん、外国人の買い出動、円高是正が不可欠である。したがって、明確に上昇トレンドに転換するまではやはり、材料株での小すくい作戦が有効だろう。実際、好業績を評価し、オリックス(8591)、ソフトバンク(9984)などが人気を集めている。いわゆる、ファンダメンタルズ・アプローチである。物色機運はきわめて旺盛である。
さらに、五洋建設(1893)、ナブテスコ(6268)、コロナ(5909)などもしっかり。いずれも円高の影響が軽微、ないしはないのが魅力である。足元は9月中間決算の発表シーズンであり、好業績に素直に反応する動きが続くだろう。これは地合(市場センチメント)がインデックスほどには悪くないことを示している。
ちなみに、過去1ヵ月間のクイックコンセンサス予想(QUICK)のプラス修正回数(上方修正回数ー下方修正回数)をみると、上位には情報処理サービス、専門小売り、チェーンストア、放送、百貨店、鉄道、レジャー、コンビニなどの業種が入っている。『なるほど』と、うなずけるセクターばかりである。
一方、マイナス修正回数が多い業種は船舶貨物、建設機械、証券、総合電機、自動車、非鉄、工作機械、電子部品、半導体製造装置、家電、高炉、合成樹脂など。こちらは欧州金融不安、世界景気の減速懸念、金融マーケットの波乱、円高進行などに直撃された格好である。しかし、株価的には業績悪を8~9割織り込んでいる。
それに、外部環境が好転(ギリシャ問題の沈静化、円安転換、新興国の金融引き締め政策の終了)し、外国人が買い出動してきた場合、真っ先に買われるのは大きく売り込まれている輸出関連セクターだろう。筆者はこれを“川底の金貨”と称している。中・長期的には外国人が投げ捨てていった“川底の金貨”を拾う作戦はきわめて有効であろう。
2011.11.1 好材料が続出しているにもかかわらず…!
明るいニュース(欧州金融危機克服に向けての包括合意、円売り・ドル介入など)が相次いでいるにもかかわらず、マーケット(株式市場)の反応はいまひとつである。むしろ、下ブレのリスクが高まっている。なぜ、こんなに相場は弱いのだろうか。
まず、包括合意に関してのEFSF(欧州金融安定基金)の拡充(4,400億ユーロ⇒1兆ユーロ規模に)、域内金融機関に対する公的資金の注入(1,064億ユーロ)だが、方向としては正しいものの、マーケットではこの実現性に疑問(独仏に不協和音)を持っている。
為替(円高阻止)についてはどうか。再三指摘しているように、為替介入だけでは円高阻止に限界がある。それに、今回の円高の背景にはユーロ(流動性2位)、ドル(同1位)がダメとあって、対外純資産のトップの円(同3位)が買われている。さらに、日銀の健全性を指摘できる。
なにしろ、リーマン・ショック以降、最も経済面でのダメージが大きかった日本なのに、日銀は消極的な金融政策に終始した。要するに、何もしなかったということ。ちなみに、2007年を100とすると、現在の中央銀行の資産残高はFRBが324、ECBが187となっている。猛烈な金融緩和を断行した結果である。
これに対し、日銀は126である。これは中央銀行の健全性が良好なことを意味する。円高を本当に止めたいのであれば日銀の決断(流動性の供給⇒スイスを見習え!)が不可欠だろう。
一方、テクニカル的には正念場を迎えている。相場の性格、水準、方向を知るのは非常に大切なこと。日経平均株価(日足・ザラバベース)をみると、7月8日の1万0,207円、7月22日の1万0,149円を高値に急落した。いわゆる、ギリシャの財政リスク⇒ユーロ不安を嫌気した(ギリシャ・ショック第2幕)のである。
円高進行、外国人の売り(7月第4週~10月第3週に1.9兆円の売り越し)もあった。急落後は8月以降、完全にボックスゾーンの動きである。日経平均株価は基本的に、8,343円(10月5日の安値)~9,150円(8月16日の高値)の間での“往来”となっている。
これが相場の性格である。では、相場の水準、方向は?現状は10月26日の8,642円を安値に、8~10月の往来相場での6回目となるもみ合い放れに挑戦の展開となっている。要するに、ボックスゾーンの中での上昇局面(方向)、そして上限に接近(水準)していた。ちなみに、10月28日の高値は9,086円である。
この水準はちょうど日経平均株価の1株純資産(9,050円)を少し超えた水準であり、PBR1倍超は上値の限界ゾーン、かつ転機となりやすいところだったのだろう。ボックスゾーンを突き抜けて一段高となるか、否(下ブレ)かのカギは欧州情勢はもちろんのこと、為替の行方、外国人の動向、売買代金のすう勢が握っていると思う。
2011.10.27 株は買ってもらえず、失笑を買う!
気迷い感の強い相場展開が続いている。改めて、述べるまでもなく、株式市場は資本主義体制の根幹を成す貴重なインフラである。アメリカでは『最も重要な国民の財産』と形容される。この低迷を放置してはいけない。株価不振の国の国民が幸せになったことはない、といわれている。もちろん、企業は十分に資金調達ができない。直接金融の道が閉ざされた状態となる。機関投資家(年金など)の運用だって困ると思う。
本来であれば政府、経団連、日本証券業協会、大手証券などが立ち上がるべきだろう。『株は死なず!いや、死なせてはいけない!』と。しかし、動きは鈍い。いや、動きはない。筆者は独自に、“川底の金貨”を拾おうじゃないか、普通預金を引き出し、銀行株を買おう…と、訴えている。
1979年夏にアメリカでは『株式の死』論争があった。メリルリンチはこれに反論し、『株は死なず』とキャンペーンを張った。それと比べるのはおこがましいが、筆者のささやかな孤独なキャンペーンである。肝心の株式は買ってもらえず、“失笑”を買う始末だが…。
しかし、くじけない。この局面は買いだッ、との強い信念がある。それに、1990年以降のボックスゾーンの動き(往来相場)では安いところを勇気をふるって買わないと、利食いのチャンスが極端に低くなる。
まあ、それにしてもNYダウは抜群に強いではないか。ユーロ不安など、まったく気にしていない。やはり、積極的な投資家の存在は大きい。ちなみに、10月27日のNYダウは1万1,869ドル、日経平均株価は8,748円である。その差は1.36倍に開いている。外国人は円を買うついでに、日本株も買って欲しい。10月第2週は12週ぶりに、買い越しに転じたが…。
いずれにせよ、2番底は女性的、かつL字型、底100日と形容されるように、はっきりしないものである。短期張りでは引き続いて、JIN(3046)、テックHD(3857)、ツガミ(6101)、東芝機械(6104)、オークマ(6103)など強い銘柄にマトを絞る作戦が有効と判断する。
話題としては、日本の9月の原発稼働率が20.6%にとどまったことがある。電力各社はLNG火力発電率を上げざるを得ず、企業はCO2削減の課題があって電力⇒自家発電、重油⇒ガスの燃料(エネルギー)転換を迫られるだろう。
東京ガス(9531)はこのメリットを受ける。さらに、気象庁によると、今冬は『ラニーニャ現象』が発生するという。これは日本の冬に低温をもたらす(冬型の気圧配置が強まる)傾向がある。
2011.10.25 オリンパスと東京電力が“主役”を演じるようでは…!
マーケットは超閑散商状である。日本の株式市場は相変わらず、ギリシャの財政リスク⇒ユーロ不安に振り回されている。NY市場は好調なのに。10月25日のNY外為市場では1ドル=75円73銭の高値をつけ、8月19日の75円95銭を上回って、戦後の最高値を更新した。さらに、タイの洪水被害も深刻である。
ユーロ不安の解消には時間がかかりそうである。再び“時間稼ぎ”戦略に戻ったのではないか。こんな状況では市場センチメントが冷え切るのは当然だろう。東証1部の売買代金は10月24日現在、6日連続の9,000億円割れの状態である。先週末の21日は何と、7,755億円だった。ついに、8,000億円の大台を割り込んでしまった。兜町では閑古鳥も鳴かない!投資家の皆さんはどこに行ってしまったのだろうか。
いや~、厳しい。マーケットに吹く風は冷たい。さて、筆者は10月に入って、鳥取、津山(岡山)、新発田(新潟)、熊本、倉敷(岡山)などを訪れた。世間的には最近、珍しくなった株式講演会である。地元の大山日ノ丸、新潟、大熊本、北田(倉敷)、ひろぎんウツミ屋などの証券会社はみんな頑張っている。
あと、12月初めにかけて上越高田(新潟)、名古屋(2回)、広島、平塚(神奈川)、大阪、新宿(東京)、太田(群馬)、千葉などでの株式講演会が予定されている。もう何年も定期的に、この季節に伺っている地域である。
それだけに、地元の証券会社の役員、支店長さん、投資家の皆さんとは“心”が通い合っている。しかし、いけない。投資マインドは凍りついている。行く先々で聞かされたのは『う~ん?』(ため息)とか、『もう限界』といった嘆きの声ばかり。お客さんはもちろんのこと、証券会社の営業員はすっかり自信をなくしている。いや、そもそも地方の証券会社ですら、株式営業をほとんどやっていない。これでは商いが細るのは当然だろう。
いまや、主力商品はEB債、仕組み債、日経平均リンク債(外貨建て)など外資系証券が組成した“外もの”である。これだと、手数料が4~5%(場合によっては7~8%)得られる。まあ、生き残るにはやむを得ないが…。
加えて、40歳、50歳代のベテラン営業マンが次々に辞めている。若手の営業員はザラバ中だって、募集物の営業に出かけている。これでは誰が株式の売買注文を受けるのだろうか。
パナホーム(1924)、ツガミ(6101)、オークマ(6103)、東芝機械(6104)などはチャート妙味がある。工作機械業界はタイの洪水に伴う“特需”(日本企業430社が被災)が見込める。
一方、東京電力(9501)、オリンパス(7735)が連日の大商いである。オリンパスはカラ売りが激増、完全に仕手化している。もちろん、相場は相場であり、ケチをつけるつもりはないが、こんな銘柄が“主役”を演じるようでは…。
2011.10.25 ユーロ不安の解決に向けての方向は正しいが…
金融危機に際しては政府、および金融当局の金融システムを断固、守るという強い決意と、公的資金のドラスチックかつ、素早い注入が有効である。このことはEU(欧州連合)、ユーロ加盟国の首脳は十分に分かっている、と思う。
しかし、国民の多くは金融システムの維持と銀行救済を混同してしまうきらいがある。このため、公的資金の注入に関する世論の形成には時間がかかる。だが、遅れれば遅れるほど、結果的に国民負担が増すことになる。
日本の場合、金融機関に重大な不良債権が存在する、と公式に認識されたのは1992年8月だったが、公的資金の注入は1998年、1999年、2003年と小出し、かつ大幅に遅れた。住専騒動(1996年)が影響した面もあろう。
だが、主因は政治の指導力、説明不足である。なにしろ、当時の与党の幹事長が『私は銀行が嫌いだ』と公言していたほど。好き嫌いで政治をやられてはたまらない。結局、公的資金の注入額は47兆円、銀行の不良債権処理額は100兆円に達した。この間、銀行の貸し出しは2割も減少、これが景気低迷、デフレの要因との見方ができる。
ギリシャの財政リスク⇒ユーロ不安は沈静化に向けての努力が行われている。方向としては正しい。すなわち、ギリシャのデフォルト(債務不履行⇒5~6割の債務カット)を前提に、財政リスクの“ドミノ倒し”、金融システム不安を阻止するためのセーフティネットの構築である。
ただ、これは時間との勝負だろう。そう、のんびり議論している余裕はない。しかし、全会一致の現在のシステム(民主主義のコスト)は不備だらけ。合意するには最後に、マーケットの催促(株価暴落?)が必要となろう。
足元の株式市場は明るいニュースが相次いでいるにもかかわらず、戻りが鈍い。やはり、当面は材料株、小型株にマトを絞っての小すくい作戦が有効と判断する。
たとえば、『機能性アイウェア』(メガネ)が伸びているJIN(3046)、シンガポールの投資ファンド『エフィッシモ・キャピタル・マネージメント』(旧村上ファンド)が介入している日産車体(7222)などに妙味があろう。
このほか、25日移動平均線に対する順カイリの銘柄にはツガミ(6101)、オークマ(6103)、プロミス(8574)、コロナ(5909)などがある。
2011.10.20 脚光を浴びる希少価値を有する企業!
筆者の事務所(東京・日本橋)の隣のビルの1階にあった大きな書店が店を閉めた。旧三菱銀行の店舗跡地に、このビルのオーナー(相当の資産家らしい)が出店したもの。ユニークな陳列スタイルが注目を集め、専門雑誌に取り上げられたこともある。
昼休みにはサラリーマンの憩いの場になっていた。特に、今夏は節電だったため、どこのオフィスも冷房温度が高めに設定されていたが、ここは涼しかった。流行っている書店のようだったが…。
このように、最近になって、急速に店舗数が減少しているもの、それは小規模な小売店、ガソリンスタンド、薬局、本屋さん、畳店だろう。個人経営のコーヒー店も少なくなった。もちろん、閉店するにはそれなりの理由がある。
たとえば、ビジネスモデルの変化(書店⇒ネットの普及、若者の文字離れ)、法規制の強化(石油販売業⇒地下タンクを2層にせよ⇒通常3,000万円程度の費用がかかる)、スーパー・チェーン店の隆盛などだろう。
さらに、後継者難もあろう。畳店がそうである。この8年間に店舗数は半減(1万5,000店⇒7,000店)したといわれている。需要がないわけではない。いや、逆である。需要は旺盛という。専門家によると、全国に3億~4億枚の畳(一般住宅のみ)が存在し、年間3,000万~4,000万枚の畳替え需要がある、といわれている。店舗数を考えると、十分やっていけるのではないか。
では、なぜ、廃業が相次ぐのだろうか。それは後継者、および職人不足である。しかし、こうした状況をビジネスチャンスと見る企業がある。まあ、企業はいつもしぶとい、ということか。
ジャスダック上場のアゼアス(3161)は、その1社だろう。今年5月31日には1,343円の高値をつけている。米・ディポン社製の防護服の販売がメーン事業であり、福島原発事故に伴う需要増を好感したのである。
実は、同社は畳資材(売上構成19%)を手掛けている。今後、これを一歩進め、畳施工事業『蔵』に参入する方針である。高機能、デザインを追及した施工事業は有望だと思う。いい狙いである。もちろん、ユーザーと競合することになるが…。
こんな希少価値の企業には、天気予報のウェザーニュース(4825)、ネットセキュリティのラックHD(3857)などもある。実際、マーケットでは人気を集めている。電子マネー関連のウェルネット(2428)、電子ビーム描画装置のニューフレア・テクノロジーも面白い展開となろう。
2011.10.20 『最適通貨圏の理論』を実践出来るか!(下)
一方、ワーストシナリオはギリシャを制限なく支援する(もとより、時間稼ぎだろうが、これはムダ⇒ギリシャの公的債務残高比率は172%と悪化の一途)、ドイツ(国民はすでに、付加価値税19%、平均所得税率15.7%と大きな犠牲を強いられている⇒日本の消費税率は5%、平均所得税率は6.8%)が負担に耐え切れず、ユーロを抜ける(ユーロ崩壊⇒現状での確率は1%以下⇒とはいえ、欧米の投資ファンドはこの最悪シナリオにも備えている)…である。
ギリシャは12月に101億ユーロ、来年3月に145億ユーロの債務償還を控えている。11月末には政府の金庫がカラッポになるだろう。トロイカ委員会(ECB、欧州委員会、IMF)の支援は今回の80億ユーロ(第6次融資)に続き、12月に50億ユーロ、来年3月に100億ユーロ(3ヵ月ごと⇒その都度、財政再建の進捗状況に対する査察がある)が予定されている。まあ、定期的(3ヵ月周期)にギリシャはもめる、ということ。
さて、次はミドルシナリオだが、これはギリシャの破たん(デフォルト)を前提に、金融機関に再ストレステストを実施し、資本不足であれば公的資金を注入する、EFSFを拡充する…である。政策の要はセーフティネットを構築し、財政リスクの“ドミノ倒し”を防止することにある。現在はこのミドルシナリオに沿って、政策対応が行われている。
もちろん、ギリシャのデフォルトを過度に恐れることはない。リーマン・ショックの再来!などと叫んでいる人がいるが、3年もゴタゴタが続いた“案件”がショック安を招くことはないだろう。そもそも、ショック安とは『予期せぬ出来事』である。アルゼンチンのケース(メルバル指数はデフォルト(2001年12月)がアク抜けの形になり、200ポイント(2001年11月29日)⇒3,664ポイント(2011年1月8日)と18倍の暴騰劇を演じた)を参考にして欲しいと思う。
したがって、ここは迷うことなく、”川底の金貨”を拾おうじゃないか。ただし、まだ川の水は増水しており、慎重に1枚(最少単位での買い下がり作戦)づつ、ていねいに拾うのがベターである。欲張って、1度に両手に抱え込むと流されてしまう。そう、リスクが大きすぎる。
2011.10.18 『最適通貨圏の理論』を実践出来るか!(中)
10月17日の株式市場では幅広い銘柄が買われ、日経平均株価は131円高の8,879円と上伸、一時8,911円の高値(8,900円の大台奪回)まであった。こうなると、マーケットでは、にわかに強気の声(見方)が増える。『次は1万円の大台を目指すッ』と、叫ぶ人がいる。しかし、これは違うだろう。
確かに、株価は反発しているが、売買代金はまったく増加していない。ちなみに、10月17日の東証1部の売買代金は8,916億円だった。これは今年最低の数値である。さらに、18日には8,384億円と一段と落ち込んでいる。なぜ、商いが膨らまないのか。それは売り方の買い戻しが中心であること、およびこの水準は需給面での“真空地帯”という事情があろう。
日経平均株価の上値のメドについては短期的には9,000円がらみ、中期(来年3月まで)的には9,852円(今年3月の月中平均)、9,755円(今年3月の月末値)と考えている。この水準を超えて一段高に進むには現状では無理がある。
9,852円は国内の機関投資家、法人が3月期末に値洗いを行った水準(新しい簿価)である。銀行、生・損保、法人ともにリスク資産(株式)の圧縮を行っている。9,852円以上では彼らの売りが出る。上値が限られているだけに、安いところをいかに拾えるかが株式投資の成否のカギとなろう。
一方、ギリシャの財政リスク、ユーロ不安は方向性は見えてきたものの、完全収束の道のりは遠い。このため、引き続いてマーケットは揺さぶられるだろう。ただ、そんな局面(下値のメドに接近したところ)は断固、買い(突っ込み買いのチャンス!)となる。
再三指摘しているように、名目GDP比の東証1部の時価総額では50%前後が買い、80%前後が売りの目安となっている。もちろん、80%前後の売りの目安はトレンド的に見ると、中・長期的な視点である。
さて、ギリシャの財政リスク、ユーロ不安の“処方箋”には3つのシナリオ(ベストシナリオ、ミドルシナリオ、ワーストシナリオ)がある、と主張しているが、ベストシナリオの場合、ヨーロッパはどうなるのだろうか。また、それが可能なのだろうか。
ベストシナリオではドイツの支配力(EFSFの負担比率は27%)が一段と強まるだろう。先の2回の大戦と基本的に同じ構図である。小国の国民は絶対に納得しないと思う。特に、スロバキア、エストニアなどはそうじゃないか。
ギリシャの“追放”は現在のルールでは無理だが、いずれそんな議論が高まるのだろう。ただし、現時点ではユーロ(欧州)合衆国構想を含め、ベストシナリオの実現は困難(合意には10年以上の歳月が必要)と考えている。
一方、この局面での投資戦術としては引き続いて、突っ込み買いの吹き値売りが有効である。旭ダイヤモンド工業(6140)、アルバック(6728)、フォスター電機(6794)はわずか数ヵ月の間に株価が4~6割の激しい暴落を演じた。世界景気の後退リスク、円高、業績の先行き不安、外国人の投げ売りなどを反映したものだろうが、これは売られすぎと判断する。
2011.10.18 『最適通貨圏の理論』を実践出来るか!(上)
この相場(性格)において、有効なのは引き続き突っ込み買いの吹き値売り!である。買いゾーンは日経平均株価の8,300円がらみ、ないしは8,000円割れ(最悪7,600円前後)の水準と一貫し、主張している。
名目GDP比の東証1部の時価総額では50%水準(10月5日に、東証1部の時価総額は253兆円まで減少⇒この時点の名目GDP比は52.7%)が突っ込み買いのメドになる。ちなみに、日経平均株価は9月26日に8,374円の安値をつけた。こんな場面はとりあえず、第1弾の買いを入れるべきであろう。
講演会では外国人が投げ捨てていった“川底の金貨”を拾おうじゃないか!と訴えている(1人だけのキャンペーンを展開中)が、『ただし、まだ川の水は増水した状況下であり、金貨を拾うのは1枚にしなさい』(買いは最少単位に)と、警告している。一度に全部拾おうとすると、流される恐れがある。
欧州情勢は依然として不透明である。この解決には時間を要するだろう。ギリシャの財政リスク、ユーロ不安の解決の“処方箋”には3つのシナリオがある。現状はワーストシナリオで動いている。早急に、ミドルシナリオに引き上げる必要があろう。
さて、ロバート・マンデル博士は『ユーロの父』と呼ばれている。彼の『最適通貨圏の理論』(これによって、1999年にノーベル経済学賞を受賞)は『国情、人種の違う国が統一通貨を採用する場合、成功するには3つの条件がある』と指摘している。
すなわち、3つの条件とは、ユーロ圏内の財政政策、金融政策を一つにし、人の移動を自由にすること(出入国管理を緩和し、ビザ・パスポートをなくすことではない⇒域内では自由に働ける)である。
しかし、ユーロは金融政策だけはECB(欧州中央銀行)が一手に担っているものの、他はそうではない。財政政策を一本化(欧州共通債券の発行構想はこの考えに基づく)していればギリシャ財政リスク(放漫財政)は起こらなかっただろう。
ただ、これは難しい。国家としての主要な“権利”を放棄することになる。もちろん、各国は憲法改正が必要である。この困難さはEFSF(欧州金融安定化基金)の拡充(2,500億ユーロ⇒4,400億ユーロ)に際しての国会決議の比ではなかろう。大もめが予想される。
まあ、加盟17ヵ国の賛同を得るのは大変である。スロバキア、マルタなどの小国だけではなく、EFSFに対する保証比率の高いドイツ(27%)、フランス(20%)、イタリア‘18%)なども負担増を嫌がるだろう。
では、人の移動を自由にする、これはどうだろうか。現在、スペインの失業率は20%を超えている。特に、25歳未満の失業率は46%と深刻である。この人たちが好景気の北部欧州(ドイツ、オランダなど)に“出稼ぎ”に行けば失業率は平準化するだろう。しかし、それはできない相談である。むしろ、北部欧州では外国人の排斥運動が激化している。ポルトガル、スペインの人たちは旧植民地だった南米に“出稼ぎ”に行っている。これではまるで『母を訪ねて3,000里』(南米に働きに行ったお母さんを探してヨーロッパの少年がはるばると旅をする物語)ではないか。
結局、ギリシャ財政リスク⇒ユーロ問題の真因は中途半端なその仕組み(構造)にある。従って、解決のためのベストシナリオはユーロ加盟国をアメリカ合衆国のようなスタイル(連邦にする、ユーロを南北に分割する、放漫財政のギリシャを追放する(ただし、現状では離脱の規定がない)…になるだろう。
とはいえ、これまた難しい。多くの国がドイツ、旧ソビエトに占領された経験があり、国民は連邦という言葉に拒否反応を示している。『最適通貨圏の理論』の実践は理屈のようにはいかないのである。
タイの洪水被害は深刻である。全工業団地が冠水、操業停止に追い込まれている日系企業は400社に達する。生産設備(特に、工作機械)にはNC装置、サーボモーターなどの精密部品が数多く使われている。冠水した場合、新品の工作機械を購入せざるを得なくなろう。ツガミ(6101)はミネベア、日本電産向けに高いシェアを有している。足元の業績は厳しいが…。
2011.10.13 “プーチン帝国”の誕生は日本にプラス?
ギリシャに続いて、スロバキア(GDP633億ユーロ、人口541万人)の動向に振り回されている。しかし、こんな時こそ、大きなトレンドを読む必要があろう。2012年3月、ロシアではウラジーミル・プーチン大統領(現首相)が誕生する。4年ぶりの復帰である。
ロシアでは国民の多くが『ソビエト時代が懐かしい』と思っているらしい。共産主義体制化、自由は乏しく暗い時代だったのに。国民は“強いロシア”を求めている、ということだろうか。
ちなみに、プーチン氏が政治の表舞台に登場したのは1999年8月である。エリツィン大統領が首相に任命したのが表舞台のデビューだった。2000年5月には大統領に就任している。
当時の大統領の任期は1期4年、2期まで(8年)だった。2008年に大統領の座をメドベーシェフ氏に譲ったが、首相として実験を握り続けてきた。この12年の間に、一時は破産寸前だったロシアを“強国”に復活させたのは事実である。
大統領の任期は憲法改正によって、6年に延びた。プーチン体制は2024年まで続く可能性が強まっている。恐らく、権力集中は一段と進むだろう。なにしろ、プーチン氏は1975~1990年には旧KGB(ソビエト国家保安委員会)に務めていた。取り巻きはKGB出身の“強硬派”が中心といわれている。結果的にアメリカの地位低下があって、東西冷戦構造(米ロ対立の時代)に戻る可能性があろう。
世界情勢(地政学上の構図)はBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を中心とする新興国の台頭に加え、先進国は軒並み財政リスクにさらされており、“プーチン帝国”の出現によって、大きく変化するだろう。
もちろん、これは日本に大きな影響を与える。しかし、隣国に絶対的な権力を有する大統領の誕生、および“強国”の出現は悪い話ばかりではない。要は上手に付き合うこと。ロシアの政治は保守化するだろうが、日ロ関係の改善は手ごわい交渉相手とはいえ、北方領土問題の解決などチャンスである。
それに、歴史的な視点では東西冷戦構造(単純な共産主義と資本主義の対立とはいえないが…)の復活は日本にとって、プラスの面が大きいと思う。
第2次世界大戦後の日本は『東洋の奇跡』と形容される復興⇒高度成長を遂げ、世界第2位の経済大国になった。これを好感し、日経平均株価は1950年7月6日の85円を安値に、1989年12月29日には3万8,915円(史上最高値)まで駆け上がった。実に、458倍の急騰劇である。いち早く日本企業(株式)に着目したマゼランファンドのファンドマネージャーが“神様”と呼ばれたのは当然だろう。
株式投資はメチャクチャ儲かった時があったのである。皆さんにとって、“古き良き”時代ではないか。さて、1950年7月は朝鮮戦争の勃発(東西冷戦構造のスタート)1ヵ月後、1989年12月はベルリンの壁の崩壊(東西冷戦構造の終えん)の1ヵ月後である。
何をいわんとしているか、分かるだろう。戦後の大相場は東西冷戦構造のスタートとともに始まり、東西冷戦構造の終えんによってフィナーレを迎えた。これが長期的な視点であり、トレンドを読むということ。筆者は『失われた20年』の主因はこのパラダイム(ワク組み)の変化に、政治が対応できなかったため、と主張している。
日本経済の長期低迷はバブル崩壊、金融システム不安、政治の無策、デフレ突入、円高進行だけが原因ではない。日本M&Aセンター(2127)は中堅企業のM&Aブームを背景に、業績は絶好調である。コメリ(8218)、ダイハツ(7262)は引き続いて狙える。
2011.10.11 デフォルトは買い!アルゼンチンのケース
デフォルト(債務不履行)は買い!と主張している。既報のように、アルゼンチンのケースではメルバル指数がデフォルトをきっかけ(一気にアク抜け)に、急騰した。実に、2001年11月29日の安値200ポイント⇒2011年1月8日の高値3,664ポイントと、18倍の暴騰劇である。
ギリシャは完全に“多重債務者”状態に陥っている。自力更生は困難である。もちろん、国民の多くは政府(パパンドレウ政権)の財政再建路線(支援国との“約束”)に猛反発、連日のデモ、ストライキを行っている。これでは…。そう、支援国はたまらない。『あんないい加減な国に、われわれの税金を制限なく投入するのか』と。当然の反応だろう。
なにしろ、ヨーロッパの税金は高い。付加価値税(日本の消費税に相当)は軒並み20%前後だし、平均所得税率はドイツが15.7%、フランスが9.9%、イギリスが14.7%、イタリアが15.4%、スペインが11.7%となっている。ちなみに、日本は消費税が5%、平均所得税率は6.8%である。これは欧州各国が財政再建のための増税の余地が乏しいことを意味する。
まあ、いつまでもギリシャにかかわり合っていられない、ということ。“わが身”が大切である。では、ギリシャの破たんはいつか。債務償還スケジュールをみると、10月16億2,500万ユーロ、11月16億2,500万ユーロ、12月101億ユーロ、来年1月1,600万ユーロ、2月ゼロ、3月145億ユーロとなっている。
一方、ギリシャに対する第1次金融支援(1,100億ユーロ)は2013年までに、13回に分けて融資される。すでに、1~5次の融資は実行されている。6次(9月80億ユーロ)は現在、トロイカ査察団(ECB、IMF、欧州委員会)とギリシャの間で財政再建の進捗状況を巡ってもめている(未実行)。ただ、10月の債務償還予定日は10月14日であり、この前に結論が出る(融資が実行されるや10月12日に融資を決定)だろう。
さらに、7次(11月50億ユーロ)、8次(来年2月100億ユーロ)の融資交渉についても難航が予想される。ギリシャは資金調達能力を失っている。この支援だけが頼りである。結局、ヤマ場は今年12月、ないしは来年3月となろう。
欧州各国は財政リスクの“ドミノ倒し”(ギリシャ・ショックがアイルランド、ポルトガルなどに波及)を避けること、および金融システム不安を解消する必要がある。このためにはEFSF(欧州金融安定基金)の拡充、金融機関に対し公的資金の注入(資本増強)を急ぐこと、これが肝要である。セーフティネットの構築が終わったとき、そこがギリシャの破たん処理(債務リストラは別途に交渉が継続)のシグナルとなる。
逆行高のコメリ(8218)、東洋水産(2875)には“追い風”が吹いている。コメリは東北地方に195店舗(ホームセンター)を有しているが、復興需要を背景に全国平均を上回る売上高の伸びが続いている。家具、生活用品などが売れている、という。日本M&Aセンター(2127)は好業績に注目できる。
2011.10.6 強い銘柄(内需関連)を攻めるのがセオリー!
もう、すっかり秋である。街にキンモクセイの香りが漂っている。初雪の便りは例年よりも早い。彼岸花は盛りをすぎようとしている。今年の夏はあれほど暑かったのに、朝夕は肌寒いほど。秋風が吹くころには、相場は転機を迎える、と主張してきたのだが…。
外部環境がどんなに厳しくとも季節はめぐる。株式市場も同様に、強気相場と弱気相場が交互に訪れる。現状は弱気相場である。数年来のボックスゾーンの下限に位置している。
しかし、状況は厳しい。NYダウは恐怖の第5波動(下げの最終局面)に突入した。相変わらず、マーケットはギリシャの財政リスク⇒ユーロ不安、世界景気の減速懸念に振り回されている。欧州各国は財政再建(増税)に追われている。確かに、財政再建策の推進は景気を悪化させる。
しかし、ギリシャのGDP(国内総生産)はわずか3,300億ドル(約25兆円)、人口は1,100万人に過ぎない。そんな南欧の“小国”の動向になぜ、世界の金融市場が一喜一憂させられているのだろうか。
情けない話じゃないか。日経平均株価は9月26日に、8,374円の安値まで売り込まれた。2月21日の高値(1万0,857円)比の下落率は22.9%となる。この間、東証株価指数の下落率は25.2%となっている。これは時価総額の大きい主軸株の下げがきつかったことを示している。
株価急落の主要因(需給面)は外国人の売りだろう。外国人は7月第4週~9月第3週に、1兆8,350億円売り越した。なにしろ、外国人は委託売買代金シェア(3市場ベース)の7割(先物では8割)を占めている。その売り浴びせに、国内勢は抗し切れない。需給の悪化は株価調整(下落)によって、是正される!まさに、セオリー通りの展開ではないか。
反面、個人が委託売買代金シェアの5~6割を有するジャスダック市場は堅調である。日経ジャスダック平均の高値は1,351ポイント(2月21日)だが、安値は9月29日の1,154ポイントであり、下落率は14.8%にとどまっている。
それに、3月15日の安値(1,034ポイント)をいまだに下回っていない。日経平均株価は3月15日の安値(8,605円⇒終値ベース)を大きく下回っているのに。需給面の分析は投資家心理面の解析とともに、極めて重要である。
もちろん、株価は正直!という。ジャスダック市場の強さもそうだが、業種別株価指数の動きを見ると、建設、食品、紙・パルプ、小売業(スーパー、ホームセンター)、銀行(地銀)、鉄道・バス(私鉄)、陸運、ガス(ガス器具を含む)、消費者金融、ベンチャー・キャピタル、ヘルスケア、医療機器などの堅調さが目立っている。
最近、日経平均株価の高安にかかわらず、新高値銘柄数が新安値銘柄数を上回る日が増えている。新高値銘柄はほとんど前述のセクター。多くが為替、欧米景気の影響を受けにくい銘柄(いわゆる、内需関連)である。外国人の売り圧力が少ないのが魅力といえる。
まあ、マーケットは賢い!ということだろう。強い銘柄にマトを絞る!とのセオリーでは大気社(1979)、リンナイ(5947)、静岡銀行(8355)、不二製油(2607)、ローソン(2651)、しまむら(8227)、アークランド(9842)などに注目できる。
2011.10.4 ギリシャ問題とアルゼンチンのデフォルト!
ギリシャ情勢は一段と厳しさを増している。支援国との約束(公的支援の見返りに、ギリシャは財政再建に真剣に取り組み、構造改革を断行する)は壊れつつある。ギリシャはデフォルト(債務不履行⇒大幅な債務カット、ないしは短期債と長期債との債務交換)が不可避だろう。
ユーロ加盟国の“時間稼ぎ戦略”(muddle through アプローチ)は破たんしたのではないか。改めて述べるまでもなく、財政再建策の断行は景気を悪化させ、税収は減少する。
すでに、ギリシャのGDP(国内総生産)は今年、12%落ち込んでいる。2012年にはピーク比20%マイナスとなろう。景気後退は深刻である。これでは財政再建は難しい。あとは公務員の給料4~5割カット、行政サービスの見直しなど、ドラスチックな歳出削減しかないが、国民の多くは危機意識が乏しいばかりか、財政再建そのものに反対している。
結局、ギリシャ財政リスク⇒ユーロ不安は、①ギリシャに対し、思い切った債務リストラを求める②ダメージを受ける欧州金融機関に公的資金を注入する③財政リスクの“ドミノ倒し”がポルトガル、アイルランド、スペイン、イタリアなどに波及しないように、セーフティネット(EFSF⇒欧州金融安定化基金の拡充)を構築する…といった“荒療治”しかないと思う。
しかし、支援国側の姿勢も一枚岩ではない。EFSFの拡充にはユーロ加盟国の国会議決が必要である。ドイツは先週、拡充法案を可決したが、あと6か国の国会承認が残っている。
欧州委員会は批准作業を10月中旬までに完了したい考えという。しかし、スロバキアの可決が不透明といわれている。
さらに、株式市場にはアメリカ景気のリセッション(景気後退)懸念、新興国の金融引き締め⇒オーバーキル(金融引き締めが強すぎて景気を失速させること)のリスク(特に、中国のハードランディング説)などもある。
こうした状況を受け、マーケットはリスク・オフ(回避)の動きを強めている。3日のNYダウは250ドル安の1万0,655ドルと続落、ついに8月10日の安値(1万0,719ドル)を下回った。NYダウは最終5波動の下げである。ユーロは1ユーロ=100円に突入、原油価格(WTI)は1バレル=77ドル台と、1年ぶりの安値となった。マーケットはギリシャのデフォルト、その衝撃に身構え始めている。
ただ、アルゼンチン(2001年12月にデフォルト)のケースをみると、メルベル指数は11月29日(デフォルトの1ヵ月前)に200ポイントの安値をつけたが、デフォルトをきっかけ(一気にアク抜け)に急騰、2002年2月6日には471ポイント、今年1月には何と3,664ポイント台の高値をつけた。実に、18倍の急騰劇である。
世界の株価も同じ時期に反発に転じた。現状はギリシャの財政リスク、アメリカ景気のリセッション懸念にリスク回避の姿勢が強まっているが、アメリカ景気はいわれているほど悪くない。NYダウの急落はミューチャルファンド、ヘッジファンドの解約に伴う換金売りが主因だろう。
一方、日本の10月は“神無月”と称する。神様は出雲に集結しており、神様不在の状況となっている。つれて、いつもこの季節は悪霊が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するもの。しかし、日柄的には11月がポイントの月になろう。
2011.9.30 ギリシャ支援に向けてのハードルをクリア!
まさに、ユーロ・ショックである。厳しい相場展開が続いている。株式市場は瞬間、“底抜け”の状態となった。しかし、脅えることはない。1990年以降、ずっと続いているボックスゾーンの下限ではいつもそうじゃないか。
そう、悪材料だらけ、弱気一色となる。だが、いつもそんな局面が絶好の買い場である。実際、先人は大底圏では好材料を探せ、なかったら買え!と教えている。ギリシャ支援に関してはドイツ議会がEFSF(欧州金融安定化基金)の拡充法案を可決、大きなヤマ場をひとつ越えた。もちろん、安心はできないが…。
テクニカル的には目下、3月15日の安値8,605円(1番底⇒ザラバベースでは8,227円)に対する2番底形成途上にある。日経平均株価の下値メドは8,300円がらみ、ないしは8,000円割れの水準に設定できる。
さて、日経平均株価は9月26日に、8,374円の安値まで売り込まれた。2月21日の高値(1万0,857円)比の下落率は22.9%となる。これは昨年4~8月の第1次ギリシャ・ショック時の下落率22.2%を上回っている。株価指数的にはもう十分ではないか。一方、TOPIXの下落率は25.2%に達する。これは主軸株に外国人の売りが集中的に出たことによるもの。日本市場の流動性が高いために、売り物を浴びたのだろう。
ちなみに、外国人は7月第4週~9月第3週に、約1.84兆円売り越した。10~11月に決算期を迎えるミューチャルファンド、ヘッジファンドなどが解約に伴う換金売りを余儀なくされた模様だが、経験則的には売りはほぼ一巡したと思われる。
いや、外国人はここに来て日本株に強気になりつつある。円高傾向に加え、先進国では唯一、財政出動(東日本大震災の復興支援⇒第3次補正予算の編成)を行う国である。確かに、これは魅力だろう。
最近、アメリカに株式キャンペーンに行った大手証券によると、『彼らの多くは日本株にきわめて強気』であり、『日本株をオーバーウエイトにしていない投資家がいるの?』との、逆に質問を受けた、という。
まあ、それにしてはよく売ったものだが、これはやはり、解約があって、売らざるを得なかった、ということだろう。ファンドは解約に弱い。ただ、9月に入って解約ラッシュは峠を越えつつある。
ギリシャ問題についてはどうか。10~11月の債務償還スケジュールでは各16.25億ユーロにすぎず、第1次金融支援(1,100億ユーロ)の第6次融資80億ユーロ(9月末~10月初めに実行予定)があれば何とかなると思う。
しかし、12月は101億ユーロ、来年3月には145億ユーロの償還が控えている。このため、最短では12月、遅れても来年3月には債務リストラ(債務カット、もしくは短期債と長期債の交換)に追い込まれる可能性がある。現在、欧米の金融マーケットは最悪シナリオをベースに展開されている。投資家としては目先は大丈夫だが、その“衝撃”に備えておく必要があろう。
とはいえ、株価は歴史的な安値ゾーンにある。財務内容が健全な三菱UFJFG(8306)、30年前の株価水準に売り叩き込まれている日本郵船(9101)、新日鉄(5401)などは“川底の金貨”と判断する。チャート的には双日(2768)、曙ブレーキ工業(7238)、静岡銀行(8355)、ダイハツ工業(7262)、リンナイ(5947)、コメリ(8218)なども狙える。
2011.9.28 アジア各国は金融政策を転換(引き締め休止)!
これは再三指摘していることだが、パニックは政策の母!という。マーケットが動揺し、人々がパニックに陥るたびに政策対応は強化される。そして、最後は政策総動員となる。実際、そうなってきたではないか。
アジアでは韓国リスクが高まっている(CDSスプレッドが急上昇)。秋口にかけて中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、インド(9月16日の利上げが最後?)が利上げに踏み切るとみられていた。しかし、世界の金融マーケットの混乱を受け、短期的に金融引き締めの方針は大きく転換されつつある。
むしろ、財政状態が良好な中国、インドネシア、シンガポールは大規模な財政出動に踏み切るだろう。インド、マレーシアは金融緩和政策を推進する可能性が濃厚である。金融引き締め政策の“一時休止”は株価の下支えになるだろう。
次はECB(欧州中央銀行)の“決断”である。4月、7月の利上げはそもそも政策ミスだが、その修正とともに、金融機関に対し、公的資金の注入を急ぐ必要がある。ギリシャ支援の欧州各国の足並みの乱れが金融機関の財務健全性の懸念を強めている。
公的資金の注入は銀行救済ではない。金融システムを守るためである。ためらってはいけない。それは各国政府、ECB、FRB、BOE(イギリス中央銀行)ともに十分に、分かっていると思う。彼らにはリーマン・ショックの“学習効果”がある。
日本の場合、金融危機に関しては対応が大幅に遅れた。当時の政府・金融当局には金融システムが重要である、との認識がなかったのではないか。日銀がゼロ金利政策を採用したのは1999年2月、量的金融緩和に踏み切ったのは2001年3月だった。実に、バブル崩壊(1990年)後、9年、11年が経過していた。いや、1991年7月までは地価・株価が暴落しているというのに、何と、利上げ・金融引き締めを断行、かつ地価税を創設したのである。まったく、愚か!としか語る言葉がない。“無能”を通り超えている。
公的資金が本格的に注入されたのは1999年3月、2003年6月(不十分な注入は1998年3月にあったが…)である。日本のミスは結果的に総額47兆円の公的資金を注入したものの、そのタイミングがあまりにも遅れたことだろう。
それと、当初は不良債権の存在自体を隠したこと、これが問題である。銀行は結局、総額100兆円もの不良債権の処理を余儀なくされるのだが、1992年8月に当時の宮沢喜一首相が『金融機関に重大な不良債権が存在する』と非公式に表明、当時の平岩外四経団連会長に『公的資金を注入したい』と協力を要請した時の不良債権額はわずか8兆円だった。
それがなぜ、できなかったのか。
この時点で金融システムを守り、デフレ突入、円高進行、地価の急激な下落、産業の空洞化などの阻止、株式市場の活性化などの施策が打ち出されていれば…。『失われた20年』はなかっただろう。日本の“姿”はもっと変わったものになっていたと思う。まあ、欧米の金融当局、政府がその轍を踏むことはないだろう。
ちなみに、1992年8月15日のことだったが、宮沢首相の要請に対し、平岩経団連会長はひと言、『銀行員の給料は高いからねえ』。当時は東京電力会長だった。この発言に金融システムを認識する概念はない。まさしく、小さな正義が国を滅ぼす!の構図である。
そして、1996年の住専問題を含め、不毛の議論が繰り返される。公的資金の注入は遅れに遅れる。もちろん、金融システム不安の元凶(いわゆる、真因)となった地価・株価の下落は今も続いている。
もっとも、日本の銀行の株式保有額は激減、メガバンクの不良債権率は1%ちょっとの水準にあり、健全性は保たれているし、地価・株価の下落の影響はほとんどない状態になっている。この点はもっと評価していいのではないか。
投資戦術としては引き続いて突っ込み買いの吹き値売りが有効と判断する。狙い目は何か。外国人、目先筋が投げ捨てた“川底の金貨”を拾おうじゃないか、と主張している。すなわち、三菱商事(8058)、日産自動車(7201)、パナソニック(6752)、コマツ(6301)、新日本製鉄(5401)、日本郵船(9101)、三菱UFJFG(8306)、三井住友FG(8316)などがターゲットになろう。
2011.9.27 日経平均株価は下値メドにほぼ到達!
まさに、阿鼻叫喚の図である。いや~、ひどい相場じゃないか。日本の株式市場は“底なし沼”にはまり込んでしまったのか。日経平均株価は9月26日、186円安の8,374円の安値まで売り込まれた。とっくに東日本大震災直後の安値8,605円(3月15日)を下回っている。2月21日の高値1万0,857円比の下落率は22.9%となる。
すでに、昨年4~8月の第1次ギリシャ・ショック時の下落率22.2%を上回っている。これはユーロ不安(PIIGS⇒ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの財政リスク)が第2ラウンドに突入した、ということだろう。
しかし、アメリカを含め、欧米各国は財政再建途上にあり、打つ手は限定される。そこを投機筋に突かれている。世界の株式市場、ユーロの暴落(1ユーロ=102円台に突入)が象徴的である。
いま、証券市場は最大の危機を迎えている。今後、株価はどうなるのだろうか。ヨーロッパ発の金融危機(ユーロ不安)の衝撃は2008年9月のリーマン・ショックを上回る、との見方が増えている。実際、安住淳財務省は『欧州金融不安はリーマン・ショックよりも深刻』とコメントしている。確かに、状況は厳しい。もっとも、この局面での不安をあおるような財務省の発言は不適切と思うが…。
ちなみに、PIIGS合計の海外借り入れ金額(国債を含む)は3兆4,925億ドルである。このうち、国(ほとんどが金融機関の保有)別の債権額はフランスが8,011億ドル、ドイツが6,886億ドル、イギリスが4,805億ドル、アメリカが6,409億ドルとなっている。
国別のシェアではフランスが22.9%、ドイツが19.7%、イギリスが13.8%、アメリカが18.3%である。この4ヵ国で74.7%を占めている。日本のシェアは2.9%(ギリシャに限定すると0.8%)に過ぎない。影響は軽微のはずだが…。株価については目先筋の投げ売りがみられる。
欧州金融不安は呼称のように、ヨーロッパ(およびアメリカ)の金融機関の問題である。だからこそ、コメルツ、ドイツバンク、UBS、ソシエテ・ジェネラルなどの株価が暴落、破たんリスクを示すCDSスプレッドが軒並みリーマン・ショック時のピーク水準を上回っているのだろう。
現実に、ヨーロッパの金融機関の含み損はギリシャ国債などの値下がりを反映、21兆円に達する、といわれている。では、本当に『100年に1度あるかないか』といわれたリーマン・ショック以上の恐慌的な惨状が出現するのだろうか。
筆者は『あり得ない』と考えている。そもそも、ショック安とは『予期せぬ出来事』である。予想された事象・現象がショック安を引き起こすことはない。これは“歴史の教訓”である。
ショック安は突然やってくるもの。来るぞ~、来るぞ~と連呼されれば誰だって身構えるだろうし、衝撃に備える。当然、株価は早め、早めに織り込むだろう。過去のケースではアルゼンチンのデフォルト(債務不履行)、ウルグアイの債務リストラ(短期国債を長期国債に交換)だって、その“決断”が一気にアク抜けにつながったではないか。
ギリシャは最終的に、アルゼンチン方式、ウルグアイ方式のいずれかを選択せざるを得なくなる、と判断している。そして、この場面においてECB(欧州中央銀行)が優先的に行うべき政策課題は域内の金融機関に対し、公的資金を注入すること。当面はこの“決断”に期待したい。それと、かねて日経平均株価の下値メドは8,300円(3月15日のザラバ安値8,227円近辺)がらみ、最悪8,000円割れと主張してきたが、ほぼその水準に近づきつつある。ともあれ、月並みな表現だが、ここは冷静な対応が求められる。
2011.9.20 人生いろいろ、相場もいろいろ!
まさに、人生いろいろ、相場もいろいろである。ユーロ不安はなかなか収束しない。筆者の場合、サラリーマン人生は肝心な時の社長交代が転機となった。4代目社長(創業者の息子)、およびその側近(茶坊主)と合わなかった。結局、退職(独立)の道を選んだのだが、これも人生である。社長との確執は自分を責めるか、あきらめるしかない。社長は“権力者”である。
一方、相場は日経平均株価が9月14日に8,518円の安値まで売り込まれた。2月21日の高値(1万0,857円)比の下落率は21.5%になる。昨年4~8月のギリシャ・ショック時の下落率22.2%にほぼ匹敵する急落である。外的ショックは需給悪を伴うだけに、基本的に嵐の過ぎるのを待つ作戦が良策と思う。
この間、ドイツのDAX指数は34.7%の下落率を記録している。これによって、今回の下げがギリシャ問題⇒ユーロ不安を嫌気したもの、との理解ができる。しかし、NYダウは16.3%の下落率にとどまっている。アメリカはギリシャ問題をそんなに深刻に考えていない、ということだろうか。
一方、個人が委託売買代金シェアの6~7割を占めるジャスダックの日経ジャスダック平均は2月21日の1,351ポイントの高値に対し、8月9日の安値は、1,165ポイントと、下落率は13.7%にとどまっている。現時点では3月15日の安値1,034ポイントを下回っていない。底固い動きである。
まあ、東証マザーズ指数の下落率は26.5%に達しているが、これは流動性に欠けるため、動きが一方通行になるためだろう。これは仕方がない。いずれにせよ、個人は賢く、かつ元気だということ。
なお、9月16日の日経平均株価は8,864円、NYダウは1万1,509ドルである。その差は29.8%に開いている。1989年12月29日には日経平均株価の3万8,915円に対し、NYダウは2,753ドル(1対14)…などと、遠い昔のバブル時代のデータを持ち出すつもりはない。現状はひどいの一語につきるが…。
この差の縮小⇒逆転は『失われた20年』のツケであり、いまさら悔やんでも過去は戻ってこない。ただ、2003年4月以降は日経平均株価とNYダウはほぼ1対1の水準だった。現在の3割の差は明らかに開き過ぎではないか。
もちろん、日本の株式市場は『極端な』と形容されるほどの外国人主導のマーケットであり、外国人の動向に振り回される面はあろう。ただ、外国人は7月第4週以降、9月第1週までに約1兆7,000億円売り越している。
彼らはTOPIXコア30など主軸株を中心に売った。流動性が高くミューチャルファンド、ヘッジファンドなどの解約に伴う換金売りに対応しやすかったのだろう。しかし、この集中豪雨的な売りはほぼ一巡したと判断できる。そう、暴風雨圏は次第に遠ざかりつつある。
したがって、新日本製鉄(5401)、パナソニック(6752)、日本郵船(9101)など、売られ過ぎの主軸株は徐々に底打ち⇒反騰パターンになるのではないか。もちろん、ファンダメンタルズは2012年4月以降、急好転が見込まれている。
2011.9.20 日本カーボン、三菱マテリアル、双日に妙味あり!
株式市場はいつになったら落ち着きを取り戻すのだろうか。9月末のギリシャに対する支援(第1次金融支援1,100億ユーロの第6回目の融資80億ユーロ⇒第1次金融支援は2013年までに13回に分けて行われる)は実行されるだろう。
しかし、12月分(第7回目)については未定である。このため、ギリシャ問題は完全に収束しておらず、引き続いてユーロ不安に振り回される展開となろう。実際、19日の欧米市場は大荒れである。ただ、ドイツ・メルケル首相、フランス・サルコジ大統領ともに、『ギリシャのユーロ離脱はない』と明言している。しかし、欧州連合財務相会合は成果がなかった。まあ、期待するのが無理なのだが…。
一方、再三指摘しているように、日米欧の中央銀行がドルの“無制限“供給の方針を明らかにするなど、『最悪シナリオ』に備えた対策は着々と進んでいる。ギリシャのデフォルト(債務不履行)の確率は一段と高まっているが、リーマン・ショックの再来は避けよう、ということか。
まあ、これがサブプライムローン・ショック以来の金融当局の学習効果であろう。もちろん、パニックは政策の母!との見方もできる。そう、マーケットが動揺し、人々がパニックに陥るたびに政策対応は強化される。そして、最後は政策総動員、挙国一致体制となる。これが歴史の教訓である。
だからこそ、ここ数週間、セオリー(“川底の金貨”は拾うな!)に逆らって、“川底の金貨”を拾おうじゃないか!と主張してきた。さらに、普通預金(現在、家計の残高は198兆円、別にタンス預金が53兆円)を引き出し、メガバンクの株式を買おう!との一人だけのキャンペーンを行っている。
三菱UFJFG(8306)、三井住友FG(8316)、みずほFG(8411)の株価は歴史的な安値ゾーンにある。不良債権比率は1%台、自己資本比率は11%を超えている。バーセルⅢの自己資本の上乗せ規制は利益の上積みによって、達成可能(増資は必要ない)という。
現在、普通預金金利は0.02%に過ぎない。9月末には三菱UFJFGが6円、三井住友FGが50円、みずほFGが3円の中間配当を予定している。配当利回りは何と、3.6~5.5%に回る。『株価には値下がりのリスクがある』。う~ん、『それをいっちゃあ、おしまいだぜ』と、トラさんがつぶやいている。
“川底の金貨”は他にはないのか。大和証券キャピタル・マーケッツが①2012年度予想の経常利益が上方修正②同ROE(自己資本利益率)が8.5%以上③実績PBRが1倍未満…の銘柄リスト(32銘柄)を作成している。これは参考になる。
いずれも魅力的な銘柄だが、低位株では日本カーボン(5302)、三菱マテリアル(5711)、双日(2768)が面白いと思う。PER(来期予想)は日本カーボンが8.9倍、三菱マテリアルが6.8倍、双日が5.8倍と出遅れが著しい。PBRは日本カーボンが0.92倍、三菱マテリアルが0.79倍、双日が0.52倍となっている。
ROE(来期予想)は日本カーボンが11.0%、三菱マテリアルが11.6%、双日が8.9%である。2012年3月までの日経平均株価の上値メドは9,852円(2011年3月の月中平均)がらみと天井は低い。それだけに、マスコミ、専門家と称する人々の弱気の声に惑わされず、安いところを勇気を振るって買わないと、利食える確率は低くなる。
2011.9.16 メディアの過剰反応に振り回されるな!
ドイツの在日大使館(東京)では現在、16の課長級ポストが空席という。任命しても赴任しないのだという。親善訪問を予定していたドイツのバイエルン国立歌劇団(総勢400人)のうち、団員100人が来日を拒否、演奏ができない、との報道があった。彼らは福島原発事故⇒放射能を恐れている。
なぜ、そうなるのか。海外メディアの過剰反応が主因である。『日本列島は放射能汚染にまみれている。とても人が住める状況にない』と。福島原発の所在地を東京都渋谷区と紹介した海外メディアもあった。彼らは誤った報道に振り回されている。しかし、これを笑えない。日本におけるギリシャに関するニュースがまさに、そうではないか。
ちなみに、野田首相のアダ名は『ドジョウ』だが、英語ではLoachという。そもそも、欧米にはドジョウがおらず、『ドロのなかでカタツムリや食べ残しをあさるウナギに似た生物』と紹介されている。ちょっと、違うと思うが、そんなものだろう。
さて、世界の金融マーケットが未曾有の波乱に陥っている。諸悪の根源はギリシャにある。ギリシャの破たん確率(CDSスプレッドは4,000ポイントに接近)は98%に上昇、1年物国債利回りが9月12日に瞬間、139%になるなど、市場はギリシャのデフォルト(債務不履行)を完全に織り込みつつある。これは異常な水準を超えている。
ひどい話じゃないか。わずかGDPが3,300億ドル⇒約25兆円の国に世界の金融マーケットが振り回されている。しかし、ギリシャの国民はアンケート調査に8割が『幸せ』と答えている。年間SEXの回数は平均164回と世界一。ユーフォリアの世界である。『何でそんな放漫財政の国を…』と、支援国が怒るのは当然だろう。
こうした状況下、ドイツのシェイブレ財政長官は『万一に備えた自国の銀行、保険会社に対する支援体制を整えた』とコメント、いよいよギリシャを切り捨てるのか、と衝撃が走った。しかし、ユーロにはそもそも“追放”の規定がない。ユーロ自体が“未完成品”である。
今回の騒動はまさに、投機筋にそこを突かれたもの。しかし、日本の株式市場は売られすぎだろう。日経平均株価は9月14日に、97円安の8,518円の安値(終値ベース)まで売られた。2月21日の高値(1万0,857円)比の下落率は21.5%となる。
ちなみに、昨年4~8月のギリシャ・ショック時の下落率は22.2%だった。ほぼ、これに並んだことになる。一方、株価指標を見ると、歴史的な安値ゾーンに突入している。チャート(テクニカル)的には急落の最終局面(エリオット波動の第5波動)にある。
マーケットはギリシャのデフォルト、つれてヨーロッパの主力金融機関の経営危機を想定して動いている。それだけに、単純なテクニカル分析は役に立たない、との声がある。しかし、株式は有価証券であり、その価値を無視して売り込まれた局面は周知の雑音に惑わされず、こんなドン安値はしっかり買った人の勝ちではないか。
さらに、日米欧の中央銀行が無制限にドルの流動性を供給する、との方針が伝えられている。だからこそ、筆者は勇気をふるって“川底の金貨”を拾おうじゃないか、と主張している。主軸株は中・長期の視点が必要だが、パナソニック(6752)、神戸製鋼所(5406)、日本郵船(9101)、三菱UFJFG(8306)などがその対象となろう。
最近、『海運業界の供給過剰問題は2012年には緩和する』(野村)、『鉄鋼業界はシクリカルでの大底局面が近い』(三菱UFJモルガン・スタンレー)など、大手証券の強気レポートが相次いでいる。
材料株では東京製鉄(5423)、明星工業(1976)、若築建設(1888)などに注目できる。足元の相場環境は非常に厳しい。しかし、今こそ、相場巧者の多くがバーゲン・ハンターとの事実を再認識してほしいと思う。
2011.9.14 ギリシャに振り回される世界の金融マーケット!(上)
立秋はとうにすぎ、もうすぐ彼岸だというのに、いつまでも暑い。庭には彼岸花が咲いている。う~ん、確かに、季節は間違いなく秋である。しかし、兜町は秋を通り越し、すっかり冬景色の様相となっている。ここだけは寒風が吹き荒れている。
8月以降、ディーリング(自己売買)部門を閉鎖した証券会社は9社に達する。手数料ゼロのディーラーが儲からないのに、情報が乏しいうえ、コストのかかる個人投資家がどうして利益を上げられようか。リスク回避の姿勢を強め、逃げ出すのは当然だろう。
いや~、まったくひどい話である。相変わらず、世界の金融マーケットはギリシャに振り回されている。世界の株価はギリシャ破たんを前提に形成されている、と思う。わずか、GDPが3,300億ドル(約25兆円)の国である。そんな小国に、第1次~第2次金融支援合計2,700ユーロ(約28兆~29兆円)もの資金がなぜ、必要なのだろうか。
それに、これらのIMF(国際通貨基金)、EU(欧州連合)、EFSF(欧州金融安定基金)による支援はすでに、全額振り込まれているわけではない。第1次金融支援(1,100億ユーロ)は2013年までに13回に分けて実施される。
その第6次の融資(80億ユーロ)は9月末に実施予定だが、これが危ぶまれている。80億ユーロは10月以降に満期を迎える国債の償還財源である。しかし、支援の見返りに求められているギリシャ政府の財政緊縮政策がひとつも進展していない(プライマリー財政赤字のGDP比率は悪化)。このため、IMF、欧州委員会、ECBの調査団による査察は延期されたままになっている。現状では、2012年予算案のギリシャ国会通過は難しい、とみられている。
融資が実行されない場合、10月14日の債務償還(16億ユーロ)ができず、デフォルト(債務不履行)に追い込まれる、とマーケット(特に、騒いでいるのは売り方のヘッジファンド)は危惧している。そう、“破産”である。
このため、欧州の主力金融機関のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)スプレッドが軒並みリーマン・ショック(2008年9月15日)時のピーク水準を上回っているのだろう。すなわち、マーケットは“最悪シナリオ”(ギリシャの1年物国債利回りは瞬間、139%に上昇)を元に動いている。ドイツはギリシャを切り捨てるつもりなのか。
ただ、9月14日以降には再査察が行われる見通しだし、最後は融資が実行されるだろう。この時点でギリシャを追放することはできない。それに、ユーロにはそもそも離脱の規定が盛り込まれていない。離脱すれば破滅が確実なのに、ギリシャ政府、および国民がそれを望むことはないだろう。
結局、放漫財政、かつ国民の8割が『幸せ』(欧州では第2位の比率、第1位はフィンランド、デンマーク)と答えるギリシャを最終的には支援するしかない。支援国は袋小路というか、ジレンマに陥っている。
とはいえ、ドイツ、オランダ、オーストリア、フィンランド、スロバキア、スロベニアなどの北部欧州の国々・国民は自分たちの税金が無秩序に『いいかげんな』南部欧州に投入されることに強い怒りを抱いている。素直な反応だろう。
一方、連日の“金融危機”報道にもかかわらず、バルチック海運指数が8月2日の1,253ポイントを底に急騰している。9月13日の数値は1,876ポイントである。上昇率は49.7%となる。日本郵船(9101)は8月24日に217円の安値をつけた。この水準のPBRは0.54倍にすぎない。まさに、“川底の金貨”じゃないか。
2011.9.14 ギリシャに振り回される世界の金融マーケット!(下)
おごるなよ、円(マル)い月夜もただ一夜!相場の世界では美しい満月(9月12日は中秋の名月だった)のような状況はあまりない。だからこそ、調子の良い時に思い上がるな、逆に自重せよ!と教えている。
筆者が新聞記者時代に大変お世話になった粟森徳三氏(株式新聞元社長)はこの格言が好きだった。公私にわたって、われわれ若手を諌めてくれた。恩人である。しかし、現状はどうなのだろうか。
月は今後、新月に向かって欠けていくが、株式市場は底入れのタイミングを計っている段階、と判断する。日経平均株価の下値メドはとりあえず、8,300円がらみ(3月15日のザラバ安値8,227円を意識)と考えている。ギリシャ破たん(ないしは債務リストラ⇒債務交換プログラムの合意成立)が反発のきっかけになろう。
ギリシャ問題は重大な局面を迎えている。EFSFを通じた支援ではフィンランドだけがそのつど議会の合意を必要としている。第2次金融支援(1,600億ユーロ)についてはギリシャに融資額の2割の担保(現金の預託)を求めており、ギリシャは2国間交渉において、『いいよ』と回答している。
これに北部欧州の国々が反発、ドイツを除いて『オレにも担保をよこせ』と主張する動きを見せ、支援国グループからの離脱をほのめかしたりしている。もちろん、ギリシャの2011年の成長率はマイナス5%と予想されるなど、メチャクチャである。
いやはや、欧州で『幸せ』の第1位と第2位の国の騒動をきっかけに、ギリシャ支援をめぐるゴタゴタ劇の“幕”がどこかに吹っ飛んでしまったような状態に陥っている。まあ、グシャグシャじゃないか。
もちろん、ギリシャに提供できる担保はない。しかし、方法はある。国々が負っている支援額のシェアに応じ、2割を“天引き”してもらえばいいこと。まあ、典型的な“高利貸し”スタイルだが…。
こうした状況下、ユーロ加盟国は9月16日のユーロ圏財務相会合をメドに対立打開を目指しているのだが、北部欧州は『ユーロ圏からの離脱規定を作れ』(オランダ)、『安定・成長協定違反国にEU補助金を停止せよ』(ドイツ、フランス)などの中・長期のユーロ再生策を持ち出しており、南部欧州の反発は避けられない。いずれにせよ、“ドロ縄”である。
結局、ギリシャ国民(財政再建に反対)を覚醒させるにはデフォルト寸前の危機的状況(デフォルトもありえる!)を演出する必要があるのだろう。すでに、ギリシャのCDSスプレッドは4,000ポイントに迫り、デフォルト確率は98%に上昇している。1年物国債利回りは何と139%、2年物は83%(瞬間値)である。さらに、ドイツのシェイブレ財務相は『万一に備えた自国の銀行、保険会社に対する支援体制を整えた』としている。これはギリシャ破たんに対応したもの。ECBは金融機関に無制限の資金供給を行うという。
ただ、S&P500のVIX(恐怖)指数は急低下を見せている(48ポイント⇒36ポイント)。これは何を意味しているのだろうか。それと、既報のように、バルチック海運指数の急伸、半導体指数の好転もある。
ギリシャ問題にメドがつけば円高もあって、大きく売り込まれているハイテクセクターの反発が期待できる。日東電工(6988)、第一精工(6640)の来期業績は急浮上に転じる見通しにある。
2011.9.13 普通預金を引き出し、メガバンクの株を買おう!
株式市場はボロボロである。日経平均株価は9月12日、201円安の8,535円(終値ベース)まで下げ、9月6日の安値8,590円を下回った。2月21日の高値(1万0,857円)日の下落率は21.4%となる。
これは昨年4~8月のギリシャ・ショック時の下落率22.2%にほぼ匹敵する。株価指標的には売られ過ぎゾーンに突入している。チャート(テクニカル)的には急落の最終局面(2段下げ&エリオットの第5波動)にある。
しかし、個人(家計)はリスク回避の姿勢を一段と強めている。既報のように、個人マネーの普通預金残高は190兆円を超え、タンス預金の残高は実に、53兆円に達している。まあ、20年もデフレ状態が続いており、やむを得ないが…。
現在、普通預金金利は0.02%程度に過ぎない。100万円を預けたとすると、1年後の利息はわずか200円(税込)である。仮に、この100万円を2倍にしようと考えた場合(まあ、そんな人はいないだろうが…)、『72の法則』を使うと、72÷0.02=3,600となる。すなわち、3,600年かかるということ。
バカバカしくて話にならない。もちろん、タンス預金は0.02%の利息すらつかない。筆者は普通預金をおろして、その銀行(流動性を考えると、メガバンクに絞るのがベター)の株式を買おう、と主張している。筆者の一人だけのキャンパーンである。
先日、某都市でこんな話をしたところ、『いや~、この局面では怖くて株なんか買えない』と反論された。そう、これは素直な反応である。さらに、『“口先介入”は誰だってできる』と失笑された。いや~、市場センチメントは冷え切っている。
いやはや、みんな(世間一般)と逆の行動はなかなか取れないものである。しかし、相場巧者(ピーター・リンチ、ジョセフ・ケネディ、ジョン・テンプルトン、ウォーレン・バフェット氏など)、世の中のお金持ちの人たちはギョッとするような場面で決断し、それなりにリスクを取ったのではないか。
そんな相場の巧者の足元には到底およばないが、筆者も投資家の皆さんに『買いだ~』と叫んでいる以上、自分なりにリスクを取ってみた。みずほ銀行に何十年もほったらかしてあった普通預金(8月分の利息は1,371円⇒年間2,742円)を引き出し、みずほFG(8411)の株式に投資した。『買えるだけ買ってくれッ!』と。
年間2,742円の“利”しか生まなかった資金である。さあ、1年後の2012年の夏(6~7月)にはどうなっているだろうか。投資金額は約1,200万円(8月23日~9月8日に、110~112円に指し値を入れ、合計10万株取得)である。この結果はいずれ皆さんに報告する。
もちろん、こんな“うちわ話”(私事)を公表するべきではないだろう。しかし、現状は未曾有の国難であり、株式市場の危機である。投資家の皆さんはみんな泣いている。筆者としてはお世話になった証券業界に対するささやかな支援の一環と考えている。平にご容赦を。そして、なけなしの“虎の子”を投じた以上、かつ評論家のメンツにかけて、2,742円(2011年の年間利息⇒普通預金)よりも儲かりますように。ちなみに、現状は手数料・消費税分の10万0,936円が損になっている。
2011.9.8 異常な状況の出現は相場の転機になる!
あとで振り返ると、『何であんなところを売ったのか、なぜ買わなかったのか』と、悔やむことになろう。日経平均株価は6日、193円安の8,590円と急落、3月15日の安値8,605円(ザラバベースでは8,227円の安値がある)を下回った。いかに、ヨーロッパの財政危機、アメリカの景気後退懸念に直撃されたとはいえ、ここまで売り込む必要があったのだろうか。
なにしろ、東日本大震災の直後の3月14~15日は両日の東証1部の出来高(14日が48億8,000万株⇒史上第2位、15日が57億8,000万株⇒史上第1位)が示しているように、海外メディアに『心を引き裂く3大悲劇』と報じられ、大量の売り物を浴び暴落した局面である。
現状はそんなにひどいのか。いや、違う。ファンダメンタルズはサプライチェーンの断絶が修復され、急好転を示している。さらに、第3次補正予算(13兆~15兆円規模)の編成⇒被災地の復興・再生が本格的に始まる。
筆者はこの1週間、ラジオ番組、講演会などを通じ、『勇気をふるって川底の金貨を拾おうじゃないか』と主張している。常に、リスクとリターンは背中合わせ。6日には野村HD(8604)と大和証券G本社(8601)の株価が290円、293円と逆転した。これは初めてのこと。こんな異常な現象は経験則に相場の転機になるだろう。
ちなみに、2月高値比の日経平均株価の下落率は21%となる。昨年4~8月のギリシャ・ショック時の下落率は22%であり、これにほぼ並んだ。日本の株式市場が海外要因に弱いのはいつものことだが、今回の急落劇でのNYダウの下落率は16.3%にとどまっている。
やはり、外国人主導のマーケットという特殊性が影響していると思う。極端な話、国内に積極的な買い手が存在しない。銀行、生・損保は数々の規制があって、株式の保有が困難な状況になりつつある。
これは法人も同じだ。国内機関投資家の運用については投信を含め“外もの”指向に加え、債券シフトを強めている。一方、個人はいまや、8~9割がネット証券経由であり、短期・順張りの姿勢を一段と強めている。
外国人はコンピューターを駆使し、1000分の1秒単位で売買を行うハイ・フリクエンシー・トレーディングが主役になっているほか、ヘッジファンド、ミューチャルファンドの解約に伴う換金売りを余儀なくされている。8月のミューチャルファンドの解約額は860億ドルと、リーマン・ショック直後の2008年10月の724億ドルを上回り、月間ベースとしては史上最高になった可能性が濃厚という。
古来、泣く子と解約には勝てない!といわれている。どんなに敏腕ファンドマネージャーであろうと、解約には抗しきれず、ポジションを手仕舞って売るしかない。この結果、外国人は8月以降、現物を1兆円強、先物を9,100億円売り越した。これでは株価急落は当然ではないか。
ただ、860億ドルといえば7兆円弱である。日本株の組み入れシェアが10%としても7,000億円だ。外国人は“余分”に売っている。さて、今後の焦点はヨーロッパ財政危機の行方、アメリカの景気動向(オバマ大統領は8日に景気・雇用対策を発表)はもちろんだが、外国人の売りがどこでとまるか、にあろう。
NY市場では株式ファンドに資金が戻り始めた、との情報がある。それに、前述したように、外国人の売りにはカラ売りが含まれている。そうであれば外国人の売りは一巡するだろう。実際、寄り付き前の外国人の注文状況を見ると、8日は29日ぶりに買い越しに転じた。その場合、真っ先に反発するのは外国人の持ち株率が高いために、好業績にもかかわらず、大きく売り込まれた銘柄群である。
具体的には旭ダイヤモンド工業(6140)、ナブテスコ(6268)、安川電機(6506)、ファナック(6954)などがそうだ。メガバンクも戻るだろう。さらに、逆行高のシップヘルスケアホールディングス(3360)、アサヒホールディングス(5857)、コナミ(9766)、日本鋳造(5609)、アゼアス(3161)は引き続いて注目できる。
2011.9.7 ギリシャの1年物国債利回りは80%!
世界の株式市場が大波乱に陥っている。再三指摘しているように、諸悪の根源はヨーロッパにある。マーケットはリーマン・ショックの再来に脅えている。アメリカの景気後退懸念が主因ではない。そうでなければコメルツバンク、ドイツ銀行、ソジェン、クレディア・アグリコル、BNPパリバ、ウニクレデイト、サンタンデールなどヨーロッパ名門金融機関のCDSスプレッドがリーマン・ショック(2008年9月15日)時のピーク水準を上回るはずがない。株価も急落している。完全に、ギリシャのディフォルトを織り込みつつある。
そのギリシャの国債利回りは急騰、何と1年物は瞬間83%、2年物は53%まで上昇した。もはや、“異常”という水準を超えている。大手証券によると、『ギリシャの国債を買いたいのだが…』との問い合わせが急増しているらしい。まあ、元気な人がいるものだ。しかし、これでは“丁半”に近い。なお、筆者が知るところではギリシャ国債を取り扱っているのはK証券のみ。
ユーロ不安の解決のためには短期的な材料として、フィンランドが求めている『ギリシャ支援の見返りに、担保を提供せよ』との要求の撤回が必要だろう。ギリシャに提供できる担保があるはずがないし、結果的に支援国の足並みが乱れてしまう。しかし、これまた一貫し、主張していることだが、ドイツをはじめとした支援国はギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリア(いわゆる、PIIGS)を救済するしかない。最終的にはそうなるだろう。
さて、当面の投資作戦だが、基本パターンは変わらない。引き続いてセオリー通りに割り切って『強い銘柄を攻める』、同時に『深押しの好業績、かつテーマ性内包銘柄を拾う』という戦術が有効だろう。いわゆる、2面作戦である。
前者では新値追いのシップヘルスケアHD(3360)、アサヒHD(5857)、ゼンショー(7550)、コナミ(9766)などがターゲットになろう。もっとも、チャート的にはエッ?というような高値ゾーンにあり、高所恐怖症の人にはお勧めできないが…。
後者では明星工業(1976)を狙ってみたいと思う。足元の業績は好調である。LNG関連工事のトップ企業であり、LNG複合火力発電所の建設ラッシュ、LNG受け入れ基地の増設などのメリットをフルに享受できる。
株価は3月28日に375円の高値をつけたあと大きく下げている。全般の地合の悪化と信用買い残の投げに直撃された格好である。
しかし、ファンダメンタルズには何らの変化はない。ここ数日、上値にあった指し値売り注文が成り行き売りに変化、下にたたいている。こんな場面は買いだろう。買いのメドは8月24日の安値201円前後、売りの目安は7月1日の戻り高値(287円)近辺、期間は3ヵ月…の小すくい作戦でいこうじゃないか。
LNG(ガス)関連は黄金時代を迎えつつある、と考えている。BPは2030年のLNG需要が2010年比2.3倍になる、と予想している。日本の場合、原発見直しの動きもある。LNGプラント建設では世界5強の一角、日揮(1963)の存在感が高まっている。さらに、深海油田・ガス田の開発が加速するだろう。
ブラジルの国営石油会社のペトロブラスは深海のプレソルト層油田の開発に注力しており、2020年までに原油・天然ガスの生産量を現在の2.5倍にするという。海洋リグの大手、三井海洋開発(6269)はこのメリットを受ける。
一方、ガス対電気の戦いはガスに軍配が上がった。電力不足を背景に、『オール電化住宅』のコマーシャルは消えた。リンナイ(5947)はこれを追い風に成長路線を突っ走ることになろう。
2011.9.6 ブラジル利下げの“その後”を注視せよ!
野田政権には政策課題が山積みしている。まず、震災復興である。次に、早急な円高・景気対策の実施が求められる。子供手当、高速道路の通行料無料化など、ばらまき型のマニフェストの見直しが必要だろう。
外交面では日米関係の修復が急務である。鳩山、菅の両氏が何もかもメチャクチャにしてしまった。日中関係もそうだが、友好とは相手の言いなりになることではない。交渉に当たっては、“国益”を最優先すべきである。
日銀は円高を阻止するために、一段の金融緩和政策を推進する必要があろう。資産買い取り基金は5兆円⇒10兆円⇒15兆円(短期国債などの購入資金を含めると、現在50兆円)と増額されてきたが、9月中にさらに3兆~5兆円上積みされる可能性が濃厚となっている。
円高が阻止されれば、輸出関連セクターの出直りが見込める。量的金融緩和は不動産、商社などの反発につながるだろう。さらに、デフレ脱却の意思が明確に示されるようだと、金融セクターの底入れが期待できる。あくまでも中・長期的な視点だが…。
一方、足元の株式市場は引き続いて不安定な相場展開となろう。2月高値(日経平均株価の高値は21日の1万0,857円)近辺の“玉整理”は今週前半に終了するだろう。外国人の売り(中心は海外ファンドの解約に伴うもの)はほぼ一巡したようである。
しかし、ヨーロッパの財政リスク(ユーロ不安、金融危機)、アメリカの景気後退懸念はなかなか沈静化しない。NYダウの乱高下は相変わらずである。これではリスク回避の姿勢は納まらない。オバマ大統領は8日に雇用、景気対策を打ち出すそうだが、週前半はこれを見極めよう、との動きが強まるだろう。9月20~21日には注目のFOMCが開催される。しかし、新たな材料は出ないだろう。
NYダウは4月29日の1万2,810ドルを高値に調整をしている。昨年7月2日の9,686ドルを安値に、QE2(金融緩和第2弾)を示唆する発言(バーナンキFRB議長)をきっかけに始まった急騰劇は、QE2の終了を告げるコメントで終了したのだろう。
テクニカル的には下に抜ける最後の暴落が残っている。現状の下落率(16.3%)では足りない。もちろん、景気指標にらみの面はあろうが…。ただ、底打ちまでは3~4週間の日柄は必要と思う。
一方、日本では野田政権がスタートした。世論調査での人気は上々である。『ドジョウ効果』だろうか。とはいえ、楽観はできない。マニフェストに固執する小沢グループ、および閣僚の存在がネックにならなければいいのだが…。
民主党内のまとまりができず、“3党合意”が順守されない場合、第3次補正予算の編成が遅れるほか、2012年度の予算編成に大きな影響が出るだろう。震災復興・再生のためにはこの最悪の事態だけは絶対に避ける必要がある。それだけに、輿石幹事長の存在が重要となる。
外部環境は『厳しい』のひと言に尽きるが、微妙な変化(好転の兆し)も見られる。それはブラジルの利下げである。ブラジル中央銀行は8月31日、政策金利を0.5%引き下げ、12.0%にする、と発表した。2009年夏以降、新興国の利上げ競争をリードしてきたブラジルの政策転換はビッグニュースである。恐らく、次はインド、中国の政策転換ではないだろうか。
株価は正直だし、状況を反映するのが速い。年内(10~11月)にはこうした動きがうねりのように、広がってくるだろう。新興国の景気に大きな影響を受けるコマツ(6301)、日本郵船(9101)の株価がどう反応するか、注目が怠れない。そう、株価には先見性がある。
アドバンテスト(6857)は900円の大台を割り込むなど、上場来の安値に売り込まれている。業績の悪さが株価下落の主因だが、外国人の売りもある。日東電工(6988)などもそうだが、外国人持ち株率の高い銘柄は下げがきつい。ただ、ミューチャルファンドの解約に伴う換金売りは峠を越えたのではないか。
2011.9.1 秋風の吹くころには“流れ”が変わる?
秋風の吹くころには…。あれほどの猛暑が急速に揺らぎ、逆に朝夕は『涼しい』と感じられる季節を迎えている。夏場に2番底を形成し、秋口には反騰態勢を徐々に固める展開となろう、と7月以降、一貫し主張してきた。現状はほぼシナリオ(想定)通りの動きとなりつつある。
そう、暦のうえでは立秋を過ぎ、すっかり秋である。本来は実りの秋、収穫のタイミングだが、今年は違う。将来に備えて、“買い”のタネを蒔こうじゃないか。春には大輪の花が咲くだろう。
いまだに、マーケットには弱気の声が満ちている。『恐慌突入だ~』と叫ぶ人もいる。しかし、これは底値ゾーンではいつものこと。別に脅える必要はない。ムードに流されず、しっかり信念を貫こうではないか。
相場分析の手法には大きく分けてテクニカル・アプローチ、景気・企業業績などをベースとするファンダメンタルズ・アプローチ、世相、世の中の動きなどに焦点を当てるジャッジメンタル・アプローチの3つがある。これを組み合わせて使うと、より有効となる。
これに、知られざる真実をつかむⅩ+α(エックス・プラス・アルファ)理論、投資家の心を読む風幡の説法を加えると万全だろう。
まあ、これは投資を始める前に抑えておくべき基本中の基本であり、改めて述べるまでもないことだが…。
日経平均株価は2月21日の1万0,857円を高値に、8月22日には8,628円の安値まで売り込まれた。下落率は20.5%である。これは昨年4~8月のギリシャ・ショック時の下落率22.2%にほぼ匹敵する。
この間、NYダウの下落率は16.3%にとどまっている。日本の株式市場は“震源地”(7~8月の急落は欧米の財政リスク)以上に下げたことになる。しかし、これはやむを得ない。なにしろ、『極端な』と形容されるほどの外国人主導のマーケットである。
ただ、短期的には下げ止まるだろう。需給面では信用買い残の高値期日の整理(投げ)が一巡、ヘッジファンドの解約に伴う外国人売りはあと少々残っているが、地合が好転すれば十分に吸収可能と考えている。
今回、東証株価指数(TOPIX)の下落率は23.8%に達した。特に、TOPIXコア30の下げがきつかったのは流動性の高い主軸株に外国人の集中的な換金売りがあったためだろう。
ちなみに、昨年9月~今年7月に外国人は約5兆7,000億円買い越したが、8月には第4週までに1兆1,000億円売り越している。これは買い越し金額の19%に相当する。トレンドが変化した場合、彼らはとりあえず、買い越し金額の3~4割は売るが、今回はそうではなかろう。もちろん、円高を受けての利食い売りもあったと思われる。
一方、既報のように、株価指標では騰落率、カラ売り比率、総合カイリ率は底値ゾーンを示唆、PER、PBR、配当利回りの水準は歴史的な安値圏を示している。こんな場面は断固、買いである。再三指摘しているように、川底には金貨がたくさん転がっている。いまこそ、勇気をふるって川に入り、金貨を拾いまくろうではないか。
ただ、この局面での上値は限定される。日経平均株価は9,300~9,400円が上値のカベになっている。本格反騰態勢に突入するには外国人の買い転換が不可欠だろう。だからこそ、安いところをていねいに拾うことが成功のカギを握っている。
反面、強い銘柄を攻めよ!の投資のセオリーに従えば、シップヘルスケアHD(3360)、アサヒHD(5857)、ゼンショー(7550)、コナミ(9766)など逆行高を演じている銘柄がターゲットになろう。
2011.8.30 野田政権に求められること!
民主党代表選は決戦投票の結果、野田佳彦財務相が海江田万里経済産業相を破り、新代表に選出された。第95代首相である。世論調査では断トツトップの『首相候補』だった前原誠司氏は第1回目の投票では第3位にとどまり、敗北した。前原氏は『世論の支持を背景に、早期の解散・総選挙に走るのではないか』とのネガティブ・キャンペーンに1年生議員が動揺、票の伸び悩みにつながったのだろう。
もちろん、外国人(企業)からの献金問題があり、『前原氏では国会運営ができない』との危機意識もあった。海江田氏は小沢一郎氏の意向を表面に出し過ぎた。マニフェスト見直しの3党合意の破棄、小沢氏の党員資格停止措置の解除、TPPの参加見送りなどがそうだが、これでは完全に『かいらい政権』になってしまう。民主党に“良心”は残っていた、ということか。
さて、新政権の経済政策は7月29日の『復興基本方針』に沿って、現行のものが踏襲されるだろう。当然、テーマ的には復興がメーンとなる。次に、野田首相は円高抑制に前向きであり、財務省としての施策に加え、日銀に対し、一段の量的緩和を求めるだろう。
この結果、自動車、電機、精密の輸出関連セクター、不動産、商社などがクローズアップされる可能性がある。デフレ脱却の意思が明確に表示されるようだと、金融セクターの底入れ⇒反発につながるだろう。さらに、野田首相はマニフェストに固執しておらず、野党との関係は良好となり、第3次補正予算の審議はスムーズに行くと予想される。もちろん、成長戦略の構築が必要である。
ここでの物色対象は引き続いて好業績の伊藤忠商事(8001)、コナミ(9766)、エムスリー(2413)、アサヒホールディングス(5657)、ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)、住友金属鉱山(6676)などになろう。
なお、8月28日付の日刊スポーツは観相学の藤木相元氏の民主党代表選5候補の『顔相分析』を掲載、『日本の顔は野田氏』としていた。『大きな鼻頭が総理向き』とし、『世界の王さんに似ている』と。さすがである。
2011.8.30 外部環境は意外?に良好だぞッ!
株式市場を取り巻くファンダメンタルズはいわれているほど悪くない。すなわち、外部環境をみると、ニューヨーク金先物が8月22日の1トロイオンス=1,891ドルを高値に急落(ドル不安の後退?)、バルチック海運指数が8月2日の1,253ポイントを安値に、8月24日には1,602ポイントと27.9%上昇、CRB商品先物指数が8月9日の316ポイントを底にジリ高に(世界景気は2番底を回避?)…といったデータが寄せられている。これは世界景気が予想外に強い、との証明ではないか。
ジャクソンホールでのFRB・バーナンキ議長の講演は具体的な施策こそ提示されなかったものの、『金融危機は断固、阻止する』との決意が表れていた。古来、パニックは政策の母!といわれている。何かあれば追加の緩和策が打ち出されるだろう。
さらに、前述したように、日本では新政権(野田首相)が発足、震災復興、円高・景気対策などの動きが加速することになろう。『どうせ、何も変わらない』と冷めた見方をする人がいるが、明らかに変化すると思う。迷走の『鳩菅時代』よりも良くなるのは間違いない。いや、『失われた20年』の“延長戦”突入では困る。
すべての責任を政治に押し付けるつもりはないが、パナソニック(6752)は29年ぶり、日本郵船(9101)は1985年3月以来、野村HD(8604)は1981年3月以来、みずほFG(8411)は実質上場来の安値に沈むなど、日本を代表する企業がボロボロに売り込まれている現状は異常ではないか。
しかし、企業は、親がなくても子は育つ!というが、国を頼らず、多くのハンディを克服、必死に生き延びようとしている。ゴールド万・サックスは『秋に発表予定のパナソニックの構造改革案は単なる固定費削減策と異なり、構造問題事業脱却、日立モデルへの移行を印象付けるものになろう』とし、買いを強調している。
さらに、ドイツ証券は『構造改革と好調な事業の成長を評価し、来期の業績は急浮上に転じる』と。もちろん、投資判断は『BUY』である。あ~あ、ドン安値を、またも彼らに買われてしまうのだろうか。
短期的には復興関連の鹿島(1812)、放射能汚染物質処理関連の日本鋳造(5609)、LNG関連の日阪製作所(6247)などに注目している。さらに、シンフォニアテクノロジー(6507)の200円がらみ、明星工業(1976)の210円~220円は突っ込み買いのチャンスだろう。チャートは底打ち⇒反騰態勢を固めつつある。
2011.8.25 肝要なのは現状を正しく認識すること!(上)
筆者は一貫し、肝要なのは現状を正しく認識し、リスク・マネジメントを徹底すること、と主張している。世界の金融マーケットが大揺れである。ギリシャ、ポルトガル、アイルランドの財政リスクがスペイン、イタリアに波及、まるで財政リスクの“ドミノ倒し”じゃないか。
これは大変である。なにしろ、ギリシャのGDP(国内総生産⇒経済規模)は3,050億ドル、ポルトガルは2,290億ドル、アイルランドは2,040億ドルなのに対し、スペインは1兆4,070億ドル、イタリアは2兆0,510億ドルとなっている。
経済規模が違う。当然、欧州金融安定化基金(7,500億ユーロ)では何ともならない。最終的にはドイツが救済するしかないのだが、ドイツ議会も国民も強烈に反対している。もちろん、自分たちの税金が放漫財政国に無尽蔵に注がれることに『冗談じゃないぞ』と怒るのは素直な反応だろう。
しかし、ユーロのメリットを最大限に享受しているドイツは、この体制を維持するしかないと思う。筆者は結局、ロバート・マンデル博士の『最適通貨圏の理論』に従えば、ユーロ(加盟国17)は南北に分裂するか、ギリシャを切り捨てるか、いっそのこと、欧州合衆国(金融に加え、財政を一本化するとともに、人の移動を自由にする)を創設するか、の選択を迫られると考えている。ただ、足元では現状の波乱の火ダネを封じ込むのが最良の策だろう。
一方、アメリカも厳しい状況に追い込まれている。国債の格下げ、財政赤字の問題ではない。いや、それも重要だが…。それよりもうまく機能してきた2大政党制がおかしくなってきたことの方が大きい。リベラル(民主党)と保守(共和党)のバランスが崩れているわけではない。アメリカは政治家の“質”が落ちたのではないか。まさに、政治の“日本化”である。
アメリカ議会はねじれている。これは日本と同じだが、これまでは大統領、上院、下院のいずれかがねじれている時の方が経済運営はうまくいく、といわれたものだ。すなわち、両院の中間的な政策を採用、微妙に妥協が図られてきた。それがおかしくなったのである。
要するに、今回の連邦政府の総債務残高(デッド・シーリング)引き上げ法案の採決では8月2日のデフォルト(債務不履行)寸前の日程、かつ与野党の妥協案だったにもかかわらず、上院は賛成74、反対26、下院は賛成269、反対161の結果だった。極論すれば187人の国会議員はデフォルトを容認したことになる。これでは日本の旧社会党を同じ(今回、絶対反対を唱えたのは茶会党グループ)ではないか。いやいや、日本の場合、現状もそうだが…。
国会議員には目先の国民の要望だけではなく、国家の利益、国際的な秩序を守るという義務が課されていると思う。求められているのは長期的な視点、国際的な視野である。いずれにせよ、NY市場の波乱の要因のひとつに政治不信がある、といえるのではないだろうか。
デンヨー(6517)は売上高の4割が発電機である。株価は3月18日の1,300円を高値に調整している。しかし、そろそろ出直りのタイミングと判断する。
2011.8.25 肝要なのは現状を正しく認識すること!(下)
一方、日本の政治はもっと深刻である。超円高が進行、国債が格下げされたというのに、首相は実質不在(無為無策)の状態である。早急に新体制を構築し、東日本大震災の復興、円高・景気対策に取り組むべきだろう。この2~3ヵ月が勝負である。1ドル=70円台では企業は海外脱出を決断する。
産業の空洞化は国内の購買力と雇用を奪う…これは常識である。スペインの若者(15~24歳)の失業率はなんと、45.7%である。若者の失業は治安を悪化させる。そして、就業者の減少は年金・医療保険などの崩壊を招くことになる。いや~、世界中が厳しい状況である。
ただ、今回の金融・経済の混乱は政治に起因するものだが、これは民主主義のコストとの見方ができる。2012年には多くの国(フランス、ロシア、アメリカ、韓国など)で選挙、ないしは政権交代(中国)が予定されている(日本は9月に政権交代)。“先生方”は選挙の洗礼を受けるため、政治がこのまま何もせず、手をこまねいているとは考えられない。ありとあらゆる施策が講じられるだろう。
金融当局も動くだろう。日本では日銀の一段の金融緩和、為替介入、アメリカではバーナンキFRB議長のジャクソンホールでの講演(8月26日)が注目される。いずれにせよ、再三指摘しているように、パニックは政策の母!という。今週は正念場だが、夜明け前が最も暗い、という経験則を胸に行動したいと思う。ともあれ、ここは現状(厳しさ)を正しく認識しつつ、突っ込み買いを敢行しようじゃないか。
まあ、それにしても…である。平成に入って17人の首相が誕生する異常さ!こんな国はほかにはないだろう。政治は経済を超える!という。早急に、政治の安定が図られることを祈るばかりである。
竹下⇒宇野⇒海部⇒宮沢⇒細川⇒羽田⇒村山⇒橋本⇒小渕⇒森⇒小泉⇒安倍⇒福田⇒麻生⇒鳩山⇒菅⇒?
復興関連の大成建設(1801)、鹿島(1812)が抜群に強い。放射能汚染物質の収納容器を国内で唯一手掛けている日本鋳造(5609)には引き合いが殺到している。2011年3月期はわずか10個(1個640万円)の生産だったが、2012年3月期は300個を超えるだろう。
2011.8.24 底値圏では好材料を探せ、なかったら買え!
世界の金融マーケットが大荒れとなっている。加えて、猛烈な円高である。マスコミはここぞッとばかりに『恐慌突入』とか、『株価暴落』など不安心理をあおっている。まあ、いつものパターンだが…。
しかし、先人は『底値圏では好材料を探せ、なかったら買え!』と教えている。いまがそのタイミング(買い場は8月一杯)だろう。そう、勇気をふるって、ボロボロの安値水準に売り込まれている主軸株、すなわち、“川底の金貨”を拾おうじゃないか。
もちろん、株価は歴史的な安値ゾーンにある。テクニカル的には騰落レシオ(70%)、総合カイリ率(30%超)、エリオット波動(最終5波動入り)、カラ売り比率(29%)などのデータが底値圏突入を示唆している。
さらに、昨年のギリシャ・ショック時は日経平均株価が4月5日の高値1万1,339円⇒8月31日の安値8,824円と、22.2%の下落率を記録したが、今回の下落率は20.5%(2月21日の高値1万0,857円⇒8月22日の安値8,628円)と、ほぼその水準に近づいている。
一方、ファンダメンタルズ・アプローチの視点では国際商品(粗糖、コーヒー、小麦、コットンなど)市況がジリ高となり、バルチック海運市況のボトムアウト、アメリカの石油出荷の好調さ…などが伝えられている。これは景気の底固さを示すデータである。
株価指標ではPERが13.27倍、PERの逆数の益利回りが7.5%、PBRが0.92倍、配当利回りが2.23%(いずれも8月22日現在の東証1部のデータ)となっている。いかに、値下がりのリスクが存在するとはいえ、異常な数値ではないか。
それに、東証1部の時価総額は258.5兆円である。名目GDP比率は53.9%に過ぎない。名目GDPと株式市場(時価総額)には密接な関わり合いがある。株式市場は経済規模を反映する、といわれている。ちなみに、世界主要52証券取引所のこの数値の平均値は84.4%となっている。仮に、日本の株式市場が世界平均並みに買われたとすると、東証1部の時価総額は404兆円、日経平均株価は1万3,560円になるのだが…。
まあ、この水準を一気に目指すのは無理だろう。しかし、ここは中・長期的に絶好の買い場なのは間違いない。いつもそうだが、大底圏ではあびきようかんの図となる。背中がゾクゾクッとし、たまらずみんな投げさせられてしまう。8月22日がそうだったと思う。
しかし、相場巧者(ピーター・リンチ、ジョセフ・ケネディ、ジョン・テンプルトン、ウォーレン・バフェット、佐藤和三郎)といわれる人達は例外なく『バーゲン・ハンター』である。ギョッとするような局面を買って巨万の富を築いた。いまこそ、その気力、胆力を見習おうではないか。
何を狙うか。“川底の金貨”ではパナソニック(6752)、日本郵船(9101)、日東電工(6988)、みずほFG(8411)などに注目している。
一方、秋相場のメーンテーマは“復興”と考えている。このセクターでは大成建設(1801)、五洋建設(1893)、福田組(1899)をはじめ、放射能汚染物質を収容する容器を手掛けている日本鋳造(5609)などに注目できる。
2011.8.17 秋相場のメーンテーマは“復興”!
株式市場は気迷い感の強い展開となっている。相変わらず、外部要因に振り回されている。世界の金融マーケットは冷静さを取り戻すことができるのだろうか。リーマン・ショックは民間金融機関が波乱の“火元”であり、需要激減⇒減産に追い込まれたのだが、今回は政府(アメリカ、フランス、イタリアなどの国債)がターゲットになっている。
それだけに、状況は深刻であり、対応が限定される、との見方がある。しかし、筆者はそう考えていない。古来、パニックは政策の母!といわれている。金融当局、政府は危機を封じ込めるために、あらゆる手を講じるだろう。すなわち、マーケットが動揺し、人々がパニックに陥るたびに、政策対応は一段と強化される。これが歴史の教訓である。
2007年のサブプライムローン・ショック以降がまさに、そうだったではないか。常に、波乱はチャンス!である。今回もそうなると思う。この局面ではあわててはいけない。冷静な対応が求められる。それに、株価は歴史的な安値ゾーンに位置している。予想PERは13.9倍、PERの逆数の益利回りは7.2%(国債利回りとの差が6%超)、配当利回りは2.14%、PBRは0.97%(8月16日現在の東証1部のデータ)となっている。
さらに、東証1部の時価総額は270.9兆円と、名目GDPに対する比率は56.5%の水準にとどまっている。名目GDPと時価総額は相関関係にあり、『株価は経済力を反映する』といわれている。この数値は明らかに低すぎる。
ちなみに、世界主要52証券取引所の時価総額の名目GDP比は84.4%となっている。いかに最近の日本は元気がないとはいえ、この差は大きすぎないか。なにしろ、世界第3位の経済大国である。仮に、日本が世界平均並みに買われたとすると、東証1部の時価総額は404兆円、日経平均株価は1万3,560円となるのだが…。まあ、1~2年のうちにはそうなっているだろう。
ともあれ、市場関係者の多くが超弱気のこんな時こそ、仕込みのチャンスと判断する。もとより、従来相場(ボックスゾーンの動き)では悪目を思い切って買わないと、なかなか利食うのは難しい。そう、ここで必要なのは勇気である。
さて、いよいよ新政権が誕生する。平成に入って17人目の首相の登場である。いろいろと批判はあるだろうが、『精神異常』(外資系証券)と酷評されていた『菅さん』よりも良くなるのは確かではないか。まず、新政権の最重点政策(課題)は“復興”だろう。
大成建設(1801)は8月9日に163円の安値まで売り込まれた。3月15日の安値160円に、あと3円と迫った。完全に、売られすぎである。4~6月期(第1・四半期)の受注高は前年同期比91%増だった。復興関連受注が100億円あったそうである。
第1・四半期では完工利益率の改善にも注目できる。すなわち、土木部門は前年同期の4.7%が7.8%と3.1ポイント上昇、建築部門は9.8%と高水準を維持できた。これは業績の回復につながる。
一方、1株純資産は254円あり、時価のPBRは0.7倍前後に過ぎない。阪神淡路大震災の時はゼネコンのPBRが軒並み2~3倍の水準に上昇した。当時とは状況が異なるものの、PBR1倍水準に買われてもいいのではないだろうか。
五洋建設(1893)も狙える。8月9日には144円の安値まで売り込まれた。3月22日には241円の高値がある。今後、護岸工事、港湾整備、原発の防潮堤の建設など海洋土木の仕事は急増するだろう。
2011.8.16 コンピュータ売買に振り回されるマーケット
世界の株式市場が乱高下を繰り返している。特に、NY市場(NYダウ)の値動きが激しい。この背景には『金融危機再燃か』というマーケットの不安心理の高まりに加え、『ハイ・フリクエンシー・トレーディング』(1,000分の1秒単位で自動的に売買を行う投資手法)の存在があろう。
この商いが8月には全体の75%を占めている、という。日本語では高頻度取引と訳されているが、この取引は基本的に市場の値動きに追随する。すなわち、安いときは売りを浴びせる。これが急落場面では下げに拍車をかけ、ロス・カットを誘発する。
そう、相場は一方通行に振れる。日本の株式市場の場合、外資系が先物を使って売りたたき、同時にコール(オプション)を買う。次に、先物を買い戻し、大幅高のコールを利食う。そんな商いを行っている。いわゆる、“空中戦”である。
一般の投資家は完全にカヤの外だし、ノンビリやっていると、はじき飛ばされてしまう。しかし、マーケットには危機感が乏しい。これでは資本市場が“鉄火場”になってしまう恐れがある。いや、すでにそうなっているのではないか。
さて、株価指標(インデックス)の代表といえば日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)だろう。あらためて述べるまでもないが、日経平均株価は225銘柄の単純平均(権利修正されている)であり、TOPIXは東証1部の全銘柄が対象(時価総額ベース)である。
日経平均株価は東証1部の上場銘柄(1,669社)の13.5%をカバーしているに過ぎない。それに、基本は単純平均である。ファナック(6954)、ファーストリテイリング(9983)、ソフトバンク(9984)などの影響を受けやすいのが難点といえる。
ソフトバンクは1対3の株式分割の権利修正をしなかったために、変動株価を3倍し、日経平均株価に反映させる。100円高の場合、300円高(安い場合も同様に、100円安は300円安となる)とカウントする。
従って、資金力のある投資家(ヘッジファンドなど)は日経平均株価を操作できる。いや、やっているに違いない。では、NYダウはどうだろうか。こちらは操作するのはもっと簡単である。NYダウは30銘柄(NY市場の上場企業2,317社のカバー率はわずか1.3%)の単純平均である。
上位5銘柄(IBM、キャタピラー、シェブロン、スリーM、ユナイテッド・テクノロジー)の指数内ウエイトが35.2%もある。要するに、この5銘柄に大量の買い物を入れると、NYダウは上昇する。
6~7月のNYダウの急騰劇はNYダウをベンチマークとするパッシブ運用のファンドが特定の銘柄に執拗な買いを入れた結果、といわれている。8月の急落はその逆だろう。いずれにせよ、こんな指標に一喜一憂するのはバカバカしいと思う。
鉱研工業(6297)の足元の業績はさえないが、中・長期的には東日本大震災の復興プランに基づく護岸改良工事、リニア新幹線のトンネル工事、地熱発電用井戸の試掘などに加え、ベトナムでの水力発電所建設、カザフスタンでのウラン採掘に関連するボーリング需要の高まりに期待できる。
2011.8.11 常に、パニックは政策の母!内需・復興関連に妙味あり!
内外の株式市場が乱高下を繰り返している。金融危機再燃との声もある。しかし、ここはシナリオ通り、突っ込み買いのチャンスだろう。常に、波乱はチャンス!となる。筆者は7月以降、『夏相場は波乱含み⇒2番底形成の動きとなろう』と主張してきた。何も恐れることはない。現状はほぼシナリオ通りの展開である。
8月8日のNYダウは634ドル安の1万0,809ドルと急落した。これは、1920年以降の下落率ランキングの第6位にランクされる。上昇中の200日移動平均線とのマイナスカイリ率は9.9%となる。完全に売られすぎゾーンだろう。
4月29日の戻り高値1万2,810円比の下落率は15.6%である。これは昨年4月26日の1万1,205ドル~7月2日の9,686ドル(いわゆる、ギリシャ・ショック時)の下落率を上回る。それだけ、アメリカ国債の格下げがショックだったということか。
とはいえ、完全に下げすぎの水準に突入である。実際、8月9日のNYダウはFRBのFOMC後の声明を評価したこともあって、429ドル高の1万1,239ドルと急騰した。FRBは現在のゼロ金利政策を2年間継続するとともに、追加の金融緩和(QE3の実施?)の可能性を示唆している。
一方、日経平均株価は8月9日に瞬間、441円安の8,656円まで売り込まれた。3月15日の安値8,605円(終値ベース)に迫ったのだが、これまた売られすぎだろう。売らなくても良い銘柄まで売った形跡がある。なにしろ、3月14~15日は東日本大震災を受け、パニック的な投売り商状(2日間で100億株の売り物)となった時期である。現状はそれほど深刻なのだろうか。いや、そんなことはない。ファンダメンタルズは東日本大震災前の水準にほぼ戻っている。企業業績は2011年後半、V字型の回復が見込まれている。
マーケットではヨーロッパ金融危機(ギリシャの財政リスクがスペイン、イタリアに波及)、アメリカ国債の格下げなどをとらえ、『恐慌だッ』と叫ぶ人達もいた。しかし、これは絶対に違う。
世界の金融当局は『100年に1度』といわれたサブプライムローン・ショック、リーマン・ショックを克服してきた。それに、『金融危機は封じ込めなければいけない』との共通認識が形成されている。
日本の場合、前述したように、景気、企業活動(生産)などのファンダメンタルズは急好転が見込まれている。特興特需もあって、9~10月には完全復活となろう。さらに、菅首相の退陣は秒読みである。秋口にかけて、政治は一気に動くだろう。
今後、復興計画の立案⇒遂行が加速する。”諸悪の根源”(失礼!)だった人物が去ることの意味は大きい。ついでに、民自公の大連立(閣外協力も可)が構築され、総力を挙げて“国難”に立ち向かう図が描ければベストである。
ともあれ、再三指摘しているように、パニックは政策の母!という。あらゆる危機に際し、マーケットが動揺し、人々がパニックに陥るたびに政策対応は強化される。そして、最後は政策総動員となる。現実に、そうなりつつあるではないか。
ここでは夏相場での活躍が期待できる小型成長株を取り上げておこう。まず、抜群に強いグリー(3632)、DeNA(2432)は素直に動きについていくべきである。コシダカホールディングス(2157)は8月末の1対400の株式分割の権利を取ろう。1株保有の株主は400株(新単元株は100株)となる。
ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)、VTホールディングス(7597)も狙える。VTホールディングスはホンダ系ディーラーだが、日産車も扱っている。2012年3月期の連結1株利益は98円と予想されている。時価のPERは3.5倍(PBRではない)と出遅れている。
復興関連も狙える。新政権の発足が株高を支援する。大成建設(1801)、福田組(1899)、五洋建設(1893)、鉄建(1815)などがターゲットになろう。コナミ(9766)、カプコン(9697)などゲームソフト関連は軒並み高である。円高の影響がほとんどないうえ、好需給であり、足元の業績の良さが株高を支えている。
小型成長株代表
グリー(3632) 8月10日終値 2,141円
ヴィレッジヴァンガード(2769) 8月10日終値 31万9,000円
VTHD(7597) 8月10日終値 354円
復興関連株代表
太平洋セメント(5233) 8月10日終値 143円
五洋建設(1893) 8月10日終値 159円
鉄建(1815) 8月10日終値 96円
2011.8.10 山より大きなイノシシは出ない!ここは突っ込み買いの準備を!!
何が起こったのだろうか。金融マーケット、および商品市況が大波乱に陥っている。一時は恐慌的な暴落となった。8日のNYダウは634ドル安の1万0,809ドルと急落、原油(WTI)価格は80ドル割れの水準まで下げた。投資家はアメリカ国債の格下げ、世界景気の減速(財政再建途中にあり、打つ手なし!)を嫌気しているのだろう。
ヨーロッパではギリシャの財政リスクがスペイン、イタリアに波及、市場関係者の間には『恐慌』の文字さえささやかれている。週初は日本を含め、アジアの株式市場も軒並み安だった。パニック的な投げ売り商状に見舞われている。すでに、NYダウの下落率は15.6%と、昨年4~7月のギリシャ・ショック時の下落率(13.6%)を上回っている。
昨年は7月2日の9,686ドルを安値に、QE2(金融緩和第2弾)を示唆するバーナンキFRB議長のコメントをきっかけに反発に転じたが、今回はどうだろうか。
FRBは2年間ゼロ金利政策を継続する方針に加え、追加の金融緩和の可能性をほのめかしているが、QE3があるのか、否か、FRBのかじ取りが注目される。
まさに、ヨーロッパ発、アメリカ経由の金融危機再燃ではないか。日経平均株価は3月15日の安値に迫っている。マーケットが懸念しているのはアメリカ国債の格下げ、およびその影響だが、ヨーロッパの財政危機(スペイン、イタリアの国債急落)はトリシェECB(欧州中央銀行)総裁の不用意な発言がきっかけだろう。
すなわち、『ヨーロッパ経済は重大な局面にある』と。ではなぜ、ECBは4月、7月と連続して利上げ(1.00%⇒1.50%)に踏み切ったのだろうか。いかに、ECBの主任務は『物価の安定』だけとはいえ、判断が甘すぎる。
アメリカ国債の格下げは1941年にAAAを付与されて以来、初めてのこと。それだけに、マーケットはとまどっている。いわゆる、未体験ゾーン突入である。市場関係者の間では『ドルを基軸通貨としたブルトンウッズ体制が崩壊する』といった声も出ている。しかし、現状ではドルに代わる通貨はないのではないか。
それに、格下げ⇒規定による運用上の制約のため、アメリカ国債を強制的に売らざるを得ない、との懸念は小さいだろう。アメリカ国債の発行残高は9兆9,000億ドル(約780兆円)にのぼる。日本、中国の保有額は2兆ドルに達している。これを売りに出せばどうなるだろうか。
そう、暴落に直撃され、自分で自分の首を絞めるだけである。それに、AAプラスの格付けは日本のAAマイナスよりも2段階上位に位置している。もちろん、今回の格下げはS&Pだけである。ムーディーズ、フィッチは追随していない。このタイミングで格下げに踏み切ったS&Pの責任は重大である。
ともあれ、世界の金融当局は100年に1度といわれた金融危機(サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック)を克服してきた。『金融危機は何としても封じ込める必要がある』との認識は共通している。もちろん、金融当局は対応するだろう。
さらに、再三指摘しているように、パニックは政策の母!という。ここ数年の危機に際し、金融当局は多くの経験を積んできた。G7の緊急会合など協調体制も強化されている。
いずれにせよ、この局面は冷静に対応したいと思う。特に、日本市場は3月14~15日に東日本大震災日本を受け、2日間で100億株超の売り物を浴び、日経平均株価が3月15日に8,605円(ザラバベースでは8,227円)まで急落するなど、ショック安を経験している。それだけ打たれ強くなっている、といえるだろう。
まあ、マスコミ(夕刊紙)は世界が沈没するような記事を掲載しているが、これはいつものことじゃないか。恐怖心をあおり、新聞を買わせる…。しかし、山より大きなイノシシが出ないのは確かである。ともあれ、ここは想定通り、突っ込み買いの準備を!と主張する。
2011.8.10 波乱相場だぞッ!“勝ち組”と“負け組”の勝負?
厳しい相場展開となっている。波乱の背景には海外要因があり、その見極めが難しい。個人投資家にとってはここ数年、サブプライムローン・ショック、リーマン・ショックに続き、東日本大震災と100年に1度、1000年に1度あるか、ないかの激震が襲っている。1990年のバブル崩壊以降、マーケットは“揺れっぱなし“である。正直、『やっていられない』という気持ちだろう。
しかし、恐れることはない。常に、波乱はチャンスである。今回もそうなると思う。株式投資の格言、『投資の3流』は、①血を流せ②汗を流せ③涙を流せ…と教えている。血を流せとはリスクを取る勇気を!ということ。
日経平均株価がパニック的な投げ売り商状になった3月15日の終値8,605円(ザラバ安値は8,227円)を下回る可能性は低い。もとより、筆者は夏相場の下値のメドは最悪8,800円がらみの水準(8月9日には瞬間、8,656円の安値)と主張してきた。したがって、ここは勇気・気力を振り絞って突っ込み買いの準備を!と訴えたいと思う。
では、何を狙うか。株式市場では投資戦術として暴落日の“赤札“銘柄を狙え!強い銘柄にマトを絞れ!と教示している。これは短期順張りの考え方である。さらに、下げの途中で買うな!落ちる短剣はつかむな!という。要するに、トレンド(株価の方向)を重視せよ、ということだろう。そう、トレンドは継続ということ。これが基本である。
一方、嵐のときは動くな!(増水時の)川底の金貨は拾うな!がセオリーとされている。波乱場面ではじっと動かず、様子をみよう、と相場格言は諭している。当然だろう。間違ってはいない。もっともな話である。状況を確認せず、あわてて行動すると、ろくなことがないのは確かであろう。
しかし、リスクを取る勇気は必要である。投資の世界ではリスクを取った人はそれなりに報われる。問題はどの銘柄を買うかだろう。教科書的には順張りパターンの強い銘柄を狙う、これが基本である。TPR(6463)、トリドール(3397)、エムスリー(2413)、シップHD(3360)などがそれに該当する。
反面、セオリー的には業績の下方修正があって、大きく売り込まれている銘柄、具体的にはアルバック(6728)、ミツミ(6767)、日東電工(6988)、三晃金属(1972)などは絶対に手を出すべきではない。少なくとも常識的には…。
ただ、相場は理屈通りにはいかないことが多い。皆さん、経験があるだろう。このため、専門家と自称する人ほど理路整然と曲がってしまう。考えすぎる学者先生は相場がヘタと決まっている。そこで“実証”を試みてみよう。実験である。
25日移動平均線とのカイリ率(8月5日現在)をベースに好業績・強い銘柄、業績悪・弱い銘柄の代表銘柄を選び、3ヵ月後、6ヵ月後のパフォーマンスを競ってみたいと思う。陰極まれば陽となる!さあ、どうなるだろうか。皆さんは“勝ち組”を狙ってほしい。ヘソ曲がりの筆者は“負け組”を応援する。
なお、“勝ち組”は大手証券のレーティングが軒並み『強気』であり、“負け組”はそろって『弱気』となっている。アナリストの多くがそうだが、ファンダメンタルズを重視すると、結果はこうなる。
“勝ち組”代表
―25日移動平均線プラスカイリ銘柄―
TPR(6463) 8月5日高値1,148円
シップHD(3360) 8月4日高値1,873円
マスプロ電工(6749) 8月4日高値1,069円
“負け組”代表
―25日移動平均線マイナスカイリ銘柄―
アルバック(6728) 8月5日安値1,316円
日東電工(6988) 8月5日安値3,115円
ミツミ電機(6767) 8月5日安値644円
2011.8.5 NYダウ急騰・急落のカラクリ?
NYダウは日経平均株価と同様、単純平均(権利修正されている)である。このため、値がさ株の影響を強く受ける。それに、日経平均株価(225銘柄)のカバー率は東証1部上場企業1,669社の13.5%に過ぎない。結果的に、ファナック(6954)、ファーストリテイリング(9983)、ソフトバンク(9984)などの株価を意図的に動かすことによって、日経平均株価の操作は可能である。
ソフトバンクは株価変動の3倍を日経平均株価に反映させることになっている。仮に、100円高の場合、300円高としてカウントされる。逆に、100円安だと、300円安の扱いになる。これは2006年の1対3の株式分割の権利修正を行わなかったことによる。
一方、NYダウ(30銘柄)にはNASDAQ上場のインテル、マイクロソフトが含まれている。ちなみに、NY市場の上場企業は2,317社であり、カバー率は1.2%に過ぎない。もちろん、この点を問題にするつもりはない。指標(インデックス)としては十分に機能している。
ただ、日経平均株価もそうだが、NYダウは先物の対象であり、パッシブ運用に使われるほか、操作が可能ということ。これは時に、乱高下の原因になる。8月4日の暴落(512ドル安)がそうじゃないか。
ちなみに、NYダウの指数内ウエイトを見ると、IBM、キャタピラー、シェブロン、スリーエム、ユナイテッド・テクノロジーの5銘柄が35.2%を占めている。パッシブ運用とはインデックスに連動するように、ポートフォリオを組むやり方だが、最近はNYダウ採用銘柄の一部だけを組み入れるファンドが増えている。
ここ数ヵ月、NYダウが独歩高になっていた背景にはこうした動きがある。しかし、上がるから買う、買うから上がる…という需給面頼りの展開はいずれ破たんが訪れる。マーケット関係者は暴落を受け、『ああだ、こうだ』ともっともなコメントを出しているが、NYダウが上昇していた折にはまったく逆の発言をしていたではないか。
まあ、インデックスは操作が可能だし、こんなもの(失礼!)に振り回されるのはやめにしたらどうか。ともあれ、8月4日のNYダウの終値は1万1,383ドルであり、4月29日の高値1万2,810ドル比の下落率は11%強となる。
カイリ率は200日移動平均線に対し5%、25日移動平均線に対し8%強となる。これは短期的には売られすぎである。もっとも、日経平均株価、NYダウともにテクニカル的には完全に崩れている。
もちろん、筆者は『夏相場では3月15日の1番底8,605円に対する二番底を形成、最悪ケースの下値のメドは8,800円がらみ』と主張してきた。自慢するわけではないが、ほぼシナリオ(想定)通りの展開である。
なお、NYダウが急落した背景には前述のテクニカル的な要因のほか、今回の連邦債務上限引き上げをめぐるゴタゴタ騒動があると思う。すなわち、この局面での歳出削減は最悪の選択である。1996~1997年の橋本政権下の日本(消費税の引き上げ、超緊縮予算の編成)と似ている。これではアメリカ景気は失速するだろう。
とはいえ、2012年は大統領選挙が控えている。今回、共和党は大きな“失点”を犯したが、オバマ大統領だって万全ではない。今後、景気をどう建て直すか、雇用を回復させるか、その力量が問われていることになろう。
2011.8.5 ついに、財務省・日銀が為替介入に踏み切る!
ついに、財務省・日銀が為替介入(円売り・ドル買い)に踏み切った。単独介入とはいえ、イベント介入(日銀の金融緩和などと組み合わせて行う)となっており、NYダウ暴落、アメリカ景気の行方は気掛かりだが、それなりに効果があろう。
それに、為替介入にせよ、日銀の資産買い取り基金の増額(10兆円⇒15兆円)は筆者が一貫し、『断固やるべし』と主張してきたこと。これは素直に評価すべきと考える。もちろん、投機筋は円高阻止にかける当局の強い決意を感じたことだろう。
そもそも、今回の円高の背景については複合的な要因があった。すなわち、
①ドル・ユーロ不安
②デフレの進行(デフレは通貨を強くする)
③日銀のバランスシートの健全性
④流動性⇒外為市場での売買シェアはドル、ユーロ、円の順
⑤信頼性⇒大幅な対外純資産が黒字の国は中国、ドイツ、日本、スイスなど少数⇒ただし、中国・人民元は管理通貨、ドイツはユーロ
⑥中国要因⇒外貨準備のポートフォリオを組み換えており、金、円(株式を含む)を買う
⑦新興国での円人気
⑧基軸通貨(ドル)の縮命⇒大量発行&穏やかな価格下落
…など。
このうち、①についてはギリシャ支援(第1時~2次金融支援の総額は2,700億ユーロ⇒約31兆円)が決まり、8月2日にはアメリカ連邦政府の債務上限引き上げ問題が決着、急速に薄れている。
マーケットはアメリカ景気指標の悪化を気にしているが、これは8月下旬~9月下旬には改善されるだろう。
⑥~⑧は継続しているが、これはやむを得ない。ただ、今回、①~③には大きな動きが見られた。特に、日銀のバランスシートの健全性(2007年を100とすると、各中央銀行の資産残高は現在、BOEが341、FRBが321、ECBが167なのに対し、日銀は119)は筆者が再三再四、指摘してきたことである。
これでは円が評価されて当然だろう。なにしろ、通貨は中央銀行が発行する信用紙幣である。円は日銀券であり、1万円札、5,000円札、1,000円札には日本銀行の文字は記されているものの、『日本国』の表示はない(補助貨幣の硬貨にはある)。いずれにせよ、円は輸出企業の想定為替レートの1ドル=80~81円水準までの値戻しを目指している。
一方、株式市場は大波乱の展開になっている。もとより、筆者は『夏相場は波乱含み、2番底形成の動き』と主張してきた。しかし、NY市場の崩落(4日のNYダウは512ドル安の1万1,383ドルと、1日の下落幅としては2008年12月1日の679ドル安以来の下げ幅を記録)を予想していたわけではない。
これはシナリオになかった。もちろん、NY市場の上昇劇は『QE2で始まり、QE2の終了とともに終わる』と主張してきたが…。世界景気の悪化を懸念している、という。しかし、これほどの激しい下げが必要なのだろうか。
欧州株式市場も全面安である。世界同時株安は景気の先行きの不透明さだけでは説明がつかない。原油価格(WTI)は1バレル=86ドル台に値下がりしている。NY市場は特殊要因に加え、今週末の雇用統計、さらにはアメリカ国債の格下げなどの材料を織り込みつつあるのではないか。
2011.8.3 『7~8月相場は波乱含み』と主張してきたではないか
株式市場が大波乱に陥っている。日経平均株価は大幅続落である。NYダウが急落、円高も嫌気されている。もとより、筆者は一貫し、『7~8月相場は波乱含み、2番底形成の動き』と主張してきた。現状はほぼ想定(シナリオ)通りの動きではないか。
ただ、今回の“谷”はそんなに深くならないと思う。ギリシャの財政リスクはとりあえず、2014年まで封印された。アメリカの連邦政府の総債務残高上限の引き上げ問題は『先送り』とはいえ、決着した。最悪シナリオ(デフォルト⇒債務不履行)が回避された意味は大きい。しかし、NYダウは2008年10月以来の8日連続安(S&Pは7日連続安)である。
これはどうしたことか。ほっとひと息ついた瞬間、足元の景気に焦点が移ったのだろうか。そのアメリカの経済指標は8月下旬~秋口には回復を示すものと思われる。現在はパニック的な暴落局面になっているが、徐々に落ち着きを取り戻すだろう。
日本のファンダメンタルズは東日本大震災前の水準に回帰しつつある。サプライチェーン(供給連鎖)断絶は完全に修復された。自動車業界は日産自動車(7201)、ホンダ(7267)を中心に、フル操業態勢に突入している。
円高については日銀が動くだろう。いや、動いてくれなければ困る。恐らく、一段の金融緩和に加え、資産買い取り基金の増額に踏み切るだろう。
再三指摘しているように、ここでの円高の背景にはドル・ユーロ不安のほか、円の流動性(外為市場ではドル、ユーロに続き世界第3位の商いを誇る)の高さ、巨額の対外純資産の黒字(中国、ドイツ、日本など少数⇒中国・人民元は管理通貨、ドイツはユーロであり、必然的に日本に資金が集中する)、そして日銀のバランスシートの健全性がある。
残る懸念材料は日本の政治の迷走、および中国のインフレ懸念⇒金融引き締めになる。中国は2012年に5年に1回の共産党大会、10年ぶりの政権交代を控えている。現在の金融引き締め(インフレ抑制)はそのための布石との見方ができる。
もちろん、アメリカのQE2(金融緩和第2弾)は6月末に終了、世界景気の成長率鈍化とともに、原油価格は落ち着きを取り戻しつつある。新興国の利上げは最終局面を迎えている、と判断する。
一方、日本の政治の迷走は今に始まったことではない。1989年のリクルート・消費税選挙で自民党が敗北して以来、ずっと衆参ねじれ現象が続いている。この状態を解消するには大連立しかない。その動きが秋口には顕在化するだろう。
日本の停滞を世界は待ってくれない。いかに、寛容と忍耐の国民性とはいえ、人々はそれほど我慢強くない。政治家だって、この異常事態に気がついている、と思う。長かった『失われた20年』、もうそろそろではないか。
まあ、政治の問題は難しそうだが、とりあえず、ここは第1弾の突っ込み買いを敢行するところだろう。まず、もっとも買いにくい日東電工(6988)はどうか。8月3日には一時3,395円の安値まで売り込まれた。3月15日の東日本大震災直後の異常な安値3,415円を下回っている。メチャクチャである。
大成建設(1801)の180円からの水準はじっくりと仕込んでおきたい。PBRは0.7倍と出遅れが著しい。年末~明年にかけては復興特需が見込める。ゼネコンでは割安のトップグループに属する。
2011.8.2 アメリカのHIA2は円高阻止の“切り札”
外為市場では円高が進行している。一時は3月17日の1ドル=76円25銭(戦後の最高値)を突破しそうな勢いだった。実際、8月1日の海外(ニューヨーク)市場では76円29銭まであった。円高は輸出産業に大きなダメージを与える。
日産自動車(7201)はすでに、輸出戦略車だったカローラの生産をタイに移管、中国に6,000億円を投じ、新工場を建設する。いわゆる、産業の空洞化である。ホンダ(7267)は北米向け主力小型車フィットの生産拠点をメキシコに移す(新工場を建設)計画を明らかにしている。
確かに、アメリカ連邦政府の総債務残高の法定上限引き上げ問題が期限切れ(8月2日)ギリギリの8月1日に決着、最悪シナリオのデフォルト(債務不履行)が回避され、ドルが買い直されている。しかし、ドルの戻りは鈍いし、1ドル=77円水準が円高であることに変わりがない。これでは輸出企業は工場の海外脱出を加速させるだろう。
さて、外部環境ではギリシャ問題(ユーロ不安)が収束し、アメリカの財政リスクが解決したために、次の焦点はアメリカ景気に移るだろう。オバマ大統領は来年の大統領選挙を意識し、思い切った景気対策を打ち出してくる可能性が濃厚となっている。
その目玉がレパトリ(資金還流)減税だろう。これはアメリカ企業が海外で稼いだ金を本国(アメリカ)に戻す場合、設備投資など使途条件を満たす制約が課せられているものの、通常35%の法人税を5.25%に軽減する措置である。
2005年に実施されたことがあり、本国投資法(HIA⇒Homeland Investment Act)と呼ばれている。QE2(金融緩和第2弾)ならぬ、HIA2(本国投資法第2弾)となるのだろうか。
これはドル高・円安効果をもたらすだろう。2005年は年初~年末に101円69銭⇒121円40銭の円安が出現している。そう、ドルが強くなる。アメリカはドル高を内心では望んでいるのではないか。
一方、ユーロ不安についてはギリシャ支援が決定済み(第1次~第2次金融支援は合計2,700億ユーロ⇒約31兆円)であり、短期的には懸念が薄れている。
次に円高に対する財務省、日銀の対応だが、財務省は76円台突入(東京外為市場)のケースでは介入を決断する、といわれていた。これは財務省首脳の方針である。すでに、アメリカの了解を得ていたという。しかし、日銀は介入しても意味がない、との態度をみせている。
これはいけない。ここで必要なのは当局の円高阻止にかける断固たる決意だろう。そもそも、日銀はサブプライムローン・ショック以降、資産残高を全く増やしていない。日銀は何に脅えているのだろうか。
ちなみに、サブプライムローン・ショック後の2007年を100とすると、BOE(イギリス中央銀行)の資産残高は341、FRBは327となっている。これに対し、日銀は119である。健全なバランスシートは通貨高になる。これは素人だって分かる。
FRBは2008年以降、証券ポートフォリオの残高を7,600億ドル⇒2兆7,200億ドルと激増させた。これだけFRBのバランスシートが劣化したことになる。結果的に、ドルは売られる。
この間、日銀は何をしたのだろうか。2010年10月にやっと、5兆円の資産買い取り基金を創設、3月に10兆円に増やしたが、FRBの証券ポートフォリオの増加額150兆~160兆円に比べると、ケタが違う。これではドル安・円高になって当然だろう。
ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)は『毎日来たくなる店づくり』をコンセプトに経営改革を断行、エスニック雑貨を手掛ける子会社のチチカカが7割営業増益を見込むなど、体質強化が進んでいる。
連結1株利益は2011年6月期が4万3,672円だったが、2012年6月期は5万4,590円、2013年6月期は6万7,600円、2014年6月期は8万0,600円と収益構造が一変する見通しにある。株価は大幅高が期待できる。コシダカHD(2157)に続く値幅取り銘柄となろう。
2011.7.29 6~8月相場は波乱含み!と主張してきたが…
アメリカの連邦債務上限引き上げ問題をめぐる交渉が難航、NY市場はにわかに波乱含みの展開となっている。日経平均株価は1万円の大台を割込んでいる。もとより、6~8月相場は波乱含み、日経平均株価は9,000円の大台を割込む可能性がある…と主張してきた。この見解は現時点では間違っている(安値は6月17日の9,318円)。これは素直に認めざるを得ない。しかし、相場そのものは盛り上がりに欠ける。すなわち、マーケットは冷え切っており、出来高がなかなか増えない。東証1部の売買代金は1兆円に満たない日が続いている。
これは何を物語っているのだろうか。外部環境が不透明なこともある。やはり、新規資金の流入が乏しいうえ、上値を買う積極的な投資家が不足しているのであろう。
もちろん、下値(急落場面)では中国系SWF、日銀のETF経由の買いが入る。しかし、彼らは押し目買いに徹している。絶対に高いところを買わない。このため、短期順張りの投資家は利食うのが難しい。結局、売買を手控える。これが商いが膨らまない最大の理由ではないか。
営業体は本当に困っている。証券会社の支店では『手も足も出ないダルマさん状態』と嘆きの声があふれている。元気な個人投資家はどこに行ってしまったのだろうか。
外部環境ではギリシャ問題はとりあえず、決着したものの、今度はアメリカの財政リスクが浮上してきた。連邦債務の上限引き上げ法案が8月2日までに成立しない場合、デフォルトの可能性がある。
現在、オバマ大統領と議会のギリギリの交渉が行われているが、妥協点を見つけるのは難しそうである。ただ、アメリカ議会は“大人”であり、最終的にはデフォルトが回避されるだろう。
そうなった場合、NY市場は秋口にかけて好業績を素直に評価、一段高となろう。この動きに日本市場が追随できるかどうか、そのカギは為替(円高では上値は限定される)、政治(菅首相の退陣が絶対必要条件)が握っている。
政治はもはや、いかんともしがたいが、円高については日銀の決断にかかっている。そう、打つ手(バランスシートの劣化、流動性の供給)はある。なにしろ、日銀は今回の金融危機では“健全性”を保ったままである。
ちなみに、リーマン・ショック(2008年9月)後のBOE(イングランド銀行)、FRBの資産残高は各3.4倍、3.3倍と膨張している。これに対し、日銀の資産残高は1.2倍にとどまっている。これはバランスシートの健全さを意味する。
なにしろ、FRBは2008年8月末~現在の間に証券ポートフォリオ残高を7,600億ドル⇒2兆6,200億ドルと激増させた。しかし、日銀は何もしなかった。これではドル安・円高になって当然ではないか。
さらに、中国の金融引き締め、アメリカ景気の行方なども気掛かりだが、『世界政治指導者インデックス』が示唆する動きは『懸念なし』となっている。要するに、主要国(アメリカ、ロシア、フランス、中国、韓国、イギリスなど)において、指導者が交代、もしくは選挙の年の世界景気は『好調⇒拡大する』という経験則がある。
いずれにせよ、当面の相場は“往来”(ボックスゾーン)の動きだろう。狙い目は?引き続いて好業績・割安のコシダカHD(2157)、シンニッタン(6319)、鈴木金属工業(5657)など小物に妙味があろう。テーマ銘柄では日阪製作所(6247)、国際石油開発帝石(1605)、伊藤忠商事(8001)、ユニプレス(5949)などに注目できる。
一方、全般相場(日経平均株価)が4~7月のボックスゾーン(基本的に9,400~1万円水準でのもみ合い)を上放れ、一段高になるには外部環境の好転とともに、政治の安定(菅首相の退陣、大連立の実現)が不可欠だろう。
さて、ユーロ圏各国はギリシャに対し、第2次金融支援として1,600億ユーロ(約18兆円)の支援を決めたが、これは2014年までの時間稼ぎに過ぎないと思う。それに、民間投資家の負担は実質的に債務不履行とみなされるだろう。ギリシャ国債の格下げは確実である。
まあ、それにしても…。第1次金融支援1,100億ユーロ(約13兆円)と合わせると、実に合計31兆円もの支援額になる。ギリシャのGDPは3,300億ドル(約27兆円)に過ぎない。GDPを上回るお金がどうして必要なのだろうか。金づかいが荒いということだが、これはおかしいというか、ばかげている。
2011.7.27 売買代金が相場の先行きのカギを握る!
内外に、悪材料が続出しているにもかかわらず、表面的には強い相場である。意外にしぶとい。しかし、出来高は極端に少ない。東証1部の売買代金は1兆円そこそこの低水準(1兆円を割込む日もある)にとどまっている。
これは何を意味するのだろうか。まず、新規資金の流入の乏しさを物語っている。次に、商いは売り方の買い戻し(先物主導)と中国系FWSの下値買いが中心である。積極的な買い手の出現がなければボックスゾーンを突破し、一段高に進むのは困難だろう。
それに、再三指摘していることだが、日経平均株価の1万0,225円(7月のSQ値)、1万0,434円(東日本大震災直前3月10日の終値)には大きなカベ(抵抗帯)が存在する。
このゾーンを突き抜けるには2兆円前後の売買代金(3月の1日平均売買代金は1.95兆円)の継続が必要と考えている。そう、出来高は株価に先行する!これがセオリーである。
いや、7月15~20日のような1兆円大台割れの売買代金が続くようだと、フシ目の9,852円(3月の月中平均)、9,913円(200日移動平均線)、9,970円(過去1年間の外国人の買いコスト)の維持すら難しいのではないか。
外部環境では引き続いて、円高傾向、ユーロ加盟国の財政リスク(ユーロ不安)、中国のインフレ懸念⇒金融引き締め、アメリカ景気の行方、菅政権の迷走、電力危機などが気掛かり材料である。
もちろん、企業は必死に頑張っている。しかし、その企業の足を政治が引っ張っている。唐突な原発ストレステストの実施⇒電力危機を誘発などが好例だろう。
このままでは2012年5月には国内の54基、すべての原発が稼動停止に追い込まれる。現状は15%節電(東京電力管内⇒関西電力は10%節電要請)だが、恐らく来夏には20~25%の節電を余儀なくされるだろう。これは工業生産の縮小につながる。
こんな状況(円高、法人税率の高さ、自由貿易協定交渉の遅れ、労働規制、温室効果ガス抑制策に加え、電力不足)では企業は海外に生産拠点を移さざるを得ない。いわゆる、産業の空洞化である。
産業の空洞化は国内の雇用と購買力を奪う。子供手当てをもらって、一時的には『儲かった』と思っていると、その子供たちが大きくなった時、働く場所はない。現在のフィリピン、インドネシアのように、海外に出稼ぎに行くつもりなのだろうか。
株式市場が活性化するには政治の安定(大連立が望ましい)が不可欠である。だが、7~8月は無理だろう。従って、当面の相場はもみ合いゾーンを脱しきれない。この間は材料株にマトを絞る作戦が有効と思う。
超フル操業に転じた鈴木金属工業(5657)、シンニッタン(6319)、存在感が高まる伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)に妙味がある。シンニッタンの2012年3月期は前期並みの収益を確保できそうであり、PBR0.4倍台の時価水準は割安の一語につきる。アイティフォー(4743)はジリ高となっている。やはり、割安である。
8月1日には野村アセット・マネージメントが『野村割安金融1108』を設定する。このファンドの設定予定額は1,000億円、主力20銘柄を組み入れる。基準価格が1万2,000円になると、償還する仕組みだが、『2割上昇』は意外に早そうである。なお、銀行セクターについてはこのところ、SMBC日興証券、野村證券などの強気レポートが相次いでいる。
ちなみに、このファンドの組み入れ予定の上位銘柄は、オリックス(8591)、MS&ADインシェアランスグループHD(8725)、三菱UFJFG(8306)、三井住友FG(8316)、T&DHD(8795)などとなっている。
2011.7.22 やはり、小物の中・低位株を狙う戦術が有効!
22日のNYダウは152ドル高の1万2,724ドルと急騰、原油(WTI)価格は1バレル=99ドルと、再び100ドルの大台に迫っている。EUサミットにおいて、ギリシャ支援合意との報道が好感されている。
ただ、相変わらず、東京市場の商いは盛り上がりに欠ける。主軸株では伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、三菱商事(8058)などの商社に加え、三菱UFJFG(8306)などメガバンクがにぎわっている。8月1日には野村アセット・マネージメントが『野村割安金融1108』を設定する。
このファンドの設定予定額は1,000億円、主力20銘柄を組み入れる。基準価格が1万2,000円になると、償還する仕組みだが、『2割上昇』は意外に早そうである。銀行セクターについてはこのところ、SMBC日興証券、野村證券などの強気レポートが相次いでいる。
もちろん、日経平均株価が大きな上値のフシ目となっている1万0,225円(7月SQ値)、1万0,434円(東日本大震災直前3月10日の水準)ゾーンを突破し、一段高に進むには売買代金の膨らみが不可欠だろう。
やはり、今夏は中・長期的に狙う銘柄は別だが、小物の材料株にマトを絞る作戦が有効ではないか。コシダカホールディング(2157)が上放れてきた。カラオケ、フィットネス、ボウリングを手掛け、電力危機に伴うライフスタイルの変化のメリットをフルに受ける。
足元の業績は好調である。2011年8月期の連結1株利益は9万7,000円がらみとなろう。配当は年1万円(2010年8月期は8,700円)とする。株価は100万~120万円を目指す動きが期待できる。
アイティフォー(4743)はジリ高である。チャートは5月27日の高値292円を奪回、中段もち合い、上昇基調入りを鮮明なものにしている。ここは追撃買いのチャンスだろう。
独立系のSIベンダーである。クラウド関連が伸びている。業績は好調に推移しており、連結1株利益は2012年3月期が30円、2013年3月期が37円と予想されている。時価はPER的に割安である。
シンニッタン(6319)も狙える。トラック、建機向けに鍛造品を製造している。主力ユーザーはコマツ、日立建機、いすゞ自動車など。現在、フル操業を続けている。2012年3月期は前期並みの収益を確保できるだろう。連結1株利益は40円がらみとなる。
鈴木金属工業(5657)の190~200円がらみは妙味十分である。新日鉄直系の特殊鋼線メーカーであり、新日鉄が発行株式数の65.4%を保有している。自動車向け(バネ材)が主軸である。中国、タイ、欧州など海外事業を活発化させている。
連結1株利益は2012年3月期が28円、2013年3月期が37円となろう。増配の可能性もある。時価はPER5倍前後と出遅れが著しい。仕手介入の形跡がみられる。もっとも、商いが薄いだけに、下値をていねいに拾う戦術が賢明だろう。
富士機工(7260)は資本的にはトヨタグループ(ジェイテクトが筆頭株主)だが、売上高の6割は日産自動車向けとなっている。その日産自動車が頑張っており、業績は急浮上に転じる見通しにある。
連結1株利益は2012年3月期は45円、2013年3月期が72円と予想されている。株価は330~340円ゾーンでの中段もち合いを続けているが、ここはじっくり仕込むチャンスと思う。
2011.7.21 一段と高まる総合商社の存在感!
さすが、総合商社の機能はすごい!といわれているのが丸紅(8002)が受注し、納入した移動用ガスタービン発電機(出力2万5,000kw×2)である。東日本大震災後に、夏場の電力需要に対応、東北電力が発注(ターンキー契約)したのだが、8月には運転を開始する。
ターンキー契約とは機器の調達、据え付け、試運転、調整までを受注サイドが行って、発注側は最後にキーを差し込む(スイッチを入れる)だけというもの。丸紅は商社機能をフル活用、アメリカで発電機を調達、現地において据え付け、試運転、調整を実施、そのまま日本(新潟)に運んできた。短納期も驚きだが、丸紅の電力事業に対するノウハウは高く評価できる。
日本は世界のLNGの生産量2億2,000万トンのうち、7,000万トンを輸入している。最大の輸入国である。原発停止によって、2011年は1,000万トンの輸入増が必要といわれていたが、この調達(仲介)を行ったのは三菱商事(8058)、三井物産(8031)、伊藤忠商事(8001)などの商社である。
この総合力はもっと見直してもいいのではないか。もちろん、投資は資源・エネルギー分野を中心に一段と活発化させている。三菱商事は今後3年間に2兆5,000億円の投資を行う。三井物産の2012年3月期の投資は7,000億円である。伊藤忠商事は今後2年間に8,000億円の投資を計画している。
さらに、丸紅は水力発電事業(100%子会社の三峰川電力を有する)を強化しているほか、世界トップの穀物メジャーを目指し、着々と布石を打っている。伊藤忠商事の中国事業、三菱商事の海外自動車事業、住友商事(8053)、丸紅の海外電力事業、双日(2768)のレアメタル事業など、鉄鉱石・石炭・ガス・原油以外の非資源分野も収益の源泉になりつつある。
もちろん、業績は好調である。2012年3月期は軒並み史上最高の決算になろう。配当は伊藤忠商事が年33円(2011年3月期は18円)、丸紅が年20円(同12円)、三井物産が年55円(同47円)、三菱商事が年67円(同65円)とする。各社は業績連動型の配当政策(配当性向を重視)を採用しており、さらに上乗せの可能性もあろう。
ちなみに、外資系証券による連結1株利益予想は伊藤忠商事が2012年3月期168円、2013年3月期189円、2014年3月期220円、同様に三井物産が277円、293円、309円、丸紅が107円、123円、128円、住友商事が188円、209円、230円、三菱商事が309円、316円、325円となっている。
これはすべての商社株についていえることだが、いかに“水物”(収益は資源・エネルギー価格に大きな影響を受ける)とはいえ、PER的に出遅れが著しい。伊藤忠商事の場合、時価のPERは5~6倍、配当出回りは3.7%もある。外部環境が不透明、かつ円高圧力が強まっている状況下、商社株はじっくり狙っていけるのではないか。
LNG関連では豪・イクシスプロジェクト(総額2兆円を投資、LNGは中部電力、東邦ガスが購入予定)を推進中の国際石油開発帝石(1605)、熱交換器の日阪製作所(6247)、断熱工事の明星工業(1976)なども妙味十分と考えている。
2011.7.20 ヒュンダイと互角に闘う日産自動車!
外部環境では引き続いて、円高進行(1ドル=78円台に突入したあと、現在は79円前後)、ギリシャ、ポルトガルの財政リスク(ユーロ不安)、アメリカ景気の行方、FRBの金融政策、中国のインフレ懸念⇒金融引き締め、政治の迷走、電力危機…などの気掛かり材料が存在する。
特に、政治の迷走が株式市場にとっての最大のリスク要因であろう。このままでは『失われた20年』が継続し、『失われた30年』になる可能性が高まる。いわゆる、ゼロ成長が続くということである。
この20年、日本のGDPはまったく増えていない。この間、中国は11倍、インドは8倍になっている。アメリカだって、2倍である。1989年末比、NYダウは4.5倍になったが、日経平均株価は4分の1の水準にとどまっている。
再三指摘しているように、バブル崩壊以降、国民の“富”は実質3,000兆円近く失われた。個人金融資産の損失は1,000兆円に達する、とのデータがある。日本人は一部の人々を除いてみんな貧乏になってしまった。この要因のすべてを政治に押し付けるつもりはないが、かなりのウエイトを占めているのは確かだろう。
かつて、日本の民生用エレクトロニクスは圧倒的な国際競争力を誇っていた。それがいまや、液晶テレビが好例だが、韓国、台湾、中国メーカーに駆逐されそうな情けない状況に陥っている。造船、鉄鋼、プラントなども急速にコスト競争力を失っている。
自動車業界では『アジア4強時代』といわれている。トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車(7201)、ヒュンダイ(現代自動車⇒韓国)の4強だが、このところヒュンダイの存在感(販売シェアが着実に上昇)が一段と高まっている。将来的には自動車も民生用エレクトロニクスと同じ道をたどるのだろうか。
なぜ、サムスン、ヒュンダイなど韓国勢は強いのか、躍進著しいのか。経営力の違い?それは否定しない。新興国需要の取り込みでは日本企業のかなり前を走っている。しかし、これだけではない。政治(国家戦略)の力が大きいと思う。
たとえば、法人税率は日本40.7%に対し、韓国は24.0%(主力企業の実質負担率は10%程度)である。さらに、円高・ウォン安、電力料金は日本の半分(“脱原発”だと、日本の電力料金は2割上昇、かつ供給が不安定に)、人件費は日本の半分以下、あらゆる国々との自由貿易協定の締結(ユーロ、アメリカを含む)…などを指摘できる。
要するに、国を挙げて企業を支援している。しかし、日本政府、日銀は円高に対応できず(いや、何もせず)、法人税率(世界平均は25.9%)は引き下げどころか、復興税を課そうとしている。電力の供給不足もそうだが、これは製造業に『出て行け』といっているのに等しい。結局、産業の空洞化は加速することになろう。
いずれにせよ、現状ではヒュンダイと互角に闘っているのは日産自動車(カルロス・ゴーン社長⇒海外生産比率75%)である。つれて、カルソニックカンセイ(7248)、鬼怒川ゴム工業(5196)、ユニプレス(5949)など日産自動車直系の部品メーカーがクローズアップされるだろう。日産自動車向けが売上高の6割を占める富士機工(7260)、河西工業(7256)も狙える。
2011.7.14 企業は頑張っているのに、政治が足を引っ張ってどうする!
ユーロ財政リスクが再燃、円高進行(1ドル=78円台に)が重なって、株式市場は高値波乱の様相を強めている。菅首相の“暴走”が最大のリスクとの声もある。しかし、これは予想されたこと。かねて、7~8月相場は波乱含み!と主張してきたではないか。もちろん、大崩れは考えにくい。ただ、相場の水準、方向によって、キャッシュ・ポジション(現金比率)を調整する、これがリスク・マネージメントの基本である。
テクニカル的に、大きなフシ目の1万0,434円(東日本大震災直前3月10日の終値)、1万0,225円(7月のSQ値)水準を突破し、一段高に進むには外部環境の好転(特に、政治の安定)とともに、市場エネルギー(売買代金)の膨らみが不可欠だろう。
ちなみに、上値の“抵抗帯”が数多く存在する3月の1日平均売買代金(東証1部)は1兆9,500億円だった。現状の1兆2,000億円程度の売買代金では“雲”を突き抜けて上昇するには推進力が足りないのではないか。
もちろん、企業活動は活発であり、景気・企業業績は急回復を示しているだけに、ズルズルと下がる相場ではない。従って、押し目は買える。もとより、“横綱相撲”は取れず、機敏な“小すくい”作戦が有効だが…。
外部環境では繰り返しになるが、ギリシャ問題、中国の金融引き締め(8月がインフレのピーク?)、アメリカ景気の行方なども重要だが、最大のリスクは菅政権の存在にあろう。政治の迷走はいかんともしがたい。首相の保身、延命のための唐突な原発ストレステストは電力危機を深刻化させる。
電力不足によってGDPは0.5%押し下げられる。これだけではない。電力供給の不安定化(2012年5月には54基の原発すべてが停止する恐れがある)を嫌気し、製造業が次々と生産拠点を海外に移している。いわゆる、産業の空洞化である。
産業の空洞化は雇用と国内の購買力を奪う。さらに、世界トップクラスのサプライヤー・テクノロジー企業の海外脱出は技術の流出を意味する。思いつき政治の弊害はあまりにも大きい。極端な話、政治は何もしないほうが良いときもある。企業は国を頼らず、生きる決意を固め、実際にそうしている。しぶとく生きている。それなのに、政治が足を引っ張って、どうするのか。
まあ、政治は経済を越える!という。それだけに、政治はしっかりして欲しい。このためには大連立が必要だろう。『失われた20年』をさらに継続してどうするのか。結局、夏相場での上値は限定されると思う。
さて、“小すくい”作戦のターゲットだが、復興特需に期待し、東北が地盤の福田組(1899)などはどうか。このところ商いが急増、株価は反騰態勢を鮮明にしている。なお、復興・防災担当相は岩手県選出の平野達男参院議員であり、小沢グループに属している。
小沢一郎さんといえば、奥さんが福田組のオーナーの娘さんである。これは思惑材料になる。円高進行下、内需関連セクターの材料株を攻める(基本的に趣味の投資)のは理にかなっている。
伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)も狙える。好業績に加え、増配の方針は株価に反映されていない。円高進行を嫌気し売られている軸受、特殊鋼などは突っ込み買いのチャンスだろう。具体的には日本精工(6471)、NTN(6472)、シンニッタン(6319)に注目できる。押し目をじっくり拾いたいと思う。ともに、好業績である。
巣ごもり関連のディー・エヌ・エー(2432)、スタートトゥディ(3092)、サイバーエージェント(4751)は好業績プラス、テーマ(ライフスタイルの変化)性を内包しており、引き続いてジリ高となろう。
2011.7.13 当面は小物、および材料株にマトを絞ろうじゃないか!
筆者が再三再四、指摘してきたように、株式市場は波乱含みの展開となっている。7~8月相場では小物、および材料株にマトを絞る作戦が有効だろう。筆者が尊敬する本多静六先生は趣味の投資と利殖の投資を分けて大成功を収めた投資家(本業は林業、造園学の大家)だが、7~8月の戦術はこの場合の趣味の投資になる。
まず、出来高が激増している福田組(1899)はどうか。円高が進行しており、内需関連に妙味があろう。東日本大震災の復興関連という切り口だけではない。復興・防災担当相(7月5日に就任)の平野達男氏は岩手県選出の参院議員であり、小沢グループに属する。
さらに、福田組のオーナーの娘さんは小沢一郎氏に嫁いでいる。まあ、それがどうした?といわれそうだが、株価はこんな思惑によって動くもの。もちろん、材料株は機敏な対応が求められるが、3月16日には433円まで買われている。
シンニッタン(6319)は鋳造品の大手である。コマツ、日立建機、日産自動車、いすゞ自動車が主力ユーザーとなっている。ゼネコン向けの建築用設備も手掛けている。サプライチェーンが修復されたことを受け、目下、超フル操業中という。
2012年3月期について、東洋経済新報社の『会社四季報』には経常利益13億円、連結1株利益29円と記してある。しかし、会社側は7月7日に、『経常利益は19億円、連結1株利益は40円』と発表した。配当は年10円を継続する。
ほぼ、2011年3月期並みの収益を確保できることになる。一方、1株純資産は843円ある。株価は業績予想の公表を好感、急動兆を示しているものの、時価の370円がらみの水準はPBR0.45倍に過ぎない。業績が急浮上に転じている状況下、これはないと思うが…。
コシダカホールディングス(2157)は本社が群馬県前橋市、ジャスダック上場とあって、知名度はいまひとつである。しかし、若い女性の間では「フィットネスクラブの『カーブス』は良く知っている」と。カラオケ本舗『まねきねこ』(これがメーン)のほか、ボウリング場を経営している。
5月末現在、カラオケ本舗『まねきねこ』が315店、フィットネスクラブ『カーブス』が989店、ボウリング場が14店となっている。『カーブス』は女性専用30分フィットネスが好評である。中期的に2,000店を目標にしている、という。
株価は5月12日に73万円の高値をつけたあと、調整を続けている。しかし、下値は限定されるだろう。2011年3月期の連結1株利益は9万7,000円と予想されている。
配当は年1万円(2010年8月期は8,700円)とする。いちよし証券では投資判断を『A』とし、目標株価を『100万円』に設定している。
電力不足(節電、事業所ごとのサマータイム導入)はライフスタイルの変化をもたらすだろう。午後4時に終業の会社が増えている。東京証券取引所の終業時間は午後3時45分である。こんなに早く会社を追い出されてどこに行けというのだろうか。
ちなみに、マクロミルの調査(複数回答)によると、サマータイム導入後、平日の会社が終わった後の過ごし方は?まっすぐ帰宅するが53.7%、ショッピングが32.7%、飲みにいくが31.3%、スポーツ(ジム、フィットネスクラブなど)が18.0%、習い事が13.3%、映画が13.0%、資格スクール(英会話など)が12.3%となっている。
2011.7.8 資産デフレと超低金利にそろそろ怒りの声を!
ひどい話だと思う。しかし、誰も文句をいわず、怒ろうともしない。さすが、『忍耐と寛容』の国民じゃないか。不思議な現象である。何が…?資産デフレのこと。日銀の国民経済計算によると、民間保有の土地はこの20年間に1,260兆円減価している。
東日本大震災と比較するのは不謹慎だが、それによるストックの損失額25兆円(政府資産)の50倍の“富”が失われた勘定になる。恐ろしい数字である。日本中、みんな貧乏になってしまった(日本の時給はデンマーク、ノルウェーの平均値の5~6割、アメリカ自動車産業の労働者の半分以下)。船井財産コンサルタンツ(8929)の『財産自書』(定価10万5,000円)によると、『個人金融資産は実質466兆円に過ぎない』という。
まさに、エッ?ではないか。1,400兆円強の個人金融資産はどこに消えてしまったのだろうか。まあ、理解できないでもない。個人だけの分ではないが、株式の時価総額は300兆円が吹っ飛んでいる。1989年末(バブルのピーク)には東証1部の時価総額は600兆円あった。それが7月7日現在、ちょうど300兆円である。
日本の個人資産は不動産が66.4%を占めている。このうち、9割は自宅である。『いま住んでおり、別に、売るつもりはない…』というが、住宅価格は2005年比半値になっている。1989年比では恐らく3分の1、4分の1ではないか。
株価は時価総額以上に値下がりしている。日経平均株価は史上最高値(1989年12月29日の3万8,915円)比4分の1水準にとどまっている。ちなみに、1989年12月28日のNYダウは2,753ドルであり、現在はその4.5倍の水準にある。
アメリカの株主(アメリカ企業の株式を保有)は平均的に資産が4倍強となり、日本の株主は資産が4分の1になった。その差は実に、16倍である。これが資産デフレの恐ろしさであろう。
資産デフレを放置したツケは金利収入にも顕著にみられる。1990年には家計の利息収入は年間38.5兆円あった。それがいまや、3兆円ちょっとに過ぎない。この20年間に、家計が失った利息収入は400兆~500兆円に達するだろう。これは“富”の移転である。
日本と同様に、大量の国債発行(借金)によって、国家が運営されているアメリカでは超低金利状態をファイナンシャル・リプレッション(金融抑制)と呼び、制度変更(法律改正)なしに行える実質的な“増税”と認識されている。
ひどい話…と主張する筆者の真意が分かってもらえるだろう。ちなみに、インフレ(通貨安を伴う)誘導は『隠れ税金』と称する。今後、日本は国民背番号制度の導入、消費税の引き上げ、医療・介護保険料の負担増、相続税の課税強化など増税路線を突っ走るだろう。
やはり、個人(法人は海外脱出を目ろむ)としては自分の資産は自分で守る!という気概がこれまで以上に必要になろう。猛烈な円安時代の到来に備え、資産を海外疎開させる(外貨建て資産を保有する)のも有効である。
日本コークス工業(3315)がジリ高となっている。旧三井鉱山であり、名門だが、リチウムイオン電池の負極材の大増産(生産能力を3倍に)を推進するなど、会社側は現状を『第3の創業』と位置づけ飛躍を図っている。連結剰余金は300億円ある。配当もちゃんとやっている。財務内容は著しく強化されている。
2011.7.7 『相場は強いぞ、しっかりせよ!』というが…
NYダウが年初来高値に迫り、日経平均株価が1万円の大台を奪回するなど、足元の相場が予想以上に強いために、マーケットでは懸念材料の多くがすでに、『解決済み』のように思われている。営業体的には『相場は強いぞ、しっかりせよ』ということか。
こうした動きを受け、マーケットでは『NYダウは1万3,000ドル台を奪回する』とか、『日経平均株価は1万2,000円がらみの水準を目指している』といった強気の見方が増えている。まあ、いつものことである。
しかし、本当に大丈夫なのだろうか。再三指摘しているように、日経平均株価の9,852円(3月の月中平均⇒低下法を採用している国内の機関投資家が期末に“値洗い”を行った水準=新しい簿価)、9,970円(2010年11月第1週以降、外国人は4.70兆円買い越しているが、その平均買いコスト)、1万0,434円(東日本大震災直前の3月10日の終値)などのゾーンは大きなフシ目であろう。
この“抵抗帯”を突き抜け(9,852円、9,970円は上回っているが…)一段高に進むには市場エネルギー(売買代金)の盛り上がりが不可欠だろう(もちろん、相場には行き過ぎがある)。ちなみに、3月の東証1部の1日平均の売買代金は1.95兆円だった。現状の売買代金(1.2兆円そこそこ)では推進力が足りない。早晩、これでは息切れすると思う。
もとより、筆者は『7~8月相場は波乱含み』と主張してきた。このシナリオは不変である。すなわち、3月15日の1番底(8,605円、ザラバベースでは8,227円)に対する2番底形成の動き、と考えている。
もちろん、2番底は1番底のように、深くはない。それに、秋口以降には第2~第3次補正予算の編成(復興計画の本格始動)、政治の安定(最良パターンは菅首相退陣⇒大連立)、サプライチェーン(供給連鎖)の完全修復⇒フル生産態勢に、電力危機のピークアウト、アメリカ景気のソフトパッチ(一時的な踊り場)脱出、新興国のインフレ懸念の後退⇒金融引き締めの終えん、ユーロ不安の収束…などがあって、もみ合い離脱⇒反騰局面に突入するだろう。
だからこそ、7~8月の安いところは突っ込み買いのチャンス!と判断し、そう主張している。ただ、現時点では懸念材料が解決されたとはいえず、波乱の“火種”が数多く残っている。要するに、目先は慎重に!ということ。
具体的にはギリシャの財政リスク(財政再建を断行するパパンドレウ政権に対する反政府暴動)、予想外のアメリカ景気の失速、連邦債務上限ワク引き上げ法案の不成立(8月2日にはテクニカル・ディフォルト?)、パキスタンとインドの軍事衝突、中東・北アフリカの政情不安(8月末にはアメリカ軍がイラク撤退)、原油価格の高騰、北朝鮮の暴発、菅政権の迷走(8~9月に解散・総選挙?)、徐々に強まる円高圧力(再び1ドル=70円台に突入)、想定外の電力不足(東京大停電?)などがある。さらに、企業の海外生産シフト(産業の空洞化)などのニュースが相次ぐだろう。
もっとも、繰り返しになるが、段々ひどくなっている国内政治と違って、海外要因は悪いほうには向かっていない。ギリシャ問題もそうだが、今後とも大きく揺さぶられるだろう。しかし、ドイツ、フランスは当面、どんなにギリシャ国民がダダをこねようと、ギリシャを救うしか選択肢は残されていない。現実に、そうなっているではないか。
中・長期的にじっくり狙っておきたいのは、日産自動車系の部品メーカーである。すなわち、鬼怒川ゴム工業(5196)、カルソニックカンセイ(7248)など。カーナビシステムのアルパイン(6816)にも注目できる。フル操業を続けている。双日(2768)は出遅れが著しい。ファイナンス説が株価の上値を抑えているが、これは当面なさそうである。
2011.7.6 ギリシャ国債のCDSスプレッドはいまだに2000ポイント超!
表面的には日経平均株価が1万円の大台に突っかけるなど強い相場だが、売り方の買い戻しが中心であり、『これを素直に受け止めていいのか』と多くの投資家の皆さんが迷っているのではないかと思う。逆に、『ガンガン攻めろ!』と叫んでいる人もいるが…。まあ、とりあえず、注意が必要である。
再三指摘しているように、日本の株式市場は外国人主導のマーケットである。その外国人の動向に振り回されている。特に、先物は外国人の委託売買代金シェアが8~9割もある(5月第4週84.5%、6月第1週88.8%、第2週82.3%、第3週85.3%)。このため、どうしても彼らの動きに大きな影響を受ける。
それに、超高速(1000分の1秒)のコンピューター売買(フラッシュ・トレーディング)である。彼らはアルゴリズム取引を多用する。こんな相手とまともに闘って、勝てるはずがない。やはり、当面の相場では彼らの裏をかくとか、先物の影響を受けにくい銘柄にマトを絞っておくべきだろう。
それと、値動きをひたすら追いかける短期・順張りではなく、ある程度時間をかけてていねいに仕込む必要がある。それに、7~8月相場は引き続いてボックスゾーン(従来)の展開だろう。また、『7~8月相場は波乱含み!』と、一貫し主張している。
従って、投資戦術としては大波も小波もすべて逆張り!の姿勢が求められる。足元の値動きの強さに惑わされ、高いところ(日経平均株価の1万円近辺)を買うと、苦労をさせられる。
一方、外部環境は相変わらず、不透明である。ギリシャ問題は落ち着きをみせているが、ギリシャ国債のCDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)スプレットの異常値(2000ポイント超)が示しているように、解決したわけではない。一方、国内政治はボロボロである。“国難”というのに、ここまで権力に執着する首相が過去にあっただろうか。
8~9月には解散・総選挙の最悪シナリオ(“破れかぶれ解散”)を考えておく必要性を感じる。菅首相は完全に開き直っており、何をするか分からない。本当に困った人である。
もちろん、企業活動は急回復を示しており、SWF(政府系ファンド)は活発に動いている。中国系のSWFは日産自動車(7201)、三菱UFJFG(8306)など主軸株を中心に、執拗に買っている。これが株価を下支えるだろう。中国系のSWFはフェローテック(6890)、ソディック(6143)など技術力を有する小物もしっかり買っている。
さて、アイメタルテクノロジー(5605)が急動兆、いよいよ再騰開始か。セクター的には丸紅(8002)、伊藤忠商事(8001)、三井物産(8031)、三菱商事(8058)が上値慕いの動きを見せている。原油価格(WTI)がジリ安(瞬間、1バレル=90ドル割れ)の局面でも株価が下げなくなっていただけに、96ドル前後に反発してくれば買われるのは当然だろう。
このほか、常磐、三陸の鉄道(在来線)の復旧にJR東日本が1,000億円を投じる、と報じられている。鉄建(1815)はJR東日本が筆頭株主(発行株式数の10%を保有)であり、そのメリットを享受できる。
2011.6.30 なぜ、こんなに株価が安いのか⇒ネグレクト?
書画骨董品の類にはときに、その道の専門家すらだまされてしまうほどのニセ物が出現することがあるという。ニセ物をつかまされた専門家はどうするか。それは簡単である。地方の骨董好きのお金持ちに売りつける。これを“沈める”という。
不動産業界では『土地、建物に“掘り出し物”は絶対にない』といわれている。業界筋によると、必ずしもそうではないようだが、『“掘り出し物”はない』というのが定説である。
株式市場ではどうだろうか。兜町には『割安株に手を出すな』という教えがある。1,000万~2,000万人の投資家が鵜の目鷹の目で有望株を探しているのに、極端な割安株は存在しない、と考えるのは間違っていないように思われる。しかし、本当にそうだろうか。筆者は近年、証券会社の調査(銘柄発掘)能力が著しく低下した、と主張している。
いや、そもそも、中堅証券以下では経費削減のため、調査部とか投資情報部を廃止したところが多い。調査マンがいないのに、調査能力うんぬんを議論するのはおかしな話だが…。
大手証券は主軸株を中心にウォッチを行っている。常時カバーしているのは300~400社に過ぎない。残りは?『ネグレクト』(無視)銘柄である。もちろん、外資系証券は小物もていねいにピックアップ、地道にフォローを続けている。
その効果だろうか。フェローテック(6890)、ソディック(6143)の大株主にSSBT・OD05・オムニバスアカウントトリーティ(中国系のSWF)が登場している。恐らく、その技術力を評価しているのであろう。
さて、割安株の話に戻るが、アイティフォー(4743)は独立系のソフト開発会社である。現在、クラウドに注力している。連結1株利益は2012年3月期が27円、2013年3月期が37円と予想されている。配当は今期が年10円、来期が年12円と計画している。
株価は280円前後である。この水準のPERは10倍ちょっと(来期ベースでは7倍強)に過ぎない。配当利回りは3.6%となる。なぜこんなに安いのか。知名度が低い?それはあるだろうが、東証一部上場企業であり、無借金経営を貫いている。
IR不足?まあ、割安の要因は経営陣に対するマーケットの不信感ではないか。かつて、2000年には1万7,700円の高値をつけている。筆頭株主は自社(自己株式)、第2位は従業員持ち株会である。不安定な株主構成にも株価低迷の一因があろう。
国際計測器(7722)も割安である。ただ、こちらはジャスダック上場であり、同情の余地は残っている。ちなみに、株価は780円がらみだが、2012年3月期の連結1株利益は82円の予想であり、配当については『年40~45円とする』と会社側がコメントしている。配当利回りは5.2~5.8%になる。
難点は流動性の乏しさである。しかし、これは『2~3年のうちに、東証上場を実現させたい』(松本繁社長)と語っており、徐々に解消されるのではないか。
需給の悪さが株価の上値を抑えているのはAS-meエステール(7872)だろう。丸山朝会長自身、『これは時間をかけるしかしょうがない』とあきらめのムードである。しかし、1株純資産は854円、連結1株利益は87円(2012年3月期予想)、年20円配当(2012年3月期計画)の好実態なのに、株価が400円前後というのは“異常”といえる。
ちなみに、PBRは0.47倍、PERは4.6倍に過ぎず、配当利回りは5%になる。もちろん、2012年3月期は大幅増益の見通しにある。マーケットがおかしいのか、経営陣に信頼感が欠如しているのか。極端な割安の銘柄はきちんと現状を説明する責任があると思う。“万年割安”では株主は泣くに泣けない。いや、筆頭株主は丸山会長であり、株安を嘆いているのはご本人だろうが…。
2011.6.29 6月末の相場には悪魔が潜む?
6月末の相場は特殊要因があって、投資家を惑わす“悪魔”のようなもの。この動き(例年、強い展開になる)を素直に受け取ってはいけない。まず、第1は欧米のペンション・ファンド(年金基金)の中間決算であること。このため、ウィンドウ・ドレッシング(お化粧)が行われる。
第2は株主総会シーズンであり、この時期はなぜか、法人の持ち合い解消売りが自粛されること。株主総会の前後に、株価が急落、というのはいかにもまずい。これは避けようとするのは極めて日本的だが、大手証券によると、『これは確かに、ある』と。この結果、6月末の株価は傾向的に高くなる。その分、7月相場は波乱に陥る確率が高い。したがって、6月末の相場ではこれまで以上に、徹底的な逆張りの姿勢が求められる。調子に乗ると、失敗する。
それに、外部環境は相変わらず、不透明である。7~9月に予想される懸念材料を列記すると、以下の16項目になる。加えて、このところ外国人の投資行動が鈍っている。SWF(国家資産管理)は中国系を中心にしっかり買っているが…。
もちろん、再三指摘しているように、自動車、および関連業界を中心に企業活動は国を頼らず、活発であり、鉱工業生産指数、企業業績は急浮上が見込まれている。これが株価の崩れを阻止するだろう。
外部環境の悪化&懸念材料を探る!!
①ギリシャ、ポルトガル、アイルランドの財政リスク⇒ユーロ不安!
②アメリカ景気の減速⇒8月2日に手続き上のテクニカルディフォルト?
③新興国の金融引き締め⇒オーバーキル(景気失速)?
④パキスタンとインドの軍事衝突⇒パキスタンの過激派がインド攻撃を目ろむ!
⑤中東・北アフリカの政情不安⇒8月末にはアメリカ軍がイラク撤退
⑥コモディティ・バブルの崩壊⇒世界経済にはプラス要因!
⑦北朝鮮の暴発⇒強硬姿勢の前触れの兆候!
⑧菅政権の迷走⇒8~9月に解散・総選挙?
⑨徐々に強まる円高圧力⇒再度、1ドル=70円台に突入か
⑩東日本大震災『復興構想会議』の存在⇒増税を真っ先に打ち出す“愚”!
⑪政治のスピードの遅さ⇒復興プランの策定、新成長戦略推進、自由貿易協定交渉…など
⑫産業の空洞化(工場移転)が相次ぐ⇒法人税引き下げの凍結、電力不足などを嫌気!
⑬大口電力使用量と鉱工業生産の伸びはパラレル⇒つれてGDP、株価に影響!
⑭アメリカの住宅価格は下げ足りず?⇒中国の地価は完全にバブル!
⑮ポスト菅は?⇒誰がなっても政治の不安定さは解消されず!
⑯中国企業(ADR)の不正会計疑惑⇒サイノ・フォレスト、チャイナ・メディアエクスプレス・ホールディングス、レンレンRENNなど
もっとも、段々ひどくなっている国内政治と違って、海外要因の多くは悪いほうには向かっていない。ギリシャ問題もそうだが、今後とも大きく揺さぶられる局面があると思う。しかし、ドイツ、フランスは当面、どんなにギリシャ国民にダダをこねられようと、ギリシャを救うしか選択肢は残されていない。現実にそうなっている。
明星工業(1976)の270円がらみの水準は仕込みの好機である。3月28日に375円の安値をつけたあと調整しているが、小回り3ヵ月の経験則では『そろそろ』のタイミングだろう。
LNG関連工事では国内トップの実績を誇る。足元の業績は急浮上に転じている。2012年3月期の連結1株利益は22円(2011年3月期は12円)と予想されている。1株純資産は470円(PBRは0.57倍)ある。
2011.6.24 個人投資家主導の中・低位株に妙味あり!
日本の株式市場は外国人主導のマーケットである。この事実を否定するつもりはない。なにしろ、委託売買代金シェア(3市場ベース)は現物が7割、先物が8割を占めている(5月の実績値は現物が67.7%、先物が83.9%)。したがって、彼らが買えば上昇し、売れば下落する。
情けない話だが、極めて分かりやすい。その外国人はここにきて売っていた先物の買い戻しを急いでいる。なぜ、売っていたのか。その理由は、①ギリシャ問題の深刻化を想定②内外の機関投資家がベンチマークにしているMSCI指数の組み替え…にあった、と思う。
しかし、ギリシャのパパンドレウ新内閣は信認されたし、MSCI指数における韓国、台湾株式市場の『先進国入り』は見送られた。これは日本のシェア引き下げがない、ということを意味する。
とはいえ、外国人の買い戻し一巡後の相場が読めない。日経平均株価を1万円以上に押し上げる材料が見当たらない。やはり、短期的には個人投資家主導の中・低位株、および好業績・好需給の中型株にマトを絞る戦術は有効だろう。
中・低位株では日本コークス工業(3315)、シンフォニアテクノロジー(6507)、アイメタルテクノロジー(5605)、日本鋳造(5609)などに注目している。
日本コークス工業は、かつて三井系の主力企業だった旧三井鉱山である。石炭・コークスが売上高の87%を占めている。コークスは新日本製鉄が全量買い取る契約になっている。
石炭見直しの動きは同社にとって、強力な追い風になっているが、最近は電気自動車向けリチウムイオン電池用の負極財に注力している。北九州事業所では目下、生産設備の増強工事を進めており、生産能力を年間1,000トン(現在は300トン)に引き上げる計画である。
株価は3月25日に191円の高値をつけたあと、調整を続けている。6月6日には125円の安値まで売り込まれた。しかし、そろそろ下げ止まる局面だろう。2012年3月期の1株利益は20円の予想である。配当もわずかだが、ちゃんと年2円をやっている。
さらに、財務内容は着実に強化されている。利益剰余金は300億円あり、優先株(1,400万株)の処理(買い入れ消却)は今期中に終わるだろう。
大株主には取引先を中心に、新日本製鉄、住友商事、神戸製鋼所、日新製鋼、商船三井など有力企業が名を連ねている。経営基盤は万全である。
シンフォニアテクノロジーは旧神鋼電機である。前の佐伯弘文社長時代は『この銘柄は買ってはいけない』と主張してきた。まあ、たいした理由ではないが、筆者はどんなに小さな神社仏閣でもとりあえず、手を合わせる古いタイプの人間である。
しかし、この社長は就任早々、伊勢工場の正門前にあった『神鋼神社』を『こんなものに頼っているからダメなんだ』とぶっ壊し、駐車場にした。再建屋としての力量は認めるが、筆者にはこれがどうしても理解できなかった。そんな単純なことだが、イヤなものはイヤである。
しかし、就任2年目の武藤昌三社長(佐伯氏は今回の株主総会で完全に引退)は話の分かる人である。先のスマートグリッド展(東京・ビッグサイト)ではもっとも人気を集めていた。すでに、引き合い殺到の状態という。
2012年3月期は24%経常増益予想だが、4~6月期の実績はほぼ計画通りといわれる。小型水力、太陽光、風力だけではなく、波力、地熱発電に対応できる同社のシステムは電力危機のいまこそ、注目を集めるべきだと考える。
2011.6.23 外部環境の小さな動きに一喜一憂するな!
22日のNY市場はFOMC(公開市場委員会)、およびFOMC後のバーナンキFRB議長の会見に『新鮮味がなかった』として反落したが、外部環境の小さな動きに一喜一憂することはない、と思う。
この相場の基本は逆張りであり、“悪目”をていねいに拾う作戦が有効と判断する。確かに、ギリシャの財政リスク、新興国の金融引き締め、政治の迷走、外国人の動向…など気掛かり材料は山積みしている。
しかし、政策対応が一段と悪い方向に進むはずがない。ギリシャの切り捨て⇒欧州の金融危機、新興国の金融引き締め⇒オーバーキル(景気失速)の“愚”は避けようとするだろう。
それに、外部環境は不透明だが、国内的には企業活動がすこぶる活発である。鉱工業生産指数は3月にマイナス15.5%と過去最大の落ち込みを記録したが、4月はプラス1.0%と底割れを回避、予測指数では5月がプラス8.0%、6月がプラス7.7%と急浮上に転じる。6月の数値は東日本大震災前の2月水準に戻る。まさに、V字型の回復といえる。
つれて、企業業績は4~6月期を底に、急回復が見込まれている。ちなみに、ROE(自己資本利益率)は2011年度が5.9%、2012年度が8.8%、2013年度が9.6%と劇的に改善される見通しにある。これが将来にわたって株価を下支えるだろう。
生産面の回復が著しいのは3~5月に“悪役”を演じた自動車産業である。日産自動車(7201)はいち早く通常生産に回帰、9割の稼働率のトヨタ自動車(7203)、ホンダ(7267)は北米工場を含め、9月にはフル操業に戻る。
すでに、いすゞ自動車(7202)、日野自動車(7205)のトラック生産は東日本大震災前の100%操業の水準に回復している。このメリットをいすゞ系のアイメタルテクノロジー(5605)は享受できる。
なにしろ、主力製品はトラック部品、そして建機部品である。2012年3月期は減産の影響を受けるが、2013年3月期は急浮上に転じるだろう。連結1株利益は33~35円となろう。
神戸製鋼所(5406)もそろそろのタイミングだろう。2月16日の243円を高値に急落、3月15日の154円の安値は震災ショックの“異常値”だが、6月9日には162円まで売り込まれた。これはミニ“異常値”である。ここは文句なしに買いではないか。
特殊鋼、建機、アルミ圧延品など鉄鋼以外に得意分野を持ち、電力卸ビジネスも手掛けている。低品位の鉄鉱石、石炭を使って鉄鋼生産が可能な新製鉄法はアメリカ、ベトナム、ロシアなど導入する国が相次いでいる。
曙ブレーキ工業(7238)にはチャート妙味がある。この動きには素直についていくべきであろう。買いゾーンは410円がらみだろう。業績は2012年3月期の下半期以降、急回復に向かう見通し(6月14日に、会社側が2012年3月期の連結経常利益は55億円、配当は年10円を継続する、と発表)にある。
一方、外国人の姿勢は低調である。しかし、過去20年間に4分の1になったマーケット(この間、欧米は3~4倍、新興国は5~6倍以上になっている)を改めて売ることはないだろう。それに、今回の大震災⇒サプライチェーンの復旧において遺憾なく発揮された日本企業の強さには彼らも高い評価を与えている。
さらに、SWF(政府系ファンド)の買い意欲は旺盛であり、主軸企業の大株主に軒並み登場している。現状の株安の放置は彼らにM&Aのきっかけをプレゼントする結果となろう。
2011.6.22 逆行高を演じている銘柄はあるぞッ!
今週も引き続いて下値模索の展開だろう。しかし、ズルズルと下げる相場ではない。それに、日阪製作所(6247)、旭ダイヤモンド工業(6140)、タカトリ(6338)、日本鋳造(5609)など逆行高を演じている銘柄が多くみられる。
いずれも先物、外国人の影響を受けにくい銘柄である。個人投資家は賢い。こうした銘柄をしっかり買っている。これは個別物色人気の旺盛さを示している。確かに、全般相場はもみ合い(基本的にボックスゾーンの動き)だが、個別銘柄の値動きを見ると、この相場はそんなに弱くない、と思う。
日阪製作所の熱交換器は原発の非常用システムのほか、LNG関連向けなどに需要が急増している。野村證券では投資判断を『強気』とし、目標株価を『1,300円』に設定している。
旭ダイヤモンド工業はLED加工用の電着ダイヤモンドワイヤの増産を開始、2011年3月期の同部門の年商は90億円だったが、2012年3月期は140億円がらみとなろう。将来的には生産能力を2010年度比3倍とする。もちろん、業績は絶好調である。連結1株利益は2010年3月期が16円にすぎなかったが、2011年3月期が115円、2012年3月期(予想)が129円、2013年3月期が150円と急浮上に転じる。
タカトリの主力商品の切断加工機には旭ダイヤモンド工業の製品が組み込まれている。いわば、同社は“表裏一体”の関係にある。やはり、業績はV字型の回復が見込まれている。2012年9月期の連結1株利益は117円前後となろう。
一方、マーケットは①アメリカ景気の減速②ギリシャ問題⇒ユーロ不安③新興国のインフレ懸念⇒金融引き締めの強化④政治の迷走⑤外国人の動向…などを気にしている。これがマーケットに漂うモヤモヤ感の主因だろう。
しかし、アメリカ景気の減速はリセッション(景気後退)ではなく、ソフトパッチ(踊り場⇒一時的な軟調場面)だろう。ギリシャ問題は時間がかかりそうだが、最終的にドイツ、フランスなどが救済するしか“道”は残されていない。仮に、ギリシャを切り捨てた場合、欧州の主力銀行21行の経営危機に発展する可能性がある。
なにしろ、21行のギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリア(いわゆる、PIIGS)向け融資、および同国の国債の保有は自己資本の42%に達する。ギリシャ問題はギリシャだけにとどまらない。デフォルト(債務不履行)の波は“ドミノ倒し”のように、他の財務リスクを有する国に波及するだろう。この衝撃は確実にリーマン・ショックを上回る。
だからこそ、救うしか選択肢はない、と主張している。恐らく、そうなるだろう。新興国のインフレ懸念についてはQE2(金融緩和第2弾)が終了し、コモディティ(商品)市況がピークアウトしつつあり、徐々に収束に向かうのではないか。
政治については期待しないほうが良い。期待すると、失望が大きすぎ、精神面に悪い。幸いなことに、企業活動は国を頼らず、活発である。これが政治の迷走を多少なりとカバーしてくれるだろう。
2011.6.16 V字型の回復に向かう自動車関連業界!
NY市場の高値波乱を気にする向きがある。日本の株式市場は外国人主導のマーケットだけに、NY市場の動向に影響を受けやすいのは確かであろう。しかし、2009年3月以降の調整局面(7回⇒NYダウの平均下落率7.4%)に比べると、今回の下げは7.1%にとどまっている。
そう、調整の程度は軽微である。昨年4~7月のギリシャ・ショックの時は下落率が13.6%に達した。今回はギリシャのCDS(クレジット・ディフォルト・スワップ)が1,600ポイントと、“危険水域”に突入しているのに、株価は意外に堅調である。
一方、日本の株式市場は相変わらず、気迷い感の強い相場展開が続いている。政治の迷走が影響しているのだろう。しかし、これは想定内の動きである。かねて、4~8月は基本的に、ボックスゾーン(往来)相場と主張してきたではないか。
日経平均株価は8,800~9,860円のレンジでの値動きだろう。もちろん、株価は常に上下に行きすぎるもの。しかし、基本スタンスはしっかり守ってほしい。すなわち、ボックスゾーンの下限に接近した場面は断固カイ!上限近辺はすかさずウリ!の戦術である。
これがリスク・マネージメントである。要するに、相場の位置、水準によって現金比率(キャッシュ・ポジション)を調整する。6月については下値のメドを9,410円がらみの水準と考えているが、NY市場の動向次第では9,000円前後までの押し目があるだろう。外国人は2010年11月第1週以降、約4.91兆円買い越している。そのコストは9,960円前後と推計されている。また、3月第3週以降の買い越しは約2兆円である。このコストは9,400円がらみといわれている。
改めて述べるまでもなく、外国人の委託売買代金シェアは現物が6割、先物が8割となっている。彼らが買えば上昇、売れば下落する、という分かりやすいマーケットである。6月相場では外国人のコストをベースに9,400~9,960円のゾーンが“天底”の目安になろう。
一方、国内勢の存在感はきわめて乏しい。2010年の実績ベースの委託売買代金シェアは生・損保が0.5%、銀行が0.2%、信託銀行が6.6%、投信が2.7%、事業法人が1.3%にすぎない。バブルの時代は60~70%のシェアがあったのに。
それに、自主株買いを除くと、ほとんどが“売り手”である。年金基金も海外シフトを強めている。日経平均株価の3月月中平均は9,852円だが、この水準が3月期末に、“値洗い”を行った新しいコスト(簿価)との見方が可能である。
国内勢はバーゼルⅢの自己資本比率規制(銀行)、ソルベンシー・マージン比率の強化(生・損保)、IFRS(国際会計基準)の導入(法人)などを控え、リスク資産(株式)の圧縮を進めている。すなわち、9,852円以上の水準は思い切って売れる、ということ。もちろん、新たな買い材料の出現、相場に勢いがあればこの売り物が格好のタネ玉になるのだろうが…。
個人は2010年実質で23.3%の委託売買代金シェアを有している。しかし、個人は短期・順張りを投資の基本としており、ここではカラ売りを売買のメーンにしている。なにしろ、東証のカラ売り比率はこのところ連日、30%を超えている。
なお、東証カラ売り比率は逆張り指標として有効である。これが30%を超えると、経験則的に底入れのタイミングと一致している。さて、今回はどうなるだろうか。
物色面では自動車生産(国内12社ベース)の回復メリット(4~9月期は50%操業の計画だったが、6月には80%の稼働率に)を享受できる曙ブレーキ工業(7238)、ユニプレス(5949)、カルソニックカンセイ(7248)、日本精工(6471)、鬼怒川ゴム工業(5196)などにマトを絞っておきたい、と思う。2012年3月期の上半期は厳しいが、下半期にはV字型の回復が見込まれている。
2011.6.15 アメリカ景気の減速は一過性の要因!
アメリカ景気が急減速を示している。5月のISM(供給管理協会)製造業景況指数は53.5(4月は60.4、ピークは2月の61.4)と、急低下した。6月にはQE2(金融緩和第2弾)が終了する。このため、『アメリカ景気の拡大局面は終わった』との見方が広がっている。
しかし、5月の景気落ち込みの背景には一過性の要因が数多く含まれている。すなわち、①東日本大震災の影響②竜巻の被害⇒天候不順③ガソリン価格の高騰…などである。
5月のアメリカの自動車販売は前月比マイナス8.3%と落ち込んだが、これは主にサプライチェーン(供給連鎖)の寸断を受け、日系メーカーの不振に直撃されたもの。
ちなみに、トヨタ自動車はマイナス33.4%、ホンダはマイナス22.5%、日産自動車はマイナス9.1%だった。しかし、6月には日系メーカー(12社)の生産(国内)は通常の8割まで戻っている。特に、日産自動車はほぼ100%、トヨタ自動車は9割の稼働率に回復している。日野自動車、いすゞ自動車のトラック生産はほぼ正常化した。これが日本企業の強さであろう。
ガソリン価格の高騰は低所得者にダメージを与えた。宝飾品のティファニー、高級バッグのコーチが四半期ベースで3割増益を続けているのに対し、安売りチェーンのウォルマートは8・四半期連続の減収となっている。
しかし、ガソリン価格はピークアウトした、と思われる。こうした状況を考えると、アメリカ景気はリセッション(後退)ではなく、ソフトパッチ(踊り場⇒一時的な軟調場面)とみることができる。
それに、QE2が終了しても直ちに利上げに踏み切るわけではない。OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ⇒政策金利の12ヵ月先の予想値)では利上げの時期は2012年7~12月とみている。
恐らく、アメリカ景気は7~8月にはソフトパッチを脱し、浮上に転じるだろう。この局面ではドル高・円安の展開になろう。ECB(欧州中央銀行)は7月に、2回目の利上げ(1.25%⇒1.50%)に踏み切る。これはユーロ高の要因になる。
いずれにせよ、筆者が再三指摘しているように、ボックスゾーンの下限に接近した状況下において、いたずらに弱気になる必要を認めない。ここは押し目買いのチャンスである。
カルソニックカンセイ(7248)は日産自動車系のラジエーター、エアコン、計器メーカーである。日産自動車が発行株式数の40.7%を保有している。日産自動車の稼働率は6月中にほぼ100%に戻る。このメリットをフルに享受できる。
連結1株利益は2011年3月期が58円だったが、2012年3月期は60円超となろう。大手証券のレーティングは軒並み『強気』である。モルガン・スタンレーMUFGでは目標株価を『700円』に設定している。
歴史的な安値ゾーンに位置している三菱UFJFG(8306)、パナソニック(6752)、日本郵船(9191)は目先の動きにとらわれず、じっくりと拾っておきたいと思う。数ヵ月後には大輪の花が咲くだろう。
2011.6.10 政治家の怠慢は万死に値する!
日本、およびドイツは世界有数の輸出国といわれている。ドイツの輸出比率(輸出金額÷GDP)は47.5%に達している。ちなみに、日本の輸出比率は17.4%である。これでは通商国家、貿易立国とはいえないのではないか。
資源・エネルギーが乏しく、狭い国土に多くの人々が寄せ合って暮らす、似たような両国(ともに敗戦国)なのに、この違いはどうして生じたのだろうか。その差は大きすぎる。
その理由としては、ドイツにはEU(欧州連合)、およびユーロがあり、通貨の不安なしに域内貿易が行えたことだろう。一種の自由貿易協定である。法人税率も大幅に引き下げた。ユーロ加盟国の平均法人税率は23.0%である。
しかし、そのドイツに衰退の影が忍び寄っている。第1の理由はエネルギー政策である。2022年までに原発を全廃(12基のうち、8基はすでに休止)、自然エネルギーのウエイトを17%⇒35%に高める方針だが、電力供給は不安定となり、電力コストは確実に上昇する。
不足する電力は隣国フランスから購入する、としている。しかし、これは“脱原発”の方針と矛盾している。なにしろ、フランスの電力は8割強が原発である。
電力の供給(特に、大口向け)は鉱工業生産と密接にかかわり合っており、つれてGDPに影響を与える。電力不足は確実に成長率を引き下げる。
さらに、ドイツにはギリシャ、アイルランド、ポルトガルの“救済”というトラブルの火種が存在する。この問題はイソップ物語の『アリとキリギリス』のようにはいかない。キリギリスに対し、『お前に与える食糧はない』と追い払うわけにはいかないのが頭痛のタネである。
ドイツはこれらの国々に対し、巨額の売掛債権、融資のほか、これらの国々発行の国債を保有している。巣の中に大量の食糧が蓄えられているわけではない。アリと違って、食糧はギリシャ、アイルランド、ポルトガルに置いてある。
ユーロは最終的に、ロバート・マンデル博士の『最適通貨圏の理論』に従えば、単一通貨としての条件を満たしておらず、行き詰るだろう。いずれ、ユーロ加盟国(現在17カ国)は南北(強い国と弱い国)に分裂すると思う。
中期的に、ドイツはユーロ安のメリットを享受できない。賃金の高さも製造業にとって、大きなネックになるだろう。1時間当たりの賃金は36ドル14セントとなっており、日本のそれ(24ドル95セント)を大幅に上回っている。
かつて、日本の賃金は世界一だった。それがいつの間にやら賃金も“三流国”になってしまった。宮城県の賃金(19ドル79セント)はスペイン(20ドル46セント)よりも安い。情けない話じゃないか。
この背景には『失われた20年』と形容される日本経済の長期低迷(デフレ、円高を放置)、産業の空洞化、低賃金のアジア勢との戦い、苛酷な法人税率(40.7%⇒世界平均は25.9%)などがあった。自由貿易協定の交渉遅れも主要因のひとつであろう。
まあ、すべての基本は政治にある。その政治が迷走を続けている。平成に入って16人の首相が誕生、近い将来には間違いなく17人目が登場しそうである。この局面において、やるべきことは分かっているではないか。分かっていなければ無能だし、わかっていてやらないのであれば政治家の怠慢は万死に値する。
アイティファー(4743)は独立系のソフト開発会社である。クラウドシステムに注力している。2012年3月期の連結1株利益は27円の予想であり、年10円配当を継続する。時価の270円がらみはPER10倍、PBR0.9倍と出遅れが著しい。配当利回りは3.7%となる。
2011.6.9 被災地の失意と絶望を“夢と希望”に変えるには…
想定の範囲内とはいえ、株式市場は気迷いムードを一段と強めている。ボラティリティ(株価変動率)は極端に低い。こんな値動きでは“利”を得るのはなかなか難しい。反発のきっかけは何になるのか。マーケットはその“答え”を必死に探している。
外部環境では不安定なNY市場の動向、世界景気の伸び悩み、新興国の相次ぐ金融引き締め…などを気にしている。国内的には政治の迷走が最大の悪材料だろう。
NYダウは昨年7月2日の9,614ドルを安値に、今年4月29日には1万2,832ドル(ともにザラバベース)の高値まで35.5%の急騰劇を演じた。これはQE2(金融緩和第2弾)の実施を好感したもの。それが6月末に終了する。
超金融緩和は継続されるものの、ひとつの時代(サブプライムローン・ショック、リーマン・ショックに対応した各国の金融政策)が終わるのは確かだろう。これは世界的な流れ(トレンドの変化)である。
未曾有の“国難”というのに、政治はまったく機能していない。菅政権はもはや、完全にレームダック(死に体)の状態に陥っている。このままでは第2次補正予算の編成どころか、赤字国債の発行を可能にする特例公債法案の成立すら不可能だろう。
2011年度予算92.4兆円のうち、41兆円は赤字国債の発行によってまかなう予定になっている。特例公債法案が成立しなければ8月には一部の予算執行が不可能になり、景気に悪影響を与える。
こんなことでは秋口にかけての景気のV字型回復期待は吹っ飛んでしまう。1995年1月17日の阪神淡路大震災のケースでは円安(4月19日の1ドル=79円75銭が11月には104円台に)加え、当時の村山政権による猛烈な財政出動があった。なにしろ、10ヵ月間に、被害総額10兆円に匹敵する9.1兆円の補正予算(1~3回)のほか、2回の円高・景気対策21兆円(合計30兆円)の資金が投じられている。
被災地の人達の失意と絶望を“夢と希望”に変えるのはドラスチック、かつ大胆な復興計画の断行しかない。思い切った資金の投入である。それが第1次補正予算4兆円のあとは“沈黙”に近い。これでは困るじゃないか。
やはり、大連立が必要だろう。民主党は現状の党内の抗争劇を繰り広げているときではない。与野党は歩み寄るべきであり、大連立ができないようではこの国の政治は終わる。
一方、企業は強い。国を頼らず、自ら生きる姿勢を鮮明に打ち出している。サプライチェーン(供給連鎖)の断絶は急速に修復され、電力危機対応(自家発電に加え、週末操業など)も進展している。この結果、被災企業を含め、生産活動は急ピッチで回復している。日産自動車(7201)の稼働率はほぼ通常レベルに戻る。部品在庫を持っていた強みだろう。トヨタ自動車(72039の稼働率は秋ごろに予定していた9割の水準まで6月中に戻るという。
業界全体(12社)では上半期(4~9月)は5割の稼働率にとどまる、とみられていたが、6月にはピーク時の“8割操業”に回復する見通しである。
多くの関連企業(自動車部品、タイヤ、ベアリング、電装品、電線、カーナビ、プラスチックなど)は5割の稼働率を前提に、2012年3月期上半期の生産計画を立てていただけに、にわかに増産対応に追われている。
収益面ではセットメーカー、自動車部品メーカーはもとより、関連企業は4~6月期が底となり、急浮上に転じるだろう。日本精工(6471)は自動車ベアリング、アルパイン(6816)はカーナビ製品、住友電気工業(5802)はワイヤーハーネスの大増産に踏み切る方針という。
2011.6.8 マーケットにほんろうされる東京電力!
東京電力(9501)の株価が6日、瞬間ストップ(80円)安の206円まで売り込まれた。法的整理が必要との一部報道(東証社長のコメント⇒この役職の人がこんなコメントを出すのは問題)を嫌気したものだが、“天下の東電”(昔の話)がマーケット(いや、政治)にほんろうされ、みじめな姿をさらしている。
筆者は3月11日以降、東京電力はもとより、他の電力会社も原発を保有している以上(沖縄電力を除く)、投資対象にはなり得ない、と主張してきた。国策だったはずの原発推進なのに、事故が発生したとたん、すべての責任(無限)を事業者(東京電力)に押しつけるやり方はフェアとはいえない。賠償金についてはもっと国が関与すべきだろう。原発事故には天災、戦争などに関し、免責条項がある。
もちろん、東京電力の対応は『まずい』の一言に尽きる。初期対応ミスが被害を拡大させた面はある。しかし、福島原発は設計ミスに加え、政府(保安院)の初期対応は東京電力以上にお粗末すぎる。
いずれにせよ、東京電力は『投資不適格』であり、原発事故の被災者の皆さんのことを考えると、マネーゲームとしても参加すべきではない。ちょっと遅すぎる気はするが、暗い気分を引きずるより、株主を辞めるのが得策だろう。
一方、NY市場の急騰劇は再三指摘しているように、QE2(金融緩和第2弾)を示唆するバーナンキFRB議長の発言をきっかけにスタート(安値は昨年7月2日の9,614ドル⇒ザラバベース)、QE2の終了をほのめかすコメントによってピークアウト(今年4月29日の高値1万2,832ドル⇒上昇率33.5%)という、分かりやすいパターンを描いている。
当面、NY市場は景気指標の悪化があり、高値波乱の展開となろう。ギリシャ問題などユーロ不安も存在する。もちろん、ドイツ、フランスはギリシャ、ポルトガル、アイルランドを救済するしか選択肢はない(事実、そうなっている)、と考えているが…。
アメリカは2012年に大統領選挙を控えている。再選を目指すオバマ大統領としては失業率の改善など何とかしたいところだろうが、連邦政府の総債務残高の法定上限を2兆4,060億ドル(約196兆円)引き上げ、16兆7,000億ドルとする法案が成立しておらず、このままでは8月2日前後(すでに、現行の上限には5月16日に到達)には資金が底をつきそうである。
為替については中・長期的には円安と見ている。ただ、短期的には国際投資マネーの円買いに対し、“ミセス・ワタナベ”(FX利用の個人の総称)のポジションが円売り(コストは1ドル82円40銭程度)になっており、このロス・カット、投げの場面がありそう。3月11日の東日本大震災直後の76円25銭を示現した局面のような“総投げ”に続く2回目の敗走である。個人FXは8月にレバレッジが25倍(現在、50倍)に引き下げられるし、徐々に投資意欲が減退するのではないか。
国内の株式市場は気迷い感を一段と強めている。やはり、政治の迷走が気掛かりである。早急に、与野党が歩み寄り大連立を組み、復興支援に全力で取り組むべきだろう。
しかし、企業は強い。国を頼らず、自ら生きる姿勢を鮮明にしている。このままでは海外脱出が加速するだろう。つれて、産業は空洞化する。しかし、イノテック(9880)、国際計測器(7722)、IDEC(6652)、日本精工(6471)、アルパイン(6816)など株価的に元気な企業は存在する。
2011.6.2 NY市場の動きに日本株が同調することはない!
相変わらず、モヤモヤとした相場展開が続いている。NY市場の動きは不安定である。ただ、大きく下げるということはない。しかし、日経平均株価の上値は限定される。要するに、基本的にボックスゾーンの動きである。
日経平均株価は当面(6月)、9,410~9,860円ゾーンでの“往来”と考えている。従って、できるだけ安いところ(ボックスゾーンの下限の9,410~9,500円がらみの水準)を買うか、こまめにテーマ銘柄を追いかけるしか勝ち抜くのは難しい。5月31日に日経平均株価は188円高と急伸、『流れは変わった』(市場筋)といわれたものの、これは外国人の先物の買い戻しが主因である。
流れはまったく変わっていない。なにしろ、日本の株式市場は『極端な』と形容されるほどの外国人主導のマーケットである。実に、委託売買代金シェアは先物が8割、現物は7割を占めている。
その外国人は2010年第1週以来、29週連続(5月第3週現在)で買い越している(先物を含めると、この2週間は売り越し)。買い越し金額は4兆8,400億円に達する。その平均コストは9,960円前後と推計されている。
3月第3週(3月11日の翌週)以降では約2兆円買い越しているが、その平均コストは9,400円がらみといわれている。この水準は下値の抵抗ゾーンになる。
外国人の猛烈な買いに対し、国内勢は売りを続けている。銀行はバーゼルⅢの自己資本比率規制、生・損保はソルベンシー・マージン比率の強化、法人はIFRS(国際会計基準)の導入があって、リスク資産の圧縮を進めている。
国内勢は3月期末に“値洗い”を行っているが、新しい簿価は3月の月中平均(9,852円)とみることができる。このため、9,852円を超えると、売り物が出やすい。それに、年金などは運用の軸を新興国株式に移している。
日本の株式水準は20年前に比べ4分の1レベルだが、この間に欧米は3~4倍、新興国は5~6倍になっている。まあ、『海外に出ねば…』と年金の運用者が考えるのは当然だろう。
しかし、これがうまくいくか、そうでないか、この答えは別である。なにしろ、年金の運用者はそのパフォーマンスが示すように、“ド素人集団”である。今頃、海外に出て行くなんて、遅すぎるのではないか。
むしろ、筆者は歴史的な安値ゾーンの日本株により大きな魅力を感じるのだが…。いずれにせよ、当面はボックスゾーンの動きが継続する、との認識が必要であり、それに基づいた投資作戦、戦術の策定が求められる。
NY市場については、再三指摘しているように、『QE2のスタートで始まり、QE2の終了でとりあえず、上昇相場が終わる』だろう、と指摘してきた。ここでの高値波乱は当然のこと。ひとつも上がっていない日本株が下がるときだけ同調してどうするのか。
もうひとつの難問は政治である。これは正直、救いようがない。もっとも、頼ってもムダなところを頼っても悲しみが残るだけ。まあ、投資家は自ら生きる姿勢が求められる。原点の人と人とのきずなを大切に、力強く生きていこうではないか。
東鉄工業(1835)、川崎重工業(7012)などは復興関連の本命的な存在となろう。東北地方の復興にはローカル線の再建が不可欠である。
2011.6.1 自動車生産が通常の8割まで戻る!
自動車業界は東日本大震災の影響(サプライチェーンの断絶)を受け、“3月11日”以降、大幅減産を余儀なくされてきたが、ルネサスエレクトロニクス(6723)の那珂工場(自動車に不可欠のマイコンの世界シェアトップを誇る)の生産開始とともに、急速に稼働率が上昇している。
日産自動車(7201)の稼働率は6月に、ほぼ前年並みの水準に戻る見通しである。トヨタ自動車の稼働率は9割の水準まで戻る。12社合計では8割の稼働率に回復するという。
3月の鉱工業生産指数は前月比15.5%のマイナスと激しい落ち込みを見せたが、その“悪役”は輸送用機械(自動車)である。その自動車業界が急回復に転じる。
なにしろ、自動車業界は日本の産業の中では重要な位置を占めており、関連産業を含めた雇用者数は日本全体の10%前後ある。さらに、生産波及効果(1単位生産が増えた場合の他産業への効果)が2.95とずば抜けて大きい。4月の鉱工業生産指数はプラスに転じたが、5月、6月とV字型の回復を示すだろう。
自動車、および関連企業の多くが2012年3月期の業績見通しを開示しなかった。予想数字を出した企業も4~9月(上期)の稼働率を50%程度とみていた。したがって、今後はどのくらいの増額修正になるのか、がマーケットの関心事となろう。
稼働率上昇のメリットは完成車メーカー、自動車部品、ゴム製品、素材・部材、電装品、カーナビ、生産設備(工作機械、ロボット)など幅広い分野に及ぶだろう。株価的にも見直しが必至と思われる。
そもそも、今回の減産はリーマン・ショック時の需要減少によるものではなく、サプライチェーンの断絶に伴う部品・部材の供給不足が主因である。むしろ、需要は旺盛である。アメリカでは日系自動車の人気が高まっているという。人間はたくさんあると、『いつでも買える』と考えるが、なくなると、『どうしても欲しい』となってしまう。
狙い目は稼働率の改善が著しい日産自動車、ワイヤーハーネスの世界トップ企業の住友電気工業(5802)などにあろう。日産自動車はカルロス・ゴーン社長の明確な経営戦略を評価できる。
アルパイン(6816)、愛知製鋼(5482)なども狙える。愛知製鋼はトヨタ系ということに加え、拠点が社名の通り『愛知』であり、浜岡原発停止⇒中部電力の電力危機も嫌気され外国人がロング&ショート戦略のショート(売り)の対象にされてきた。この巻き戻しが起きるだろう。
一方、震災復興関連については小回り3ヵ月の経験則に従って、日本鋳造(5609)、三晃金属工業(1972)などの出直しを追いかけたいと思う。日本鋳造は放射能汚染物質を収納する容器、三晃金属工業は太陽光発電パネルと組み合わせた屋根材が材料である。
2011.5.26 いずれ各戸に一式、防護服を!の時代が到来?
懸念材料が続出、株式市場は見送りムードを一段と強めている。意外に底固い、との声もあるが、市場エネルギーは盛り上がりに欠ける。しかし、これは予想されたことである。当面(5~8月)の相場は基本的に、ボックスゾーンの動き、と主張してきたではないか。
日経平均株価は8,800~9,860円のレンジでのもみ合い、と考えている。ただし、8,800円までの下落は4月19日の安値9,405円を割込んだ場合のシナリオであり、ここが2番底(1番底は3月15日の8,227円)になるだろう。
もちろん、相場は常に上下に行き過ぎる。5月2日の10,017円が好例である。だが、これは国内勢が休み(売りが細る)だったところに、外国人の買いが入ったこと、カラ売りの買い戻し(4月12日には売買代金に占めるカラ売り比率が30%超に)に支えられたもの。いわゆる、イレギュラーである。
現状の相場(東証1部の売買代金が1.2兆円そこそこ)では10,000円の大台を抜けて一段高に進むだけの推進力(市場エネルギー)が不足している。商いが膨らむこと、これが“上放れ”の条件だろう。
ちなみに、3月の1日平均売買代金は1.95兆円、日経平均株価の月中平均は9,852兆円だった。ボックスゾーンの上限を突破するには2兆円程度の売買代金の継続が不可欠と判断している。
それに、日経平均株価は4月1日の高値9,822円を上回ったが、TOPIX(東証株価指数)は4月1日の高値874ポイントをいまだに奪回していない。5月2日の戻り高値は866ポイントである。
チャートをかじった人は分かっているだろうが、主要指数の一方が高値を更新し、一方が高値に届かない状態をダイバージェンスと呼び、これは弱気サインである。実際、足元の相場はセオリー通りの展開になっている。
外部環境ではギリシャ問題が最大の懸念材料だろう。ECB(欧州中央銀行)は4月7日、利上げ(政策金利を1.00%⇒1.25%に)踏み切ったが、これが間違いだったのではないか。ただ、ギリシャ国債のディフォルト(債務不履行⇒債務リストラを含む)はないだろう。それをやったらユーロ不安の波はアイルランド、ポルトガル、スペインと“ドミノ倒し”のように拡大、収拾がつかなくなるだろう。
国内的には政治の迷走が気掛かりである。早急に、第2次補正予算の編成を行うべきであろう。しかし、政府・与党の対応は『秋口には…』とノンビリしている。これでは困る。恐らく、景気・企業業績のV字型回復期待は裏切られるだろう。7~8月に、株価の下ブレリスクが存在する、と指摘しているが、この背景には政治の迷走、QE2(金融緩和第2弾)の終了、ユーロ不安の再燃などが予想されることがある。
もちろん、これまた繰り返しになるが、秋口には日柄調整が完了し、サプライチェーン(供給連鎖)の断絶が修復されるとともに、第2次補正予算の編成があって、緩やかな上昇トレンドに転換する、と予測している。従って、2番底形成局面は『買い』であり、極端な弱気に走る必要はない、と判断する。
足元の相場では“小物”にマトを絞って小すくい作戦に徹するのが有効だろう。具体的には抜群に強いうえ、テーマ性を内包、好業績のソデック(6143)、IDEC(6652)、PERが8~9倍、配当利回りが6%近くの国際計測器(7722)に引き続いて注目できる。
アゼアス(3161)は防護服を手掛けている。2011年4月期は当初計画を上回る見通しだが、その理由について会社側は『防護服の需要が急増したため』と説明している。いずれ、各戸に一式、防護服を!という時代が訪れるのではないか。
2011.5.25 人口激増がもたらす長期的な視点のポイント!
世界の人口が急激に増えている。今年10月末には70億人に達する。1959年には30億人だったが、1999年には60億人になった。40年間で倍増である。国連は2083年に100億人を突破する、というシナリオを描いている。
足元の国際商品相場は既報のように、完全に崩れた格好になっている。当局の規制強化に加え、金融政策の転換が追い打ちをかけたものだが、これはあくまでも短期的な視点である。長期的な視点では様相がかなり違う。
すなわち、人口の激増と経済成長⇒生活レベルの向上はエネルギー、食糧、水などの需要を確実に増加させる。これに対応できるのだろうか。原油の場合、低コストのイージーオイル(ジェームス・ディーン主演の映画『ジャイアント』のクライマックスシーンが好サンプル)は数年のうちに枯渇する。
それに、人口の増加だけではなく、経済成長に伴って国民の所得が増加すれば電気、ガス、ガソリンの消費を拡大させる。食生活も変化する。要するに、肉類の消費量が増える。中国が好例である。たとえば、牛肉の消費量をみると、1996年は3,000万トンちょっとだったが、2008年には5,000万トンに迫り、2020年には6,000万トンを超える(農林水産省)といわれている。
これは筆者が再三指摘していることだが、畜産物を生育するには飼料としての穀物が必要になる。ちなみに、鶏肉1キログラムを生産するにはトウモロコシ換算で4キログラムの穀物が必要という。同様に、豚肉は7キログラム、牛肉は11キログラムの穀物が必要である。仮に、穀物が11トンあったとすると、そのまま食べれば11トンだが、牛肉にして食べようとすると、わずか1トンになる。トウモロコシの場合、エタノール(燃料)に転用される部分もあり、このままでは数年後、間違いなく食糧危機が到来する恐れがあろう。
したがって、長期的には食糧増産、確保が急務となろう。もちろん、穀物価格は上昇する。さらに、新エネルギーの開発を急ぐ必要がある。こうした状況下、福島原発事故(原発見直しムードの台頭)は日本のみならず、世界のエネルギー政策に大きな影響を与えている。
一方、株式市場は気迷い感を一段と強めている。しかし、これは『NY市場の上昇相場はQE2終了とともに終わる?』(5月11日)、『もみ合い相場下の投資戦術とは…』(5月18日)などと、筆者が4月以降、一貫し主張していることであり、別に驚くには当たらない。そう、基本的に、現状は“往来”相場である。
現状は東日本大震災の後遺症に加え、政治の迷走、ギリシャ・ショックの再燃、コモディティバブルの崩壊などが重なって、にわかに弱気論が台頭しているが、ボックスゾーンの動きという“波動”を見失ってはいけないと思う。日本カーボン(5302)には太陽光発電関連(ファインケミカル部門)の材料がある。
2011.5.24 とりあえず、コモディティバブルは崩壊?
コモディティ(商品)バブルは崩壊したか、ないしは猛烈なアンワインド(巻き返し)が起こっているのではないか。今後、テクニカル的には最悪シナリオだが、WTI原油先物は1バレル=83~84ドル、NY金先物は1トロイオンス1,330~1,340ドルがらみの水準まで年末にかけて下落するだろう。
金には商品、および通貨(の代替品)としての性格がある。それだけに、独自の動きを続けてきたのだが、フォーレン・バフェット氏が指摘(『世界中の金を集めても一辺が20メートルの立方体に過ぎない。その時価総額が670兆円と、アメリカの農地総額160兆円の4倍になっているのはおかしい』との発言)しているように、投機が行き過ぎたのは確かである。
もちろん、金には人々をひきつける魔力の“輝き”があり、希少価値という事実は否定できないが…。ただ、銀先物、綿花先物をはじめ、ガソリン、ヒーティングオイル、銅、ニッケル、亜鉛、小麦、トウモロコシ、大豆、コーヒー、砂糖など広範囲の商品が大きく値を消している。やはり、トレンドは確実に変化している、と認識すべきだろう。
今回の商品市況の高騰は金融危機(サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック)に対応した各国(特にアメリカ)の未曾有の“超超”金融緩和(大量の流動性の供給&超低金利)をきっかけに始まった。昨秋のQE2(金融緩和第2弾)発動以降、商品市況は上げ足を速めたが、FRB(連邦準備制度理事会)、オバマ政権は『金融危機克服が最優先課題であり、その副作用(インフレリスク)には目をつぶる』と現状を容認してきた“形跡”がある。
しかし、ガソリン価格の高騰がアメリカの中流以下の市民生活を直撃、オバマ大統領の2012年再選戦略に影響を与え始めたほか、チェニジア、エジプトの民主化デモ(政権打倒)の主役が『飢えた国民』(“パンと自由を!”のスローガン)だったことが示しているように、昨夏~今春にかけてエジプトのパンの値段が2倍になる状況はさすがに、当局としても看過できなくなったものと思われる。
さらに、中国では消費者物価上昇率が5%前後に、アメリカの石油負担率(石油価格×需要÷GDP)が4%を超えるなど、歴史的に中国では社会不安の火種になり、アメリカ景気(世界景気も同様)が制約を受ける水準に達していた。そこでCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)を中心に、短期間に異例の証拠金の引き上げに動いた。投機筋を封じ込める作戦である。
特に、銀は4月25日に、1トロイオンス=49ドル79セントと、いまや伝説となっているハント・ブラザーズの買い占め劇のときの高値(1980年1月の49ドル45セント)を奪回、綿花は何と3月7日に1ポンド=219.7セントと、南北戦争(コットンベルト地帯を戦場に、奴隷解放を訴える北軍と綿花収穫に人手を必要とした南軍⇒奴隷制度堅持の闘い)時の高値(175セント)を上回った。これこそが異常である。経済学的には異常は必ず修正される。
加えて、新興国の急激な金融引き締め、ECB(欧州中央銀行)の利上げ、FRBのQE2終了(6月末)、世界景気の減速懸念などがコモディティ全般にダメージを与えつつある。投機資金の逃げ足は速い。それだけに、調整局面は数ヵ月に渡って継続するだろう。
2011.5.20 関東大震災では帝都復興院が262兆円の予算を要求!
被災地の人達の失意と絶望を夢と希望に変えるのは復興に向けての確かなビジョンである。東日本大震災の被害総額は最終的に40兆~50兆円に膨らむだろう。それなのに、4兆円の補正予算の“次の手”は『6月22日に今国会の会期切れであり、第2次補正予算は秋に』(政府・与党)と、ノンビリしている。この際、夏休み返上で作業を進めるべきではないか。
特に、復興構想会議は迷走している。その冒頭に、増税を打ち出すなど、大局的な視点、国家観が欠如している。まあ、奇怪というか、あきれて言葉もない。もっとも、復興構想会議のメンバー(16人)をみると、迷走するのは当然だろう。
すなわち、そのメンバーは被災地の県知事(岩手、宮城、福島)3人のほか、大学教授が8人(学長を含む)、あと脚本家、住職(この人は立派な方)、編集委員(読売新聞)などとなっており、経済界出身は1人(ソニー副会長の中鉢良治氏)に過ぎない。その中鉢さんは“技術屋”である。
このメンバーでは正直、大所・高所の立場に立って、日本の将来、行く末を議論し、新生日本のグランド・デッサンを描くという期待を持つのは無理な相談だろう。なにしろ、いきなり増税(消費税の引き上げ、復興税の創設)である。
関東大震災(1923年9月1日)は8月26日に加藤友三郎首相が死去、首相不在のときに発生した。加えて、首都機能が喪失した。山本権兵衛内閣が発足したのは9月2日である。そして、後藤新平が内務大臣(警察、治安、衛生、自治などを所管)に就任、帝都復興院総裁を兼務する。
彼が都市計画を任せたのは林業家・造園家、かつ相場師だった本多清六である。何と40億円の予算を要求した。前年の日本の国家予算が14億円の時代である。現在の価額では260兆円に相当(国家予算×2.85倍)する金額になる。
結局、この計画は政友会の反対にあって5億円に減額され、12月18日には帝都復興院は廃止されてしまったが、かろうじて昭和通り、靖国通り(当初は大正通り)は完成した。仮に、このプロジェクトが計画通りに推進されていたならば、東京はどんな都市になっていただろうか。
まあ、震災のあと、『復旧』では困る。神戸港は阪神淡路大震災を乗り越えたように思われているが、特区構想などはすべて否定され、入港船舶数はいまだに震災前に戻っていない。国際ターミナルの役割をプサンに奪われてしまったのである。
さらに、関東大震災は憲政会と政友会の政争もあって、昭和恐慌につながり、大正デモクラシーの終えんとともに、軍部の台頭を許してしまう。阪神淡路大震災は結果的に、1997~1998年の金融危機の引き金になった。大震災は不良債権を発生させる。だからこそ、早急、かつドラスチックな復興案の策定が求められる、と主張している。
強い銘柄を徹底的に攻める、という株式投資のセオリーに従うと、住友電気工業(5802)、NTN(6472)、東芝機械(6104)などをピックアップできる。
このほか、太陽電池、LED生産用の電着ダイヤモンドワイヤ『エコメップ』が急成長を示している旭ダイヤモンド工業(6140)、新エネルギー、節電関連のパナソニック(6752)はロングランに狙える。
パナソニックは1993年3月、2003年4月以来の1,000円割れとなっているが、1993年はその後、3,320円(2000年3月1日)、2003年は同様に2,870円(2006年4月21日)の高値をつけている。天井が低くなっており、今回は1,500~1,800円の目標値になるが、それでも大幅な上値が見込めると思う。
2011.5.19 阪神淡路大震災では被害総額の3倍の資金を投入!
バブル崩壊以降の日本の歴史は経済、社会的に低迷が続き、『失われた20年』といわれている。しかし、浮上のきっかけをなかなか見つけられずにおり、このままではいずれ、『失われた30年』と呼ばれることになろう。
なしにろ、この間のGDPは全く伸びず(横ばい⇒この間に中国は11倍、インドは8倍)、“カニ経済”と呼ばれている。まったく情けない話である。
この要因としては少子・高齢化社会の到来、デフレの進行、金融システム不安、超円高など多くの項目が挙げられているが、政治の迷走の影響も大きいと思う。
1989年のリクルート、消費税選挙以来、衆参のねじれ現象が継続、平成に入って実に、16人の首相(注)が誕生している。結果的に、世界最高水準の法人税率(40.7%、世界平均は25.9%)は放置され、自由貿易協定の締結は遅れた。デフレ阻止、円高対策については『メリットがあるのに、なぜ、やる必要があるのか』と、公言する政治家もいた。結果として企業は黙って、国を捨てた。いわゆる、産業の空洞化である。
注:竹下⇒宇野⇒海部⇒宮沢⇒細川⇒羽田⇒村山⇒橋本⇒小渕⇒森⇒小泉⇒安倍⇒福田⇒麻生⇒鳩山⇒菅の16人。
産業の空洞化は国内の雇用と購買力を奪う。商店街はシャッター通りになってしまうし。いくら子供手当をもらっても子供たちが大きくなったときには仕事がない、という厳しい現実が待っている。
さて、経済と政治は別、という人がいる。しかし、筆者はそう思わない。すべて政治が基本である。政治は経済を超える、という。だが、未曽有の“国難”というのに、政治が全く機能していない。動きが鈍すぎる。
阪神淡路大震災(1995年1月17日)では3日目に震災担当復興大臣を任命、情報の収集・発信を一元化するとともに、責任者の存在を明らかにした。そして、3回にわたる補正予算(2月28日に1兆0,223兆円、5月19日に1兆4,293億円、10月18日に5兆3,252億円⇒計9兆0,736億円)の編成、および4月14日には緊急円高・経済対策(7兆円)、9月20日には経済対策(14兆2,200億円)を打ち出している。
当時の村山政権は『統治能力を失っている』と海外メディアに批判されていたが、やることはちゃんとやっている。大震災の発生後、9ヵ月の間に被害総額(約10兆円)の3倍に相当する30兆2,936億円の資金を投じたのである。
これが景気、企業業績のV字型回復をもたらした。つれて、日経平均株価は7月3日に14,485円の安値を付けたあと、1996年6月26日には22,666円の高値まで上昇した。上昇率は56.5%である。もちろん、円安(1995年4月19日の1ドル=79円75銭が1998年8月11日には147円64銭に)もあったが…。
一方、足元の相場は日柄整理が完了、ボックスゾーンの上限に向け、動きだしそうな気配である。ただ、物色の対象は先物の影響を受けづらい“小物”にマトを絞っておきたい。たとえば、国際計測器、(7722)はどうか。連結1株利益は2011年3月期が72円(実績)、2012年3月期が84円の予想であり、業績は絶好調といえる。今期の配当は年5円増の年40円とする。
時価のPERは8倍前後にすぎない。配当利回りは何と、5.8~5.9%になる。年商100億円強に対し、地震計10億円を受注(予定)するなど、テーマ性も内包している。早い段階に、4ケタに評価される場面があろう。
2011.5.18 もみ合い相場下の投資戦術とは…
当面の相場は再三指摘しているように、基本的に2番底形成の動きであり、ボックスゾーンの展開だろう。5~6月の日経平均株価は9,200~9,860円のゾーンでの“往来”と考えている。
もちろん、相場には行きすぎがある。5月2日のザラバ高値(10,017円)が好例だろう。しかし、売買代金が1兆円ちょっとと細った状況下、一段高を期待するには無理があろう。
ちなみに、日経平均株価の3月の月中平均は9,852円(国内機関投資家が期末に“値洗い”を行った水準)、3月第3週以降の外国人(1兆9,000億円の買い越し)の平均買いコストは約9,400円となっている。この水準を超えると、国内勢、および外国人の先物の売りが出る。
しかし、5~6月の大崩れはなさそうである。NY市場の底固さ、日銀の金融緩和、景気のV字回復期待が日本の株式市場を下支えるだろう。従って、投資戦術としては引き続いて徹底した『悪目買い』が有効と判断する。
一方、これまた繰り返しになるが、7~8月には下ブレのリスクが存在する。このため、5~6月の高いところはできるだけ利食いを優先し、キャッシュポジションを高めておく必要があろう。
なぜ、7~8月には下ブレのリスクが存在するのか。6~7月にはECB(欧州中央銀行)の再利上げ、FRB(連邦準備制度理事会)のQE2(金融緩和第2弾)の終了、日銀の金融政策の平時モード回帰などが予定されている。すでに、ヘッジファンドなどの投機資金は急速にリスク回避の姿勢を強めている。これを映し、商品市況は保証金率の引き上げもあって、大波乱に陥っている。
もちろん、QE2終了⇒即、利上げはあり得ないし、商品市況の波乱は5月がヘッジファンドの中間決算という特殊要因によるもの。まあ、これはいつものことであり、6月には一時的に戻ると思う。
しかし、トレンドは確実に変わりつつある。そもそも、NY市場の急騰劇はQE2をきっかけに始まったが、NYダウの上昇期間は10カ月、上昇率は33.5%(昨年7月2日の9,614ドル⇒今年4月29日の12,832ドル)に達している。ロングランにみると、QE2の終了は大きなトレンドの転換につながるだろう。これがジャッジメンタル・アプローチである。さらに、7~8月には2012年3月期の第1・4半期の決算が控えている。恐らく、厳しい数字が続出、改めて実勢悪が認識されることになろう。
加えて、景気・企業業績のV字型回復の期待が大幅に後退する可能性がある。ともあれ、もみ合い相場ではいかに、安いところが拾えるか、これが投資の成否を決める。値動きにつられ、高いところを飛びついて買うと、苦労をさせられる。だからこそ、『悪目買い』を!と主張している。
IDEC(6652)は制御機器の大手であり、LEDなども手掛けている。いわゆる、節電関連である。株価は850~860円がらみの水準でもみ合っている。エルピーダメモリ(6665)もじっくり拾っておきたい銘柄である。
このほか、国際計測器(7722)、タカラトミー(7867)に注目している。国際計測器の時価水準のPERは8倍に過ぎない。また、2012年3月期の配当は年40円とする。配当利回りは5.9%になる。
2011.5.13 遠くを計るものは富み、近きを計るものは貧す!
改めて述べるまでもないが、最近はネット取引の急拡大があって、“短期順張り”が株式投資の主流となっている。ダブル逆指し値(上がったら買う、下がったら売る注文を同時に出すやり方)などはその典型的な手法のひとつだろう。ロス・カットも速い。要するに、ひたすら目先の動きについていく戦術である。まさに、シープドッグ(鋭角的に回転が可能な牧羊犬)スタイルじゃないか。
相場好きとして知られていた映画監督のヒッチコック氏は『株式市場に吹く風は常に変転極まりなし、よって予測するにあたわず!』という名言を残している。恐らく、映画作りは大成功したものの、相場はうまくいかなかったのに違いない。まあ、ゴチャゴチャ理屈をいっても仕方がない。それよりも、値動きを追っかけようじゃないか(強い銘柄は買う、弱い銘柄は売る)、ということだろうか。
その気持ちは分かる。間違ってはいない。理論家(?)の筆者には耳の痛い話だが…。しかし、相場格言は時には遠くを見よ!と教えているし、遠くを計るものは富み、近くを計るものは貧す!との人生訓もある。
それに、リスクマネージメントを徹底するうえでも長期的な視点は必要である。そこでこの機会に、じっくり考えてもらう材料として、中期的な相場の見通しを述べてみたいと思う。すなわち、筆者の年内の相場の大まかなデッサンである。
5~6月は現状のもみ合いの展開(基本的にボックスゾーンの動き)が継続する、と考えている。日経平均株価は9,200円(下値のメド)~9,860円(上値のメド)の間での推移だろう。もちろん、相場には常に行き過ぎがあり、最大10,300円がらみの水準までの上値を想定している。
しかし、ここ(10,000円前後)はとりあえず、売っておくべきであろう。外国人の3月第3週以降の買い越し(約1兆7,000億円)の平均コストは9,317円であり、10,000円前後の水準では先物の売りが出る。ただ、5~6月の大崩れはないだろう。底固い相場展開を予想している。ただし、利食いを優先し、キャッシュポジション(現金比率)を高めておく必要がある。
一方、7~8月には下ブレのリスクが存在する。ECB(欧州中央銀行)の再利上げ、FRB(連邦準備制度理事会)のQE2(金融緩和第2弾)の終了、日銀の金融政策が平時モードに戻る…などがあって、ヘッジファンドなどの投機資金は急速にリスク回避の姿勢を強めるのではないか。
さらに、東日本大震災に対応した2次補正予算(10兆円規模)が6月22日の国会会期末までに成立せず、復興特需関連セクターが失望売りを浴びる可能性がある。電力不足、福島原発事故に絡むアクシデントも皆無とはいえない。確率的には5%程度だが…。
このほか、4~6月期(第1・4半期)の決算発表が改めて業績面の厳しさを認識させるのではないだろうか。なお、日経平均株価の下値のメドは8,800円がらみの水準に設定している。もちろん、こちらも行き過ぎがある。ただ、3月15日のザラバ安値8,227円を下回ることはないだろう。
2011.5.13 “最弱通貨競争”の“勝者”は誰か
ドルが全面安である。ドルの実効為替レートは2008年3月の過去最安値に接近、予想外の円高(一時、1ドル=79円台に突入)になっている。QE2終了後、FRBはすぐには利上げに踏み切らない、とのマーケットのコンセンサスが金利低下を招いている。
“最弱通貨競争”はいまのところドルがリード!といった状況だが、ドル安は限定的だろう。金利低下の余地は乏しいし、財政問題(連邦債務は5月中旬に14兆3,000億ドルの法定上限に達する)は7月8日の期限までに解決すると思う。OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)金利は4月末に0.209%まで低下した。これは今後12ヵ月間のドル翌日平均金利の予想を反映している。
現在、FFレートの誘導目標は0.00~0.25%であり、マーケットはFFレートが1年間に渡って、ほとんど上昇しない、と判断している。しかし、どう考えてもこれは違うだろう。
FRBはいずれインフレ抑制に向け、カジを切る可能性がある。FOMC(公開市場委員会)メンバーは金融緩和を肯定するハト派が主力だが、徐々に引き締めの必要性を主張するタカ派が増えつつある。
バーナンキFRB議長のコメントも微妙に変化してきた。恐らく、夏場にかけて金利が上昇、ドルは買い戻されるだろう。財政問題は7月8日までに解決する、と考えている。そうなると、ドルは反発、国際商品市況は一段安になろう(ただし、中期的な上昇シナリオは不変)。ガソリン価格の低下は再選を目指すオバマ大統領にとって強力な援軍となる。
そして、夏~秋には“最弱通貨競争”のレース結果が見えてくるだろう。もちろん、“勝者”は円である。まあ、夏の必需品は『うちわ、蚊帳、蚊取り線香、ローソク』などといわれる国の通貨が強くなるはずがない。いよいよ、待望(?)の円の独歩安が見られるのではないか。
足元の相場はいまひとつさえないものの、ホンダ(7267)、アルパイン(6816)、愛知製鋼(5482)、曙ブレーキ工業(7238)などの安いところはていねいに拾っておきたいと思う。ホンダは営業利益の5割を二輪車部門と金融事業が稼ぐ波乱期に強い企業体質である。
個別銘柄では日本M&Aセンター(2127)、三菱商事(8058)、国際石油開発帝石(1605)などが突っ込み買いのチャンスを迎えている。ヘッジファンドの5月中間決算に絡む処分売りは5月16日にピークアウトした、と考えている。
2011.5.11 NY市場の上昇相場はQE2終了とともに終わる?
まさに、理屈抜きの展開である。NY市場は抜群に強い。これが外国人の買いもあって、日本の株式市場の“活況”を支えてきた。NYダウは12800ドル台を超え(4月29日には12832ドルの戻り高値を示現)、約2年11ヵ月ぶりの水準になっている。金融危機は“遠い昔の話”になり、FRB(連邦準備制度理事会)の関心はインフレに移りつつある。
ちなみに、今回の上昇相場は2010年8月27日のジャクソンホールでのバーナンキFRB議長のQE2(金融緩和第2弾⇒6000億ドルの国債購入)を示唆する発言をキッカケに、始まった。その前後の安値(ザラバベース)は7月2日の9614ドルである。すでに、33.5%の急騰劇を演じている。
マーケット関係者は『この強さはアメリカの好景気に支援されたものであり、なお一段高が期待できる』とみている。マイクロソフトのスカイプ・テクノロジーの買収、M&Aの活発化も材料視されている。しかし、本当にカンカンの超強気でいいのだろうか。
前述したように、今回の上昇相場は基本的にQE2の断行を好感し、スタートした。それが6月末に終了する。もちろん、QE2終了⇒即、利上げのスケジュールではないだろう。しかし、国際商品市況はすでに、5月はヘッジファンドの中間決算ということもあって、高値波乱(一部は値崩れ)に陥っている。
アメリカの好景気(雇用の改善、消費ブーム)は株高⇒資産効果によるところが大きいうえ、2010年秋の中間選挙での民主党(オバマ政権)の敗北を受けた高額所得層の所得増税、キャピタルゲイン税、配当所得税、相続税などの課税強化策が見送りになったことが好影響を与えていると思われる。
しかし、これらの施策は新たな減税ではない。要するに、増税を取りやめただけである。これは早晩、息切れするのではないだろうか。そこに、NY市場の高値波乱が重なった場合、アメリカの景気は失速する可能性があろう。5月16日には連邦政府債務が法定上限の14兆3000億ドルに達する。特別措置により、7月8日まで先送りが可能だが、大幅な歳出削減は避けられない。まあ、投資家の皆さんは『そこまで心配することはないじゃないか』といわれるだろうが…。
しかし、筆者はこういったときこそ、高値圏では悪材料を探せ、なかったら売れ、底値圏では好材料を探せ、なかったら買え!という先人の教えを守りたいと考えている。そう、強気の声が充満しているときこそ、細心の注意を要する。
伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、三菱商事(8058)、三井物産(8031)は好業績(2012年3月期も増収増益)に加え、増配方針を明らかにしており、これは高く評価できる。
2011.5.10 相場のリズムを狂わせたGWの投機筋の動き
ゴールデン・ウィーク期間中の相場は買いあおり、売りたたきが見られ、完全にリズムが狂ってしまったが、再三指摘している通り、ここは基本的に2番底(1番底は3月15日のザラバ安値8227円)形成の動きである。7~8月まではこのようなボックスゾーンの展開が続くだろう、と主張している。
ちなみに、日経平均株価の下値のメド(いわゆる2番底)は日経平均株価の1株純資産(約8000円)をベースに、そのPBR1.1倍水準の8800円がらみ、現状での初期反騰局面(3月15日のザラバ安値⇒5月2日のザラバ高値10017円)における上げ幅(1790円)の3分の2押しの水準(8824円)などを考えている。2番底形成の時期は7~8月だろう。
一方、上値のメドとしては200日移動平均線の水準(9820円がらみ)、3月の月中平均(9852円)などが目安になろう。従って、当面は8800~9860円のゾーン(約1000円幅)でのもみ合いが続くのではないか。
もちろん、相場は常に、上下に行き過ぎる。5月2日の動きが典型的である。これは売り手の“休み”を狙って投機筋が先物を中心に買いあおったもの。こんな局面は断固、売りである。
しかし、5~6月の大崩れはなさそうである。2番底が1番底を下回ることはない、と判断している。急落場面では日銀のETF(上場投信)の買いが入る。3月14~15日のように、押し目を買おう、とする人達もいる。
さらに、日銀は2001年3月~2006年3月の量的金融緩和時を上回る猛烈な流動性の供給を続けている。何と、3月の日銀当座預金残高は前年同月比88.7%増だった。いかに東日本大震災に対応したとはいえ、メチャクチャである。
いや、別に日銀の政策を非難しているわけではない。足元の状況を述べているだけである。海外メディアは『日本の輸出商品に“インフレ”がひとつ加わった』と報じている。恐らく、デフレは当局の強い姿勢と海外情勢を受け、間違いなく克服されるだろう。
それに、秋口にはサプライチェーン(供給連鎖)の断絶が回復、10兆円を超える第2次補正予算の編成もあって、状況は一変するだろう。既報のように、先週には福島第1原発に出動していたアメリカ海兵隊のCBIRF(特殊兵器事態対処部隊)が撤収した。最悪の状況は回避された、と判断できる。
このほか、自動車、電機、非鉄、化学、機械など被災工場が相次いで操業を再開している。被災地の厳しい状況は変わらないが、外部環境は徐々に『平時モード』に戻りつつある。
株式市場はボックスゾーンの動きを続けているものの、“非常事態”は急落にピークアウトしてきた。もちろん、日経平均株価が上放れるのは秋口以降になるだろうが…。
外国人はヘッジファンドの中間決算が5月とあって、大きな動きは見られないが、資源・エネルギー、復興関連買いの被災企業群(自動車、電機、機械、化学などのセクター)売りのロング&ショート戦略の巻き戻し(ポジション修正)を行っている。
ルネサスエレクトロニクス(6723)の茨城・那珂工場(自動車に不可欠のマイクロコントローラ・ユニット=マイコンを生産⇒世界シェア5割)の操業再開時期の前倒し(7月メド⇒6月15日に)方針を受け、買戻しを急いでいるのだろう。
では、このセクターはガンガン攻めていけるのだろうか。いや、そうではない。自動車はほぼ国内の全工場が操業を再開したが、操業率は5割にとどまっている。それに、夏場には部品不足を受け、海外工場の減産が計画されている。
やはり、これまで同様、悪目買いに徹するべきであろう。そんな中、コマツ(6301)のエンジンコントロールICは米・モトローラ製を採用、車体制御などの電子部品は5カ月分の在庫を確保している、という。さすがである。
2011.5.10 智者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ!
投資に際し、肝要なのはリスク・マネージメントを徹底することである。それに、大切なのは智者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ!という先人の知恵である。
ちなみに、3月10日(東日本大震災の前日)の日経平均株価は10434円だった。ゴールデン・ウィーク期間中の相場はこの水準を一気にクリアしそうな勢いだったが、現状の乏しい市場エネルギーではこのゾーンを超えて、一段高に進むのは難しいと考えている。市場エネルギーの視点では3月の1日当たりの売買代金(東証1部)1兆9500億円を上回るのが一段高の条件となろう。
2011年3月の鉱工業生産指数は前月比マイナス15.3%と大きな落ち込みを見せた。その低下幅はリーマン・ショック後(2009年2月)のマイナス8.6%を超え、過去最大である。
リーマン・ショックは需要の急激な減少だったが、東日本大震災ではサプライチェーン(供給連鎖)が断絶、電力不足(東京電力管内のGDPは日本全体のGDPの47%を占めているし、浜岡原発が停止すれば中部電力の電力危機が浮上する)と相まって供給面に障害が発生した。この回復(被災企業がフル操業に戻る)には年内一杯かかるのではないだろうか。
それなのに、株価だけが先行するわけにはいかない。ちなみに、阪神淡路大震災は1995年1月17日だったが、直前(1月13日)の日経平均株価は19331円である。この水準を奪回するのに226日を要している。これを今回の東日本大震災に当てはめると、2012年2月9日(226日目)に、10434円を上回るとなるのだが…。
もちろん、9月以降は7~8月に2番底を形成したあと、反発に転じると予想している。11~12月には被災企業、工場がほぼ通常の生産態勢に戻る見通しである。補正予算が成立、復興特需も期待できる。福島原発事故についてはほぼピークを越えた(最悪シナリオを回避)と判断している。為替(円)については年末にかけて1ドル=90円に接近するだろう。
一方、注目銘柄だが、5~6月相場では先物の影響を受けにくいIDEC(6652)、豊田通商(8015)、ネットワンシステムズ(7518)、イノテック(9880)、タカトリ(6338)などに妙味あり、考えている。
ロングラン(7~8月の波乱局面での突っ込み買いが有効)には歴史的な安値ゾーンに接近しているパナソニック(6752)、日本郵船(9101)を狙っている。
このほか、上場企業の3割強が2012年3月期の業績予想を開示できなかった状況下、増益予想(連結1株利益は2011年3月期が337円、2012年3月期が340円)と増配方針(2010年3月期が年40円、2011年3月期が年90円、2012年3月期が年100円)を発表した日東電工(6988)はもっと評価していいのではないか。
2011.4.28 ルネサスの那珂工場の再開は6月15日!
今年は電力不足に直撃され、厳しい夏になりそうである。東京電力の電力供給は最大5500万kWまで引き上げられたが、昨年のピーク需要水準(6000万kW)には届かず、一段の節電強化が必要になろう。
とりあえず、省エネの切り札はLED照明である。ちなみに、最終エネルギー消費の46%は民生用となっている。三菱ケミカルHD(4188)は高輝度LEDを低コストで生産できるGaN(窒化ガリウム)基板製造技術を有する。2015年にはLED関連分野の年商1000億円を目指している。
東洋炭素(5310)はLEDチップの生産に不可欠のMOCVD装置用サセプター(世界シェア50%)を手掛けている。これは消耗品であり、LEDの生産量に比例して需要が拡大する。三菱ケミカルHDもそうだが、太陽光発電がらみの材料がある。
一方、自動車関連セクターが底固い動きを見せている。かねて、ポイントはルネサスエレクトロニクスの茨城県・那珂工場(自動車に不可欠のマイクロコントロール・ユニット=マイコンを生産)の操業再開のタイミングにある、と主張してきた。当初、操業再開の時期は『7月がメド』とされていたが、これは、1ヵ月以上前倒し(6月15日に一部が生産開始)されそうである。
現在、自動車の生産に必要な部品・部材(約2万5000点)のうち、『100ほどが足りない』(業界筋)といわれている。特に、深刻なのがマイコンである。なにしろ、この製品はメーカー、車種ごとの特注品であり、他製品では代用できない。すでに、西条工場、津軽工場、鶴岡工場のほか、台湾ファウンドリーでの代替生産は始まっている。
ルネサスエレクトロニクスはこの分野で世界シェア5割、国内シェア9割強を握っている。その工場が東日本大震災に直撃された。自動車業界がテンヤワンヤの大騒動に陥ったのは当然だろう。
それに、ルネサスエレクトロニクスの株主を見ると、1位がNEC、2位が日立製作所、3位が三菱電機となっている。そう、この会社は3社の産業用の半導体部門を競合した会社なのである。そして、それぞれの旧会社のユーザーを受け継いでいる。
結果として、ほとんどの自動車メーカーがここにお世話になっている、という構図である。このため、操業再開に向け、“親会社”の技術者はもとより、自動車各社が100人単位の作業員(総勢2500人)を送り込み、必死の復旧作業を行っている。これが日本企業の強さであろう。
ここが本格的に操業再開となれば、自動車関連セクターの株価の動き(相場つき)は一変する。ヘッジファンドは買い戻しに走るだろう。すでに、その動きが始まっている。
本命はホンダ(7267)だが、愛知製鋼(5482)、アルパイン(6816)など周辺銘柄の値動きも一変してきた。特殊鋼、カーナビ、ベアリング、タイヤなどの業界がそう。株価には先見性がある。恐らく、自動車関連セクターは2012~2013年のフル操業、業績のV字型回復を先取りしているのではないだろうか。
もちろん、トヨタ自動車の操業率はいまだに5割の水準にとどまっている。今後、業績の下方修正など実勢悪も顕在化するだろう。しかし、恐れることはない。実勢悪が出現し、売り込まれたところ(悪目)こそが絶好の仕掛けチャンスになろう。
2011.4.26 被災地は厳しい状況だが、外部環境は平時モードに戻る!
筆者は投資に際し、肝要なのは最低限の投資哲学・ノウハウを身につけること、と主張している。風幡の説法、経営判断の法理、Ⅹ+α理論、投資の3シリーズ(投資の3K、投資の3性、投資の3流など)がそうだが、何ごとも基本を知る者が勝つのである。
ECB(欧州中央銀行)は4月7日、政策金利を0.25%引き上げ、1.25%とした。トリシェECB総裁は『(インフレを)一層綿密に監視する』とコメントしており、これは1~2ヵ月の利上げを示唆する表現である。恐らく、6~7月には再利上げが行われるだろう。
しかし、これをもって欧米金融当局のすべてが直ちに金融危機対応のスタンスを解除し、インフレ抑制型の金融政策に転換、利上げに踏み切ると考えるのは早計ではないか。
なにしろ、ECBは『物価安定』だけを主任務とする。極端な話、雇用の安定など『知ったことではない』のである。そうでなければスペインの失業者が20%超、ギリシャの失業者が15%強という厳しい雇用情勢下、金融引き締めを断行するはずがない。ちなみに、雇用の問題はEU加盟各国政府の裁量にゆだねられている。
一方、FRB(連邦準備制度理事会)、BOE(イギリス中央銀行)の主任務は『物価安定』のほか、『雇用の安定⇒最大化』にある。現状の雇用情勢では利上げを行う環境にない。こうした“事実”も最低限の投資哲学・ノウハウのひとつである。
各国の金融政策を読むことによって、為替の動向も予測できる。先々週来、当コーナーでは一本調子の円安はあり得ない、と指摘してきた。現状はその通りの展開ではないか。これはアメリカの7月以降(QE2の終了後)のFRBの金融政策を予想することにより可能となる。
すなわち、マーケットの一部にはQE2打ち切り⇒即、利上げとの見方があるようだが、これは現実的ではない。住宅業界は相変わらず、不振を極めている。それに、2012年には大統領選挙を控えている。当局としてはこの時期のオーバー・キル(金融引き締めによる景気失速)は避けたいところだろう。
一方、日銀は東日本大震災に対応、猛烈な流動性の供給を続けている。3月の日銀当座預金残高は前年同月比88.7%増となった。マネタリーベースは2割の伸びを示している。この金融緩和の状況は2001年3月~2006年3月の量的金融緩和時を上回るスケールである。
基本的に、当面の相場は8800~9860円のゾーンでのもみ合い(3月15日のザラバ安値8227円⇒1番底)、2番底形成の途上にある、と指摘している。とはいえ、大崩れは考えにくい。日銀の施策(急落場面ではETFの購入もある)が株価の下支えになろう。
外部環境では福島原発事故の現地に出動していたアメリカ海兵隊のCBIRF(特殊兵器事態対処部隊)が帰国の準備を進めているほか、自衛隊は派遣部隊(10万人)の規模を縮小する。自動車、電機、非鉄などの被災工場が相次いで操業を再開するなど、徐々に平時モードに戻りつつある。残っている休止中の大物工場は三菱ケミカルホールディングス(4188)の鹿島工場だろう。ここも5月中には操業を再開できる見通しである。株価はこれを契機に反発に転じると思う。
2011.4.21 現状は実勢悪を株価に織り込んでいる段階!
ファンダメンタルズは日を追うごとに悪化している。東日本大震災は大地震、大津波による人的・物的損害に加え、福島原発事故(放射能の恐怖、風評被害)、電力不足、サプライチェーン(供給連鎖)の断絶など日本経済に大きなダメージを与えている。恐らく、その被害総額は最終的に、40兆~50兆円に膨らむだろう。
自粛ムードの高まりに伴う消費意欲の減退もある。実際、北日本の観光地はどこもガラガラである。3月の『景気ウォッチャー調査』(内閣府)の“先行き”は前月比マイナス20.6ポイントと、2000年の調査開始以来、最大の落ち込みとなった。景況感、消費マインドが改善するには『1年以上かかるだろう』(大手調査機関)といわれている。
工場・事業所が被災したほか、部品・部材の調達難があって、多くの業界が操業停止、ないしは減産を余儀なくされている。輸出は自動車、電機、食料品を中心に大幅に落ち込むだろう。この結果、2011年度の貿易収支は赤字に転落する見通しである。
2012年3月期は上半期(4~9月)の減産が響き、2ケタ減益が避けられない。一方、株価は筆者が指摘しているように、2番底形成の動きとなっている。日柄をかけて、前述の実勢悪を株価に織り込もう、とするのだろう。
ただ、2番底は1番底(日経平均株価は3月15日にザラバ安値8227円を示現)ほど深くない。これが定説である。8227円はパニック的な投げ売り商状がもたらした異常値である。この局面では参考にする必要はないと思う。もちろん、ファンダメンタルズ・アプローチは無意味である。2011年1~3月期(第4・四半期)は売上高の減少に加え、特別損失の計上があり、10兆~11兆円の赤字(TOPIXベース)になった模様である。
このため、PERは役に立たない。下値のメドを探るにはPBRが有効である。2011年3月期は通期では黒字を確保できただろう。この結果、BPS(1株純資産)は2010年3月期比ではき損していない。現在、TOPIXのBPSは815円、日経平均株価のBPSは8000円強あり、TOPIXはPBR1倍、日経平均株価はPBR1.1倍水準が目先のサポートラインと考えている。
一方、足元の為替は円高傾向になっているが、中・長期的には円安だろう。徐々に日本のファンダメンタルズの悪化を反映する展開になる、と判断している。ちなみに、1995年1月17日の阪神淡路大震災のその後を振り返ってみると、4月19日の1ドル=79円75銭(当時の戦後の最高値)まで猛烈な円高が進行したあと、一転して円安になった。9月19日には104円15銭の年初来の安値をつけている。
その後も円安は止まらず、1998年8月11日には147円64銭の円安水準が出現した。円安局面の1995年夏~1998年夏に、一貫して買われたのは輸出関連企業である。いわゆる、圧倒的な国際競争力を有するハイテク企業、グローバル企業、およびサプライヤー・テクノロジー企業が主役だった。今回もそうなるのではないか。
外国人はロング&ショート戦略のポジション調整(巻き戻し)を行っている。すなわち、ロング(買い)だった資源・エネルギー、復興関連株を売って、ショート(売り)を続けてきた自動車関連株を買い戻している。
ここではホンダ(7267)、アルパイン(6816)、NTN(6472)などは4~6月の株価底入れを先取りし、ていねいにコツコツと買い下がる作戦が有効だろう。
2011.4.21 材料はあとから貨車に乗ってやってくる!もの
古来、材料はあとから貨車に乗ってやってくる!という。株式市場には悪材料が続出し、基本的に見送りムードが充満している。NYダウの急騰を好感して買われても反発力は鈍い。もっとも、現状はもともと2番底形成(日柄調整)の動きであり、方向感の乏しさは予想されていたことではないのか。
マーケットではアメリカ国債の格下げの方向(S&Pが『弱含み』に)、ヨーロッパ各国での反EU政党の躍進、菅政権の増税路線(法人税・消費税の引き上げ)…などを危惧している。
さらに、ECB(欧州中央銀行)の利上げ(4月7日に政策金利を1.00%⇒1.25%に)、PRB(連邦準備制度理事会)のQE2(金融緩和第2弾)の打ち切り(6月末が期限)などを気にする向きがある。
確かに、新興国(ブラジル、インド、中国など)に続く、欧米の金融緩和政策の転換(金融危機対応⇒インフレ抑制にシフト⇒ただし、FRBは当面、利上げをせず)は株式、商品、債券などの値動きに大きな影響を与えるだろう。
しかし、一連の気掛かり材料は“あと講釈”に近く、軟調な地合がいわせている面もある。それに、金融政策の転換はサブプライムローン・ショック、リーマン・ショック(いわゆる、100年に1度と形容された金融危機)がほぼ克服されたことを意味する。
それに、アメリカの財政赤字にマーケットが不信感を抱くこと事態、世の中が落ち着いてきた何よりの証拠だといえる。すなわち、金融危機に際しては①財政赤字を恐れるな②慎重さを捨てよ…がセオリーである。危機的状況下では誰も財政赤字うんぬんを口にしない。欧米の金融当局は日本の『失われた20年』の要因を十分すぎるほど知っている。
だからこそ、2008年9月~2011年3月に、FRBが1兆9000億ドルの信用供与(超金融緩和政策)を行うなど、ドラスチックな施策を断行した。この場面ではそれが転換されようとしている背景を理解して欲しいと思う。
そう、金融危機がほぼ克服され、景気・企業業績はすこぶる好調である。インフレ懸念も高まっている。従って、いつまでも危機(非常時)に対応した施策を続ける必要はない。一方、日本だけは違う。“国難”と呼ぶべき厳しい状況にある。
恐らく、再三指摘しているように、東日本大震災の被害総額は40兆~50兆円に膨らむだろう。政府の迷走も気掛かりである。2011年度のGDP成長率はマイナスに転落、2012年3月期は減益を余儀なくされるだろう。
繰り返しになるが、現状の株式市場はこうした実勢悪の顕在化を株価に織り込みつつある段階と、判断している。ただ、2番底は1番底ほど深くない。テクニカル的には8750~8800円(上げ幅の3分の2押し)がらみの水準に下値のメドを設定できる。
とはいえ、押し目買い方針は堅持するべきだろう。狙い目は自動車、特殊鋼、トラックセクターにある、と思う。いすゞ自動車(7202)、日野自動車(7205)、愛知製鋼(5482)、アイメタルテクノロジー(5605)は妙味十分である。
なお、日経平均株価の短期的な上値の目安は9806円(200日移動平均線)近辺、9852円(3月月中平均)がらみの水準と考えている。当面、筆者想定の下値のメドと上値の目安との間のゾーンでのもみ合いの展開となろう。
日本鋳造(5609)は橋梁部材のほか、放射能に汚染された部品・部材を収納する特殊な容器を生産している。国内では唯一のメーカーであり、会社筋によると、『注文が殺到し、まかないきれない状態』という。
2011.4.20 欧米の金融当局のスタンスはインフレ抑制に転換!
株式市場は気迷い感を一段と強めている。もとより、2番底形成の動きだが、ここにきて①アメリカの国債をスタンダード・アンド・プアーズが『弱含み』(2年以内に格付けを引き下げる可能性が3分の1以上)としたこと、②ヨーロッパでは反EU勢力(政党)が躍進、ユーロ不安の“火種”になりつつあること、③日本においては復興税構想が浮上、景気に悪影響を与える、と見られていること…など、悪材料が続出、マーケットの見送りムードに拍車をかけている。
もちろん、円高の進行、余震の続発も投資家を不安にさせている。当面、モヤモヤとした展開が続くだろう。いわゆる、再三指摘しているように、現状は日柄整理である。
今後のポイント(焦点)は各国の金融政策になろう。ブラジル、インド、中国などの新興国は昨秋以降、金融引き締めの動きを強化している。ECB(欧州中央銀行)は4月7日、先進国の先陣を切って政策金利を引き上げた(1.00%⇒1.25%に)。ユーロ圏内の市場金利は年内にもう2回の利上げを織り込んで取引されている。
次の注目点はアメリカの金融政策だろう。FRB(連邦準備制度理事会)は6月末に期限が到来するQE2(金融緩和第2弾)を延長しない方針である。
注:QEとはQuantitative Easingのこと。
バーナンキFRB議長はQE2は延長しないものの、金融緩和政策を継続する意向を示しているが、他のFOMC(公開市場委員会)のメンバーにはインフレ期待抑制のため、『出口戦略を前倒しせよ』と主張する人達がいる。
7月以降、FRBが金融引き締め政策に転換することはないと思うが、仮に世論に押され信用供与を縮小した場合、アメリカは景気失速、NY市場の急落に見舞われるだろう。
2008年9月末~2011年3月末の信用供与はFRBの1兆9000億ドル拡大に対し、商業銀行(民間金融機関の信用供与の8割強を占める)は9000億ドルの減少である。それほどリーマン・ショックに伴う信用縮小は大きかったということ。それを補ったのはFRBのドラスチックな超金融緩和政策である。
それが消える?大恐慌の研究家のバーナンキFRB議長がそんな“愚行”をするはずがない、というのがマーケットのコンセンサスだが、表面上のアメリカ景気が好調なほか、原油、穀物などの価格高騰の主因は『アメリカの金融政策にある』との批判があり、どうなるのか判断は難しい。ともあれ、QE2終了によって、何が起こるのか、注意深く見守る必要があろう。
なお、大恐慌にはルーズベルト大統領の積極財政、超金融緩和政策を受け、1932年7月8日のNYダウ41ドルが1937年3月10日には194ドルと暴騰、『恐慌克服か』と思われたものの、1937年に緊縮財政に転換、金融引き締めを強行した。NYダウは1938年3月31日に98ドルまで急落する。
いずれにせよ、欧米の金融当局のスタンスがインフレ抑制にカジを切りつつあるのは確かであろう。これが原油、穀物、貴金属の動向、さらにはヘッジファンドの投資行動にどんな変化をもたらすのか、この点を銘柄選別の際には十分に吟味するのが肝要となる。
2011.4.15 超円安に対応した投資作戦の立案を!
株式市場は気迷い感の強い展開が続いている。いわゆる、日柄調整(2番底形成の動き)である。今後は景気の下ブレ(3月の景気ウォッチャー調査の『先行き』はマイナス20.6ポイントと、調査開始以来、最大の落ち込み)、業績の下方修正⇒配当減額(住友金属が好例)など、実勢悪が顕在化するだろう。
工場被災に伴う特別損失の計上、機会喪失・自粛ムードを反映しての売上高・利益の減少などがあって、2011年1~3月期(第4・四半期)の東証1部上場企業の決算は10兆円程度の赤字になる、と予想されている。
東日本大震災に関連した特別損失の計上は、2011年3月期に終了すると思う。しかし、電力不足の影響、景気の失速、消費マインドの冷え込みのダメージが2012年3月期にはボディブローのように効いてくるだろう。なにしろ、東京電力館内のGDPは日本のGDPの47%を占めている。
この結果、2011年度のGDP成長率はマイナスに転落、上場企業の2012年3月期は2ケタ減益を余儀なくされるだろう。2011年度の貿易収支は赤字になる。こうした実勢悪を日柄(時間)をかけつつ、株価は値固め(要するに、織り込む)を行う。これが相場である。
もちろん、いたずらに弱気になる必要ない。TOPIXの1株純資産は815円ある。これが株価を下支えするだろう。しかし、上値は限定される。いや、短期的には株価下ブレのリスクが存在する。それを理解することが投資の定法であろう。
なにしろ、100年に一度の金融危機(リーマン・ショック)に続いて、1000年に一度の大災害である。これを克服するのは簡単ではない。それに、筆者は再三指摘している3大悲劇(大地震、大津波による人的・物的被害に加え、放射能の恐怖)にもうひとつ加えて、“4大悲劇”と称している。すなわち、4つ目は政府の対応の鈍さである。福島原発事故は明らかに人災ではないか。
投資作戦・戦術としては引き続いて慎重な対応が求められる。ただ、2番底は1番底のように深くはない。それに、足元は円安一服だが、中・長期的には猛烈な円安の時代が訪れる、と考えている。もちろん、その場合の狙い目はグローバル企業、サプライヤー・テクノロジー企業にあろう。
外国人は政府の無能ぶりにはあきれているが、日本企業の強さ、実力を改めて評価しよう、との動きを強めている。要するに、彼らが注目しているのは世界的に『なくてはならない企業群』である。
旭ダイヤモンド(6140)はLED材料のサファイア加工装置では世界シェア9割を有する。ルネサンスエレクトロニクス(6723)は自動車に不可欠のマイクロコントローラユニット(自動車1台あたり30~100個使用)の世界シェア5割を誇る。
東日本大震災ではルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県)が被災、その操業停止(再開は6月がメド)によって、国内はもとより世界中の自動車メーカーがテンヤワンヤの大騒動に追い込まれている。
那珂工場の再建には自動車各社の社員、親会社のNEC、日立製作所の社員などが数百人単位で駆けつけ、建設会社の職員とともに作業に当たっている、という。被災地では泥に埋まり、ガレキの山だった工場が次々と操業再開にこぎつけている。これこそ、外国人が『エッ?』とビックリする光景である。
2011.4.15 1995~1998年の円相場は79円75銭が147円64銭に
福島原発事故の現場には東京電力の社員、関連会社の社員のほか、日立製作所(6501)が1500人、東芝(6502)が1400人の社員を派遣、処理(封じ込め作業)に当たっている。
もちろん、世界的な原発メーカーのGE、ウェスチングハウス、アレバの技術者も参加している。さらに、NRC(アメリカ原子力規制委員会)、および米軍が全面協力、『最悪の事態』を何とか避けようと努力している。この努力は必ず効を奏するだろう。
原子炉に注入していた海水を真水に切り替え、水素爆発を防ぐために、原子炉格納容器に窒素を注入、低レベルの放射能汚水の海洋放出、事故の深刻度を示す国際尺度をチェルノブイリ原発事故並みのレベル7に引き上げ…といった“決断”はNRCの指示に従ったもの、といわれている。
余談だが、『西暦の末尾が1の年は何かが起き、それが時代の転換点になる』とのアノマリー(説明のつかない不思議な出来事)は筆者が常々、主張していることだが、2011年の10干12支(エト)の縁起考ではもっと不思議な因縁を指摘できる。
すなわち、今年のエトの辛卯(かのとう)は60年に1度めぐってくるが、60年前の辛卯は1951年である。実はこの年、アメリカとの間にサンフランシスコ講和条約(日本の独立)が締結されている。
さらに、この年にはアイダホ州に世界初の原子力発電所(アーコー原発)が建設されている。その原発がいま、大きな転換点を迎えている。そう、チェルノブイリ、スリーマイル島、そしてフクシマが焦点であり、これが今後の世界のエネルギー政策を大きく左右することになろう。
もちろん、福島原発事故の封じ込めは地元住民、近隣住民のためにも総力を挙げて取り組む必要がある。日本は電力供給の29%を原発に頼っている。万一、最悪の事態(その確率は5%)に陥った場合、直接的な人的・物的被害にとどまらず、日本のエネルギー政策、産業構造に重大な影響を与えることになろう。
一方、為替については1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災以降のケースを振り返ってみよう。4月19日に1ドル=79円75銭の超円高を示現したあと、7月7日の日米協調介入(『七夕介入』と称する)を経て、年末にかけて円安が加速、9月19日には104円15銭の安値をつけた。そして、1998年8月11日には147円64銭の安値まで売り込まれた。まさに、猛烈な円安(日本売り)ではないか。
ちなみに、1996~1998年に一貫して物色されたのはグローバル企業、サプライヤー・テクノロジー企業である。そして、この“流れ”はハイテク、情報通信、ネット関連株が大フィーバーを演じたITバブル(ピークは2000年2月)につながる。今回もまた、同様の展開となろう。
圧倒的な国際競争力を有する日東電工(6988)、ナブテスコ(6268)、テルモ(4543)、コマツ(6301)、村田製作所(6981)などはこのもみ合い場面をじっくり仕込んでおきたいと思う。
2011.4.13 『心を引き裂く3大悲劇』と株価の行方!
相場は定石通り、2番底形成(下値のメドは9000~9200円がらみの水準か)の展開となっている。日経平均株価は3月15日に8227円のザラバ安値(1番底)を示現後、4月1日には9822円(瞬間高値)まで戻した。上昇率は19.4%となる。
常識的にはここが上値(戻り)の限界だろう。経験則的には2割の上昇率が初期反騰のひとつの戻りのメドになっており、ほぼその水準に到達したことになる。今後は次第にボラティリティが低下すると思う。
これは再三指摘していることだが、大震災後の底入れ期間は関東大震災が9ヵ月、阪神淡路大震災が6ヵ月を要した。マグニチュードは関東大震災が7.9、阪神淡路大震災が7.3、そして東日本大震災が9.0である。その衝撃度は過去2回よりもはるかに大きい。放射能の問題もある。もちろん、今後は景気の下ブレ、配当見直し、業績の下方修正など実勢悪が顕在化するだろう。
それがわずか3日(大震災発生後1番底をつけたのは立会日数で3日後の3月15日)で底入れとなるわけがない。ここからのマーケットは正念場を迎えるだろう。当然、銘柄の選別が始まる。ただ、深押しは考えにくい。1番底は“異常値”だった、といえる。
海外メディアは東日本大震災を『心を引き裂く3大悲劇』(Heart Rending Triple Tragedies)と報じている。すなわち、大地震、大津波による人的・物的被害、そして福島原発事故⇒放射能の恐怖である。
そんな“国難”ともいえる状況下、政府・与党の対応はあまりにも鈍い。『3.11』の前と後では環境が激変した。そのことに全く気が付いていないのが政治家ではないか。
いまこそ、人々の『失意と絶望』を『希望と期待』に転化させるべきだろう。それがドラスチックな復興予算の編成である。被災者支援と復興に向けての確かな歩みが人々に夢を与えるだろう。
1995年1月17日の阪神淡路大震災では『統治能力に欠ける』と酷評された村山政権でさえ、震災3日後の1月20日には小里貞利氏が震災対策担当大臣に就任(指令塔を一元化)している。
さらに、被害額10兆円に対し、9兆円強の補正予算を編成、復興費用に充てた。今回は?いまのところ被害総額25兆~30兆円に対し、補正予算の規模は3兆円(4兆円に上積みされるようだが…)に過ぎない。バカバカしいにもほどがある。筆者は防災に強い“未来エリア”(東北の)構築を目指し、40兆~50兆円の補正予算を編成したらどうか、と主張している。
その資金の捻出についてはまず、“平時”の政策(子供手当て、農家の個別所得補償制度、高速道路通行料金の無料化、高校授業料の無償化⇒いわゆる4K)を見直す(凍結する)こと、次に“救国”の意味を込めて『復興国債』を発行する。
もちろん、国会議員の歳費は3~5割カット、政党助成金(約370億円)は返上させる。政府・与党は増税(消費税の引き上げ、復興税の創設など)を計画しているようだが、これは全くの愚策である。こんなことを強行すれば、景気は一段を冷え込み、逆に税収は減少する結果となろう。
2011.4.13 『一本調子の円安はあり得ない』と考える理由!⇒長期的には猛烈な円安に
円安が進行している。1ドル=85円台に突入、為替の関係者の間ではもう一段の円安必至と見る向きが増えている。しかし、為替はそんなに単純ではない。筆者は中期的(年内がメド)には90円がらみの水準、状況次第によっては2010年4月5日の安値94円70銭を目指す、と主張しているが、短期的には円安が一服するタイミングではないか。
ECB(欧州中央銀行)は7日、定例理事会を開催、物価上昇を警戒し、政策金利の引き上げ(1.00%⇒1.25%)を決めた。2008年秋の金融危機(リーマン・ショック)後、日米欧の主要中央銀行では初めての利上げとなる。
一方、FRB(連邦準備制度理事会)は6月末に期限が到来するQE2(金融緩和第2弾)を延長せず、打ち切る意向を示唆している。アメリカの景気は予想以上に好調であり、これ以上の『超金融緩和』が必要ないのは確かだろう。
トリシェECB総裁はもともとインフレ抑制論者である。それに、3月のユーロ圏のCPI(消費者物価指数)が前年同月比2.6%上昇と、ECBが“望ましい”としている『2.0%を下回る水準』を4ヵ月連続で超えている。
このため、すでにユーロ圏の金利は利上げを見込み、大幅に上昇していた。市場金利は年内にあと2回の0.25%の利上げを織り込んで取引されている。これは何を意味しているのか。要するに、円・ユーロの水準はECBの利上げをすっかり反映していた、ということである。
では、FRBはQE2を終了させたあと、7月以降、利上げに踏み切るだろうか。これはない、と思う。確かに、製造業は好調だが、住宅部門は新規着工、地価(住宅地)ともに不振を極めている。もちろん、QE2後の金融政策を読むのは大切だが、この段階において利上げを想定するのは早計だろう。
こうした動きを勘案すると、短期的には一本調子の円安は考えにくい。いや、一時的には『材料出尽くし』の状態となろう。もちろん、中期的にはいまや、金融緩和政策を明確に表明し、断行しているのは日本だけであり、円・キャリートレード(円を借りて、海外資産に投資する取引)が活発化する可能性はある。長期的には猛烈な円安となろう。
1995年以降の動きを見ると、4月19日に1ドル=79円75銭の超円高のあと、年末には103円、1998年8月には146円の超円安となった。この局面で株価的に人気を集めたのはグローバル企業である。そして、株価フィーバーの波はITバブルにつながる。
圧倒的な国際競争力を有する日東電工(6988)、ルネサスエレクトロニクス(6723)、ナブテスコ(6268)、コマツ(6301)、テルモ(4543)、村田製作所(6981)、三菱商事(8058)、日本電産(6594)などのグローバル企業は円安のメリットをフルに享受できる。
“巣ごもり”関連のグリー(3632)、サイバーエージェント(4751)、楽天(4755)なども要注目である。景気を考えた場合、本当は過度の自粛を避けるべきなのだが…。
小物ではイノテック(9880)、ピーエスシー(3649)に注目している。イノテックは半導体中心のハイテク商社である。この局面でのファンダメンタルズうんぬんはナンセンスと思うが、連結1株利益は2012年3月期が78円、2013年3月期が112円と予想されている。1株純資産は1207円もある。時価のPBRは0.39倍に過ぎない。そう、著しく出遅れている。
ピーエスシーは医療ITの先駆者的な企業であり、東大病院、京大病院、大阪大学病院などが採用していることが技術力の高さを証明している。1株利益は2011年12月期が133円、2012年12月期が194円、2013年12月期が260円と飛躍的に伸びる。時価の970円がらみはじっくり拾っておきたい。中・長期的には大きく見直される(値がさ株に育つ可能性が濃厚)だろう。
2011.4.8 頼みの綱は省エネと融通調達?
頼みの綱は省エネの徹底と電力の融通調達との声がある。融通調達については西日本(周波数60Hz)と東日本(同50Hz)の周波数の違いがネックになっている。このため、周波数変換所(新信濃、佐久間、東清水の3ヵ所)の能力増強が不可欠である。
この施設を保有しているのは中部電力である。現在の能力は10万キロワットだが、5月の大型連休明けに13万キロワットに引き上げ、将来的には30万キロワットに拡充する。それでも不足分にはまったく足りないが…。ともあれ、ここで使われている『特別高圧用交流フィルター』のトップメーカーは日新電機(6641)である。
このほか、原発見直しの流れは原油価格を押し上げ、LNGの争奪戦を招くだろう。価格も高騰する。国際石油開発帝石(1605)、三菱商事(8058)はこのメリットをフルに享受できる。
一方、政府は短期の電力不足対策として、地域限定のエコポイント制度(エアコン、冷蔵庫、LED照明が対象)、個人住宅向け太陽光発電設備の導入支援を行う、と報じられている。
予算は前者が1000億円、後者が3000億~4000億円と見積もられている。特に、太陽光発電設備については1キロワット当たり30万~40万円の補助に加え、電力買い取り制度の完全実施、および価格の引き上げ(24円/Kwh⇒40円/Kwh)が行われており、大きなインパクトとなろう。
この関連では、シャープ(6753)、フェローテック(6890)、昭和シェル石油(5002)、三菱電機(6503)などが注目される。また、蓄電池の導入も必要となる。この分野では日本ガイシ(5333)、GSユアサ(6674)、住友電気工業(5802)をピックアップできる。
さらに、中・長期的にはスマートグリッドの推進が不可欠だろう。ちなみに、スマートメーターは大崎電気工業(6644)、東光電気(6921)、三菱電機、富士電機(6504)などが手掛けている。
2011.4.7 電力危機にどう対応するのか
これはここ数年、ずっと主張していることだが、パニックは政策の母!という。マーケットが動揺し、人々がパニックに陥るたびに政策対応は強化される。リーマン・ショック後の各国金融当局の施策が好例である。そして、最後は何でもあり!政策総動員態勢となる。まさに、これは“いつか来た道”ではないか。
企業だってそうだろう。必要は発明の母!である。旭電機化成(非上場)は懐中電灯の国内生産を再開した。明星電機(6709)は、停電のときでも電話回線があれば使える固定電話機の緊急生産を始めている。これは、NTT東日本の要請に応えたもの。群馬県の伊勢崎工場はフル生産を続けている。
さらに、電力不足に対応、デンヨー(6517)の屋外型エンジン発電機、ホンダ(7267)のカセットボンベ仕様の発電機には引き合いが殺到、『注文に応じきれない状態』となっている。当然、会社側は増産に走るだろう。
もちろん、大型のガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、発電用タービンなどを手掛けている川崎重工業(7012)、三菱重工業(7011)、IHI(7013)、住友重機工業(6302)は全社を挙げて増産を行っている。電力各社はLNG発電所の新設を計画している。LNG(液化天然ガス)関連ではトーヨーカネツ、(6369)、明星工業(1976)も忙しくなりそうである。
ダイハツディーゼル(6023)は船舶用ディーゼルエンジン発電機の世界的なメーカーだが、陸用も手掛けている。実は、売上高の15%が陸用である。大型船舶の電機をすべてまかなえる発電機である。病院、役所、警察署などに常備しておくにはデンヨー、ホンダの製品よりもこちらだと思うが…。
一方、福島原発の事故を受け、世界的に原発見直しの動きが広がっている。ヨーロッパはもちろんのこと、アメリカ、中国、トルコなどが原発建設を“凍結”する動きを強めている。現状では“世論”を封じ込めることはできないだろう。
日本の場合、原発立地、休止設備の再稼動は当分、困難となろう。現在、14基の原発が休止している。日本の原発発電量の25%、総発電量の7%強が失われている計算だが、そのダメージは東北電力、東京電力に集中している。恐らく、夏場には総需要に対し、2割強の供給不足(1000万~1500万キロワット)が発生、電力購入を拡大し、火力発電所の再稼動を急ぎ、LNG複合火力発電所『MACC』の新設を計画している。しかし、LNG複合火力発電所の稼動には発注後、4~5年を要するといわれている。今夏には間に合いそうにない。結局、切り札は需要抑制策となろう。
2011.4.6 東京電力はどうなるのか⇒ついに、株価は300円割れ!
最近、質問が多いのは東京電力に関すること。『いったいどうなるのでしょうか』と。株価は再び急落している。4月6日には292円の安値まで売り込まれた。株価的には完全に危険ゾーン突入である。
中堅A証券では東日本大震災の発生以降、社長自ら『すべての電力株を売れッ』と営業員に指示を出していた。『お客さんは配当をもらうのを楽しみに電力株を持っているのですが…』との現場の反論には『配当利回りが2~3%の主軸株がたくさんある。そちらに代えてもらえ』と。確かに、沖縄電力を除くと、すべて原発を保有している。
すなわち、大きなリスクを負っていることになる。福島第1原発の事故は周辺住民、産業に多大の被害をもたらしている。この損害賠償はどうなるのだろうか。誰がお金を負担するのだろうか。
原発事故による賠償責任は原子力損害賠償法に定められており、事故を起こした電力会社は過失の有無にかかわらず、被害の全額を賠償する『無限責任』を負うと規定されている。“無限”である。
一方、国は原発事故が地震、津波、噴火など自然災害の場合、原子力発電所1事業所当たり最大1200億円(今回は2事業所であり、計2400億円)を電力会社(東京電力)に支払う。残りは東京電力の負担となる。ただし、異常、かつ巨大な天災事変、社会的動乱(戦争を想定)の場合は電力会社に免責の措置が取られ、政府が賠償金を肩代わりする、との規定がある。しかし、今回はこの規定を適用しない方針という。
では、どのくらいの賠償金になるのだろうか。1999年9月の茨城県東海村のJCOの臨界事故のケースでは避難対象地域は半径350メートル、期間は3日間だったが、JCOは150億円を支払った。決着までの期間は約10年を要している。
今回の避難対象地域は半径30キロメートルと広範囲である。期間は数ヵ月、数年となろう。恐らく、賠償金額は『兆円単位』になるだろう。この負担が1企業に可能なのか。このため、電力供給を優先した場合、『国有化』の問題が浮上する。
もちろん、筆者は原発事故封じ込めに命をとして闘っている現場の人たちの気持ちを考えると、この局面での『国有化』うんぬんはいかがなものか、と思う。
ただ、もはや、現状がどうにもならない事態に陥っているのは確かであろう。東京電力には60万人の株主がいる。国有化の場合、日本航空方式(株主責任を問う)か、りそなHD方式(株主責任を問わない)かによってダメージは異なるものの、株式市場には大きな影響を与えるだろう。
2011.4.1 世界的な原発見直しの動きと電力危機!
全般相場は意外と底固いとはいえ、モヤモヤとした展開が続いている。そうした状況下、抜群に強い銘柄群が存在する。コマツ(6301)、伊藤忠商事(8001)、三井物産(8058)、川崎重工業(7012)、ガイシ(5333)、三菱商事(8058)などがそうだが、復興関連グループ(不動テトラ、若築建設、日成ビルド工業、五洋建設、太平洋セメント、ショートボンドHDなど)を別にすると、ファンダメンタルズをベースに買える銘柄群である。
古来、暴落日の“赤札”銘柄を狙え!などという。要するに、逆行高銘柄にマトを!ということ。新高値銘柄を狙え!との教えもある。前述の抜群に強い銘柄群は“国難”と形容される非常事態下、株価は逆行高を示し、新値を追っている。堅実な投資家は需給だけが頼りの復興関連グループよりもこちらのセクターを選択すべきだろう。
テーマ的には短期的に今夏の電力不足(東京電力管内)、電力インフラの復旧、中・長期的に電子力発電所(原発)の見直しムードの高まり⇒新たな代替エネルギーの確保がポイントになろう。この点に関しては火力発電所の再稼動、LNG発電所の新設、電力融通調達の強化、そして、社会的には省エネの徹底が求められる。
原発立地、休止設備の再稼動は当分、困難だろう。現在、日本では14基の原発が休止している。このうち、福島第1の①~④号基は廃炉が避けられない。⑤~⑥号基についても政府関係者は廃炉を示唆している。福島第2の①~④号基、女川原発の①~③号基は自動(冷温)停止中だが、再稼動について地元の承諾を取り付けるのはかなり難しいと思う。
日本は総発電量の29%を原発が占めている。現在、休止中の14基の発電量は原発発電量の25%に相当する。東京電力では火力発電所の再稼動を急ぎ、供給力の上積みを図る考えだが、夏場には大幅な電力不足が予想されている。
LNG発電所の新設も計画している。しかし、この稼動には4~5年かかる。いずれにせよ、LNGの価格は暴騰するだろう。原発見直しの動きは全世界に広がっている。この関連企業には国際石油開発帝石(1605)、トーヨーカネツ(6369)、明星工業(1976)、川崎重工業、三菱商事などがある。
電力の融通調達については西日本(周波数60Hz)と東日本(同50Hz)の周波数の違いがネックになっている。このため、周波数変換所(新信濃、佐久間、東清水の3ヵ所)の能力増強が不可欠だろう。
ちなみに、周波数変換所で使われている『特別高圧用交流フィルター』のトップメーカーは日新電機(6641)である。中部電力は5月連休明けに3割増に、数年後には3倍増とする。変圧器、電力量計、ガイシなども必要になる。
一方、自家発電設備の導入機運が一段と高まるだろう。ガスエンジン、ガスタービン、ディーゼルエンジンなどがシステムの中核部品だが、この関連銘柄は川崎重工業のほか、三菱重工業(7011)、IHI(7013)など。
発電用ボイラーはIHIが大手だが、住友機械工業(6302)も手掛けている。このほか、屋外用エンジン発電機のトップ企業はデンヨー(6517)である。
原油価格の高騰もあろう。LNG(輸入国は日本、ドイツ、アメリカ、イタリア、フランスなど)は奪い合いになる。LNGに強いのは三菱商事である。国際石油開発帝石の存在感は一段と高まるだろう。なお、日本のLNGの輸入先はインドネシア、マレーシア、オーストラリア、カタール、ブルネイ、アラブ首長国連邦などとなっている。
2011.4.1 ルネサスエレクトロニクスが焦点に!
株式市場はパニック的な投げ売り商状(セリングクライマックス)、その後の急反発場面を経て、定石通り2番底形成に向けての動きに入っている。ボラティリティは一段と小幅になり、仕掛けても“利”を得るのはなかなか難しい状況である。
確かに、3月15日の瞬間安値8227円はとりあえず、目先の安値になったと思う。しかし、現状は大底確認⇒本格反騰態勢に転じたとはいえない。ちなみに、阪神淡路大震災では底入れまでに6ヵ月を要している。関東大震災は9ヵ月かかった。それぞれ当時の外部環境が異なるだけに、単純な比較は無意味だが、わずか3日で底入れというのは絶対にないだろう。
なお、マグニチュード(M)は阪神淡路大震災が7.3、関東大震災が7.9だった。東日本大震災は9.0である。その衝撃度は過去2回の震災をはるかにしのいでいる。加えて、電力不足、部材・部品の調達難が生産面に大きなダメージを与える可能性がある。
ただ、世界景気は好調だし、NYダウは2月18日の高値(1万2391ドル)にあと一歩に迫っており、大崩れ(日経平均株価は7000円を割込む、などと唱える向きもあるが…)は考えにくい。下値では買い物が入る。
一方、株価底入れの条件は復興に向けての体制(補正予算の編成、復興庁の創設、マニフェストの見直しによる財源確保など)が整うこと、これが“絶対条件”だが、福島原発事故の封じ込め、ルネサスエレクトロニクス(6723)の操業再開、1ドル=85~90円水準の円安、東京電力の国有化回避、および電力の安定供給などが不可欠と考えている。
ルネサスエレクトロニクスについては『なぜッ?』という声が出るだろう。実はルネサスエレクトロニクスは自動車用MCU(マイクロコントローラユニット)の世界シェア45%を有し、その高崎工場、甲府工場(いずれも前工程を担当⇒損傷を受けたほか、計画停電を受け休止中)、那珂工場(主力工場⇒クリーンルームが損傷、生産再開のメドは7月)が大きなダメージを被った。MCUは自動車の基幹部品(1台当たり30~100個使われているが、各メーカー、車種ごとの特注品であり、他メーカー品での代替は困難)だけに、自動車の生産に重大な打撃を与えることになろう。
有力調査期間によると、日系自動車メーカーの世界生産台数は2011年4~9月に通常比45~65%減少する可能性がある、という。これは玉突き的に自動車部品、タイヤ、ガラス、特殊鋼、ゴム製品、カーナビ、プラスチック、ベアリング、ワイヤーハーネスなど多方面の減産につながる。
こうしたチャンスをヘッジファンドが見逃すはずがない。彼らはここをついてきている。すなわち、復興関連をロング(買い)、自動車関連をショート(売り)とするロング&ショート戦略である。しかし、ルネサスエレクトロニクスが操業を開始し、マイコンの供給が行われるようになった場合、流れは一変する。
その動きが5~6月には起きるだろう。株価には先見性がある。ヘッジファンドはロング&ショート戦略のポジション修正に走る。もちろん、自動車メーカーは7月以降、大増産を行うだろう。
さらに、復興特需が重なる。もとより、自動車の世界需要は旺盛である。5~6月には『世界的に日系メーカーの自動車がない』といった状況が一転、その解消向けての大増産が始まる。
恐らく、年後半は自動車関連セクターが大フィーバーを演じるだろう。アルパイン(6816)、曙ブレーキ工業(7238)、鬼怒川ゴム工業(5196)、アイメタルテクノロジー(5605)などの押し目(4~5月)はていねいに拾っておくべきだろう。
2011.3.30 智者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ!(上)
全般相場は徐々に気迷い感の強い展開となろう。ボラティリティは低下する。仕掛けても“利”を得るのは難しい。もちろん、中・長期的には買いのチャンスなのは確かだが…。
古来、智者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ!といわれている。もちろん、人生において、経験を積み重ねることはとても重要である。しかし、投資の世界では『あ~あ、良い経験をした』と悟ったときにはお金はすっかりなくなっている。そう、“あとの祭り”である。
だからこそ、歴史に学ぶ必要がある。ちなみに、日経平均株価の今年の高値(ザラバベース)は1万0891円(2月17日)である。それが3月15日には瞬間、8227円の安値まで売り込まれた。まさに、パニック的な暴落局面であった。恐らく、“日本沈没”とか、“列島汚染”(福島原発事故)などの『最悪シナリオ』を株価が一気に織り込んだのだろう。
その後、日経平均株価(終値ベース)は3月22日に9608円まで戻した。一気に下落幅(2664円)の半分強を埋めたことになる。いわゆる、半値戻しである。こうなると、にわかに強気論が台頭する。
しかし、ちょっと待って欲しい。正念場はここからだろう。今後、景気の下ブレなど実勢悪が表面化するだろう。配当見送り、業績下方修正に進む企業が続出すると思う。なにしろ、人的・物的損害は甚大である。被害金額は20兆~30兆円(阪神淡路大震災は10兆円)といわれる東日本大震災である。電子部品、自動車部品などの供給不足が深刻になっている。株価がこのままスンナリ戻るはずがなかろう。
テクニカル的には2番底形成までに6~8週間を要する。その後、下値もみ合いが2ヵ月程度続く、と覚悟しておくべきである。もちろん、3月15日のザラバ安値がとりあえず、目先の底値になったのは確かだろう。しかし、本格反騰に転じたわけではない。急落後の戻りは全面高になるが、ここからは企業の選別が始まる。
外国人は強気だが、それはロングオンリー(長期投資家)、ないしは逆張りの投資家である。事実、バロンズ誌の『BUY JAPAN!』の特集記事とか、ウォーレン・バフェット氏の『日本株は最大の買いチャンスを迎えている』といったコメントが寄せられている。しかし、彼らは上値を追って買わない。ヘッジファンドはロング&ショート戦略を継続的に行っている。
もちろん、東日本大震災を受けての株式市場の混乱はとりあえず、3月14~15日にセリングクライマックスを迎えたと考えている。しかし、再三指摘しているように、このままスンナリと戻ることはない。それは歴史が証明している。
2011.3.30 智者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ!(下)
マーケットが大底確認⇒本格反騰態勢に突入する、要するに立ち直るまでには心の整理というか、日柄が必要である。阪神淡路大震災(1995年1月17日)のケースを見ると、日経平均株価の直近高値(ザラバベース)が1月11日の1万9603円だった。それが1月24日に1万7698円の安値まで急落した。その後、2月1日には1万8868円まで反発した。いわゆる、暴落⇒暴騰である。
そして、4月4日には1万5256円の安値、5月8日には1万7189円の高値と乱高下を繰り返したのち、大底を打ったのは7月3日(1万4295円)だった。大底確認まで約6ヵ月かかっている。
もちろん、1995年1~7月には阪神淡路大震災のあとに、ベアリング・ショック(2月27日)、地下鉄サリン事件(3月20日)、1ドル=79円75銭の超円高(4月19日)があった。状況が異なっており、今回(福島原発事故はそれ以上のダメージ?)と単純に比較はできないが…。
注:ベアリング・ショックとはシンガポールに本拠があったベアリング証券のトレーダーが暴走、日経225先物を大量に買い建てていたのだが、大震災に伴う株価暴落を受け経営破たん、先物の投げ売りを行ったもの。
為替については直近の円安水準が1ドル=101円30銭(1月9日)だった。それが22円近い円高になった。今回(3月16~18日)の超円高とは幅的には違うし、当時の村山政権は円高を容認していた、といわれている。
ちなみに、株価反発のキッカケは7月6~7日の日米協調利下げ、および、協調介入だった。今回はすでに、18日にG7による協調介入(円売り)が行われている。このスピードの速さは評価できる。
なお、大震災後、株価が底入れするまでの期間は前回、阪神淡路大震災が6ヵ月と述べたが、関東大震災(1923年9月1日)ではフィッシャー指数は底入れまでに9ヵ月の日柄を要している。
マグニチュード(M)は阪神淡路大震災が7.3、関東大震災が7.9、東日本大震災が9.0だった。ちなみに、関東大震災は死者・行方不明者14万2800人、避難人数190万人、大蔵省、外務省、内務省、警視庁などの建物が消失し、一時的にせよ、首都機能が失われたのである。こうした状況を振り返ると、株価が大震災後、わずか3日で底入れするはずがないじゃないか。
もちろん、抜群に強い銘柄もある。たとえば、コマツ(6301)、川崎重工業(7012)がそうだが、すでに東日本大震災前の高値を奪回、新値を追っている。この強さを評価するべきだろう。波乱相場では逆行銘柄を狙え!という。
2011.3.25 “国難”を乗り越えられるよう祈る!
東日本大震災は発生から2週間が経過した。死者は1万人を超え、行方不明者は数万人に達する。甚大な被害を各方面にもたらした大震災、本当に痛ましい限りである。被災された皆様方に、重ねて心からのお悔やみとお見舞いを申し上げる。そして、この“国難”を日本国民すべての忍耐と冷静な行動によって乗り越えられるよう祈りたいと思う。
いまこそ、政府は政策を総動員するべきである。バラマキ型の子供手当て、高速道路の無料化はタナ上げし、その財源を被災地に投入したらどうか。もちろん、建設国債の発行も許される。
阪神淡路大震災の物的損害は10兆円だったが、今回の被害額は最終的に30兆円を超えるだろう。確かに、痛手は大きい。原発ショックも重なっている。主軸企業には操業不能の工場が数多くある。
しかし、官民ともに日本再生に向け、動き始めた。企業は強い、しぶとい。主力企業には世界屈指の技術力、生産力がある。21日付のアメリカのバロンズ誌は『BUY JAPAN』と題する特集記事を掲載している。
マーケットは必ず復活する。すでに、外国人は3月22日以降、猛烈な買いを入れてきた。株価は猛反騰に転じている。ここは日本再生、マーケットの復活を信じ、徹底した押し目買い作戦を敢行しようじゃないか。
★バロンズ誌買い推奨の12銘柄=ソニー、キャノン、トヨタ自動車、日産自動車、資生堂、KDDI、NTT、三菱商事、住友商事、伊藤忠商事、JFEHD、新日本製鉄。
日経平均株価は3月15日に瞬間、8227円の安値まで売り込まれた。今年の高値は1万0891円(2月17日)であり、下落率は25%となる。これはまさしく最悪シナリオ、不安心理(海外では日本沈没とか列島汚染などの風評被害が広がり、退去命令を出した国もあった)が演出した暴落であろう。
ちなみに、阪神淡路大震災では6ヵ月かけて日経平均株価が26%下げた。今回は実質3日である。いかに、衝撃が大きかったかが理解できるだろう。それに、ザラバ下落率は3月15日に14.5%に達した。これはブラックマンデー(1987年10月20日)のザラバ下落率(14.9%)に匹敵する。
メチャクチャである。だが、3月14~15日の出来高の激増は特筆すべきであろう。すなわち、3月14日の東証一部の出来高は48億8361万株(史上第2位)、15日は57億7715万株(史上第1位)に膨らんだ。売り物もすさまじかったが、“国難”に立ち向かう新たな買い手も出現したということだろう。
一方、日経平均株価は3月22日に、下げ幅(2664円)の2分の1(半値)戻しを達成した。その水準は9559円だったが、この日の終値は9608円である。しかし、問題はここからだろう。当然、今後は景気の下ブレ、業績の下方修正など実勢悪が出る。それをどう乗り越えるか、マーケットは正念場を迎えている。
ちなみに、阪神淡路大震災では6ヵ月、関東大震災では9ヵ月、底入れまでに日柄(時間)を要している。やはり、ここは実力株の押し目を丁寧に拾う作戦が有効だろう。すなわち、コマツ(6301)、伊藤忠商事(8001)、三菱マテリアル(5711)、神戸製鋼所(5606)、丸紅(8002)などが狙い目だろう。
2011.3.23 日本の再生、市場の復活を信じようじゃないか
これが相場の怖さである。いかに、世界中がパニックに陥ったとはいえ、ひどすぎないか。恐らく、多くの投資家が“日本沈没”、ないしは福島原発トラブル⇒“列島放射能汚染”が避けられない、と判断したのだろう。だからこそ、株価は異常値が続出したのであろう。
日経平均株価の今年の高値(ザラバベース)は1万0891円(2月17日)である。それが3月15日には一気に瞬間8227円の安値まで売りこまれた。外国人、国内投資家が最悪シナリオを描き、その不安心理が演出した24.5%もの暴落だろう。ちなみに、阪神淡路大震災では6ヵ月かけて約26%下げた。今回は実質3日である。
3月15日の日経平均株価の終値は1015円安の8605円だった。下落率は10.6%である。これは史上第3位の下落率だが、ザラバ下落率は14.5%(下落幅1392円)と、ブラックマンデー(1987年10月20日)のザラバ下落率(14.9%)に匹敵する。
東日本大震災の人的・物的被害は甚大であり、被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げるが、3月14~15日のマーケットもまた、メチャクチャだったのである。
筆者が年初以来、協力に推奨してきた銘柄も激しいショック安に襲われた。3月15日のザラバ安値を見ると、双日(2768)が116円、アイメタルテクノロジー(5605)が114円、住友電気工業(5802)が904円、日東電工(6988)が3415円といった状況である。まさに、“バッタ屋”の値段(投げ売り)じゃないか。ただし、ごく一瞬の安値であり、株価を見て、あわてて買いに行ってもほとんど買えなかったと思う。
とはいえ、マトを絞って、買い下がった人はいた。Kさんは筆者が尊敬する個人投資家の一人だが、双日を139円、129円、119円と指値を入れ、買ったという。『いや~、さすがに116円は買えなかった』と語っているが、ここまで買えれば立派なもの。まあ、3月15日の東証1部の出来高は57億7715万株(歴代1位)、14日は48億8361万株(同2位)であり、売り物もすさまじかったが、買い物も入ったことになる。
ただ、全般相場がこのまますんなり戻ることはないのではないか。確かに、福島原発トラブルは自衛隊、警視庁、消防庁、東京電力などの皆さんの必死の努力によって最悪の事態は免れるだろう。最悪シナリオで売り込んだ分を値戻しするのは当然である。しかし、それ以上の上値は各企業の被害の状況、日本経済、および企業業績への影響を見極める必要があろう。
さて、先日19~20日、急用があって福岡に行った。下りの新幹線は超満員だった。会話から判断すると、関西、九州に避難する人たちである。海外に脱出する人も多いと聞いている。一方、帰りに首都高速道路を通ったのだが、北や西に向かって自衛隊車両、消防車が30台、40台と隊列を組んで猛スピードで走って行った。任務を終えての帰還か、交代要員なのだろうか。消防車は宮崎ナンバーだった。本当にご苦労様である。頭が下がる。
ここは日本再生、マーケットの復活を信じようじゃないか。曙ブレーキ工業(7238)の400円がらみはまだまだ買える。3月15日の安値は320円である。そこまで買い下がるつもりで腹をくくって参戦を。双日、アイメタルテクノロジー、日東電工にも注目できる。
もちろん、日経平均株価はすでに、下げ幅の半値戻しを達成した。問題はここからである。実勢悪を嫌気し、急落する場面があろう。しかし、そこが2番底(絶好の買い場)になる。
2011.3.17 筆者想定の『超円高のあと超円安に』が始まったぞッ!
3月11日午後に発生した東北・三陸沖を震源地とする巨大地震はマグニチュード(M)9.0に達し、これは1995年1月17日の阪神淡路大震災のM7.3はもちろんのこと、1923年9月1日の関東大震災のM7.9をも上回る。国内では観測史上最大、世界的には第4位にランクされる巨大地震である。
この日本経済に対する損失については現時点では予測が困難だが、電力、通信、鉄道など社会のインフラの損傷に加え、ガソリン、交通(物流)などのダメージを考えると、阪神淡路大震災の被害金額10兆円を大幅に上回るのは間違いないだろう。
一方、こうした状況にもかかわらず、円高が進行している。16日の海外市場(ニューヨーク)では1ドル=79円75銭の1995年4月19日に示現した戦後の最高値を突破、一段高となっている。17日の東京市場でも史上最高値を更新している。
投機筋(ヘッジファンドなど)がドル売り・円買いポジションの仕上げを狙っている、という。もちろん、彼らはそれなりの円買いの理由をハヤしている。すなわち、『日本は世界最大の対外純資産を持ち、これまでも幾多の“国難“を乗り切ってきた実績がある。それに、海外資産を復興のために国内に還流させようとするだろう』と。
もとより、筆者は2011年の為替について、『超円高のあと、超円安に』と指摘してきた。したがって、ここでの円高に脅える必要はない。1995年1~4月とは根本的に違う。
1995年1~4月は当時の村山首相、宮沢蔵相の“無能”が円高を加速させた面がある。1月17日に阪神淡路大震災、3月20日には地下鉄サリン事件が発生、『日本には政府が存在しない』と酷評される中での円高であった。
当時、クリントン政権との間で日米貿易摩擦があり、アメリカ側は日本に内需拡大策を求めていた。これに対し、宮沢蔵相はこれを拒否、円高を『ガス抜き』に使った形跡がみられる。
しかし、今回は状況が異なる。日銀、財務省は円高を断固阻止する構えをみせている。恐らく、為替介入、流動性の供給、昨年10月の『包括的な金融緩和策』の拡大(資産買い取り基金5兆円の規模を10兆~15兆円に増額する)などの施策が断行されるだろう。
足元では個人FX(円売り・ドル買いポジション)のロス・カット、投げに加え、円安対応のデリバティブ商品の見切り売りなどがあって1ドル=75~76円がらみの水準まで円高が進行する可能性がある。
だが、そのあとは当局の施策の効果のほか、日本経済の現状、東北関東大震災の被害の甚大さを反映する相場になってくるだろう。年末には昨年4月5日の安値(94円70銭)に接近するだろう、と考えている。株式市場は2番底形成の動きとなろう。パニック的な投売り商状は2番底形成後、落ち着きを取り戻す、これがセオリーである。
2011.3.16 原発トラブルについての考察
今回の東北関東大震災によって人的・物的な被害とともに、原子力発電所(原発)が大きなダメージを受けた。日本の原発は総発電量の29%を占めている。今後、15基の原発が建設される予定だが、計画の遅延、見直しは避けられないと思う。
現在、地震を受け停止中の原発は14基(定期検査中の福島第1原発4~6号機を含む)に達し、その出力総量は国内原発総発電量の25%に相当する。
特に、福島第1原発1~3号機は建設後40年以上が経過し、延命措置を施しての運転だっただけに、損傷が大きかった。それと、非常時に原子炉を冷やす緊急炉心冷却装置(ECCS)が十分に作動しなかったことが響いている。
すなわち、想定外の大きな津波によってECCSに電力を供給する緊急用タービン発電機、給水用ポンプが故障、加えて緊急用バッテリーの電池切れ…などが重なり、冷却水が減少し、燃料棒が冷却水面から飛び出し高熱化、炉心溶解(メルトダウン)が起こった。爆発は高温化した圧力容器内に水蒸気が発生、これが水素爆発につながったもの。
ただし、爆発は建屋のみ。格納容器、圧力容器は被害を受けていない。これは1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故とは根本的に異なる。
なお、今回の事故はINES(国際原子力事象評価尺度)によると、レベル4(1999年のJCO臨界事故と同レベル)となっている。ちなみに、チェルノブイリ原発事故はレベル7、スリーマイル島原発事故(1979年)はレベル5である。
目下、福島第1原発1号機、3号機については廃炉を覚悟して海水、ホウ酸が注入されている。米軍も出動しているもよう。福島第1原発1~6号機はGE製である。その仕組み、危機に際しての対処法を熟知しているのはアメリカだろう。
だからこそ、アメリカは早い時期に原子力空母を派遣し、米軍の投入を提案したのだろう。しかし、この段階では菅首相が提案を断った。これが不幸の始まりではないか。
ともあれ、現在は米軍、自衛隊科学防護隊が出動、最悪の事態は避けられそうである。
とはいえ、世界的な建設ブームになっていた原発に水を差されたのは確かであり、原発関連株相場は当分の間、低迷することになろう。
2011.3.16 PER13倍、PBR0.96倍は売られすぎゾーン!
ひどい惨状である。語る言葉がない。3月11日午後に発生した東北関東大震災は死者が4000人に迫り、行方不明者が1万人を超えるなど未曾有(みぞう)の被害をもたらしている。
被災された方々、および親族、友人、知人の皆様に心よりお見舞いを申し上げたい。また、投資家の皆様方には冷静な対応をお願いしたいと思う。
もちろん、嵐のときは動くな!が基本(セオリー)である。ここはやみくもに行動せず、様子を見るのが賢明ではないか。
株式市場は3月14日に日経平均株価が633円安、15日に1015円安と暴落、パニック的な売り物に襲われている。福島原発ショックも大きい。外国人はこちらにより大きな脅威を感じているようである。
信用取引(買い)には広範囲に追証が発生、投げが投げを呼ぶ状況に陥っている。相場が落ち着きを取り戻すためには、福島原発ショックの収束が不可欠だろう。
それと、FRBは6月末に期限切れとなるQE2(金融緩和第2弾)の“その後”について、どうするのか、明確に方向性を示すべきだろう。マーケットでは7月以降の金融政策が読めず、不安心理が高まっている。
世界的に、株式市場だけではなく、原油、金なども売られている。投機マネーはリスク回避の動きを強めている。結果的に円高が進行している。
1995年1月17日の阪神淡路大震災では、日経平均株価は1994年6月13日の2万1552円を高値に調整局面にあったが、追い打ちをかけるように、3月20日には地下鉄サリン事件、4月19日には超円高(1ドル=79円75銭の戦後の最高値を示現)があって、7月3日に1万4485円の安値まで売り込まれた。当時は村山政権の不手際が指摘され、『日本政府は統治能力を失っている』と酷評されたほど。
宮沢蔵相(当時)はクリントン政権の日米貿易摩擦に絡む内需拡大要請を拒否、為替(円高)をガス抜きに使った形跡がある。
しかし、今回は違う。当局は円高を断固阻止する構えをみせている。仮に、1ドル=80円を突破されるような事態になれば日銀は昨年10月の『包括的な金融緩和策』の規模を拡大するだろう。
資産買い取り基金(現状5兆円)を10兆~15兆円に増すのは可能(白川総裁は拡大の意志をほのめかしている)だし、ゼロ金利政策、量的金融緩和復活だってあり得る。
一方、株価的には売られすぎゾーンに突入している。日経平均株価の予想PERは13.0倍、全銘柄のPBRは0.96倍まで低下、金利水準を考慮すると、欧米市場のPER11~12倍に比べ著しく割安になっている。もちろん、『1000年に一度あるか、ないか』といわれる出来事だけに、平時の経験則が適用しないのは十分に承知しているが…。
ただ、日本はこれまで敗戦、オイル・ショックなど幾多の“国難”を国民が一致団結し、総力を挙げて乗り切ってきた。今回も克服できるだろう。
とりあえず、ここはじっと動かずにいるのが賢明だろうが、スマートフォン関連の村田製作所(6981)、日東電工(6988)を100株づつ買い下がる作戦はどうか。村田製作所の5000円割れ、日東電工の3400~3700円はまさに、バーゲンセール(あとで振り返ると、長い下ヒゲの安値になる)である。
曙ブレーキ工業(7238)の320~340円前後もそうじゃないか。双日(2768)の110~130円がらみも突っ込み買いのチャンスだろう。ともに、100株取引である。いまこそ、2度買い、3度買いの手法が有効な場面であろう。
2011.3.10 江戸時代の薩摩藩と終戦直後の日本の財政再建策!
古い話で恐縮だが、江戸時代の薩摩藩は大井川改修など徳川幕府の苛酷な“外様大名いじめ”があって、財政が悪化、年間収入25万両に対し、借金総額は何と、500万両に膨張、その利払いだけで年間40万両という異常、かつ悲惨な状況に陥った。通常のやり方では絶対に返済不可能な数字(借金)である。
さあ、どうする?まず、誰もが考えるのは歳出カットである。しかし、こんな惨状を迎えたあとにチマチマと『事業仕分け』をやっても焼け石に水、どうにもならない。次はセオリー通り、収入増を図ろうとした。結果は?これもダメ。では、どうして財政再建を成し遂げたのか。
勘定奉行に抜擢された“茶坊主”(良家の子供)の調所広郷(当時19歳)は利払い(金利)と元本に手をつけた。すなわち、『利息は今後ゼロ』とし、元本は『250年の年賦で返す』というもの。まあ、“踏み倒し”に近い。結局、これしか手はなかったと思う。
実は10年ほど前、同様の手口をアルゼンチンが使った。海外で売りまくった国債を『元本7割カット、29年据え置き、30年後に償還する』とした。債権国がこの案を呑んだのだが、なんともひどい話である。
再三指摘しているように、日本の公的債務残高(借金)の名目GDP(国内総生産)比率は2009年が217%、2010年が226%となっている。異常な数値である。そして、増え続けている。
しかし、政府・与党にはこれを何とかしようとの意識はかけらもない。相変わらず、目先の人気取りを狙ったばらまき政策を強行している。IMF(国際通貨基金)によると、この数値が2016年には実に、277%になるという。
先進国の歴史上、最悪の数字である。ちなみに、これまでの最高記録は1946年のイギリスの269%であり、日本の数値はこれを上回る。新記録更新である。
なお、財政リスクにさらされているギリシャの公的債務残高の名目GDP比率はわずか119%に過ぎない。219%ではない。日本とは百の大台が違う。
歴史を振り返ると、先の大戦(太平洋戦争)の末期、日本のこの数値は戦費調達に伴う戦時国債の大量発行によって、204%(1944年)にはね上がった。もはや、通常の手段では返済不可能な借金である。
しかし、不思議なことに、この数値が2年後の1946年には何と、56%まで低下した。一気に、財務健全国家の仲間入りである。まさに『エッ?』だが、政府は何をしたのか、何があったのだろうか。
主因はハイパーインフレである。実質的に、借金額は目減りした。さらに、戦時補償令の廃止、預金封鎖、財産税徴収などもあった。いわゆる、民から菅への“富”の移転である。現在の憲法下において、財政権の侵害とも取れるこれらの施策を断行できるか、否かについては意見が分かれるところだろう。
ただ、膨張を続けている日本の借金がもはや、どうにもならない水準に達している事実は疑いの余地がない。さて、どうするか、グローバル化した現状ではハイパーインフレは考えにくい。となると、猛烈な通貨(円)安か、最終的には“お得意”の踏み倒しに走るのだろうか。
いずれにせよ、これからはこれまで以上に自分の資産は自分で守る姿勢が求められる。預・貯金、国債投資をやめ、実物資産(金、株式など)にシフトするのも有効な対策となろう。
2011.3.4 スマートフォン関連は株価的に『おいしい季節』が到来!
足元の相場は日柄調整の途上にある。テクニカル的に“休養”を欲しがっていたところに、エジプト・ショック、リビア・ショックがあり、原油価格の高騰がマーケットに冷水を浴びせた格好となっている。
しかし、トレンド的には何らの不安もない。企業業績は①新興国需要を取り込む態勢が整う(グローバル戦略の収穫期)②質に対する要求に応えられる企業が数多く存在する③アメリカ景気回復のメリットを享受できる…などがあって、絶好調である。
需給面では国内の機関投資家の売りが一巡、ロングオンリーの外国人、および中国系のSWF(国家資産管理ファンド)は執拗な買い手をみせている。恐らく、2011年の外国人の年間買い越し額は5兆~6兆円(2010年は3.2兆円)、場合によっては10兆円の大台に迫るだろう。
相場がちょっと弱くなると、ガタガタッと崩れる人(投資家)がいるが、これはいけない。再三指摘しているように、肝要なのはトレンドを重視すること。古来、続く流れに逆らうな、ついていくのが儲けの道!というではないか。
ちなみに、3月3日のNYダウは1万2258ドルである。昨年4月26日の高値(1万1205ドル)はもちろんのこと、リーマン・ショック直前の水準(2008年9月12日の1万1421ドル)を大幅に上回っている。
一方、日経平均株価は1万0586円と出遅れが著しい。リーマン・ショック直前の水準(1万2214円)どころか、昨年4月5日の高値(1万1339円)すら抜いていない。だからどうした?といわれると困るが、出遅れは必ず修正される。
だからこそ、徹底した押し目買い戦術を!と主張している。狙い目はやはり、スマートフォン関連だろう。タブレットPCもそうだが、この分野は日本勢が強い。現在、日本のスマートフォンの普及率は12%程度に過ぎない。株価的に面白いのは普及率30%まで。いま、そのもっとも株価的に『おいしい』局面に突入しつつある。
スマートフォン関連の本命的存在の日東電工(6988)は2月18日に、5210円の高値をつけたあと調整しているが、ここは押し目買いのチャンスと判断する。
この銘柄は液晶テレビの創生~普及期に1640円(2001年9月4日の安値)⇒1万890円(2006年2月3日の高値)と、6.6倍の暴騰劇を演じている。
それが、2008年12月4日には1412円まで急落した。約8分の1である。これは2006年3月期の連結1株利益332円が2009年3月期にはわずか2円弱まで急減、この業績悪化を受けたもの。
そして今回である。スマートフォン、タブレットPC向けのITOフィルムなど世界シェアトップ商品の伸びに支えられ、2011年3月期の連結1株利益は356円、2012年3月期は398円と、ピーク水準を大幅に上回る見通しである。
いま、これを評価する相場が始まっている。ただ、前回は2003年5月29日に1700万株、600億円の自社株買いを発表しており、7.7倍は無理だろうが、8000~9000円の水準は十分見込めるのではないだろうか。
このボラティリティの高さこそが最大の魅力である。同様に、村田製作所(6981)、第一精工(6640)、日特エンジニアリング(6145)、東光(6801)などもスマートフォン関連である。
2011.3.2 西暦の末尾が『1』の年には何かが起きる!
瞬間的には『ヒヤリッ』とさせられたが、相場は腰の強さを改めて確認した格好になっている。再三指摘しているように、反騰相場は始まったばかりである。
もともと、2~3月は春の到来を前にして、荒れ模様の展開となる。基本的には調整が必要な局面である。しかし、安いところを買えない人に『明日はない』のは確かであろう。
ここでの投資作戦は?やはり、強い銘柄を徹底して攻めるのがセオリーではないか。三菱マテリアル(5711)、東芝(6502)を始め、アイカ工業(4206)、電気化学工業(4061)、川崎重工業(7012)、ハニーズ(2792)などに妙味あり、と判断する。
アイカ工業は2008年以降、3年間に渡って800~1000円ゾーンでの大もみ合いを続けてきた。このもみ合いを上放れようとしている。相場は放れた方につくのが基本である。そう、上放れ⇒買いとなる。
さて、西暦の末尾が『1』の年は何かが起きる!そして、それが時代の転換点になっている、さらには10干12支では辛卯、下克上とか革命が続発すると指摘してきたが、現状はまさに、予想通りの展開になりつつある。
エジプト・ムバラク強権政権が崩壊、リビアの“狂犬”カダフィ大佐の命運も尽きようとしている。いつの世も独裁者の末路は哀れである。もちろん、同情する気持ちはさらさらないが…。
中東騒乱の根っ子には宗教対立(イスラム教シーア派&スンニ派、およびイスラエル)にある。次の焦点は原油供給の拠点(サウジアラビアとパイプラインで結ばれている)バーレーンの動向にある。
バーレーンは少数のスンニ派が多数のシーア派を支配する構図となっている。治安部隊とシーア派デモ隊の衝突が伝えられているが背後にシーア派の大国イランがいるのは間違いない。バーレーンにはアメリカの第5艦隊が駐留している。
日本の原油調達先はサウジアラビア29%、アラブ首長国連邦20%、カタール12%、イラン10%、クウェート7%、ロシア7%、オマーン3%、イラク3%など。バーレーン経由が多い。リビアからの輸入はゼロである。
一方、日本の中東向け輸出は2兆2200億円程度(シェア3%)に過ぎない。こうしたデータを見ると、反政府デモが王制国家に波及し、大混乱に陥らない限り、日本に対する影響は軽微といえる。ただ、リスク回避の動きが為替市場において円高につながるようだと、状況は変わる。
それに、中東情勢の不安定さは、そもそも、イランと対峙していたイラクのフセイン政権(スンニ派)を打倒したことにより、イランの力が強大になった湾岸戦争に起因する。
ユーゴスラビアもそうだったが、国民によっては何が幸せで、何が不幸かは分からないが、強烈な指導者の存在が異民族、異なる宗教の人達を国家としてまとめていた面があろう。
いずれにせよ、中東情勢には引き続いて注意を要する。強権国家はまだ、世界に数多く残っている。ただ、現時点では“北”、および中国の騒乱⇒崩壊はないだろう。焦点は10年ぶりの政権交代が予定されている2012年以降、ないしは次の『1』の年になると考えている。